
5月26日はシリア共和国の大統領選挙の投票日でした。
3名の立候補者で争われましたが、現職のアサド大統領の当選が確実視されています。
これに対して諸外国から批判の声が上がっていますが、ちょっと意味がわかりません。
選挙そのものを茶番だとして否定したら、結局アサドが大統領のままです。
シリア・アラブ共和国憲法の規程通りに選挙を実施することに関して海外勢力がクレームを付ける行為が正しいとは思えません。批判している勢力は結局アサド大統領の失脚を望んでいるだけです。内政干渉以外の何物でもありません。
内戦が続くシリアですが、現在シリア国内には米英仏等の「有志連合」が一部エリアに駐留しています。この「有志連合」は国連安保理決議に則って駐留しているわけではないため「国連軍」を名乗れません。だからこその「有志連合」であるわけですが、この駐留はシリア・アラブ共和国の主権侵害にあたり国際法違反です。国境線を越えて干渉地帯を設けたり、イドリブの反政府勢力を支援しているトルコ軍も同様です。
また内戦でアサド政権を支援するためにシリア国内にいるイランの革命防衛隊やレバノンのシーア派武装勢力「ヒズボラ」に対しミサイル攻撃や空爆を行なっているイスラエル軍も同じです。
そもそもシリアの内戦がアサド政権という独裁者政権と、「アラブの春」と称した民主化運動の仮面を被ったスンナ派原理主義テロリスト集団との戦いであり、双方共に「正義」とは言えない勢力同士の戦争でした。
アサド政権を庇うつもりは毛頭ありませんが、アサド政権批判をしている勢力が正義かというと決してそんな事はありません。
イスラエルによるヨルダン川西岸地区やゴラン高原の実効支配を含め、国際法が守られずに「力のみが正義」という事がまかり通っている地域であるからこそ、アサド政権のような独裁政権でなければ統治できない国家となってしまっているのが現状ですし、これはフセイン政権時代のイラクやタリバン支配のアフガニスタンも同様でした。
ブッシュ(息子)政権時代の米国がこの地域に介入した結果、強権で秩序を維持していた地域の独裁者が倒され、地域は無法地帯と化したまま米軍は撤退を決めてしまいました。この間どれだけの血が流されたかわかりません。
中東地域の混乱の責任は一義的には現地の為政者にありますが、歴史的には19世紀からの欧米列強による無責任な行動に原因が求められます。
米英仏をはじめとする西側諸国を中心とした「国際社会」は、自らの胸に手を当てて歴史的経緯を再検証すべきです。
「人権」とか「民主主義」を口にしてアサド批判している人々を見ていて「どの口がいうか…ヽ(`Д´)ノ」としか思えません。
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2021/05/27 03:52:09