ドタバタ劇と求められる事後検証

早いもので、もう9月も今日で最終日。
この月末、一般の報道でも大きな話題となってきた富士スピードウェイで開催される「2007フジテレビジョン F1日本グランプリ」が決勝日を迎えました。

既に予選日の段階から注目されてきた「パーク＆ライド方式」は綻びを見せ、多くの来場者が夜遅くまでサーキットで足止めされるという事態があったようです。

迎えた決勝日も予選に続いての雨模様。レースの方は長いセーフティカーランで幕を開け、最終的には多くのコースオフが生じる中でポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトンが優勝を飾りました。
しかし、本当にF1の決勝を行うに足る条件を満たしたコンディションだったのでしょうか？万一の事故が発生した場合、果たしてドクターヘリは飛び立つことが出来たのか、また周辺道路は救急車が行き来するに足る状況だったのでしょうか。

そして雨の中では観客に対するインフラ不足が露呈したようです。
会場内のトイレの少なさ、パーク＆ライドシステムの要であるバス自体による渋滞、観客誘導やアナウンスの不足、飲食物販売量の少なさと異常なまでの高いプライス･･･。

ある程度の予想はされていたものばかりですが、あちこちで観客からの不満の声はあがっているようです。その最たるものが第1コーナースタンドから走行する車両を見られなかったことと、決勝スタートにサーキット着が間に合わなかったバスが生じたこと。
これらについてはさすがに払い戻しの措置がとられたようですが、行き帰りの手段をバスに限られ、高額な料金を支払って主催者が指定したバスに乗せられるシステムであるにも関わらず、数時間もの"バス待ち"を強いられたり、バスに乗ったは良いものの渋滞で動かず車内でトイレにすら困ったりと、一部では相当に酷い状況もあったように聞こえてきます。


ところで日本でF1が開催されている一方、韓国の地ではスーパー耐久のエキシビジョンが催されていました。

こちらも入ってきた情報によると色々と問題点があったようです。

まず輸送の段階でENDLESSから参戦するST-1クラスのフェアレディZとST-2クラスのインプレッサがコンテナ積載時の固定が十分でなかったために車体が破損してしまったようです。最終的には決勝レースを走行してワン・ツー・フィニッシュを飾ったものの、フリー走行などは走行を断念して修復にあたらざるを得なかったようです。

次に、なんとサーキットそのものがいまだに建設中の部分があって、施設自体が不完全だったとのこと。ここは閉鎖されていたサーキットをリニューアルオープンさせたコースなのですが、路面状態もひどく、事前に伝えられていた情報には全くそのような話がなかっただけに、事前リサーチ不足を指摘される部分になるでしょう。

さらに驚きなのが、金曜日午前中に設定されていた練習走行がキャンセルになったというのですが、その理由。なんと走行するためのガソリンがサーキットに届かなかったというのです。
このサーキット、聞いたところによるとなぜか場内にガソリンスタンドが無く、今回はドラム缶などでの現地販売になる模様でした。これが届かなかったというのですから、呆れるしかありません。

最後にこれも驚いたのが、大会そのものの参加台数。当初は日韓から各15台程度、計30台ほどの大会になると言われていました。
日本側からの参加は最終的に12台。これでも当初予定より少なくなってしまったなと感じていたのですが、いざフタを開けてみると韓国側の参加はなんとわずかに3台。
合わせてたったの15台が、ソウルから車で4時間ほどというアクセスの決してよくない地にある全長2kmほどのコースで300kmのレースをしたということです。

詳しいことはこれから色々な話が聞こえてくるでしょうが、まず現時点で入った情報を見る限りは決して成功とは言えない結果に終わったようです。

この韓国については将来的なシリーズ戦への組み込みも一部で想定しているようですが、このようなお粗末なものでは参加するチームも安心して海を渡ることは出来ないでしょう。


同じ日に行われた二つのレース。
ともに色々な問題を抱えているようですが、これからは多角的にその結果を検証する作業が必要であると言えるでしょう。

ちなみにF1については問題点はあまり報道されていないようです。一般報道もモータースポーツ専門媒体も美辞麗句を並べ連ねる傾向が強いようで、果たして誰の側を向いて報道しているのか、と疑いたくなってきます。
そんな中「トーチュウF1 EXPRESS」は多角的に報道しているように思えます。
ぬくぬくとプレスルームにいるだけではなく、実際の観客がどのようにしてレースを観て楽しみ、満足や不満を抱くのかもモータースポーツを伝える側には必要な視点ではないでしょうか。