まとめ記事(コンテンツ)

2020/08/22

トヨタ ダウンサイジングターボエンジン 8NR-FTS にブースト計を取り付ける 0 - 事前調査編

カテゴリ : 電装系 > メーター > その他

1
この整備手帳はトヨタ ダウンサイジングターボエンジン 8NR-FTS にブースト計を取り付ける整備手帳です。

作業時間は12時間以上となっていますが、調査や取り付け方法の検討時間など実作業以外の時間が含まれていますので実際はもう少し短いです。

作業時間は取り付け方法にもよるのですが、事前の情報がそろっていて集中的・連続的に作業を行えるのであれば、1日程度あれば可能かと思います。

---
純正圧力センサー信号を分岐してブースト圧を取り出すブースト計をすでに取り付け済みでしたが、諸事情により一般的なブースト計に付け替えることにしました。

そもそも、最初のブースト計を取り付ける時、取り付けた後ぐらいから『仮に一般的な方法でブースト計を取り付ける時は一体どこから過給圧を取り出せばいいのだろう』と思っていました。

いや、最初からそれが分かっていたら純正圧力センサーに割り込むブースト計は買っていなかったかもしれません。

8NR-FTS は登場してまだ若いエンジンですし、ハイブリッド車が売れている昨今。そもそもエンジン自体世の中にたくさんは出回っていないエンジンであろうと推測します。採用している車種は国内では C-HR、カローラ※、カローラツーリング※、カローラスポーツとだいぶ増えたんですけどね。

※この整備手帳作成時点で M/T のみ。

仮に…本当は世の中にたくさん出回っていたとしてもブースト計を取り付けよう!と思われた方が少ないだけなのかもしれません。

それでもプロの方や詳しい人ならばすぐに判明、なんてことも無いのかもしれませんが、知識が無い上に資料や情報が少ないと私みたいな素人はさっぱり分かりません。

いや、そもそも“しろーと”が自分で取り付けようと考えてはいけないものかもしれません。

でもね。

しょぼい排気量を補うのがメインのターボでも、ターボはターボ。

ターボは男のロマンですよ!

だからブースト計は漢のアイテムです!

…と、いうのは言い過ぎかもですが。

そこで調べてみると… 8NR-FTS でブースト計を取り付けられている方が数名見つかりました!

いきなり答えを言うと…写真の部分を切ってスリーウェイジョイントで2分岐すると過給圧が取り出せることが分かりました。

そして、ここから分岐する方法が金額的にもお金がかからないことも分かりました。

調査は以上です。

そのため、ここからブースト圧を取り出したい方は、みんカラでフォローし合っている ぷちさん (カローラツーリング M/T) の整備手帳をご覧いただいた方が現実的です。

【関連リンク】
・ブースト圧取り出し - ぷちさんの整備手帳
https://minkara.carview.co.jp/userid/129648/car/2855647/5905710/note.aspx
2
でも、SQUARE 的にはあまり切った、貼ったのカスタマイズはあまり好きではないのです。(しかし見えないところではよくやります (笑) )

純正のスタイル、たたずまいをできるだけ変えずにいたいのです。

それが無理ならできれば、ポン付けや専用品で取り出したい。


しかし…先ほどのパイプからなぜ過給圧がとれるのか? そこが知りたい!

そもそも、この配管は何?

その点を知りたくて調べてみました。

---
ガソリンタンクに入ったガソリンは放置していると気化します。

しかし気化したガソリン蒸気 (ガソリンベーパー) は生物に有害で大気に放出できません。

かといってふさいだままではタンク内の内圧が上がり大変なことになるようです。

そもそもガソリンは空気とませて混合気にしてエンジン内で燃焼させたいからタンクに入れているわけで。

だったら燃えやすくなっているその気化したガソリンを燃やしたらいいじゃないか!

…と言うことのようです。これはターボ車に限らず、NA (自然吸気) エンジン車でも同じのようです。

それで、みんカラ内を見てみると、ブースト計の情報とともにチャコールキャニスターという言葉をよく同時に見かけます。

それがなにかと調べたところ、先ほどのガソリン蒸気を回収してエンジンに送る装置ということが分かりました。

→ Wikipedia チャコールキャニスター
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%83%A3%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%8B%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC

それを理解してオーリスの電子技術マニュアルを読むと同じ事が書いてありました。

ちなみにチャコールキャニスターは昔はエンジンルームにあったようですが、現在は…すくなくともオーリスは燃料タンク側のポンプと一体化されています。(図)

