
ある日、総務省の電波利用ホームページにある「無線局等情報検索」で、1987年から3期15年に渡り使用し、その後は総務省に返納していたアマチュア無線のコールサインを何気なく検索した私は「検査結果が0件です」と言う結果を見て、これは私が返納した後に再免許を受けた局が、完全に無線局を閉局してコールサインを返納したのか、うっかり無線局の更新を忘れていたのか、理由は知る由もありませんでしたが、私としては「これは俺にコールサインを取り戻せ」と言う神の啓示(大袈裟)に違いないと、かつての免許状であったり、QSLカード(交信証)等々の証拠を提出して再免許申請をしたものでした。コールサインは世界にひとつしか存在しない無線局個々を特定する為の呼び出し符号ですが、免許期間は5年間であり、満期前に更新しないと失効してしまうものでもあります。無線局が多くコールサインの交付が多い地域(例えば首都圏ですね)はコールサインが枯渇してしまい、苦肉の策として編み出されたのが「再割り当て制度」でした。例えば、無線局本人の死亡による廃局であったり、自主的な閉局またはうっかりして閉局によって返納されて来たコールサインを新規に開局申請のあった人に再交付すると言うシステムでしたが、私がコールサインは受けていた近畿圏もその対象地域でした。コールサインを復活させたものの、実際に電波を出す事までは考えていませんでした。
同コールサインは、幼い頃、私の我儘で無線の移動運用に連れ回された苦いトラウマがあったのか判りませんが、次男が学生時代に自身のメールアドレスに使用していた事もあり、私自身も初めて交付されたコールサインでもあり、特別な愛着を感じていた事もあって、漠然に、このコールサインは、特に何もしないままに温存して行くことになるのだろうな〜!と感じてもいました。何もしないまま、最初の5年間が過ぎた後も、折角、復活させたのだからと無線局の更新手続きも継続しました。しかし、コールサインを復活させてからの5年超の期間でやった事はアマチュア無線とは真逆の事でした。押し入れの片隅に眠っていた無線機や開局申請で利用したハンディ(携帯用)無線機はヤフオクに出品して売却済みで、既に手元にはありませんでした。つまり、更新手続きもハンディ無線機無しの空申請(不正です。すいません)でした。売却するに至ったのには理由がありました。最初に開局した当時はダッシュボード下部に設置した無線機と後部トランク内に直付けしたオートアンテナチューナーを同期させ、車後部の牽引用フックにステイで取り付けた2.5m(地上からだと約3m弱)のステンレス無垢材のホイップアンテナから電波を発射させて無線を楽しんでいました。しかし、2期目(1992年〜1997年)の後半、不用意に高さが低い立体駐車場に入庫した際、2.5mのステンレスアンテナが極端な角度で曲がってしまいました。
それ以前にも、他の立体駐車場では、アンテナの先端を車のルーフレールに設置していたフックに引っ掛ける(アンテナが弧を描く風に)事で利用が可能であったのですが、その時の立体駐車場は以前にも増して低い仕様だったのでしたね。アンテナが曲がった事で、それまでの方式では運用出来なくなりました。それでも、オートアンテナチューナーと無線機は生きていたので、ワイヤーアンテナを使用して運用する事は可能だったものの、その都度、移動しては木々を利用してケーブルアンテナを設置し、運用しなければならないスタイルに煩わしさを感じてしまい、頭でイメージはしたものの、実際の運用には至りませんでした。しかし、千葉県市原市に出張した際、休日に行った秋葉原の無線ショップで前出のハンディ無線機を衝動買いしてからは、自分の車であっても社有車であっても、マグネットのアンテナ基台に取り付けたモービルアンテナをルーフに設置して、ハンディ無線機にはシガーソケットから電力を供給すると言うスタイルに様変わりしたものでした。その頃には、もうひとつの方の無線機は、オートアンテナチューナーと一緒に空箱に入れて、押し入れの中に押し込んでいました。3期目(1997年〜2002年)の後半には、そのハンディ無線機の出番も極端に減少していて、確か2000年前後に三重県尾鷲市に出張した時、同僚と高野山に参拝した際、場所は忘れましたが、風光明媚な場所で運用した微かな記憶があるくらいでしたね。
