H56的ATコンピューター修理③弐号機《栗鼠》誕生編
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
  中級 |
作業時間 |
1時間以内 |
1
今回の整備手帳は
前回のグダグダ作業&頓挫しまくりながら完成させてしまったリビルトATコンピューター・《栗》を教訓にしつつ、更なる耐熱性を考慮した弐号機《栗鼠》の制作にとりかかりま~す。
《栗鼠》のベースとなったATコンピューターは長年パジェロミニ(ボロ)で活躍して頂いた5B16号機です。
この個体も3速ホールド病の発症履歴は軽症ながら陽性。
我が家のボロから離脱後は、対策型ATコンピューターと引き換えに【生け贄パジェロミニのATコンピューター】として、滋賀県の山中に封印されてきましたが、
《栗》完成後は手持ちのATコンピューターはこの1台しかなかったので滋賀県まで回収しつつ、現地の作業場を借りて開頭手術を行いました。
まず、現地の作業場にはゼットソー8寸目が無かったのでそこら辺に転がってた塩ビ切断用のパイプソーをゲット。
名前は【パイマン】!(建築工具は結構??なネーミング多し‥)
さっそくATコンピューターをバイスに挟み、そのパイマンでギコギコと・・・。
「おぉぉッ!メッチャ切れるやん!」
ふざけたネーミングに最初はナメてたが…意外や結構やりおりおるのぉ~!
パイマン改めヤリマン?
刃先を確認すると目の細かい刃が微妙に蛇行してる為に切断面はゼットソーより広くなるけど切りやすい!(建築用語では[鋸が引きやすい]とも言う)
次に作業場内にはベルトサンダーがあったのでコイツで切断面を研磨。
ベルトの上に乗せて置けば、手を加えなくても自重で平面化するので楽ちんチ~ン♪
次いでにカバーも削ると、手作業だと切断から研磨まで40分前後かかってたのが15分前後で完了~。
オールハンドメイドだった《栗》と違い、《栗鼠》はかなりの手抜きだな‥??
まぁ、これで下準備はOKだ!
2
仕込みの終わったATコンピューターを巣に持ち帰りハンダ付けの作業に入りま~す。
用意したコンデンサは、ヤ○オクで購入した耐熱105℃対応の電解コンデンサ。
上段の黒いコンデンサが、ルビコン社製105℃10μF50V(YXA)
下段の茶色いコンデンサが、日本ケミコン社製105℃22μF50v(KMG)
出品はバラ売りではなく、10個単位だったので、とりあえず20個づつ用意しました。
(端数は無視するとこれでATコンピューター6台分相当)
購入価格と送料÷40個=コンデンサ1個の価格が12円‥。
一台に5個使っても税込65円ですよ‥。
85℃タイプ《栗》の修理費用も割高な小売店入手ですら価格は20円×5個で税込108円!
105℃タイプは小売店入手で85℃コンデンサの倍額40円だったので・・少し割高な216円‥。
修理するのが一台だけなら、ネットで購入しなくてもビックリな価格です・・・。
まぁ、しかし‥ちっこい豆みたいなのがズラリと並ぶ光景はチト気持ち悪い‥(-"-;)
それに出品様のお遊びか?コンデンサ固定用の再利用ダンボール紙に
[この夏だけの爽や]・・・??
なる…一文が・・・。
もしや‥
「アンタ~!アタシらを熱ぅして使わんといてなぁ~!By大阪のオバチャン風な豆達」
と、言いたげな無言の圧力をかけてきてへんか??(笑)
3
前回登場したほっかほかタッパー作業台の上にATコンピューターを置きます。
基本的に使用する工具は画像に写ってる物のみです。
専用品は使いません‥。
てか、最初から持っていませ~ん(-"-;)。
唯一、前回の作業から脱落した工具が30wのハンダゴテ。
電子機器は比較的熱量の低いハンダゴテを使うのが一般的みたいですが、
《栗》制作時の作業内容から判断した結果、このATコンピューターのハンダ付けに関しては、基盤からの放熱性が凄まじい為に『セオリーとは逆の、熱量の大きいハンダゴテの方が作業がし易いのでは?』との結論に至りました。
他に40w程度のハンダゴテを数秒間だけ瞬間的に120w程度まで立ち上げるブースト機能付きハンダゴテがありますが‥あれなら作業効率はどうなんだろう?と考えてみましたが‥貧乏人故に手持ちのハンダゴテで作業しま~す。
4
ハンダを入れる前にフラックス(ヤニ)とハンダ吸着線を使って端子部分をクリーニングします。
ハンダ吸着線はホームセンターでも100~200円程で売っています。
吸着線は何か特別な仕掛けがある訳ではなく、銅線を編み込んだ紐状の物でこれを古いハンダ部分に当てて上からコテ先を押し当てると、溶け出したハンダが銅線に吸い取られる仕組みです。
無ければ代用品としてジャンク配線の被覆を剥いて、中の銅線を吸着線代わりにハンダを吸着させる事も可能です(さすがに作業効率は落ちるけど‥なんとか代用できます)。
