ピストンクラックの詳細観察

ピストンクラックの状態を観察します。
エンジン自体のパワーダウンの原因はこのピストンクラックから燃焼室の圧がぬけてしまってたのが原因確定でいいと思います。

しかし、このクラックがピストン本体の悪さで生じたものか、それとも他の原因の悪さがあって二次的に壊れたものかを判断するためです。でないと、ピストンだけ入れ換えても、またすぐに壊れる可能性があるからです。
他の原因の時？そりゃもう、丸ごとエンジン載換ですわ。

カーボンを削り落として、観察します。この様子では、クラックはピストン中央からややずれたところから、ピストンピンに平行に走っているように見えます。

ピストン側面側ですが、上面からリング溝ごとにピストンピン穴の頂点のほうに移動してきています。そういやピストンピンの穴とオイルリング溝がすごく近く見える…普通はここってピストンリング溝下の部分には、ピストンピン穴はほとんど被らないようにするはずなんですが…
なんでって？もちろん「応力集中」するからですわ。

裏側からも観察。

ピストンのジャーナル側全長に渡ってクラック入っちゃってます。ここは最悪焼き付いたとしても、コンロッド小端側の滑り軸受で、まわってくれますが、割れてしまうとピストンが傾いてしまうかもしれないですね。

裏側まで割れ目が貫通しているので、やはりパワーダウンの原因はこのクラックからの吹き抜けと思います。

クラックが入った原因ですが、ピストンの形状…具体的には3枚目で示した、ピストンピン穴とオイルリング溝の距離が近く、燃焼圧力の繰返し負荷により、ピストンピン側からクラックが進展し、ピストントップの割れが大きく成長して、著しいパワーダウンになったのではないかと推察します。

となると、これはピストンの設計に起因する問題であり、クランク側や他の部分の不具合による二次現象ではなさそうです。

ということで、ピストンを新品に換えれば、また4万kmぐらいで割れるけど、そこまではゴキゲンに走れそうです。もちろん対策されてたら、もっと長持ちしそうですが…

てことで、新品ピストンを買って組み直す方針で行きます。