それは何気ない友人のひと言からの始まりでした。
『飯田線の秘境駅号、いいよね』
飯田線、豊橋から中央本線辰野までの195.7kmの山間を抜けるローカル線、昔は旧国電の宝庫、日に3本ある飯田線完走列車の所要時間が7時間!筋金が入っていないとなかなか行く気になれる所ではありません。
筋金まで入っていない私はまだお邪魔したことがなかったので、そのひと言に乗せられて気分はもう小和田駅のホームにいました。
確認すると『秘境駅号』は2010年8月から、もう15年も走っている春、秋に運行される観光列車です。途中特急はもとより普通にも追い抜かれるからでしょうか、種別が『急行』という所に豊橋運転区の良心を感じます。
列車は上り下り各1本あるのですが、どうせ乗るなら停車駅が多く所要時間の長い下り飯田行、と言っても人気の列車、切符が取れないと始まりません、まずツアーがあるのでそこで座席を確保する事にしました。
そして予定日一か月前、久しぶりに10時打ちの挑戦です。
新高岡駅みどりの窓口の駅員さんご尽力で、めでたく11/15豊橋9:50発急行秘境駅号の座席を確保する事が出来ました。
滑り止めのツアーはここでキャンセル
中部地方は太いので新幹線が敦賀まで伸びても当日発では9:50の豊橋発には間に合いません。前泊必須です。
今回の相方は天体とNゲージに趣味を広げる『catfarm』発登場のK氏なのですが、なんと高山本線未乗車なので名古屋まで『ひだ』をご希望。
おかげで私もHC85系に初乗車する事が出来ました。
乗客にエネルギーモニター表示が必要かは,甚だ疑問。
宿や切符は私がす調整るという流れで進みましたので、『リニア鉄道館』へ寄りたいという希望は通させていただきました。
今回は『急行秘境駅号』へ話をもどしましょう。
前泊した豊橋は初めて、駅前発の路面電車で行くと日本一の急カーブもあるのですが、リニア館で歩き疲れたので行くのは止めました。
(結構終点に近い場所だったし・・・)
宿は駅から徒歩5分、鉄道ビューのできる安価なビズネスです。
ただ部屋の空調はすでに暖房だけになっていて暑ければ窓を開けて温度調節しなければならず、加えてさすがの東海道本線、夜が更けるとJR貨物が群れを成して走るので、部屋は7階二重窓構造のなのにうるさくて鉄道好きでもちっとも子守唄にはなりません。
おまけに繊細な猫は枕も合わず、過酷な一日が予想される朝をほとんど寝れないまま迎えたのでありました。
おかげで吐き気を催すくらいの体調でしたが、ホームに足を運ぶと覚醒するところは流石に自分をほめてやりたい。やはり生粋の○○です(爆)
線路は飯田線と共用、おまけにホーム一本で名古屋本線名豊間を仕切っている名鉄の事を思えば体調不良など何のこれしきであります。
秘境駅号入線まで名鉄を交えて撮り鉄にいそしんでおりました。
いつも思いますが名鉄のデザインはオリジナリティがありますね、マツダの様だ(個人の感想)
さぁ、主役登場です。
秘境駅号に使われている373系もそこそこの車歴ですが、213系はさらなに古い、どうやら年度が替わると廃止されるようです。
今のうちにこっちに目を向けておかねば、うるさい輩(お別れ式などで「ありがと~」という奴)が気づいてから撮る事になりますよ。
さぁ、出発!
