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2016年02月17日

トヨタ・セリカGT-FOUR(1993) 《1》

トヨタ・セリカGT-FOUR(1993)  《1》 1993年、WRC=世界ラリー選手権でトヨタが勝った。これで、メーカーとして、ひとつのスポーツ・カテゴリーで掛け値なしのトップに立ったことになる。1972年冬の英国、RACラリーでセリカGTVが走ったWRCへのデビュー戦から、実に20年余り。たゆまぬ挑戦の継続が結実した世界一の座の獲得だった。

いや、これ以前にも、トヨタ車に乗るドライバーが世界チャンピオンになったことはあった。1990年、そして1992年、カルロス・サインツはセリカを駆って世界一のドライバーの座を得た。ラリー・シーンにおいてトヨタは強いメーカーとして君臨してはいたのだが、メイクス・チャンピオンシップというタイトルだけは手中にできずにいた。その念願が、1993年、ついに現実のものとなった。

オベ・アンダーソンは、その優勝メッセージの中で、「日本車がワールド・チャンピオンシップを獲得したのは、歴史上、初めてのことのはず」と記した。なるほど、1960年代ホンダF1のいくつかの勝利があり、またル・マン24時間でのマツダの総合優勝(1991年)というのがあるが、これらはいわばスポット的なもの。そしてホンダ・パワーは1980年代の後半から、強すぎるほどの存在としてF1シーンを席巻しチャンピオンになっているが、これはシャシー・コンストラクターのウイリアムズやマクラーレンと分かち合うべき栄光である。トヨタ・セリカのWRC制覇とは、以上のような意味で、歴史的な快挙なのだ。

また、このWRC挑戦については、同社の徹底した「継続」に注目しなければならない。先に名を挙げたオベ・アンダーソンは現在のTTE=トヨタ・チーム・ヨーロッパの監督だが、1972年のRACラリーでセリカをドライブし9位に入ったドライバーこそ、オベ・アンダーソンその人だったのである。

そして当時、前年までアルピーヌA110に乗っていたオベをセリカで走らせることに成功したトヨタ・マンが、当時、欧州に出張滞在中の福井俊雄氏だった。彼はいま、TTEの副社長なのだが、このアンダーソン+福井+トヨタ車という“トライアングル”は、WRCデビューからチャンピオン獲得まで、まったく変わることなく続いているのである。

ただ、この「継続」にも一時期、危機があった。それはトヨタがサポートを開始してからすぐ、1974年に世界を襲ったオイルショックである。1974年・夏には、トヨタはいったんWRC参戦を中止する決定をしたともいわれる。この時に、たとえ活動を縮小してでも継続すべきであると福井氏が直訴し、ラリー参戦が途切れなかったという伝説がいまに残る。事実、一時期、「チーム・トヨタ・アンダーソン」として闘っていた頃も、ごく短期間ながらあるのだ。

では、この20年間、トヨタがWRCシーンへ送り出してきたモデルを、ちょっとたどってみよう。まず、初代セリカ、そしてTE27のカローラ・レビン。このレビンは欧州ラウンドのWRCで最初に優勝した日本車として、歴史にその名を残す。(1975年1000湖ラリー)

そして、ほとんどプロトタイプに近い「グループB」時代(1983~1986年)には“セリカ・改”を作り、これはサファリ・ラリーで勝ちまくった。1985年頃から4WDのスペシャルマシン全盛となり、2WDのセリカは耐久色が強いアフリカ・ラウンドに活路を見出したという現実もあったが、それでも1983~1986年の3年間で、サファリを含むアフリカでの6戦で6勝したというのには驚く。

そしてラリーは1987年から、現在の規格である「グループA」となる。これは量産車(年間5000台以上)をベースにすることが条件で、トヨタはとりあえずスープラでFRのラリー車を作ったが、さすがにこれはサファリでも4位が精一杯だった。

時は、4WDラリー・カーの時代である。1987年からは、“名車”ランチア・デルタ・インテグラーレがWRCを制し始める。そして、このクルマに対抗すべくトヨタが送り出したのが、4WDのセリカGT-FOURだった。また、このマシンの出現とともに、トヨタはWRCへのシリーズ参戦を決定。1989年にはWRC9戦に出場、オーストラリアでGT-FOURとして初優勝して、メイクス・ポイントでもこの年2位を得る。

ただ、この「メイクス2位」というのがこの後、1992年まで続いてしまう。「壁」は常にランチアだった。1993年こそ!……というのが、トヨタ&TTEの悲願だったのだ。

(つづく) 

(「スコラ」誌 1993年 コンペティションカー・シリーズより加筆修整)
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Posted at 2016/02/17 15:07:21

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