新型ラクティスに乗ってみました。
グレードはスマートキー・オートエアコン等が備わるG(15L・2WD)、ボディカラーはシルバーメタリックです。
〇だった点
・車内の快適性が高い
先代ラクティスやヴィッツなどここ最近のトヨタの車、特にリヤサスがトーションビーム式のものは、なぜか妙に乗り心地が硬く、段差や路面の目地でポコンポコン跳ねるような車が多かったのですが、新型ラクティスの乗り心地はそれらに比べると相当改善されていて、納得できるものになっています。
また、室内の静粛性がコンパクトカークラスの標準を相当上回っており、室内が非常に静かで快適性が高いです。
・CVT感が薄まった
従来のトヨタのCVT車といえば停止直前のカックンブレーキ感、減速時の「ひゅ~~ん」という安っぽいベルトノイズ、クリープ現象で微速前進したいとき、ブレーキの踏力を緩めていっても車が動き出さず、完全にペダルから足が離れる直前になっていきなり動き出すクリープのセッティングの違和感等が気になりましたが、新型ラクティスは大幅に改善されて快適性が向上しています。
・広い荷室
先代同様、コンパクトカークラスでは最大級ではないかと思える、非常に広い荷室です。高さがあるのはもちろん、奥行きも1クラス上の車以上の空間があります。
また、荷室の形状がスクエアなので、その広い空間をさらに有効に使えます。
・低全高化
新型は先代よりも全高が65㎜低められています。これでも頭上空間は十分に確保されているので、全高が低い方が低重心化や軽量化という点で有利ですね。
・一本ワイパーが面白い
ワイパーがアーム・ブレードとも長い一本タイプのものが備わっているのが個性的で面白いです。拭き取り面積も通常のものと比べて遜色ありません。
昔私がトゥディに乗っていた時には、ワイパーを高速にすると、ワイパーブレードがピラーをバッシンバッシン叩いていました(笑)が、ラクティスはアームやリンケージの剛性も十分なようで、そのようなことはありません。
・力が入っている車イス仕様
先代ラクティスやファンカーゴ同様、新型にも車体後部がスロープになっている車イス仕様が設定されています。
新型の車イス仕様はベース仕様の全高が低くなったのに合わせてハイルーフ化されていたりしますが、先代から受け継がれた美点は、後部の車イス利用者が乗っていても右側後席にもう一人座ることができるという点です。
ライバルの日産キューブをはじめ従来のコンパクトカーベースの後部スロープ付きの車イス仕様車は、後部中央に車イス利用者を固定するため、リヤシートを完全に折り畳んで前席のみの使用とせざるを得ないものが多かったのですが、ラクティスは車イス利用者の横に並んで座ることができて、孤立感・荷物感を軽減できると思います。
もう少し頑張ってほしい点
・あまり良くない燃費
試乗時はゴーストップの多い市街地のみを走行したのですが、燃費計標示値で11km/L台と低迷しました。私のスイフトなら15km/L程度は出そうな状況だったのですが…
ヴィッツや先代パッソなど、ここ最近のトヨタ車はモード燃費を稼ぐため、巡航時のエンジン回転を抑え過ぎて「ズブズブ」言いながら走っていて、車内の騒音・振動も褒められたものではありませんでした。
長所に書いたとおり、新型ラクティスはこれが改められて車内の快適性は大幅に増しているのですが、一方で燃費が悪くなっているのは残念です。
・高いフロントガラス下端
プリウス、SAI、マークXなど、ここ最近のトヨタの新型車に共通する傾向ですが、フロントガラス下端が高く、ボンネットが全く見えないどころか、車の直前の状況も把握しづらいです。十数年前ぐらいまでのトヨタの車ってボンネットが低くて、車両感覚が把握しやすかった気がするのですが…
ブラインドモニターやバックモニターなど、車の周囲の安全確認ツールはたくさんありますが、やはり安全確認は直接目視が基本です。いくら受動的安全性が高くても、車の周囲が直接見づらいことは問題ありです。
・あまり広くない後席足元空間
全高が低められたわりには頭上空間は広大なのですが、後席の足元空間はあまり広くなく、フィットよりもずっと狭い印象なのが残念です。
・わざわざフィットに似せている外観
新型は先代ラクティスに比べて全高を65㎜低めていますが、そのせいかライバルであるホンダフィットに似た外観になってしまいました。
ボディサイズも、新型ラクティス…全長3995㎜×全幅1695㎜×全高1585㎜×ホイールベース2550㎜に対して、フィット…全長3900㎜×全幅1695㎜×全高1525㎜×ホイールベース2500㎜とよく似たサイズです。
フィットはコンパクトカークラスの決定版とも言うべき出来の良さで、他メーカーの製品に与える影響は大きいのでしょうが、天下のトヨタなら敢えて似せたり、また結果として似てしまったというのも避けなければいけません。
古くは赤いファミリアをカローラⅡがパクリ、S-MXをbBがパクり、エルグランドをアルファードがパクり、ストリームをウィッシュがパクり、今回はフィットをラクティスがパクり…なんてことをやってると、トヨタはいつまでも尊敬される企業にはならないでしょう。
総評
先代ラクティスは、ほんわかとしたファンカーゴからスタイルとスペース効率重視に舵を切った車でしたが、新型ラクティスはその先代のコンセプトを踏襲して、高過ぎる全高を抑えるなど無駄を省いて正常進化させている車です。派手さはありませんが、スペースの広いコンパクトカーを求める方には悪くない選択でしょう。
ただし、今時のコンパクトカーとしては燃費が悪いのが気になります。カタログ数値は先代よりも向上しているんですが… せっかく全高を低めて軽量・コンパクト化しているのに、それが生きていない印象です。
長所のところにも書いたのですが、モード燃費ばかり気にしてエンジン「ズブズブズブズブ」いいながら走っていたのが改善されたら、今度は燃費がたいしたことがないというのは困りものですね。
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新車試乗記 レクサス・トヨタ編 | 日記
Posted at
2010/12/09 14:10:01