話を戻して、コールサインを取り戻して以降、何もしないままで5年後の更新を済ませたある日、何気なく見たネットの記事にあった「アマチュア無線のデジタルモード」と言う言葉が気になり始めます。かつて近畿地方から四国地方に転勤した頃、ローカル局から伝え聞いたものの中に「アマチュア無線のパケット通信」と言うものがありました。それは、Windows95以前のMS-DOS環境下で、キーボードに文字列を入力して、パソコンを制御しながら無線機と接続させてパケット通信を行うと言うものでしたが、全く知識を持たない門外漢でもあった私にとっては、単なるよく理解出来ない知識のひとつに過ぎないものでした。そんな難解なイメージが先行して、アマチュア無線のデジタルモードが気になりつつも、それ以上のアクションは取れずにいました。しかし、その頃から頭の中には「デジタルモード」と言う言葉が離れずに定着していたのですが、ある時、アマチュア無線局のYouTube動画に「簡単にデジタルモードが運用できる無線機として、アイコムのIC-705が取り上げられていました。その動画によると、自宅のWi-Fiを利用して遠くの無線局と交信が出来ると言うもので、同無線機であれば簡単な設定で運用が可能との内容でした。この動画を見た事で一気に興味が湧くと同時に購入意欲が極まって、遂には購入と相成りました。とは言え、かなりのブランクのある私にとっては、アマチュア無線の初歩的な事からちんぷんかんぷんと言う浦島太郎状態だったのですね。
そこでネットの相談室に数々の質問をぶつける事にしたのでした。まず最初に気になったのは、コールサインを受けている無線設備の変更申請に纏わるものでした。その時点での無線局の免許状にはハンディ無線機の仕様が書いてあったので、改めてIC-705の仕様に変更する必要があったからでした。特に気になった事は無線機が到着するまでに変更申請が可能であるのか?と言う点でした。世界的な半導体不足の影響だったのか、注文した12月19日の時点では早くても納品が来年の1月末となる予定だった為、無線機が到着するまでの膨大な時間を使って、少しでも前進させようとする胸算用があったからでした。私が考えた事は「無線機個々にシリアル番号が付記されているのなら、無線機の到着までに変更申請する事は不可能であるが、私が開局した当時の様にシリアル番号が不要であるのなら、変更申請は可能である」とのスタンスからでした。ネットの回答は以下の通りでした。複数人の「可能でしょう」との回答と共に、その内のひとりの方が「問題はない?手元に機器が無い状態で申請する行為は違法でしょ!」と言う辛辣な正論も追記されたのでした。しかし、この後、いきなりのサプライズで無線機が年末に到着したのでした。2022年の1月初旬にに変更申請を電子申請したのですが、申請には無線機個々のシリアル番号が必要であったので、結局は無線機が手元に無い事には申請は不可能だったと知るのでした。
次に気になった事は、無線機以外の装備品の発注に関する事でした。あまり、小刻みに発注を繰り返すと大蔵大臣(家内です)の心象が悪くなると考えて、極力、一度に発注を完了させなければ!との考えがありました。そこで、イメージを膨らませて、果たしてこれで運用可能であるのかを知りたかったのでした。前出ではありますが、イメージではマグネット基台にアンテナを取り付けて車のルーフに設置して、同軸ケーブルで無線機と接続する。運用はトランクルームでするとして、電力はモバイルバッテリーを使用して供給する。加えて無線機の熱暴走を防ぐ為に無線機背面には5cm角のUSBクーリングファンを装備したい。だとするとモバイルバッテリーは2個欲しいな。とかイメージを膨らませて、ネットの相談室に質問したのでした。それで得た回答は「自動車のトランクルームは狭いので、運用には向かないと思います。