2011年09月16日
ロードサービス隊員になる前に、ネット上の現職隊員達からこう云われた。
「人の死を見ることもある仕事だ」と・・・。
そこで、思い出したのが、前職でモロに見てしまった壮絶な事故現場の瞬間。
この話はクルマ大好き人間の皆様に教訓として是非、知ってほしい話だ。
前職では毎日片道500km位お客様の家を訪ねていた。
この日は、自分一人では手に負えず、仲の良い上司と共に行った。
石川県・某パーキングエリア。正午。
出来たばかりの大型ショッピングモールを抱えるこのPAは、とても綺麗で上司と食事に寄った。
「まだ時間あるから」と上司とショッピングモールを巡り楽しんだ。
我々はクレーム対応係。怒ったお客様をいかに満足させて笑顔で帰るかが勝負。
でも、毎日全国を観光して楽しめるという特典もあった。
このPAは名物のようで、隣接する公園もあり、この日は観光客で賑わい、公園には子供たちが芝生ではしゃぎ声をあげて遊ぶ姿が見えた。
帰り、駐車場に我々の営業車に乗ろうとすると、真っ赤なフェラーリが停まっていた。
「おお!すげえ!」
私が見ると上司に注意された。
「あんまりドライバー乗ってるからジロジロ見るな!あの方面のお方だったらどうする!」
焦って目をそらした。
すると、PA入り口に白のポルシェ・ターボが「ボボボボボ」と水平対向エンジンを轟かせ入ってきて、フェラーリに横付けした。
「うお!ポルシェ!」
上司が私を見て、「待ってろ、現場撮影用カメラ持って来てやるから、撮影お願いして来い」と言ってくれた。
真っ赤なフェラーリに白のポルシェ。
見事絵になってて、子供たちから歓声があがる。
すると、フェラーリは、カン高いエンジン音を響かせアクセルを煽った。
高回転のマシーンの咆哮が響く。
「フォン!フォン!フオオオオン!!」
カッコイイけど、ちょっと引いた。
上司が後ろからやってきて、「頼んだのか?撮影?」と聞いてきたので
「やっぱやめましょう、なんかちょっと・・・・。」
「うむ、そうだな。」
30秒くらいだったと思うがエンジンを吹かし続けるフェラーリに周囲も沈黙してしまった。
すると、フェラーリのドライバーがポルシェのドライバーを睨みつけた。
ポルシェのドライバーは、フェラーリの意図とは違い「はあ?」という、いかめしい顔をする。
するとフェラーリは「キキキキキキ!」と白煙を立てタイヤを鳴らした。
いきなり白煙を残し猛ダッシュでPA出口に突進!!
だが、そこで急にスピンし、PA脇のガードロープに突っ込み、「ドバン!」と大きな音を立てルーフと黒い玉が宙を舞い、赤い液体をまき散らして子供達が遊ぶ公園の芝生に突っ込んで止まった。
子供達の歓声が、悲鳴と鳴き声に代わり、現場は騒然となった。
PAの従業員が出てきてフェラーリに向かう。
私も向かったが、「入らないで!あっち行って!」と止められた。
従業員が上着を脱いで黒い玉に被せた。
「ボボボボボ」とアイドリングしながら擱座するフェラーリ。
「うわ!こりゃ駄目だ!!」
「人遠ざけて!!」
ポルシェのドライバーが窓を開け、サングラスを外し一言。
「馬鹿が・・・・いきがってるからだ・・・。」と吐き捨てた。
ポルシェは、静かにPAを何事も無かったように出て行った。
Posted at 2011/09/16 10:30:54 | |
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