ちなみに…最も初期のオーリス 120T ではこの部分がリコールになっています。(車台番号:NRE185-6000000~NRE185-6000150)

https://toyota.jp/recall/2018/1129.html


*a の部分につながっているパイプ (77026-02110 フューエルエバポレーションチューブ NO.1) が最終的には最初の写真で示したエンジンの配管までつながっていて、*b は 77754-02060 チャコールキャニスタ アウトレットホース NO.1 で給油口方向へつながっているようですが…。ホースには逆流防止の逆止弁があるようなので外気取り入れ口…かな?
3
そしてエンジン側はオレンジの矢印で示したような経路をたどってインテークマニホールドに到達。(インタークーラーの裏側に配管があります。)

通常のエンジン燃焼に混ざって燃焼しているようです。

ここまでは NA エンジン車も同じようですが…

なんか配管の間にいろいろと装置らしきモノが付いてるけど?
4
そこで。

もうちょっと踏み込んで調べたところ、先ほどのインテークマニホールドにつながっている部分 (接続口) をパージポートというみたいですね。

それが、ターボの給気側 → インタークーラーを経由してスロットルバルブまで来た外気と混ざるかのようにスロットルバルブ下流に設けられてる…。

そして、ターボで過給された外気が、パージバルブ側にもかかるためチェックバルブ No.1 で逆流しないようにせき止めている。

こういう仕組みのようですね。
5
そこでエアフローを見てみると…

空気吸い込み口から、エアフィルターを経由して吸い込まれた空気はエンジン後部にあるターボチャーチャーで排気エネルギーを使って前方のインタークーラー側にぎゅうぎゅう詰めに押し込まれて (過給され)…
6
ターボチャージャーで空気がぎゅぎゅうに圧縮されると、そのエネルギーは熱となって給気の温度を上昇させてしまう。(ちなみに、車とはあまり関係は無いかもしれませんが住設の給湯器などがこの原理、つまり圧縮された空気が熱くなり、その熱で湯を沸かしたり、暖房に使ったりするのがヒートポンプらしいです。)

そうなるとガソリンエンジンの場合、ノッキング (異常燃焼) を引き起こす原因になるためインタークーラーで冷やす。(もしくは冷やすと空気密度をもっと高めることができるので圧縮効率をさらに上げられる?)

冷やされた空気はスロットルバルブで給気量を調節されインテークマニホールドへ。

インテークマニホールドは各ピストン (気筒) に空気を分ける部分なので、4気筒エンジンならば4つの穴がある※ということ。

そしてインテークマニホールド内部全体にはターボチャーチャーから押し込められた過給圧がかかっている。

つまり先ほどのパージポートにも圧力がかかっていてチェックバルブ No.1 までは過給圧がかかり、そこから先はせき止められてる状態になっている。


---
ということで、ここまで長い説明になってしまいましたが、これが写真1の部分をカットすれば過給圧が取れるという理由になるかと思います。

※写真の中の図の丸の部品は空気漏れを防ぐ インテークマニホルド トゥー ヘッド ガスケット NO.1 (17177-47050)
7
そして…

エンジンはどのように過給圧を取得、管理しているかというと、純正の圧力センサーはメイン・サブの2つが搭載されています。

各センサーの役割は以下のようになっているみたいです。

--- 電子技術マニュアルより引用

(ターボプレッシャーセンサー No.1)
ターボプレッシャーセンサー No.1 はインテークマニホールドに取り付けられており、吸気管圧力を検出するシリコンチップを採用したターボプレッシャセンサーと吸気温度を検出するサーミスタータイプの吸気温センサーで構成されています。

(ターボプレッシャーセンサー No.2)
ターボプレッシャーセンサー No.2 はインタクーラー ASSY (= SQUARE 注:スロットルバルブよりも手前) に取り付けられており、過給圧を検出するシリコンチップで構成されています。


ターボプレッシャーセンサーは結晶(シリコン)に圧力を加えるとその電気抵抗が変化する性質を利用した半導体式圧力センサーで、吸気管圧力(絶対圧*)を電気信号に変換、増幅し、エンジンコントロールコンピュータに吸気管圧力信号として送ります。

参 考 :
*:絶対圧:真空を0としたときの圧力です。
---

通常、NA エンジン車はエンジンのピストンが下がると注射器が空気や水を吸い込むように空気を吸い込みます。

この時、負圧がかかるわけですけど、NA エンジンなら空気は押し込まれず、エンジンが動いている間はほぼ吸うだけ。いつも大なり小なり負圧がかかっている状態で大気圧を基準にするため相対的に “0” (ゼロ) とした場合、大気圧以上になることはありません。(バキューム計がそうらしいですね。針が “0” …大気圧以上には振れないですし、盤面に “0” 以上はない。)

これはターボ車も同じで P レンジ、サイドブレーキをかけて停車しているときに踏んだ場合、走行 (おもに加速) に必要な過給を行う必要が無いため “0” 以上にはなりません。

