あけぼの号の思い出

あけぼの号というか夜行列車への昔年の思いといった方がいいかな…

両親の実家は岡山で、子供のころ（まだ新幹線が大阪止まり）は夜行列車を利用した記憶がある。

これが夜行列車の最初の記憶。どこから乗ったのかはわからない。満席だったように記憶している。夜の十時ころに減灯となり、汽車の揺れに身を任せているうちにいつの間にか就寝。不思議と朝の記憶がまったくない。



大学生の時に上野発夜行急行　八甲田で北海道旅行へ行く機会があった。あの頃もっと鉄道の旅を重ねていれば思い出は増えていたろうに残念である。　夜行急行だから深夜に幾度となく特急列車の通過待ちをする。

ワゴンサービスもあって、売り子の女性がワゴンを押しながら客車を行き来していた。一緒に行った友人が通路をふさぐ様に足を投げ出して寝ていたので、売り子が来るたびに俺が友人を起こして売り子を通していた。

駅に停車して特急をやりすごした後に動き出すのだが、これが激しく振動を伴うので嫌だった。


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夜行列車の楽しさは寝ることにあらず、知らない町の夜の景色を楽しむことにある。

ただ右から左に流れる景色ながら、そこには昼には見れない何かがある。

マンションや団地、ホテルに灯った光に自分との何かを重ねたり

平行して走る道路の車に勝手な思いを抱いてみる…　あのタンク車は長距離運転なのか？

やがて夜行列車は人が入らない山や川を渡る。




普段立ち寄ることのない時間に行くことができる特別な自分だけの楽しみ。


Dire Straits - Sultans Of Swing




前にも書いたことがあるが、個人的には北斗星よりもあけぼの号の走る上越線は好きだ。

都会を抜けると田園風景に変わり、やがて山間部を抜け、上越の盆地を右に左に抜けていく

景色の変化に富んでいることが魅力である。　あけぼのに乗るときには海側のソロ２階を指定して乗車する。





それは偶然にも満月の夜だった。室内灯を消すと外の街明かりだけが生えて、窓枠の広いあけぼの号の客室は貸し切りの劇場になる。　完全に横になりながら枕を高くして夜景を楽しむ

越後湯沢からしばらくは上越線と関越自動車道がクロスしながら走行する。　満月に照らし出された上越の山々やホテル群の移りゆく景色は満月でしか味わえない動く劇場で、貸し切りの映画館で一人大きなスクリーンを見る贅沢に匹敵する




夜行列車が贅沢な価格設定となっていくのは残念だ。　


※画像は借り画像です