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2025/03/07

【保存版】 誰でも解る!バッテリーの充放電の仕組み(基礎知識編)


バッテリーの充放電の仕組みですが、本にしてもネットにしても、いずれも硫酸鉛がどうとかダラダラ書かれているだけで、「書いている人も本当に内容を理解しているのか?」と疑問を投げたくなるような、非常に解りにくい物が多いので、解説してみたいと思います(※1)


(1)電解液の中で電気を流すのは誰?

よくバッテリーとコンデンサを混同している人がいますが、両者の違いの一つとして、内部を電気が流れるか流れないか?が挙げられると思う(※2)

金属のような導体の場合、導体内部を自由電子が移動することによって電気が流れる、というのはご存じの方も多いと思いますが、ではバッテリー内部の電解液の場合、一体どのようにして電気が流れるのか?と聞かれると、曖昧な理解の方が多いように思います。

答えから書くと、電解液(電解質溶液)では、電子ではなくイオンの働きによって電気が流れます。
イオン(ION)とはギリシャ語で「行く」と言う意味だそうです(電極に行く)
ちなみに「あ、だからスーパーのイオンって買い物に行くって意味か」というとそうではなく、あれはAEONなので別の言葉です(笑)

と冗談はともかく、ある物質を液体に溶かし、得られた液が電気を流せる性質の場合、その液を電解液といい、溶かした物質を電解質といいます。
バッテリーの場合、電解液が希硫酸で、電解質が硫酸です。

なお、満充電時の硫酸濃度は約37%(比重1.28/20℃)ですが、一般的には濃度90%以上のものを濃硫酸、それに満たない物を希硫酸といいますので、希硫酸だからと舐めてかかると危険です。


(2)イオン化とは?

まず希硫酸とは何か?と聞かれれば、「水で薄めた硫酸でしょ?」という答えが返ってくるかと思いますが、まあ確かにそうなのですが、では希硫酸の正体(中身)は何か?というと、答えに詰まるのではないでしょうか?
希硫酸の中身は、水分子H2Oと(硫酸H2SO4がイオン化してできた)水素イオンH⁺と硫酸イオンSO42⁻です(※3)

硫酸は水素イオンと硫酸イオンとのイオン結合でできていますが、イオン結合では例えば電子が1つ余った元素と1つ足りない元素が、お互いに電子を受け払いすることで結びついています(クーロン力で強固に結びついている)
ですが、イオン結合の場合、水のような液体に入れると意外とあっけなく結合が外れ、陽イオン(正イオン)と陰イオン(負イオン)とに電離しますが、これをイオン化すると言います。

これによって、正負のイオンが電解液中にあることで酸化還元反応が起きて電気が流れますが、詳しくは次回に。


注釈
(※1)
実際に誤情報が多いし、仮に内容が正しくても、文章というのは、まずは書き手が「なぜそうなるのか」という理由を含めて理解していないと、読み手には何も伝わらないと思ったので。

(※2)
言うまでもなく、バッテリーは電気を流すが、コンデンサは流さない。
もっとも、厳密に言えば、流さないのは伝導電流(電荷の移動を伴う電流)であって、変位電流(電束電流)は流すと言えるが。

(※3)
水のイオン積から分かるように、ただの水(純水)の中にはH⁺とOH⁻はほぼ存在しない(水の電離度は25℃でα=1.8×10-9と極めて小さいので、電離している水分子はごく僅か)

Posted at 2025/03/07 16:12:33

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