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ヒデノリの"GR Chaser TourerV TRD sports version" [トヨタ チェイサー]

整備手帳

作業日:2025年2月17日

LS460(AWD)/LS600h キャリパー流用時のブレーキバランス

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目的 修理・故障・メンテナンス
作業 DIY
難易度

初級

作業時間 30分以内
1
純正ブレーキがプアーというのは20年以上前から分かっていたのですが、それを何とかしようと令和の今どきのコスパの良さでLS600hキャリパーを流用した場合のブレーキバランスを考えたいと思います。

諸元
車両:マーク2、チェイサー、クレスタ
型式:JZX100 ツアラーV (ルラーンG)
エンジン:1JZ-GTE
重心高さ(m):0.55
車重(kg):1480
ホイールベース(m):2.73
前輪軸重(kg):840
後輪軸重(kg):640
路面摩擦係数:1.00
減速度(G):1.00

ブレーキと言えばこちらというグラフですが、グラフの説明を行います。

X軸:フロントの制動力
Y軸:リアの制動力

紫色の線は理想制動力配分曲線と言われて、重心・前輪軸重・後輪軸重e.t.c.から得られる、各減速G毎の理想的な前後制動力を表します。
つまり、ブレーキバランスはこの曲線に近いほど理想に近いということになります。
今どきのEBDは乗車人数に合わせてこの曲線に近くなるような制御を行っているようですね。

説明しだすときりがないので、詳細は
JZX100 純正ブレーキバランス
https://minkara.carview.co.jp/userid/11052/blog/47919814/
をご覧いただければと思います。

なお、こちらのシミュレーションはGoogleスプレッドシート上で行っておりまして、一般公開しております。
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1CgFbrHgiKXJsD5KV4rBxAjK6dH8YhyrW5wDoomAeCfk/edit?gid=1391068157#gid=1391068157

また、スプレッドシートではX軸を複数設定することが出来ませんので、小細工をしてうまく表示されるようにしております^^;
2
2000年頃までの車両であれば整備書などにブレーキマスターシリンダーの前後バランスが掲載されていたのですが、その後から非公開になっているようです。
何ていうか、色々世知辛い世の中ですね(-_-;)

で、チェイサー等の古い車の前後バランス(トヨタではP&Bバルブと読んでいる前後バランス特性)に影響を与えるこちらのグラフを説明を行います。

X軸:フロントのブレーキ油圧[MPa]
Y軸:リアのブレーキ油圧[MPa]

当時の一般的な車両ですが、ブレーキを踏み込んでいくとある一定脚力までは前後の油圧は1:1で増加していきます。

そこからさらにブレーキを踏み込んでいくとフロントに比べてリアの油圧を少なくするような制御を行っています。
この油圧の傾きの変わる点を変曲点と表現します。

JZX100よりJZZ30はマスターシリンダー径が大きくなっているものの、P&Bバルブ特性は同じと言われていました。
JZX100にボルトオン出来るマスターシリンダーとしてJZA80(17inch)がありますが、
そのP&Bバルブ特性はJZX100と異なります。

4名乗車を前提としたJZX100(JZZ30)と比べて、2名乗車迄を前提としたJZA80ということでしょうか?

JZX100(JZZ30)と比べてJZA80(17inch)は変曲点が高いところにあることがわかります。
P&Bバルブ特性だけを見た場合、JZA80(17inch)はJZX100(JZZ30)よりあるところまでリアのブレーキを強めに作動させる制御になっています。
一方、変曲点以後を見ると、JZX100(JZZ30)と比べてJZA80(17inch)は傾きが水平に近くなっていることから、リアのブレーキをより弱めにする制御になっています。

但し、こちらはブレーキローターやブレーキキャリパー諸元なども考慮する必要があります。
3
JZX100のブレーキ諸元
前ピストン径:φ44.4
前ピストン数(/1pc):2
前ローター有効半径:120.0
ブレーキローター:Φ296×32

後ピストン径:φ40.4
後ピストン数(/1pc):1
後ローター有効半径:136.0
ブレーキローター:Φ307×16

マスターシリンダー:JZX100(JZZ30)

純正の16inchホイールならば良いのかもしれませんが、如何せん2001年に生産を終了した古い設計からブレーキ容量はかなり小さくなっています。
オレンジの線がこちらの前後ブレーキバランス特性を示していますが、理想制動力配分曲線から離れていることはもちろん、フロントロック限界線からもかなり離れていることがわかるかと思います。

こういう特性をブレーキが効かないと表現します。
4
JZA80(17inch)のブレーキ諸元
前ピストン径:φ42.8
前ピストン数(/1pc):4
前ローター有効半径:131.5
ブレーキローター:Φ323×30

後ピストン径:φ40.4
後ピストン数(/1pc):2
後ローター有効半径:137.5
ブレーキローター:Φ324×16

マスターシリンダー:JZX100(JZZ30)

20年ほど前からJZX100系乗りにヒットした前後JZA80(17inch)キャリパー&ローターを流用した場合の前後ブレーキバランがこちらになります。

オレンジ色のブレーキバランス特性ですがグラフ範囲を突き抜けています。
前後JZX100キャリパーではかなりブレーキペダルを踏み込んでもタイヤがロックしてABSが効く状況が低いのに対して、ブレーキ容量が大きくなった前後JZA80(17inch)キャリパーは制動力が2倍ほどに高くなっていることがわかります。

