
もう7月かあ。
このところ、すっかりみんカラ離れをしてました。
特に何かあったと言う訳でも無く、単に色々他のことをしてたら忘れていただけと言う。
その色々していた他のことの一つが模型作りです。
5月のGWくらいから毎日ちょっとづつ、10年以上前に買ったまま押し入れに積んでいたタミヤの1/20の「タイレルP34」を組み立てていました。
少々長文気味ですが、日記としてアップしておきます。
まず解説しますと、この模型は1976年にタミヤからグランプリコレクションシリーズの第一弾として発売された物で、当時1/12スケールの精密模型を発売していたタミヤが、初心者にも組み立てやすい模型として始めたんだそうです(殆どウィキペディア情報)
1976年なので、つまり今から40年前に初めて発売された物になります。
「タイレルP34(当時はティレルをタイレルと呼んでた)」と言えばF1史上初の6輪車で、何故6輪だったかと言えば、前輪を小径化することで前影投影面積の低減を狙いつつグリップは減らさない為の工夫だったらしいのですが、結局後輪が通常サイズのままだったので期待した程の効果が無かったらしいです。
ただ、何気に6輪化によるブレーキ性能の向上が効果的だったみたいで(それによりコーナー奥まで突っ込めたらしい)、こんな奇抜なマシンにも係らず初年度にワンツーフィニッシュで初優勝したと言うのが何とも素敵です。
自分が作ったのは勿論その模型の初版な訳も無く、2000年以降に再販されたらしきブラジル向けの物でした(つまり組み立て説明書も英語)
タミヤの模型は過去に何度も作ってますし、自分は素組み派で凝ったことは何もしない奴ですし、1/20でパーツも少ないから、そんなに苦労無く作れるだろう、と思っていたのですが甘かったです。
実際作り始めてみると、パーツは予想以上に細かいし、分割のされ方も今より組み立てやすさは考慮されていない感じだし、プレスが甘くなっているのか結構バリもあるし、何より経年変化で反っているパーツもあったりして、パーツ一つ組み立てるだけでかなりの苦労を強いられました。
<P34のエンジン組み立て中>

ここに来るまでもそれなりに一苦労でした。
<ついにボディとエンジンが合体>

カウルで隠れてしまう完成後よりも、これくらいの頃の方がメカっぽくて良い感じがしたりも。
写真だけ見てるとすんなり作れてる感じもしますが、失敗して何度投げ出そうと思ったことか。
特に心が折れそうになったのは、完成直前の2つの失敗です。
<完成直前の、後はデカールを貼ってクリアを吹いて完成、と言う時の写真>

もう完成した気分になって浮かれていたのですが、この後にまさかの失敗が。
1つはデカールも貼り終って組み立てが終了し、最後にクリアを吹いた時に起こりました。
カウルの部分にクリアを吹いてしばし眺めていると、なんと貼ったデカールがシワシワになってしまったのです。
愕然としました。
何とかしようにもクリアが乾かないことにはどうしようも無く、乾いたら乾いたでもう修復不可能と言う、まさに天国から地獄。
後で模型好きの同僚に聞いてみたところ、タミヤの旧い模型では良くある話だそうで、クリアは一気に吹かないで最初は薄く吹いて乾いてから徐々に厚くして行かないと駄目なんだとか。
「先に教えてよ」
な気分でした。
まさかの完成直前に取り返しのつかない失敗のショックで、そのままゴミ箱に放り込もうかと思いましたが、被害を受けたのが簡単に取り外し可能なカウルの部分だけだったので何とか踏みとどまって、ネットで同じ製品を購入することにしました(もしかしたらパーツ注文すれば購入出来たのかもしれませんが、気持ちは既に確実にある物を買って済ませてしまいたい気分になってました)
ですが探してみると、この模型って現在絶版中だったみたいで、どれもプレミア価格となっていたと言う事実が判明(1100円くらいなのが、高いのだと7000円くらいに)
正直迷いましたが、ここは大人パワーでプレミア価格でも安めの物を探して購入してしまいました(3000円台くらいの物を)
そしてリベンジ再開して、またも完成直前までこぎつけたところで、悲劇は再び起こりました。
今度はデカールへのクリア塗装も無事成功し、今度こそもうこれで完成と言う時でした。
よくよく見てみるとリア周りのクリアがちょと薄い気がしたので、最後にもう一吹きだけしておこうと思い、左手にP34を持ち右手でスプレー缶をかざそうとしたその瞬間、うっかりその右手でP34を弾いてしまったのです。
弾かれたP34は目の前で一回転してそのまま床に激突、エンジン回りが粉砕しました。
「マジかーっ!」
思わず声が出ました。
時間が戻せるなら戻して欲しいと本気で思いました。
久々に何とも言えないやるせなさを感じて、泣きたい気分になりました。
今回こそはさすがにもう駄目だと思いつつ、既に諦めの気持ちでバラバラになったパーツをかき集めて作業机に戻りました。
しばし放心状態だったのですが、何となくバラバラになったパーツをまた組み立て始めてみたところ、幸いにも組み立てやすいパーツばかりが外れていたらしく、そう苦労せずに8割がた復旧出来てしまいました。
天は見放していなかった。
問題は割れてしまった部品だったのですが、そこでラッキーだったのがスペアパーツが丸ごとあったと言うことです。
「無理して大人買いしておいて良かった」と思いました(笑)
と言う訳で、何とか復旧の目途は立ったのですが、精神的なダメージも残っていたので、また少し気力が回復したところで、作業を再開しました。
そして、今度こそ本当に無事完成させることができました!
<ついに完成したP34>

パーツに色塗って組むだけの素組み派なので、合わせ目をパテ埋めしたりもしないですし、バリとかも殆ど残しっぱなしですですが、それなりに見えるのは写真効果と元々の模型の出来の良さかと。
ちゃんと作ってる人からしたらショボショボな出来でしょうが、本人的には大満足!
にしても、無事完成して心底ホッとしました。
タミヤの模型にまさかここまで試されることになるとは思わなかった。
忘れられない思い出がまた一つ出来ました(笑)
<斜め後方からの写真>

V8エンジンの上にそそり立つファンネルが素敵です。
そして、リアタイヤが太い。
出来上がったP34ですが、自分の工作レベルは別にして、今のレベルで見るとやっぱり何だか作り込みが甘い気もするのですが、でもこれが40年前に発売された模型と思うと驚愕のクオリティと感心してしまいます。
40年前と言えば、まだガンプラも出ていなかった時代で、その当時にこんなにも精密な模型を発売していたタミヤと言うのはとんでもない会社だよなあ、と改めて思いました。
今みたいにコンピュータで設計してた訳でも無かったと思うので、まさに職人技だったのでは無いかと。
今だとこういう感じのスキルは、ガレージキットとか作ってる人に受け継がれてるんですかね?
<コクピット周り>

作ってて思ったのは、当時のF1の安全性の低さですね。
カウルを外せば足元なんて剥き出しですし、どこかにぶつかったらドライバーはすぐにペシャンコって感じです。
こんな怖い乗り物でのレースは、まさに命がけって感じだったのではないかと。
個人的にはそう言うところに魅力を感じたりもするのですが、今の時代にはもうあり得ないですね。
そんな訳で、クラシック模型もなかなか楽しいな、と思ったのですが、今のところは「しばらくはもう作りたくないな」と言うのが正直な気持ちです(笑)
でも模型作りはやっぱり楽しい!
<無事コレクションケースに収まったタイレルP34>

眺める度にあの苦労と喜びを思い出すことでしょう。