
先に「
ARK Rally in Shiribeshi」取材のために往復した北海道出張。今回ももちろん(?)社用車1号機(
日産フーガ 350XV)での自走往復となりましたが、帰路では7月17日に
津軽海峡フェリーが就航させたばかりの「
ブルードルフィン」に乗船してきました。
出張のスケジュールとタイミングが合ったので、せっかくの機会だからと狙いを定めて予約を入れた「
ブルードルフィン」。
函館港のフェリーターミナルではいつものように
スマートチェックインで乗船手続きを済ませ、ターミナルのカウンターに赴くことなくそのまま乗船することが出来るので便利です。
この船では同乗者も一緒に車ごと乗船できるので、社員嬢ともども車両甲板からの乗船。船内に入って車両甲板での第一印象は「塗装などは綺麗だけれど、どこか"新しい"雰囲気に欠けるような気がする」というものでしたが、実はこの「
ブルードルフィン」は完全な新造船ではなく、旧・東日本フェリーの時代に就航していた「ほるす」というフェリーのリニューアル仕様。「ほるす」は1994年に竣工。しかしその後、東日本フェリーの経営悪化に伴って韓国の会社と用船契約が結ばれ、いわゆる"レンタル"された状態で運航されていました。それが再び日本に戻り、大がかりなリニューアルを経て船名も「
ブルードルフィン」と改められたのです。

まず客室甲板にエスカレーターで上がると、上質なシティホテルのような雰囲気のエントランスが出迎えてくれます。
落ち着いた感じの中にも、豪華客船とはまた異なるカジュアルな明るさを兼ね備えた、なかなかセンスの良い仕立ての空間。特に照明の使い方が巧みで、この写真だけでは"船の中"とは想像つかないのではないでしょうか。
個室利用の場合は、まずはエントランスの一角にあるレセプションで申し出て、部屋の鍵を受け取ります。
では、船内の様子をいくつか写真でご紹介していきましょう。

船内にはカジュアルなスタンダードルームから、津軽海峡という比較的短距離の航路にしては贅沢を尽くした感のあるプレミアまでいくつかのグレードの客室が用意されています。
エントランスから個室があるエリアへ向かう廊下は壁に絵がかけられており、誰でも自由にくつろぐことが出来るテーブルと椅子が用意されています。テーブルには拳程度の大きさのものがついているのが見えますが、これは「
ナッチャンWorld」でもお馴染みの"手すり"。不意に揺れた時に掴むためのものですが、無粋な"棒"などではなく全体的な雰囲気と調和したオブジェのようなものが備わっています。

こちらが今回利用した、2名用のファースト客室。ベッドが2つ、テーブルとクッション、あとはテレビと洗面台が備わっています。
正直にいうと決して"広々した"というまでの空間ではありませんが、4時間程度の乗船ならば2人で利用しても全く苦にはならないでしょう。料金も比較的安価な設定なので、ちょっとゆっくり眠りたい時や、周りの人に気をつかうことなく寛ぎたい場合などにはお薦めの客室です。
ひとつだけ注意すべき点は、部屋に出入りするためのドアが思った以上に重いこと。非力や女性や子供が開け閉めする際は気をつけた方が良いかもしれません。

乗船時間が4時間に満たないので、船内の飲食施設は自動販売機での対応となります。
オートレストランというネーミングのスペースは、明るく広々とした空間に机と椅子が用意されており、津軽海峡の景色を眺めながら食事を楽しんだり、ドリンクで一息つくことが出来ます。
原則的には船内で購入した物を食べたり飲んだりするためのパブリックスペースですが、函館や青森で乗船前に購入しておいた名物を楽しむにも良さそうなスペース。特に"持ち込み利用禁止"の掲示は確認できませんでしたので、例えば函館発の便であれば"ハセガワストアのやきとり弁当"あたりを船内で美味しく食べるのもお薦めです。

オートレストランの自動販売機群。
パスタや丼物など、軽食というには本格的なメニューも揃っており、電子レンジにより温かいものをいただくことが可能です。
ドリンクも種類が豊富なので、長距離航路のように乗船前にあれやこれやと大量の買い出しをしなくても、およそ4時間の船旅ですから船内で調達できるドリンク類で充分に快適に過ごせそうな気がします。

「
ナッチャンWorld」ではエグゼクティブクラスの専用装備とされていたマッサージチェアーが、「
ブルードルフィン」では乗客の誰もが使えるパブリックスペースに用意されました。
もっとも、こちらは飛行場や温泉施設などにあるものと同様に、利用料金がかかるタイプ。マッサージチェアそのものも「
ナッチャンWorld」に装備されている機種よりはグレードダウンしていますが、ドライブで疲れた身体を癒すには最高の装備。
個人的には中・長距離航路のカーフェリーには必ず装備して欲しいとさえ思っている装備、それがマッサージチェアなのですが、、「
ブルードルフィン」はしっかりそんな要望に応えてくれています。

「
ブルードルフィン」はファミリーユースへの対応を重視しているように思えます。
その一例がキッズルームの存在。小さな子供は4時間ほどの航海でもグズってしまう可能性がありますし、パブリックスペースを走り回られては他のお客さんにとって大迷惑。逆に、自由にのびのびと遊べる場が用意されていれば、家族連れの親御さんも安心して船旅を楽しめるというものです。
ご覧のように、専用のスペースは明るく安全性にも配慮されたもの。後方にはゲームコーナーもありますので、こちらも子供と一緒に楽しめるスペースです。
ちなみに赤ん坊を連れての旅も安心。赤ちゃんルームが完備されており、オムツの交換から授乳まで問題なく行うことが出来ます。

さて、プレスリリースなどで大きく謳われていた「
ブルードルフィン」の特徴が、船上ドッグバルコニーの存在。
写真はバルコニーの一部ですが、一角にしっかり柵で囲まれたドッグバルコニーが用意されており、愛犬家もペットと一緒に船旅を楽しめる工夫がされています。さらにドッグバルコニーはドッグルームと直結しているので、狭苦しいペットルームにケージに入れられて荷物同然に愛犬が運ばれる心配もありません。
このように、大がかりなリニューアルで高い水準の快適性を備えた「
ブルードルフィン」。
津軽海峡フェリーでは所要時間の短い「
ナッチャンWorld」は若干運賃が高めに設定されていますが、この「
ブルードルフィン」は在来船扱いなので基本の運賃は従来の在来船と変わりません。その上で旅のスタイルに応じて、5種類の客室から最適なものを選べば良いのです。
北海道を愛車でドライブしようと計画している方も多いかと思いますが、青函航路でフェリーに乗るのであれば「
ブルードルフィン」を選んでみてはいかがでしょうか。
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Posted at
2010/07/29 00:41:51