豊橋運転区の皆さんがお見送り、飯田線内でも地元の皆様の地域おこしも絡めたおもてなしがあり、急行という親しみやすい秘境駅号の設定にも心から拍手を送ります。
まず、新城駅で上り普通とすれ違い、飯田線の雄特急『伊那路』が追い越してゆきます。
その時間を生かした駅舎内での販売などもあって24分停車もアッという間
しばらく走ると板敷川(鳳来峡)
観光名所はゆっくり走って車掌さんが説明してくれます。
秘境駅の序奏はランキング174位の柿平駅から
鬼の面のモチーフにしている東栄駅の駅舎
飯田線名物渡らずの鉄橋 通過
大嵐駅は駅の前後がトンネルの中
近くに立派な吊橋が天竜川にかかります
車内では乗車記念の記念カードを配ってくれました
続いて秘境駅ランキング堂々の3位小和田駅、こちらでは20分の停車
皇后陛下雅子様ご成婚で一気に表舞台へ躍り出た秘境駅です
大勢で押しかけているので全く秘境駅感はありませんが、本来は熊でさえ近寄らないところです・・・多分
続いて10位中井侍駅
三駅並んで秘境駅並び
次は62位の伊那小沢駅 横には堂々の天竜の流れ
続いて平岡駅 宿泊もできるふれあいステーション龍泉閣が併設されていて売店、食堂なども入っているのでとても無人駅とは思えません。
今日は秘境駅号到着に合わせてテントで販売が行われていて大勢の人だかり 天龍村玄関口
ここで急行としては不本意?、岡谷行普通に追い越されます💦
次は四輪の走れない吊橋を渡ってしか行けない
秘境駅13位の為栗駅 『SHITEGURI』 難読駅名ですね
運転停車の温田駅では上り豊橋行秘境駅号とすれ違い
運行を務める車両は、午前中新城駅でこちらを追いこしていった特急伊那路1号の運行にあたった編成。 飯田に12:41に着いて、速攻整備して13:05に秘境駅号として戻ってきたもの。
飯田発便は近ツー、阪急、クラツーの大手ツアー組
次は駅前広場が断崖絶壁のランキング5位の田本駅
その広場?からホームを狙う人々
こんなお写真になります~♪
反対側はトンネル、トンネル・・・
車内では普段は運転士の方がシャッターを押しに回ってくれました。
秘境駅20位の千代(ちよの)駅と6位の金野(きんの)駅にちなんだ「ちょきん」乗車券を販売 150円という値段もあってつい買ってしまった私
駅のプレートに触れると金野駅はお金、千代駅は健康長寿が約束されるとか…
しっかり触ってきた私
飯田線は天竜川と付きつ離れず進むのですが、横断するのは2度だけ
日も傾いて電車の影が見えています。
天竜駅で豊橋からの運転士と車掌が交代して・・・
終点の飯田線15:30定時到着
ここで同車両は折り返し15:58発特急伊那路4号へ模様替えして発車します。
飯田行に乗ってきたほとんどの方は、この伊那路4号で折り返されるようですが、北から来た我々にとって帰るためにまた南へ戻ってゆく行為にはなじめず、意地の下り上諏訪行15:54に乗車します。(豊橋へ戻るルートは所要時間がさして変わらないのに8000円近く高い)
実は飯田線の苦行はここからで、東海313系のクロスシートでくつろごうと思っていたのですが、ホームで待っていたのは東の211系ロングシート。
JR東の上諏訪行なので不安はあったのですが、「次の電車」という訳にもいきません。
何れにしても飯田から中央線へ乗り換える岡谷まで、まだ飯田線(飯田線は辰野まで)にあと2時間37分乗らなきゃいけない訳で、一人が席を取り一人が買い出しに行くという予定も、秘境駅号から降りたお客さんで改札が激混みしていたのも重なって全くの手ぶらになってしまい、まさに呑まず食わずで苦行の始まりとなりました。
いままでロングシート車しかない車両での移動は高山~美濃太田間の1時間30分余りが最長だったので、ここから自己最長記録への挑戦です。
暮れ始める窓の外は中央アルプス、振り返れば南アルプスと素晴らしい絶景区間、ただ飯田線元は4つの私鉄を戦中に国有化されたもの、線形は悪く駅も多く時間だけがどんどん進んでいきます。
すっかり夜のとばりが下りて、やたら寒さが染みる岡谷駅に到着したときは、それでも何とも言えない達成感に包まれました。
私もいっぱしの乗り鉄の仲間入りだ😆
では、 また 😽