走行中も過給圧がかかっていないときは “0” 以上にはならず、NA エンジンと同じ動作で動いているようですが、過給圧が掛かり始めたら “0” 以上になります。

つまり 1.2L ダウンサイジングターボエンジン 8NR-FTS は過給を極力行わなければ、タダの 1,200cc NA エンジンとして動き (1,200cc と同じ燃費性能に近まり)、加速時などパワーやトルクが必要なときに過給するというのがコンセプトということですね。(軽自動車のターボや、昔ながらのダウンサイジングじゃないターボのコンセプトはどこまでターボで基本性能を持ち上げられるか…という違いから、私が最近よく考えるのがダウンサイジングターボは社外品などでブーストアップなどせず、おとなしく走っておけよ! 性能を上げるターボじゃない。だから社外品でブーストアップしても、性能はそんなに上がらないよ!=上側のパワーはあがらず、性能アップが許されるほどのマージンなんて、そもそも取ってないよ。安全に走るとか、ブーストアップしない状態のノーマル過給と回転数 (スロットルバルブの開閉度) のピークでトップスピード (メータ速度の180km / h 付近) が出るような過給、CVT の動作に調整されているんだろう。

そう考えるようになりました。

実際ブーストアップをしていると、低い速度からパワーを得られて停止からの初期加速が楽になりますが、逆に高速道路などでトップスピードが出せません。100km / h 辺りを超え始めるとドドドド…と不具合が出始めるような気がします。これだと高速で追い越し、追い抜きができなくなってかえって危険な気が。

そんな見方をすると、ブーストアップツールは初期加速ツールでしかなく、最高速度を上げるようなブーストアップは望めないのでは?(もちろん法定速度は遵守してますよ。つまりサーキットで NA & M/T のオーリス RS には勝てないし、走っていて面白くないのでは? CVT 車で楽しむのならパドルやシーケンシャルシフトを使わないとダメなのでは?)

そんな風に考えるようになりました。

まとめるとブーストアップすればピーク (ブーストの上限) が早く来てしまい、その性で速度がでず上限が逆に下がっている気がします。



話を戻して。

ターボプレッシャーセンサー No.1 は吸気管圧力と書いてあるのは、過給圧に加えて『負圧』もセンサーでモニターしているということだと思います。

逆に、ターボプレッシャーセンサー No.2 は過給圧のみなのでプラス側の正圧のみしかとれないということ。

実際、純正の圧力センサーからから信号を取るブースト計だとターボプレッシャーセンサー No.1では負圧も取れますが、ターボプレッシャーセンサー No.2では負圧は表示されません。

また、一部レーダー探知機などでも負圧が取れないことを考えると、こちら側の数値だけを取得しているということなのだろうと思います。

これは、個人的にはスロットルバルブも関係しているのでは?と。

アクセルオフでスロットルバルブが閉じると結果的にインテークマニホールドと遮断されて空気が吸われなくなり過給のみに。

また過給された空気の圧力は、過給をかけっぱなしではまずいのでどこかに逃がす仕組みが働き圧力が抜ける。

その動作状況を先に取り付けていた圧力センサー信号に割り込むタイプのブースト計で状態を見ていた…ということなのかと思います。

つまりは電子技術マニュアルの記述通りであったと。

そうなるとブースト圧を取る場所は…スロットルバルブから先で、配管のチェックバルブ No.1 よりも手前。

何かしらの状態でインテークマニホールドにつながっている状態ならば圧力は計測はできる!…ということかと思います。
8
そうはいっても冒頭の通り、配管のパイプは切断したくない…。

ブースト計はあきらめるしか無いのか…。

そんなことを思ったいたら写真のコレを見つけました。

BLITZ Boost Adapter 8AR-FTS用!

商品のページを見ると純正圧力センサー取り付け位置にアダプターを取り付けて、それに取り付ける配管からブースト計の圧力センサー用として圧力を取り出し計測。

純正圧力センサーはそのアダプターに向きを変更して取り付けるという方法。

しかしアダプターは 8AR-FTS 用。付くはずが…と思って製品の Web ページを見ていたところどうも純正圧力センサー形状が似ている。

…そこから調べたところ、8AR-FTS で使われているセンサーの2つのうち1つが 8NR-FTS と同じ品番であることがわかり、さらに Boost Adapter の取り付け位置にもともとあった純正圧力センサーと品番が同じことが判明!

これだと配管を切らずともブースト計が取り付けられるかも!?

ただ、8NR-FTS 対応をあわせてうたっていない以上なにかしらの問題があるためそうなっていない模様。

人柱になる覚悟で、このアダプターを用いてブースト計を取り付けるチャレンジをしてみました。

(1 へつづく)

---
(引用・図) 電子技術マニュアルより抜粋。© 2012-2018 TOYOTA MOTOR CORPORATION. All Rights Reserved.

イイね!0件

はてブに送る
はてブに送る

オススメ関連まとめ