燃料ポンプと燃料フィルター交換
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
DIY |
難易度 |
中級 |
作業時間 |
6時間以内 |
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今回のメインディッシュ
大容量フューエルポンプに交換していきます。
車両は毎度おなじみJZX100 Chaserです。
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クレダン★たかちゃん様から教えていただいた内容で修正いたしました。
ありがとうございますm(_ _)m
(2024/01/14)
車両へのアース棒接続に寄る効果について
https://minkara.carview.co.jp/userid/11052/blog/47206461/
で行ったように、車体のボディを大地のアースへ接続して大地~ボディの電位差を無くなるようにいたしました。
これはタンクローリーの荷下ろしで必ず行われている方法ですが、ディーラーで燃料周りを整備するときも必ず行う作業とのことです。
私はアース棒を車両近くに設置しているのでこの作業ができましたが、アース棒がない場合は・・・
屋外のコンセントにはアース線を接続する場所があると思いますので、そこと車両を線でつなぐという方法があると思います。
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まずは、ドアを開けたまま作業を行いますのでバッテリーが上がらないように、カーテシランプスイッチの固定ボルトを外します。
これで、ドアを開けたままにしてもルームランプは点灯しません。
まず、ガソリンの燃焼範囲は1.4 ~ 7.6 %とされています。
これは可燃性限界と言われて、この濃度を外れると燃焼を継続できずに失火する範囲となります。
更に、ガソリンは-40℃でも着火温度である300℃の物を近づけると引火するとされています。
という事は、ガソリンは常に引火の危険性をはらんでいる危険物ということです。
可燃性限界を下回らせるのに必要なことは換気です。
なにせ状況によっては大気中にガソリンが1.4%含まれるだけで燃焼が継続するのですから・・・(-_-;)
ということで、作業中はドアを全開にしたままにする必要があるかと思います。
ドアを全開にすることでガソリンの可燃性限界を下回るような空気を入れ替えさせることを目的としています。
もっと解りやすく言うとガソリンから揮発する成分を100倍以上に薄めると燃え移らないと言えるかもしれません。
リアシートを取り外したら燃料ポンプ交換作業に入ります。
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燃料ポンプを外す前にこちらのルームパーティションカバーを取り外します。
こちらのカバーはブチルテープで固定されていますが、隙間に内装剥がし等を突っ込んで隙間にカッターを入れて、ブチルを切るようにするとブチルが伸びてダラ~んとすることなく取り外しできますし、再使用も出来ると思います。
純正が手に入る年式なら不要ですが、手に入るかも怪しい年式ならばこういう小技も必要かと思います。
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カッターを入れると、ルームパーティションカバーはこのようにブチルを切って外せます。
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ルームパーティションカバーを取り外すと燃料ポンプ周辺が見えてきます。
7本のボルトで固定されていますので、絶対に落とさないようにボルトを対角線上に緩めて下さい。
この奥にあるガスケットは手に入るのであれば交換したほうが良いかと思います。
整備書でも再使用不可部品になっています。
部品番号:77169-14010:¥263
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コネクターを外します。
このコネクターは日光に当たらないし、温度もそれほど高くならないことから、加水分解することなく、劣化もそれほど進まないと思います。
この状態では燃料ポンプが動作しないので、エンジンを始動させてフューエルラインの燃圧を除去します。
エンジンを始動させるとエンジンストールすると思いますが、念のため何度かエンジンを掛けようとしてエンジンストールさせるというのを繰り返しました。
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汚っ^^;
ここまで掃除していませんでした^^;
燃料キャップをゆっくりと開けてタンク内圧力を除去します。
圧力がかかっていたら燃料ラインを外すと際限なくガソリンが出てきますからね^^;
燃料キャップは開けっ放しとはせずに若干緩めて置く状態で良いと思います。
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3つ前の画像に戻るのですが、7つのボルトを緩めた状態で、燃料のリターンを外します。
次に加圧ラインの取り外しを行いますが、
ASTRO PRODUCTS フレアナットレンチセット
https://minkara.carview.co.jp/userid/11052/car/12036/12737143/parts.aspx
を使用します。
サイズは14だったかと思います。
ここはフレアナットと言われる配管専用の工具を使う前提でのトルクで締め付けられていますので、
モンキーや専用でない工具を使用すると工具をかける部分をナメる可能性が非常に高いと思います。
今回フレアナットを初めて緩めたのですが、
こんな高トルクでしまってるん?