せめて後部座席で運用しましょう。それ以外は特に、やってみればいいんじゃない?と言うところですかね」との、私のイメージを肯定する様な回答を得た事で、一気に発注を掛けた次第です。その後、全ての装備品が揃った事で、いよいよアマチュア無線の運用開始となったものの、アンテナの調整に時間を取られ、遂にはオートアンテナチューナーの追加購入に至りましたね。しかし、これで全て解決とは行きませんでした。既報ではありますが「電波の回り込み」に起因するエラーとの格闘の末に電波を発射させて交信することに成功したのでした。
通常の無線運用が可能になった事で、次はいよいよFT8(アマチュア無線のデジタルモード)の設定に入る事が出来ました。しかし、ここでも「無線機とノートパソコンの運用周波数が連動しないで倍の周波数を示す」と言うエラーから口火が切られたのでした。この解決は無線機メーカーのサポートのアドバイスでいとも簡単に解決しました。それはFT8ソフトの設定の項目内にある「局情報」に、通常であれば空白にするところを、浅識の輩である私は、運用周波数を細かく設定した所為で、表示された周波数が倍になってしまったと言うオチでしたね。次に起こったエラーは既報ですが「サウンドエラー」でした。以下は私の勝手な考え方で、間違ってるかも知れませんが(と布石を打って)FT8では無線機から送受信する信号を「音」としてノートパソコンに認識させる為、無線機とUSBケーブル1本で接続してる関係でサウンドエラーは致命的なダメージとなるのでした。私に頻発したエラーは何度設定し直しても「USB Audio CODECが見つかりません」でした。そして、悩んだ末にネット相談した結果、ここでも得られた原因は「電波の回り込み」による不具合でした。そこで更なる対策を施して解決に至ります。
そして、先日の事でした。FT8は基本的に「自動シーケンス」と呼ばれる、自動運用モードが適用されています。最初にマウスでノートパソコンのFT8ソフトの画面上の「送信許可」ボタンをクリックすると、一定のサイクルで送信が行われ、別の無線局から応答があれば、無線終了までの間、無線機に繋がれたノートパソコンのFT8のソフト同士で勝手に交信が進められるシステムです。相手(交信相手のパソコン上のFT8ソフト)とのやり取りは1から6項目あるテキストで行われるのですが、ある日、5項目にある「73=さよならの意味」が飛ばされていて、4項目から一気に6項目に到達していた事に気付かず、交信が終了した時点で自動的に立ち上がるハムログ(パソコン上の交信記録ソフト)に記帳を促すダイアログをオッケーしました。その後、ノートパソコンの受信画面を見ると、相手からは「73」が送られて来ていたにも関わらず、こちらからは「73」が送信されて無かった事に気付きます。仕方ないので、私は手動で「73」を示す5項目を選択して相手に送りました。すると再びハムログへの記帳を促すダイアログが現れたので、これは、二重記帳になるだろうなとも考えたもののオッケーして終了しました。予想通りでハムログには二重に記帳されていましたね。これ以降は、最後に手動で73を送ってからハムログに記帳する様にしたので、新たな二重記帳は発生しなかったものの、この時点で私の中では「これも、電波の回り込みによる不具合に違いない!」との穿った考え方のもと、ネットの相談室で質問したのでした。
しかし、私の思い込みとは反して、今回だけは電波の回り込みによるものでは無かったのでした。それは単にマニュアルを詳しく読み込んでいない浅識の輩(私の事です)が招いた自爆でした。送り合うテキストには6項目あると書きましたが、4項目目のテキストにある「RRR」が既に「サヨナラ」を示す言葉を含んでいるので問題ないと言うもので、それでも気になるならテキストの4項目目をダブルクリックする事で「73RR」と変化するので、それで行きましょう!との話でしたね。つまり、最初に二重記帳に悩んだ時に話を戻すと、FT8ソフトが相手に「RRR」を送り終えた時点でハムログに記帳を促すダイアログが現れたのは、不具合では無くて当たり前だったと言うオチだったのでした。