車載オーディオ用のタブレット端末の容量が足りなくなってきたので機種変しました。
前回はカーネル入れ替えなど少し面倒な作業をしましたが、今回はもう少し簡単に使えることも狙います。
以前
このレポートから3回シリーズで紹介した通り、自分のクルマではNexus7とUSB DDC、再生アプリの
USB Audio Player PRO (UAPP)による「Androidトランスポート」を組んで車載運用しています。
Nexus7のカーネルを書き換えてUSB再生中にも充電できるようにし、音質・使い勝手とも実用レベルのプレーヤーになりましたが、Nexus7は32GBモデルが最大容量で、SDカードなどのメモリースロットはありません。
32GBの内蔵ストレージに保存できるのは、FLAC圧縮のアルバムで60枚程度。
音楽以外のデータは削除し、お気に入りのアルバムを厳選して、それでも最近はCDを買うたびにどれと入れ替えるか迷う状況になっていました。
そこで最初に考えた対策はUSBやWiFiで外部ストレージを接続することですが、これはAndroid OS上で音楽ファイルなどの格納場所である「メディアライブラリ」として認識されません。UAPPの場合、メディアライブラリ以外の場所にあるファイルはフォルダ指定により再生可能なものの、フォルダをまたいだ選曲(アーティストランダムや全曲ランダム)ができないなど制限が発生します。それに接続の準備も今以上に面倒になってしまいます。
というわけで、お気に入りのNexus7ですがここで交代です。
今回はちゃんとオーディオ用途を意識して選定しました。ハイこれです。
GALAXY Tab S 8.4 (SAMSUNG)
「えーっ?なんでそれがオーディオ用なの?」とか言わず、まぁ読み進めてください。
今までUSBオーディオについて調べてきた結果、素直に
iPad mini retina 128GB
あたりにすれば悩まずに済みそうだとは思うのですが、
また世の中iPhone6とかiOS8とかで盛り上がっている中、我関せず。
当ページはUAPP推しなのでw
今回もAndroid一択です。
UAPPは、ボリュームやイコライザーもありますし、スマホ・タブレット単独での再生もできるようになりましたが、基本的にはUSBオーディオ機器を接続し、音楽ファイルのデータを「そのまま」出力することに特化した高音質再生アプリです。
(「高音質」にも色々ありますが、これは「高忠実度」の部類ですね。)
これを使う場合、音質はUSBオーディオ機器のものになります。「ハイレゾ対応!」とか「高音質デジタルアンプ!」とかあっても使いませんので(ハイレゾ再生はUAPP自体で対応)、スマホ・タブレットがオーディオ用である必要はありません。それよりもUSBが安定動作する方が重要です。
厳密にはUSBの信号品質は音質に全く影響しないとは言いませんが、マニアの領域です。そのうち電源ラインは外部給電にしてしまえば関係ありません。信号ラインについてはさらにディープな世界ですし、それでも対策したいなら方法はあるので気にしなくて良いと思います。
(Asynchronous転送の信号品質が音質に影響する理由が説明できないので、自分はそこまで踏み込みませんw)
USBオーディオ機器を接続し、UAPPを中心としたシステムを構築するための端末の要件
は、こうなります。
1. USBホスト動作が可能であること (UAPPを使うためには必須)
2. ホスト動作時に充電が可能であること (必須ではないが長時間再生するため推奨)
3. USBオーディオ対応であること (UAPPには必要ないが、あれば他のアプリも使える)
GALAXYシリーズはOTGケーブルによるUSBホスト動作はもちろん、独自の拡張によりOSレベルでUSBオーディオに対応している現時点では数少ないAndroid端末です。さらに、カーネル入れ替えなどせずともOTG時の本体充電が可能なので、上記の3要件を満たしAndroidで車載USBオーディオを組むには最適なハードウェアの一つといえます。
なお次期Android OSでは、標準のOSレベルでホスト動作でのUSBオーディオに対応するようです。
→2014/11追記 Android OS 5.0がリリースされました。
USBオーディオに対応はしたものの、16bit/48kHz止まりとなるのは変わっていないようです。
高音質再生という点で、依然UAPPの価値は健在です。
Tab Sの「S」はGALAXYシリーズのフラッグシップを意味します。UAPPはちょっと古い端末だとノイズが出たり、どうやら性能を要求するフシがあるので最新機種を選択しました。新しすぎて
UAPPの互換性リストには載っていませんが、Nexus7で先人達の情報のお世話になったお礼のつもりで今回はヒトバシラーになりましょう。
(と張り切っていたのですが、ちょっとトラブっている(後述)うちにリストに掲載されていました。人柱失敗。)
Tab S 8.4の内蔵ストレージは16GBとNexus7より少ないものの、microSDXCで128GBまで追加可能なので大丈夫でしょう。
Nexus7で便利だったワイヤレス充電Qiに未対応なのは減点ポイント。
なおTab Sは8.4インチと10.5インチの2機種あり、現在どちらもWiFiモデルのみ国内販売されています。回線つき(SIMロックフリー)が欲しければ、グローバル版のLTEモデルを入手したうえで日本語化の細工をする必要があります。入手・日本語化の方法はともに検索すればすぐ見つかると思いますが注意してください。
(9/24更新)
auから10.5インチのみLTEモデルが発売になりました。
(9/30更新)
8.4インチのLTEモデルはdocomoが国内販売するそうです。内蔵ストレージ32GB、キーボード付属とグローバル版より仕様強化されています。
一方auはTab Sの8..4は販売せず、後述するXperiaのタブレットを扱うようです。
実験開始したところ予想外のトラブルが発生しました。UAPPによる再生は問題ありませんが、Nexus7で使用していた三つ又のOTGケーブル(Yケーブル)で外部バッテリーを接続しても充電状態になりません。
ケーブルをいくつか(GALAXY対応となっているものも含め)交換してもダメ、電源をモバイルバッテリー・シガーチャージャー・さらに純正ACアダプターと替えてみても変わらず。むぅ。
あちこち探して、ようやく対応パーツを見つけました。
SimulCharge USB 1-port for Galaxy Tab TL-002 (LAVA Computer MFG. Inc.)
