まとめ記事(コンテンツ)

2012/12/14

スバル考 (その4)

スバルの場合、基本はプラネタリギアによる機械的な基本トルク配分を設定し、そこから湿式多板クラッチのスリップ率制御でセンターデフの作動制限を行います。

なので、常時4WD状態で各タイヤの輪荷重×μで伝達可能なグリップに限り、4輪にはトルク配分した比率でタイヤにトラクションが掛っています。車はタイヤにトラクションが掛って、初めて安定します。最高速で吹けきって、空気抵抗とパワーがバランスした状態を経験すると、よくわかるのですが、路面と横風等の影響をもろに受けて、本当に手に汗握ります。

車のフロントタイヤには普通トーインが付けられており、直進するだけでサイドスリップという「スリップ」をしており、タイヤにはその分の抵抗が生じています。これとキャスターアングル(トレール量)と、タイヤのキャンバーによるサイドスラスト成分とが釣り合って、ハンドルに手ごたえという反力を返します。

パワステやリンケージのフリクションが路面の情報を消してしまいますが、良い車はこれがきちんと残っています。930のノンアシスト車はジャッキアップしてタイヤを切ると、くるくるとハンドルが回るぐらいフリクションが無く、ドングリ1個踏んでも、それがハンドルでわかるほどでした。

そして、トーインによってフロントなのに、軸重だけでなく、ブレーキ方向のたわみを生じて、手ごたえを出しています。これは低燃費にはマイナスですが、不要でしょうか?。


話は変わりますが、バイクのハンドリングにも似たような個性があって、特に好きなヤマハの特性とスズキの特性は興味深いです。(バイク乗らない人にはわからないかと思いますが御容赦)バイクではフロントタイヤの手ごたえはとても気になるところで、フロントのグリップが失われること=スリップダウンと言えますので、ライダーはフロントのグリップ感がとても気になります。私の感覚論で、数値データはありませんが、後輪の旋回軌跡に寄り添うように、フロントはセルフステアするのですが、ヤマハはアンダーステアにフロントがバランスします。つまり本来通るべき軌跡のタイヤ1本分ぐらい外側に押し出されつつバランスしているような感覚です。しかしそのおかげでフロントには絶えずスリップと釣り合うグリップ感のインフォメーションがあり、これがすっと抜けてスリップダウン挙動に入る前に、予兆を分かりやすく伝えるのです。

一方、スズキの場合はほとんどゼロバランスで、ヤマハから乗り換えると切れ込むように感じますが、それはそうでなく、後輪軌跡にほとんどスリップアングルなしでセルフステアする感じです。なのでその繊細なバランスからアンダーか、オーバーか、を探ることで、バイク全体のリーン限界を探ることが出来ます。

車も、舵角とジオメトリーから与えられた旋回軌跡に対して、タイヤのサイドスリップが増える方向だったり、減る方向だったりの力がハンドルでくみ取れるような設定がされていると、とても安心感が有ります。ロードスターやRX-8はその点優秀だと思います。スバルは残念ながらフロントに駆動トルクが掛る分、かき消されます。

FF車は全てそうですね。このように、「手ごたえ」というのは、言い替えれば抵抗感であり、それは粘弾性体のスリップや変形から来ています。


さて、AWDに戻って、89年に登場したカレラ4はプラネタリギヤによる不等トルク配分31:69でした。この配分比はトラクション比を得るデータから来てるのでしょう、恐らく前輪と後輪の輪荷重比+タイヤと、ある加速Gでの荷重移動から割り出した値でしょう。 一方当方のB4は45:55で、輪荷重比は60:40ぐらいですから、後輪に55も回せば、前輪はかなり余裕のある設定というか、もったいない使い方です。これはスバルが前輪に対してはトラクションだけでなく、操舵によるコーナリングフォースの割り当てを多く残したからでしょう。

カレラ4の場合は、フロントは非常に軽いため、また、加速中はなおのこと浮くので、使えるトラクションはわずかです。それでも重心からモーメントアームは長いので、ちょっと押してくれればそれだけで安定します。リアがズッときても、ガードレールキックターン(グンちゃんの得意技)程度に効けば良いのです。911は加速状態と減速状態の2つをきっちり分けて運転するコツが有ります。

しかし本質は絶えずフロントタイヤにトラクションが乗っており、いつでも舵が利く(ピッチングモーションが小さくても良い)と言う状態を生み出しています。

安定して背筋がむずむずしないポルシェなんて、、というのが911好きだと思いますが、昔評論家の岡崎さんが、911の秘めた能力を引き出す楽しみはカレラ4の方が上だと言っていたのは、絶対値としての面白い領域が、もっと上の速度域にあることを的確に表現していました。


このような、それぞれの哲学によって前軸と後軸には、定速走行時であっても、耐えず、4輪のタイヤに回転方向の変形を与え、常に踏ん張った状態を生み出し、前後、左右輪の回転差を制限することで、ヨーモーメントを吸収しています。ヨーダンピング特性と言う人もいますね。

(つづく)・・・まとめきれませんでしたのであと1回w。


Posted at 2012/12/14 21:05:58

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