これまでにFT8で交信した局は、色々と不具合を感じながらも、6回の運用で僅か163局と言う体たらくです。その内、海外の局との交信は「アメリカ合衆国」「ハワイ」「フィジー」「オーストラリア」「ニュージーランド」「中国」「モンゴル」「インドネシア」の8局だけで、17mバンド(18MHz)と15mバンド(21MHz)、10mバンド(28MHz)を含みます。それ以外は全て40mバンド(7MHz)の国内局です。ヨーロッパの局にもリクエストするも、多くの日本の局がレポートを貰う中、やはりパワーの差は歴然ですね。今のところ、全く擦りもしません。このポイントだけを考えた場合には、無線機の選択を間違えた感はありますが、総合的に考えるとIC-705で良かったと思う複雑な心境の私が居たりするのですね。笑
2022年5月3日と5月4日の2日間連続で京都市左京区比叡山山頂にアマチュア無線の運用目的で行って来ました。3月27日の時も思った事ですが、山頂駐車場まで往復の通行料金が1700円というのは高いと感じてしまいますね。ちなみにケーブルカーでは往復では1100円(大人1名)だそうです。この条件では大人数でアクセス出来るドライブウェイの方に軍配が上がりますね。ただ、アマチュア無線目的の1名利用では通行料金高いと感じてしまいます。ところで運用した周波数帯は7MHzと29FMと偏ってしまいました。21MHzでDX(海外局)が出ていましたが、本当にノイズが酷くて断念しましたね。5月3日は最初、29FMからスタートしましたが、いきなりEスポが開けて沖縄の局と交信出来たのが嬉しかったですね。EスポというのはスポラディックE層と言う正式名称で、春から夏ごろにかけて、主に昼間に上空約100km付近に局地的・突発的に発生する特殊な電離層です。 Eスポの電子密度が極度に高い場合は、F層でも反射できないVHF帯(超短波帯)の電波をも反射するという特殊な性質があるのですが、私が運用する29FMもHF帯(短波帯)の上限ギリギリでVHF帯に近い性質があるのかもですね。(単なる推測です)沖縄方面が開ける予兆はありました。東南アジアの漁船の無線が入って来ていたので、これは来るな!と言う予感めいたものがありました。この日のEスポは短時間でしたが3エリアの数局とはコンタクトできたようでしたね。
沖縄の局と交信した後、不特定多数の局との交信を望む「CQ」を出したところ、何局かの3エリアの局と交信が成立しました。その後は、430MHz帯に移り、いつも自宅からWi-Fiを使って運用している「D-STAR」のターミナルモードを一旦離れて、1個のレピーター(中継局)を介して交信する「山掛け運用」にチャレンジしようとしたものの、いまひとつ方法が解らず断念してしまいました。比叡山にはレピーターが設置されていたにも関わらず、勿体ない事を平気でする輩なんですね。山掛け運用が駄目ならと、D-STARにおける「シンプレックス」と言う普通に無線で使ってる方式(1対1での交信ですが、同じ周波数でやり取りするところが違います。FMモードでは呼出し周波数でCQを出して他の周波数に移って会話します)も試してみましたが、こちらは運用している人が皆無なのか空振りに終わってしまいました。430MHzを離れてからは7MHzでCQを出している局を片っ端から声がけして交信しましたね。3月4日は三重県津市の青山公園で移動運用されていた局との交信だけで29FMの運用は終わりました。その後は、一方通行でカードを貰える2局の記念局との運用(下関市と枚方市の記念局でした)を含めて7MHz帯だけの運用となりました。ゴールデンウイークの比叡山は前回(3月27日)の時とは比較できない程に沢山の観光客が訪れて大盛況でしたね。次回は山掛け運用も含めて様々な周波数帯で運用したいものです。
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2022/04/30 21:07:59