
5月3日は憲法記念日。日本国憲法を聖書やコーランのように崇め奉る人々や、反対に声高に憲法改正を主張する人々で賑やかになります。
日教組教育を受けた自分としては、憲法9条の文脈からどうすると自衛隊が合憲になるのか、その解釈は子供の頃からの謎でした。
最近東京外大の篠田英朗教授の論説を読んでようやくその謎が解けてきたのですが、氏の解釈もかなりアクロバティックな感じもしますし、その筋の学会では異端扱いされてるような話も聞きます。参考までに記事のリンクを貼っておきます。
憲法9条があるからロシアの戦争には手を出せない…そんな「憲法解釈」は国際社会の非常識である 日本国憲法の目的が「国際協調」であることを無視するな | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://president.jp/articles/-/57162?page=1
日本には憲法9条があるから、自衛隊は違憲である…そんな「憲法解釈」は根底から間違っている 国際法には存在しない「交戦権」を、なぜ憲法9条は否定したのか | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
https://president.jp/articles/-/57163?page=1
とは言っても日本国も国際社会の一員として、そして国連加盟国として国連憲章等の国際法と整合性を持たせた国内法を整備しなければなりません。
武装解除された無防備国家として生きていくというのはあまりにも非現実的ですし、日米安全保障条約という国家間条約もあります。
国際法や国家間条約は憲法等の国内法より上位に存在しますので、必要に応じて国内法を改正して国際法との整合性を持たせなければなりません。
憲法に書かれている「戦争」という言葉の定義の問題ですが、ありとあらゆる軍事行動を「戦争」と呼ぶのであれば自衛隊は違憲です。
それに対して国際法上合法とされる軍事行動を日本国憲法は否定していないと解釈すれば、自衛隊は合憲となります。
「国際法って…?」という記事にも書きましたが、国連安保理で軍事制裁決議がなされた案件や他国から侵略を受けた場合の自衛の為の軍事行動、そして人道的な介入などが国際法上合法とされる軍事行動になります。
現在ウクライナで行なわれているロシア軍による軍事行動は、プーチンによれば「ウクライナ政府から弾圧されているドンバス地方の人々を救済するための"特別軍事作戦"」であり、プーチンは「戦争」という表現を意図的に使っていません。
ところがロシアが9日の「戦勝記念日」の機会にこの紛争を「特別軍事作戦」から「戦争」へと格上げするのではないかと報じられています。
プーチン大統領 戦勝記念日に合わせて “戦争状態” 宣言か | NHK | ウクライナ情勢
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220501/k10013607531000.html
「戦争」は国際法上禁止事項ですので、かなりアクロバティックな屁理屈を使ってこれを合法化させようとするでしょう。西側諸国が行なっているウクライナへの軍事支援やロシアへの経済制裁を理由に正当化してくる可能性が高いと予想しています。
この「戦争」が合法か違法かはともかく、ロシアが「戦争」だと宣言してしまえば他の国々には「中立義務」が発生します。軍事支援しているNATO諸国はもちろん、ヘルメットや防弾チョッキ等の「防御的軍事物資」をウクライナに支援している日本も「中立義務違反」となり、ロシアによるNATO諸国や日本への軍事行動も正当化されかねません。
世界大戦へとエスカレーションしかねない危険な状況にまた一歩踏み込んでしまう訳ですが、核戦争のリスクを含めた「瀬戸際戦術」の一環でしょうから西側諸国は更に難しい対応を迫られる事になります。
インドや中国のようにここまで中立を貫いてきている国々を含め国際社会がどう動くか?プーチンの真意が読めないだけに難しい駆け引きが続きます。
尚冒頭画像は
「NATOもロシアもウクライナから手を引け」:日本の抗議者たち|ARAB NEWS
https://www.arabnews.jp/article/japan/article_66454/
から拝借した物から、個人が特定できないよう加工を加えた物です。
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2022/05/03 22:05:24