クリーニングは古いハンダを端子からできるだけ吸い取るのと、表面の酸化皮膜の除去も兼ねてます
注・古いハンダは完全に吸い取れなくても構いません。
「端子が露出したかな~?」程度でOKです。
最後にペーストでサッと端子部分を洗い流して下さい。
作業前と後では、あまりビジュアルが変わってないので「これってやる意味あるのかな?」と思われるかも知れませんが‥(苦笑)しかし、この作業を行うか行わないかで次の作業効率が全然違います。
因みに、フラックスは昔ながらの安いペーストタイプを使います。
厳密に言うと、基盤にはペーストタイプは効率が悪いらしくて宜しくないみたいですが‥手持ちはこれしかない。&このATコンピューターのハンダ付け作業は《誰かがATコンピューター修理に挑む事も視野に一般的な工具のみで作業を行えなければDIYの意味がない!》それらを踏まえてこのペーストで作業します。
それと、たまに10μF16Vコンデンサが取り付いてる台座付近に流し込まれてる黒い隠蔽物が邪魔をして樹脂の台座が取れずに端子部分が露出しない時がありますが、ここはラジペン等の工具で無理に台座を外そうとせず、ハンダゴテを使って慎重に台座の樹脂部分のみを溶かしながら除去して端子を露出させた方が良いです。
この箇所で工具を使わない方がベターだと思うのは、このATコンピューターの基盤が片面実装タイプの為に表面に髪の毛程の細い配線が沢山走ってます。
この配線達が密集してる部位が運悪くこの場所にあるので、、工具等で誤って切断してしまうのを回避する為です。隠蔽物はハンダゴテの熱では溶けない厄介な性質ですが、逆にコイツの特性を利用して仮に隠蔽物が広範囲に台座の上に覆い被さっていても 基盤と隠蔽物の間にコテ先を差し入れて [裏側から]えぐり出すように【台座のみ】を、溶かして除去したらOK~。
5
コテ先を洗浄してからハンダとハンダゴテを基盤端子に入れます。
はい!
ATコンピューター修理で最大の難所
[予備ハンダ]の、お時間でーす!
この作業が前回に【グダグダな内容】に、終始してしまった箇所ですが・・
今回は温熱タッパー効果で裏側から基盤を温めてるので、作業効率は飛躍的に上がってる筈です!
いゃ、必ず勝ちに行きます!
注意したいのは投入するハンダは少量で良いです。
それを踏まえていざハンダゴテ投入~!
温熱効果はどうだ?!
おぉ‥前回よりかなり調子いいぞ~♪
ただし、
《それでも若干熱は基盤裏へ抜けてます!》
最初はハンダが空気に触れた水銀のように[玉]になって、コテ先に纏わり付くでしょう。
これは端子部分に熱が伝わって無い為、ハンダが熱いコテ先に留まってる証しです。
このまましばし待つ!
(我慢の時間)
すると、端子部分に熱が入り始めるてくると最初は[玉]だったハンダが、涙状に変化してコテ先から少しずつ基盤側へ降りて行きます。
(温めないで作業してるとなかなか降りて来なかった(ToT))
ここで注意したいのが、コテ先を引き上げずにコテを少し寝かして【もうちょっとだけ我慢する事】!
これでOK~!
端子側にハンダが降りてから少し時間を置くのは、しっかり端子に熱が入らないとハンダが融着しないからです。
端子1カ所につき、この作業は1分程度ですかね?
端子は計10カ所あるので、単純に 全ての端子に予備ハンダを入れる作業は約10分前後かと思います。
これを【基盤を温めないで作業をした】《栗》の制作時には、予備ハンダ[1カ所]に10分前後かかってたので、今回の《栗鼠》は予備ハンダ投入時間が10倍早くなった事になる。
この結果から、温熱タッパー作戦は一定の成功を収めたのではないでしょうか?。
6
予備ハンダを入れ終わったら
ハンダがちゃんと端子に食らいついてるか、マイナスドライバー等でハンダを押して確認して下さい。
しっかり端子に熱が伝わった状態で入れたハンダは力を入れて押しても【絶対に取れません!】
(注・確認時に力を入れ過ぎて他の部分を破壊しないように)
ちゃんと熱が入っていないと、少し押しただけでハンダがポロリと外れてしまいます。
その他の要因として、端子に熱を入れてるのに上手く行かないのは、ハンダを大量に入れ過ぎてる可能性があります。
端子へ本当に少しで良いんです。[絶対にハンダを端子に大量に乗せる必要はありませんから]。
これが外れてしまうと…もう一回クリーニングからやり直しする《お仕置き》が待ってますよ~・・(泣)
今回の作業では、計10カ所のハンダが初回で完璧に食らいついてました。
(栗の制作時は成功率5割以下だったような‥)
7
お次は
やっとコンデンサの登場~♪
もう山場は過ぎたので、ここからの作業は早い早い!
