警部補「いやぁ~海沿いのドライブは気持ちいいなぁ~」
er34「警邏じゃないですか」
警部補「何を言う。このベイサイドブルーは、海沿いを走るからこそイイわけよ。ウチの分署がお台場でよかったな」
34「臨海署に湾岸署、それにウチ。縄張りがごちゃごちゃしてますよねぇ…」
警部補「34君、刑事ドラマしたいならもっと気分出さんと」
34「毎日毎日、意外と平和なベイエリア……。小早川せんぷぁい…。ぐす」
34「ところで係長」
警部補「何だ?」
34「ウチの分署、なんでパト、みんな古いんですか?」
警部補「さぁな」
34「セドリックなんて、地方ならともかくもう警視庁じゃ」
警部補「あれはいい車だぞ?YY31は確かにイマイチな感じがあったが、YPYはいいぞ。交通のお下がりだがな」
34「係長もアレ乗ってたんですか?」
警部補「まぁな」
警部補「…1つ、昔話をしてやろうか」
34「はい?」
あれは…もう20年前だったかね。地域にいた頃だ。当時の係長は穏やかな人でな。元々警察志望の人ではなかったんだが、とにかく会話を大事にする人だった。家庭への巡回連絡が楽しみなんて言っててな。ある時、コンビニで万引きと勘違いされたオヤジが暴れたことがあった。瓶を叩き割り、そいつを振り回してな。俺はその日公休だったんだが、係長の組がいち早く駆けつけてな。まだ正体を無くしきってないと見たのか、刺激しちゃいかんと銃はもちろん警棒も抜かず、宥めて宥めてな。それでなんとか怪我人を出さずに済んだ。またな、見てくれも中々カッコイイ人でな。
いつもPC乗る時は係長が運転だったんだが、その日の夜は、初めて俺に運転させてくれた。乗ってたのは、YPYじゃなくYY31の方だがな。
コンビニで暴れてるやつがいると通報があった。現場に一番近かった俺達が一番乗りだった。内容は偶然にもさっき話したのと同じ、万引きと勘違いされ腹がたったとさ。ただし、そいつは若くて更に自前のナイフを持っていた。係長は、俺を店の外に置いて1人で入った。説得は今回も上手く行くかと思った。だが違った。いらん勇気だした店員が、後ろから奴に飛びかかった。係長は取り押さえようとして……、偶然、運悪く首切られた。深くな。
34「…」
警部補「今から思えば、救急車待たずにPCで病院行けば助かったかもな」
34「じゃあ…」
警部補「…」(頷く)
警部補「定年間近だったのにな。…俺の二代目だ、なんて言われたな。俺はオヤジがもう1人増えた気分だった」
34「すいません、自分が浮わついてました」
警部補「いやいや、別に謝らんでいいよ。ただ、偶然ってのは怖いってことを覚えておいてくれ」
警部補「実はな、当時付き合ってた彼女がいてな。警務に」
34「は、はい?」
警部補「俺は係長の敵討ちのように、奴みたいな若い連中を挙げまくった。片っ端から。当時の俺は余程怖く思えたんだろう。ただでさえデートの暇がないのに、余計印象を悪くした」
34「…」
警部補「彼女と同じ部署に嫌な奴がいてな。同期だ。しかし何でか知らんが、何かと俺を目の敵にする奴でな。したら、なんとま彼女に声かけやがった」
34「彼女さんは…」
警部補「っああ、OKした」
34「えー…」
警部補「ある日偶然、2人がそろって上がる時に出くわした。奴は自慢気に言ったよ。『これから旨いパフェを食べに行く。チェリーの乗ったデカイ奴だ。2人で食べきれるか分からない』と。更に、彼女を先に自分の車に行かせると『後はしっかりやってやるから、心配するな』なんて言いやがった」
34「マジでふっざけてますね、そいつ…」
警部補「俺はこう言ってやった。『彼女はチェリーは嫌いだ』とな」
34「あの………その後、その2人は…?」
警部補「その後?俺は異動になった。奴は辞職した」
34「辞職?」
警部補「ちょっとな。『魔が差した』ことがバレてな」
34「ああ…なるほど。…彼女さんは?」
警部補「知らん。知りたくもない」
34「す、すいません」
警部補「…ああ、話し出したのは俺だ。スマン」
34「いえ…」
警部補「ま、なんにしてもだ。俺達警察官は――――」
Pi pi pi pi pi!!
(無線)
警部補「そう、感傷に浸れる程暇じゃない」
続く。
(笑)。
今日は「17th PCT」にチャンネルを合わせました(笑)。暇潰しにどーぞ
はたして、34君以外に暇潰しになるかなぁ…(笑)。
Posted at 2012/05/31 23:51:37 | |
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