H56A的・ATコンピューター修理編①
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
 初級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
いゃ~段々と寒くなってきましたね~。
さて、今回の整備手帳は
今頃から全国規模で発症するであろう《H56パジェロミニ的3速ホールド病》を駆逐すべく去年末から盛り上がってきたATコンピューターの修理を遅ればせながら自分もやってみます。
修理・原因究明・病巣特定・と長期になるため数回に分けて不定期でアップしますが(書いてるアホがのんびり屋の為)ご理解下さい。
まず、基本的なおさらいから
3ホールド病=
主に気温の低い朝の始動時にアクセル踏めどATミッションが③~②速に固定されてしまい車内が暖まるまで最高速20㎞程度の超ノロマなパジェロミニになってしまう悪しき症状。
何かと忙しい朝の通勤時には遅刻必至!
遅刻した理由を上司に「とにかく車が走らんのです!」と言い訳をしても絶対信じてもらえないでしょう(笑)。
3速ホールド病は主に気温が下がる冬季に発症事例が増えますが重症化すると夏期にも発症します。
末期症状では季節問わず年中症状が出ますがみんカラ内の猛者達の手によって得られた開頭手術さえ施せば初期だろうが末期だろうが完治します。
3速ホールド病の病巣は内部コンデンサの容量抜けからくる変速不良です。
メーカー側ではH56A生産終了後に対策型ATコンピューターで対応していますが‥部品価格がほぼ7万円‥はぁ?、もう殺意を覚えるような高額な値段ですね。
中古で購入された方なら全く車両価格に見合わないと感じると思います。
さて、ここからは驚きの事実をお伝えしなければなりません。メーカー側はこの高額な部品を《対策型》ATコンピューターと位置づけていますが
実は《本来の姿へ戻しただけの》いたって普通のATコンピューターです。
後々理由は書きますが‥あまりにもバカバカしいので今は秘密にしておきます(苦笑)
まぁ、そんな事実もあって今お使いの未対策コンピューターで修理した方が金額的にも安く(DIYなら材料費50円~300円で完治)未対策ATコンピューターだからと言って対策型ATコンピューターに引け目を感じる必要はないでしょう。
みんカラ内ではATコンピューターの修理要領はある程度完成された流れができてるので後発の自分が挑むならまだ謎の多いATコンピューター解明用に使う実験機としての意味合いを持つ仕様で修理に挑みたい。
それでは開頭手術を行いま~す!
ふっ、久し振りにゼットソーのお出ましだ!
2
構想が実験機を念頭にあるために現在世間で確立されている開頭術とは違う開頭位置から攻め切ってみます。
使うゼットソーは前回の8寸目とは違い何故か縦横兼用300タイプ。
カプラー差込側から側面に鋸刃の横っ腹を当てて樹脂ケースとの隙間のラインを狙い切る。
この部位はかなり固くてカプラーを固定している黒いベークライト状の物も一部ですが樹脂と同時に切り進まねばならずケース側から切り進むのと比べて10倍の労力を必要とします。
固い物と比較的柔らかい物を同時に切る‥これが結構曲者でして‥刃物はどうしても固い物より柔らかい方へ逃げようとする(-"-;)
このATコンピューターの場合は固いカプラー側面よりケースの表面へ向かって鋸刃が逃げる。
そうなると表面から2㎜程度の所を切り進んでるものだから‥そのままだとケース表面に向かって鋸刃が飛び出す・・・これはヒジョ~にマズい!
なんとかゼットソーをコントロールしようとするが縦引き300のゼットソーは刃の厚みが8寸目より厚いので上手くコントロールできない!ってか、一度でも鋸道を作ってしまうと以後の方向修正は大変やり辛く大変!
こりゃアカン!
カプラー側から攻めるのは止めてケース側面から切り進む作戦に予定変更!
やっぱり縦引きタイプは融通が効かずアカンわい!
やはりここはゼットソー8寸目に御登場願おうじゃないか!