カナダのLAVAから出ているOTGアダプター。Tab SでOTGと充電の同時動作(OTG charge)に正式対応している、今のところおそらく唯一の製品です。
公式オンラインストアか米国・カナダのAmazonで買えます。
(私が買ったときはLAVAのAmazon店がInternational Shipping(海外発送)可能だったのですが、今はDomestic(米国内)のみ出荷となっています。別の店で対応可のところがあるようです。)
つなぎ方はOTG(Y)ケーブルと同じです。
ついでにモバイルバッテリーも新製品が出ていたので強化しました。
USBポータブル電源 20000mAh CP-B20S (SONY)
左はこれまで使っていた10000mAhのもの。デカくて分厚くて重い・・・
しかしこれだけ容量があれば、タブレットとUSBに一日中給電しても平気です。
UAPPはアルバムアートワークの表示にも対応しました。
曲名リストの向こうにうっすら見えるジャケ写が素敵です。透過率も調整可能。
車載システムに接続。タブレットと電源以外は以前のシステムのまま変更ありません
・USB DDC hiFaceTWO Pro (aurora sound)
・同軸デジタルケーブル AT-SD2000/1.3 (audio-technica)
・汎用型タブレットPC用ホルダー TAB001 (ARKON)
・シートボルト取付ロングマウント GN088-L22-SBH (ARKON)
本体には充電中の表示がでています。
microSD上の音楽ファイルもちゃんとUAPPから認識されました。
GALAXYでは、先に述べたようにUAPP以外のアプリ(radikoや、らじる★らじるなど)でもUSBへ音が出せます。UAPPでの再生時にはアプリの内蔵ドライバによりOSの音声システムをバイパスして排他的にUSBを使用するので、音質面の弊害はありません。
ただし、一度UAPPで再生した後はアプリを終了してもOS側からの音は出なくなります。アプリがUSBバスを掴んで離さないのか、OS側の再初期化がうまく働かないのか。いずれにしろUSBケーブルをつなぎ直せば復帰するのでとりあえず良しとしましょう。
ネットラジオは低ビットレートの圧縮音声なので音質はそれなりですが、ハイカットが強いくせにノイズの多い純正ナビのFMチューナーよりはるかにましで、NHK-FMのライブ放送などは十分楽しめます。
以上で無事完了です。LTEモデルやOTGアダプターの入手に少し面倒な点は残ったものの、Nexus7のようにカーネル入れ替えをしなくても充電しながら再生できる分簡単に使えると思います。
結局今回も充電では手こずりました。電源端子がUSBと兼用でなければこんな苦労はないのですが、充電用端子をUSBに統一せよと言い始めたのはEU議会だそうで。OTG動作までは考えが及ばなかったんでしょうかね。
自分のシステムではUSB-DDCを使ってデジタルトランスポートとして組みました。DDCの代わりにDACを使えばヘッドユニット等のRCA入力に接続することもできます。
この場合、AndroidのUSBはiOSに比べ消費電流制限が緩いのでDACの選択肢が広いというメリットもあります。
ハイレゾ車載時代が来るまでは、これで戦えるかな。
(UAPP自体はハイレゾ再生に対応しており、DoP対応DACを接続すればDSDも再生可能です。残念ながら自分のシステムではプロセッサー以降が対応しないためCD音質の音源のみ使用しています。)
音楽もバッテリーも容量アップで、ますます車から降りられなくなりそうです。
(おまけ)
発売前ですが、これも車載USBオーディオに良さそうなので取り上げておきます。
Xperia Z3 Tablet Compact (SONY)
XperiaはZ2からUSBオーディオに対応しており、先に述べた3要件をクリアしています。今回Z3シリーズではZ Ultra以来となる小型タブレットを投入してきました。
特に8インチクラス「最薄」「最軽量」ながら充電端子がUSBと別に設けられているあたり、わかってるぅ!
本当のところは、Xperiaの場合は防水機能のためにUSB端子にカバーが必要→普段使う充電にカバーを外すのは面倒→充電端子を残しておこう、というのが理由で、別にUSBオーディオのためにそうしたわけではなさそうです。
でも充電専用の端子があるということは、USBの電源ピンは通常のOTG動作つまりタブレット側が出力の状態で使えるということで、自分のシステムのようにエンジンOFFしてもUSBへの給電が切れないように気を使う必要がない、つまりモバイルバッテリーでなくシガーチャージャーで給電できる→荷物が減るということになるので結構メリット大です。
ソニーまだまだいけるやん!と見直したけど人員削減だそうで、やりきれない思いです・・・
(2015/3/3更新)
auがLTEモデルを発売するという噂がありましたが、出ないままZ4シリーズの発表が始まりました。結局国内向けはソニーブランドのWi-Fiモデルのみとなりそうです。技適まで通っていたのに残念。
自分はグローバル版Z3のLTEモデル(SGP621)を購入し、MVNOのデータ通信専用SIMと組み合わせて快適に使用できています。
ちなみにZ4 Tabletは10インチで小型タブレットはZ5世代まで持ち越しか。USB端子がカバーレス防水になってマグネット充電端子も省略されてしまいました。わかってないよソニー・・・
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