というのが正直な感想でした^^;
思った以上に高いトルクで締め付けられていますので、
12角ではなく6角のフレアナットレンチセットを選択して正解だったかと思います。
緩める際に心配であれば5-56やラスペネ、凍結浸透ルブなどが有用かと思われます。
ただし、これらの潤滑剤を使用したら、必ずブレーキパーツクリーナーなどで脱脂が必要です。
というのもボルトナットに潤滑剤がある状態で締め付けるとオーバートルクになる可能性があります。
(ボルトナットに潤滑剤を塗布した上でトルク締め付けすると整備書に記載の場合は整備書に従うようにして下さい)
リターン側はガソリンの流出は殆どありませんが、燃料ポンプ側は配管内にあるガソリンが漏れてきますのでウエスで受け止めて、ガソリンの漏れが無くなったらガソリンの染み込んだウエスはすぐに車外の遠くに投げ捨てて下さい。
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燃料ポンプの取り外しはどう説明したら良いのやら・・・(-_-;)
ちょっとは無理してもいいけど、あまり無理しないように時計回りや反時計回りにちょっとずつ回しながら引き抜く^^;
ガソリンの蒸気が出てきていると思いますが、100倍以上に希釈すると燃え広がらないので換気を十分に行い、ゆっくりと作業を行って下さい。
万が一の際はお守りをすぐに使えるように近くに置いといて下さい。
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燃料ポンプは純正と比べて大容量燃料ポンプの方が本体が若干短くなっています。
ですが、純正の燃料ホースの方が良いとされていますので、純正配管と燃料パイプが最大限かかるようなホースバンドの位置をマジックでマーキングしました。
また、燃料ポンプ側に最適と思われる燃料ホースの差し込み具合で付属のホースバンドを締め込んだ上で、マーキングした燃料配管まで燃料ホースを引き下げることで、燃料ポンプを下側に押し付けるようにしました。
ニュアンスが分かりにくくてすいませんm(_ _)m
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カプラーは付属のものに交換する必要があるのですが、純正配線とどのように入れ替えるのか?というのが一番の問題でした。
色々悩んだ結果、付属のカプラーの近くで純正配線とこのように接続することにしました。
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プラスとマイナスのショートが不安だったため、付属の燃料ホースをプラス側に入れてこの位置に置くことで絶縁としました。
最初は付属の燃料ホースを固定しようと思ったのですが、この位置なら移動することもなさそうなので大丈夫と信じたいと思います^^;
マイナス側にしなかったり理由は、マイナス側はボディアースとなっているので、金属部分に接触してもショートすることが無いということになるかと思います。
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燃料ポンプを外さない限り見ることの出来ない燃料タンクの中身です(^^)
このように仕切りがあって燃料の偏りを防ぐようになっているのですね。
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某動画サイトで見たことのあるサビサビと比べると・・・
ここだけ新品?(笑)
納車から23年、
走行距離14万km超、
エンジンを掛けない最長期間1ヶ月超、
それでもこの状態です。
タンクが錆びているってどんだけエンジンかけてないん?(-_-;)
燃料ポンプのフィルターにもゴミがわずかに付着していた位ですし、1ヶ月以内である程度走行していたらサビが発生することは無いのですね^^;
燃料ポンプを取り外した口を塞ぐ画像を取り忘れたのですが、何でも良いですから口をテープで塞ぐ必要があります。
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燃料ポンプの交換が終わったら燃料フィルターの交換を行います。
因みに、燃料ポンプ側のフレアナットは開けたままです。
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イメージですが、左の燃料ポンプにはガソリンが一定量入っていると仮定します。
ガソリンの表面より燃料ポンプは上にあると仮定します。
(今回はこの状態でした)
燃料配管内は空気が入っていない状態とします。
この状態で燃料ポンプ上のフレアナットを緩めると配管内のガソリンが漏れるのは当たり前かと思います。
というのも、配管内の圧力は一定であることから、液体は高い方から低い方に流れるという原則から、漏れ続けることになります。
