
コロナ禍が続き東京五輪の中止も懸念される中、びっくりするニュースが入ってきました。
夏の電力需給 “数年で最も厳しく 効率的な使用を” 経産省 | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210525/k10013050091000.html
ちょっと何を言っているのかわかりません。
東日本大震災後に原発稼働を大幅に止めて、代替で稼働させていた旧式の火力発電設備がそろそろ限界に近いという事でしょうか?
ご時世柄火力発電施設の新規増設が困難でかつ原発の稼働が震災以降制限されている中、将来のエネルギー政策について真面目に議論しなければならなかったのを怠ってきたツケが表面化しただけのような気がします。
「脱原発」を主張されるのは結構ですが、エネルギー政策に関する議論無しにただ主張されるのは無責任すぎます。
大規模火力にしろ原発にしろ太陽光にしろ、ピーク需要に対応するための柔軟性がある発電方式ではありません。大規模火力や原発は一定の出力をキープしながら長時間連続で発電し続ける「ベース電力」ですので、深夜電力有効利用の対策を取らないと無駄が生じます。
太陽光発電は天気次第で発電量が変わりますので、真夏のピーク需要に追従した供給を期待は出来ても計算はできません。
ピーク需要に追従出来る発電設備として、小規模で弾力的な運用が可能な火力発電所はまだまだニーズがあります。今後再生エネルギーの比率を増やしていかなければならない社会情勢の下、水力発電にその役割を任せるわけにはいきません。水力発電は原則として常時フル稼働が求められてしまいますし、日本で新規に水力発電所を作るのは困難です。
そうなるとベース電力の発電量を増やすしかありません。ベース電力を増やして効率良く運用するには蓄電技術や深夜電力利用を増やす施策が必要です。
いわゆる深夜電力の有効利用にはエコキュート等の給湯設備だったりEV等への充電、冬季であれば蓄熱暖房などが知られていますが、広い意味での「蓄電」には揚水発電や水素製造等、電気エネルギーを別の形のエネルギーに変換しておくことも含まれます。
いわゆる「再生エネルギー」のうち、太陽光と風力は「天気まかせ」「風まかせ」ですので発電量の調節が困難です。
世間では原発や化石燃料利用を止めても再生エネルギーだけで事足りるかのような無責任な論調がありますが論外です。
電力の高コスト化や需給逼迫で人々が音を上げるのを待っているのでしょうか?
今の時期にこんな報道をしておきながら、夏になれば熱中症で倒れた人々に関する報道で溢れ、地球温暖化危機を更に煽る展開が予想されます。
現在の「脱原発」派や「SDGs」を主張している人々は既に宗教的な信仰の域に到達してしまっていますのでまともな科学的議論が成立しません。
このニュースのように電力会社のプロパガンダを垂れ流すのではなく、科学的検証を含めた報道をメディアに求めたいです。
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2021/05/26 06:02:32