投入前にコンデンサの足部分を少しハの字に開いてやってから ニッパーで3㎜~4㎜程度にカットして先端部分をラジペンで真横に曲げてやります。
コンデンサ端子の加工にコツ等はありませんが、ハンダゴテが入れやすいように投入する部位の+端子・-端子の向きに応じて 先端部分の曲げる方向を決めると 作業がし易いです。
足をカットしてもコンデンサの本体に白い帯がプリントされてるので そちらがマイナス側だと解釈しておけば間違えませんよ。
それでは投入~。
細かい作業なのでコンデンサを掴むピンセット・・・・。
え~っと‥そんなハイテクなブツは 家にはございませんので‥(-o-;)
爪楊枝を逆さまにして、細く裂いたマスキングでコンデンサを軽く巻き付けたら 躊躇なく現地へ投下~♪
予備ハンダの上にコンデンサの足を置いたら コテ先を使って端子部分を押さえてやる。
そうすると瞬間的にコンデンサの足はハンダと一体化するので仮固定が出来ます。
その後、ハンダを少量投入して周りを埋めるように流せば完了~♪
これを計[五個分]繰り返します。
予備ハンダが済んでるので作業自体は数秒で呆気なく終わってしまいますよ。
注意点は コンデンサと端子との接合時に 予備ハンダを利用するだけで新たにハンダを使わない事。
(ここでハンダを使うと、せっかく端子に付いてる予備ハンダが新しいハンダ側に吸い寄せられてしまうので少量を最後の仕上げのみに使う)
コンデンサのハンダ付けは最初は手先が震えてしまい・・なかなか思い通りに進まないかと思いますが、最初の1個が成功すると すぐに慣れます(爆)
もう2~3個成功すれば、爪楊枝すら煩わしくなってコンデンサを指で摘んで投入するようになりますぜ(笑)
8
これで完成~♪
外装の復旧はお好きにどうぞ!
作業の工程としては、予備ハンダを入れるコツさえ掴んでしまうと決して難しい作業ではありません。
電子部品が超苦手な自分でもチャレンジすれば何とかなるレベルで~す(^O^)
さて、これで2台のリビルトATコンピューターが組み上がったのですが
この2台の本来の用途は実験機です。
作業した時期は秋だったので、冬期の環境下を再現する為に2台を冷凍庫でキンキンに冷やしてから実車テスト。
結果から報告しますと
どちらも完璧なレベルで【正常】に稼働します。
特に《栗》は、気温20度を下回るだけで変速不良を起こす程重症だったのが、、今ではマイナス5度で冷やしても何事もなく正常に稼働するのにはビックリ!
ただ、1つだけこの2台に違いがある事に気が付きました。
先駆者さん達が修理後のATコンピューターでは シフトポイントが【若干高回転側へシフトする】事例を紹介されていますが。
先駆者さんの指摘通り、《栗》は変速ポイントが3600回転付近を目安にシフトアップが行われるようになり、平均値(3500回転)より若干高回転寄りの性格になってます。
逆に《栗鼠》は、修理前と同じ3500回転を目安にシフトアップして行くので、、修理前と比較してまったく違いを感じません。
両コンピューター共に耐熱温度が違うだけで同じ数値のコンデンサを搭載しているのに・・何で?。
少し気になるのはコンピューターに印字されているシリアルNo.、
《栗》のシリアルNo.は[6]J07号機です。そもそもコイツは後期型パジェロミニに搭載されていたATコンピューターです。
逆に全く変化の無い《栗鼠》のシリアルNo.は、[5]B16号機。
昔の整備手帳で確認したら、元祖パジェロミニ(ボロ)ATコンピューターのシリアルNo.も[5]B15号機 だった・・・。
我が家のボロ→前期とパジェロミニ後期では、最終減速比が違うので何かしら因果関係があるのかな?
後に、リビルト三号機となる予定のATコンピューター[7]C25号機も、一時期パジェロミニ(ボロ)に使ってましたが…今考えると[5]のコンピューターと性格が少し違ってたような‥?
まぁ、2台だけではデータ不足で検証しようがないので・・今後の宿題ですね~。まぁ、回転数が違えど全く不具合はないし。逆に高回転寄りの《栗》の方が 引っ張り気味にシフトアップするので少し元気に感じますよ~ん(^∀^)ノ
おしまい
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