3
ゼットソー8寸目にチェンジしてケース側面を切ると「すっこーん!」と気持ち良く切れますぜぃ。
画像でケース右側の切り口がカプラー側から攻めて外側へ流れ始めた痕跡です。
若干カプラーが樹脂ケースより外へ向いている為に沿わせて切ると逃げ気味になってしまう影響も有りますが…それにしても本来のラインに戻す事が出来なかったのは自分が鋸の使い方が甘いからですね…。
因みにケース側面から攻める場合はカットするラインやケガく必要はあまりなく手鋸を使い慣れてる方だとフリーハンドでOK。
理由は樹脂ケースの素材にありました。
この樹脂は樹脂内に繊維質?の物を練り込んで成型してある為に一般的な樹脂製品と比べて非常に固い&柔軟性に劣ります。
本来ゼットソーは大工さんが主に使う=用途は木材を切るノコギリです。
金属や樹脂の切断には適しませんが。
刃のかかり始めは柔らかい桜や花梨の木を切ってる感覚で鋸道が出来るとブレたりせず面白いくらいにギコギコ切り進んでいけます。
なんせ材質が樹脂ですので刃先が木目で流される事が無いので楽チンですぜぃ。
切り屑も一般的な樹脂や塩ビなら刃先に纏わりつくのですが‥繊維質な樹脂の為に切り屑が粉末状になるだけで纏わりつかず目視での刃先のコントロールがし易いので目見当のフリーハンドでも真っ直ぐ切れます。
誤解のないように補足すると、この樹脂ケースをどうしてもゼットソーで切りたい訳ではありません。
自分が持ってる鋸はゼットソーしか持っていなかった‥ただそれだけです・・・(^_^;)。
でもまぁ、8寸目の鋸は荒切り用ですから決して刃先が細かくない鋸でここまで気持ち良く切れるとなると…枝打ち鋸以外なら用途問わず別に何でも良いのではと思ってしまいますなぁ~。
4
カプラー側を除く三方向から攻め切ればやっとATコンピューターの内部に到達する事ができました。
切り開いてみて初めて分かったけど…薄さに拘り過ぎてご丁寧にも裏側に造型されてる筈の十字リブを際どくケース側に残しながら切り進んでたんやね~(笑)
蓋?の裏側に残されてる切断跡を見ると中心点に向かってどの方向からも鋸刃が流されているけど…まぁ、アナログなオッサンの実験的な作業にしては合格点を上げても良いでしょう。
さて、ここまでの作業内容を総括すれば
やはり・・・
《この位置でのカットはアホゥか変人で無い限りオススメ致しかねます!》
さて、今回オッサンの生け贄になってしまった可哀相なATコンピューター(型式6J07号機)は広島からドナドナされてきました。
3速ホールド病の発症履歴は陽性
ホールド病進行具合はかなり深刻で夏期の昼夜の温度差だけでも発症する重症レベルな固体。
コイツが後に6J07改《栗》へと生まれ変わります。
5
画像の車両が広島で動き回り3速ホールド病を発症しながらも強引に使い続けていた結果、夏期でも発症してしまって重症化していたウチの奥様の兄上様が乗るパジェロミニ。
現在は自分が持っていた予備のATコンピューターに入れ替えて正常運転に戻ってますが‥こんなに重症化するまでに対策を打たなかったのには違う意味でアッパレですな。
この車両が搭載していた6J07号機の特長は見ての通りH56Aパジェロミニ後期型のATコンピューターだと言う事。
前期型と後期型のAT車に限って言えばATに絡む部位での違いが何であるのかは最終減速比の違いくらいしか素人の自分には判らない。
我が家のパジェロミニ(ボロ)は前期型。
コイツを基準に考えると前期型のAT車での変速条件は平地でおおよそ3500回転を目安にシフトアップが行われている。
ふと思ったのが後期型は前期型より少しハイギアードな最終減速比を持つので‥必ずしも前期型と同じ3500回転付近での変速が目安とは限らないよなぁ~‥。
滋賀県に生け贄パジェロミニの後期型を放置させてあるが・・抹消登録済みなんで公道でテストする訳にはいかない&後期型を求めてわざわざ広島まで行くのは無理!
なので現物が無いからなんとも言えないのだが‥このコンピューターに印字されている[6]って何だろ?
単に製造順なのか‥?
我が家のボロに搭載されていた同時期の車両には[5]が多い。
後に弐号機として復活してくる《栗鼠》も不思議とボロと相性が良くて3速ホールド病発症まで使ってた経緯がある。偶然なのか気のせいなのか不明なのだがシリアルナンバーは[5]B16号機‥
一時期は[7]も使ってたから‥何とも言えない‥ほんまワケワカメ(?_?)
6
色々宿題を残しつつ次へ進みまーす。
ここからは自分が超苦手とする分野での作業が待っております!
電子機器分野はチンプンカンプンでアナログなオッサンには苦痛でしかない!
でも、ここで逃げると先へは進めないので渋々始めます。
(この作業が苦手分野でATコンピューター修理を躊躇されてる方は自分1人では無い筈‥)
まず、苦手意識を押し殺して内部の基盤をよ~く観察してみます。
予想通り
《見事にチンプンカンプンですわ》
(笑)
ただし、アナログ的な考えでも発見できる事があります。
基盤表面に髪の毛の太さ程度の配線らしきブツが基盤の上で右往左往しつつ端子間を跨いでます。
これで予測が付くのですが、この基盤は《片面側にだけ》プリント配線を施したブツだと言う事。
両面基盤だったらこんなややこしい配線をしなくて済む筈ですしね。
この基盤上の配線は見るからに脆く弱そうなので興味本位でも絶対に触れない事。
これさえ守れば以後の交換作業は何とかなる筈です。
7
それではコンデンサの摘出手術に入りま~す。
基盤の内部には計五個のコンデンサが食らいついてます。
これら全てを取り払って下さいませ。
丸いコンデンサ上部を見ると一部黒く塗ってあるのが確認できるかと思います。
その黒く塗ってある方がコンデンサの(-)側です。
自分の場合はコンデンサの腹をラジペンで掴んでウニウニしながら抜きました。
黒く塗ってある対面側に(+)端子があるので両極を挟むようにラジペンを当てて外すと比較的簡単に取れます。
難しい作業ではありませんがくれぐれも例の配線に触れないように!