但し、JZX100(JZZ30)マスターシリンダーを使う場合、P&Bバルブ特性からブレーキバランスがリア寄りになっています。
ブレーキバランス特性が理想制動力配分曲線に近くなっているのは良いのですが、オレンジ色の線がフロントロック限界の青線ではなく、リアロック限界の赤線に交差していることから、フロントがロックする前にリアがロックする特性になっていることがわかります。

ABSに頼ることは悪いことではないのですが、リアはエンジンブレーキも効きますので、もう少しフロント寄りのブレーキバランスのほうが良いように思います。
5
JZA80(17inch)のブレーキ諸元
前ピストン径:φ42.8
前ピストン数(/1pc):4
前ローター有効半径:131.5
ブレーキローター:Φ323×30

後ピストン径:φ40.4
後ピストン数(/1pc):2
後ローター有効半径:137.5
ブレーキローター:Φ324×16

マスターシリンダー:JZA80(17inch)

前後にJZA80(17inch)キャリパーを導入した場合、若干リア寄りのブレーキバランスになっていることから導入が進んだJZA80(17inch)マスターシリンダーでの前後ブレーキバランスがこちらになります。

JZX100(JZZ30)マスターシリンダーの時と比べて、理想制動力配分曲線に近くなっているものの、限界付近ではリアよりもフロントがロックするブレーキバランス特性になっています。

電子制御に頼らない素の特性でこのブレーキバランスは、20年ほど前からあちこちで使われていた理由かと思われます。
6
LS600のブレーキ諸元
前ピストン径:φ43.0
前ピストン数(/1pc):4
前ローター有効半径:148.0
ブレーキローター:Φ356×30

後ピストン径:φ38.0
後ピストン数(/1pc):2
後ローター有効半径:152.5
ブレーキローター:Φ350×20

マスターシリンダー:JZX100(JZZ30)

JX100に前後LS600hキャリパーを導入した場合にブレーキローターは、
フロント:MARK X G's
リア:FUGA KY51 370GT Type S
を使用することになります。
このため、シミュレーションもこちらのブレーキローターを使用した試算となります。

令和の本命、前後LS600キャリパーを導入した場合のブレーキバランスがこちらになります。

JZA80(17inch)よりも前後のブレーキローター径が大きくなっているのですが、リアのブレーキキャリパーピストン面積が直径で2mm小さくなっていることから、ブレーキバランスがフロント寄りになっています。

これが功を奏しているか、限界付近ではリアよりもフロントがロックするブレーキバランス特性になっています。
前後JZX100キャリパーと比べても、理想制動力配分曲線に近くなっていますし、制動力も2倍ほど出ているブレーキバランス特性になっています。

JZA80(17inch)のブレーキキャリパーも悪くないのですが、令和の今どきであればこの様なブレーキバランス特性も悪くないのではないかと思います。
7
LS600のブレーキ諸元
前ピストン径:φ43.0
前ピストン数(/1pc):4
前ローター有効半径:148.0
ブレーキローター:Φ356 ×30

後ピストン径:φ38.0
後ピストン数(/1pc):2
後ローター有効半径:152.5
ブレーキローター:Φ350×20

マスターシリンダー:JZA80(17inch)

令和の本命、前後LS600キャリパーにJZA80(17inch)マスターシリンダーを導入した場合のブレーキバランスがこちらになります。

前後LS600キャリパーにJZX100(JZZ30)マスターシリンダーを導入した場合のブレーキバランスと比べて、変曲点までのブレーキバランス特性が理想制動力配分曲線に近くなっていて、限界付近ではよりフロント寄りのブレーキバランスになっていることがわかります。

前後JZA80(17inch)キャリパー&JZA80(17inch)マスターシリンダーのブレーキバランス特性に近くなっていることがわかります。
8
LS600のブレーキ諸元
前ピストン径:φ43.0
前ピストン数(/1pc):4
前ローター有効半径:148.0
ブレーキローター:Φ356×30

後ピストン径:φ38.0
後ピストン数(/1pc):2
後ローター有効半径:152.5
ブレーキローター:Φ350×20

マスターシリンダー:JZA80(17inch)

令和の本命にブレーキパッドで調節した、前後LS600キャリパーにJZA80(17inch)マスターシリンダーを導入した場合のブレーキバランスがこちらになります。

前後LS600キャリパーにJZA80(17inch)マスターシリンダーを導入した場合はブレーキキャリパーとブレーキローターからフロント寄りのブレーキバランスになっていたのを鑑みて、ブレーキパッドの摩擦係数をリアに比べてフロントは90%程の摩擦係数のパッドに変更することにより、車両全体としてリア寄りのブレーキバランスにした場合の試算です。

前後JZA80(17inch)キャリパー&JZA80(17inch)マスターシリンダーのブレーキバランス特性にかなり近くなっていることに加えて、ブレーキローター径が大きくなっていることから熱容量が増えていることにも評価が与えられるかと思います。

しかも、かなりのコスパ^^;

本当の令和の今時の車であればスタビリティコントロールも進化していて、素のブレーキバランスが多少悪くても、乗車人数が変わったとしても、最適な制御を行ってくれるのですが、チェイサーのような古い車はABSはついているものの、スタビリティコントロールは無く、素のブレーキバランスを理想に近づける必要があるのでこの様な考察の必要性が高いと思っています。

買うか(笑)

ですがぶっちゃけて言うと、フロントはいわゆるレクサスキャリパーと比べてLSキャリパーをいれる理由は・・・(-_-;)

その理由を語るには時間がかかりそうなので別記事にしたいと思いますm(_ _)m

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