ところで、燃料ポンプ上のフレアナットが閉まっている状態
(フレアナットを緩めても締めた状態)
であれば、一部で空気が入っていても燃料配管は一定の圧力となります。
ここで、フィルターの燃料ポンプ側の配管を開けると、流体力学のヘッドの位置関係からポンプの下端までのガソリンが燃料フィルターの入口から漏れ出ることになります。
流体力学のヘッドという概念やサイフォンの原理を知っていれば、燃料ポンプ側のフレアナットを開けたままにするという事は常識の様なことかと思いますが、一人で作業を行う上でのコツと言えるかと思います。
燃料ポンプ側のフレアナットを開けたままにすることで、燃料フィルターの入り口を開けたとしても、燃料ポンプのフレアナット~燃料フィルターの入口までのガソリンしか漏れることはなく、ガソリンが漏れ続けるという事は物理的にありえなくなります。
ヘッドの概念は整備手帳で説明することに限界がありますので、要望があれば別記事にて紹介したいと思います。
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配管からガソリンがもれなくなった状態で落ち着いて、フューエルフィルターを交換します。
当然ながらフレアナットは必ずフレアナットレンチで緩める必要があります。
燃料フィルターを入れ替えると復旧させていくだけなのですが、この際、フレアナットは手で止まるまで締める必要があります。
工具はそもそも使いようがないと思いますが、斜めに締め付けたり、噛み込みがあったら締め付け不良となりますからね^^;
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燃料フィルターの固定ボルトは適度なトルクで締め付けば良いのですが、フレアナットは規定トルクがあります。
フューエルフィルターのフレアナット締め付けトルクは
36.5N・m
となっています。
トルクレンチをその値にすればいいかと言うとそうではありません。
今回はフレアナットレンチを使ってトルクレンチで締め付けますので、フレアナットレンチの長さ分を考慮してトルクを指定する必要があります。
因みに整備書指定のSSTを使用した場合は、トルクレンチでは29.2N・mで締め付けるとされています。
今回は
フレアナットレンチの長さ:20mm
ブレーカーバーの長さ:210mm
から
36.5×210÷(210+20)=33.3N・m
が設定トルクとなります。
この場合、四則演算よりもカッコの中の計算が優先されると言うのは小学校で習ったかな?
ということで、フレアナットレンチに
不明 デジタルトルクメーター ENC-340
https://minkara.carview.co.jp/userid/11052/car/12036/12751107/parts.aspx
をピークモードで33.3N・mに合わせて、ブレーカーバーにて締め付けを行いました。
ピークモードにすることで、締め付けたトルクを後から確認することが出来ます。
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クレダン★たかちゃん様から教えていただいた内容で修正いたしました。
(2024/01/14)
同様にこちらのフレアナットレンチもトルク管理を行う必要があります。
こちらのフレアナットは
30.0N・m
整備書記載のSSTを使う場合は24.3N・m
での締め付けが指定されています。
こちらも同様に
フレアナットレンチの長さ:20mm
ブレーカーバーの長さ:210mm
から
30.0×210÷(210+20)=27.4N・m
が設定トルクとなります。
緩めるときもそう思いましたが、これ結構なトルクですよ。
そりゃフレアナットレンチ等の専用工具が必要なわけです。
フレアナットの設計に詳しくないのですが、配管内圧力とフレアナットの締め付けトルクが設計値で定められているのでしょうね。
で、すべての作業が終わったらカプラーを接続したら一発でエンジンが始動しました。
その後、シートを付けない状態で1時間以上試運転しましたが、フレアナットからの燃料漏れは見られませんでしたので、今回の作業は無事終了となります。
この際により漏れがない事を確認するためにリークテスターを使用することが必要とのことでした。
リークテスターは持っていなかったのですが、様々な場面で使えそうなので購入することにします。
ありがとうございますm(_ _)m
燃料ラインの漏れチェック
https://minkara.carview.co.jp/userid/11052/car/12036/7652497/note.aspx
で追加作業を行いました。
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