あと外してしまった後では極性が分からなくなる恐れがあるのでメモするか写メ撮っておくと良いですよ。
さて、このコンデンサは《導電性高分子アルミ固体コンデンサ》と申しまして一般的な電解液を使ったコンデンサより背丈が低く内部の電解液が固体に近いので液漏れを起こしにくいとされています。
しかし、一般的な電解コンデンサと性能的には変わりなくて敢えて導電性高分子アルミ固体コンデンサを補修用に使う必要はないと《コンデンサを買いに行った先の電子部品屋のオヤジ》が申しておりました。(笑)
このATコンピューターが開発&製造された時期が世間ではWindows95が発売されPCが爆発的に一般家庭へ普及する前の部品です。
以後の国産電子部品メーカーはPCの高性能化と低価格化に比例するようにコンデンサ一つとっても更なる高性能&高寿命化と海外含めた他社との価格競争に巻き込まれ否応なく
切磋琢磨して行きます。
その結果、現代のコンデンサの品質と性能は過去のコンデンサとは比べるのも失礼なくらい雲泥の性能差がついてしまったとの事。
電子部品屋のオヤジ曰わく、パジェロミニのATコンピューターは《当時の技術レベル》では電解コンデンサより数倍費用がかかる導電性高分子アルミ固体コンデンサをこの部品の基盤に採用した事は製造コストを1円でも圧縮したいメーカー側にしてみれば結構?努力してたのではないかと慰めの御言葉を頂きましたが‥
しかし今の技術では一般的な現代の電解コンデンサの足元にも及ばない性能しか出せないレトロなブツでしかなく‥これが仮に新品でしかも無料だとしても絶対に要らないと痛烈な一言を申しておりましたぜぃ(爆)
8
最後のページになりましたが以後のATコンピューター修理整備手帳の中ではコンデンサの数字の中でμFなる単位が頻繁に登場してくる事になります。
[μF]=マイクロファラッドと読みます。‥いゃ、読むみたいです。
静電気のナントカの単位らしいのですが、超アナログなオッサンには既に己の脳味噌内の処理能力を軽く超えている為にこの場で答えられる術を持ち合わせておりません。
そしてパジェロミニのATコンピューターには数値の違う3種類のコンデンサが使われてます。
①22μF35V×2個
②22μF16V×1個
③10μF16V×2個
そしてこの数値を伝えてるにもかかわらず電子部品屋のオヤジが引っ張り出して来たのは
22μF50V
10μF50V
へッ?
電子部品屋のオヤジが言うには22μF50Vで①と②のコンデンサに対応してて
10μF50Vで③のコンデンサに使えるとの事。
えッ?
え~っと、コンデンサの単位がよ~分からんのですが‥例えば10μFの場合は末字の16Vと新たに使うのが50Vって‥(?_?)数字がかけ離れてますやん(ToT)!
アカン‥俺の脳内コンデンサがパンク寸前‥これ以上考えると頭の中が臨界点を突破しそうなので他力本願で解決する事に。
そんな訳でこの超初歩的な疑問をヤフー知恵袋で質問してみました。
それも車関係ではなく‥確信犯的にディープなマニアや猛者達が多数いらっしゃるであろう某カテゴリーで質問投下・・・
ある程度の毒がある返答が返ってくるかと覚悟してたのですが・・蓋を開ければ皆さん丁寧に回答して頂いてアホなオッサンでも分かり易い文章でめちゃくちゃ親切や~ん。
詳細は割愛しますが回答で得られた答えをまとめると、新しいコンデンサは従来品よりコンデンサの容量が増えただけでその2種類のコンデンサだけで賄っても不具合や性能的には何も問題ないとの事です。
ふぃ~、未だ数値云々の理屈は判らないが・・これで気兼ねなくコンデンサ交換に移れます!皆様ありがとう御座いました。
《栗》に使ったコンデンサ(85℃)1個・単価は数値の違いは値段には反映せず一律20円×5個だったので材料費は税込108円ナリ~。
次回からは《栗》へのコンデンサ実装と弐号機《栗鼠》誕生+根本的な原因特定へと作業は進みますが、不定期なのでいつになるやら分かりませ~ん‥。
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