EN07 SOHC 8バルブエンジンのインナーパーツについての考察(110831更新)
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KVサンバーのローラーロッカーアーム化は結論としてはアームだけあれば他の部品は元の部品でOKという結果になりましたが、部品を集める際にパーツリストから拾ったサンバーを含む各車種の部品番号を掲載しておきます。
基本的にEN07はごく一部の車種を除いてカムプロフィールは明らかにされていない事が多いので、カムシャフトを流用する場合には馬力・トルクの出力特性がだいたい流用元の車種に近くなると考えるのが無難かと思います。
110320追記…山海堂エンジンデータブックを元に、バルブタイミングなどを追記しました。
110709追記…山海堂エンジンデータブック04/05版のデータ追記
110807追記…FFとRRの違いについて
110831追記…スバルサポセンからの情報について
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基本的な事項
・KVサンバーはKKヴィヴィオの部品が互換品として使える。両方ともスリッパー式アーム
・TVサンバーは2000年まではヴィヴィオと同じ部品で、スリッパー式アーム。
・プレオは最初からローラーロッカー。
・TVサンバーは2000年からプレオのローラーロッカーが採用される。厳密にはATのSC車から採用が始まって、MTのNA車まで完全移行されるのは2001年まで掛かっている。
・各車種とも基本的にNAとSCでロッカーアーム自体は共通。年式によりローラーか否かの違いだけがある。
・シリンダーヘッドの燃焼室も基本的には全部同じ。ピストンヘッドの形状だけで圧縮比を変更している。
・プレオ、サンバー共に2006年からロッカーアーム周りが変更される。ピストンのバルブリセスもこのころ無くなったらしい。
・ピストンまわりはKVのEN07もTVもあまり変わらない。コンロッドはフルフローで、バルブリセスがあるかないか程度しか違いがない。
・部品番号が複数並んでいる箇所は、左側が当初の部番、右側が現在の変更部番。
◎重要:ヴィヴィオなどのFF車とサンバーでは給排気の方向が逆になっている。カムシャフトの山に対する給排気バルブの位置関係が変わってしまうので、FF車のカムはサンバーには使えない!
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・サンバーKV/SC(EN07Y)
今自分が乗っているサンバーのエンジンです。
最高出力 55ps(40kW)/6200rpm
最大トルク 7.1kg・m(69.6N・m)/3800rpm
圧縮比8.3
IN側ロッカーアーム 13249KA001→13249KA041
EX側ロッカーアーム 13250KA001→13250KA041
ロッカーシャフト 13252KA030→13252KA090
カムシャフト 13015KA320
ピストン 12006KA320→12006KA321
ロッカー比 1.67
IN開 BTDC14°
IN閉 ABDC54°
EX開 BBDC54°
EX閉 ATDC14°
バルブオーバーラップ 28°
バルブリフト 7.5mm
→94/95版より。NA用よりオーバーラップが広く、バルブリフトは同じ。
NAのEN07Cは94/95版では次の通り。
ロッカー比 1.67
IN開 BTDC14°
IN閉 ABDC50°
EX開 BBDC54°
EX閉 ATDC10°
バルブオーバーラップ 24°
バルブリフト 7.5mm
・ヴィヴィオKK/SC(EN07Z インタークーラー付き)
最高出力 47kW(64ps)/6400rpm
最大トルク 84N・m(8.6kg・m)/4400rpm
圧縮比8.5
IN側ロッカーアーム 13249KA041
EX側ロッカーアーム 13250KA041
ロッカーシャフト 13252KA030→13252KA090
カムシャフト 13015KA310
ピストン 12006KA400→12006KA550
ロッカー比 1.67
IN開 BTDC4°
IN閉 ABDC56°
EX開 BBDC46°
EX閉 ATDC14°
バルブオーバーラップ 20°
バルブリフト 8.0mm
→94/95版より。ハイリフトとなっているのはこの時代ではこのカムのみ。
110708追記:ヴィヴィオのカムシャフトはNA3種類、SC1種類の合計4種類存在する。そのうちEMPi MT用は上記とはまた違うハイリフトのカムプロフィールを持つとの事。
13015KA210 キャブ車用
13015KA390 EMPi MT用(SC用310よりハイリフト)
13015KA300 EMPi ECVT用
13015KA310 SC用
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・プレオRA/マイルドチャージSC(EN07W インタークーラー付き)
このプレオからローラーロッカーアームとLFピストンを採用。
最高出力 33kW(45ps)/6400rpm
最大トルク 56N・m(5.7kg・m)/4000rpm
圧縮比10.0
・プレオ A(1998-2000 NA SPI EN07S)
最高出力 45ps(33kW)/6400rpm
最大トルク 5.7kg・m(55.9N・m)/4000rpm
圧縮比10.0
カムシャフト 13015KA500
・プレオ A(2001- NA EN07E)
最高出力 46ps(34kW)/6000rpm
最大トルク 5.9kg・m(58N・m)/5200rpm
圧縮比10.0
IN側ロッカーアーム 13249KA061
EX側ロッカーアーム 13250KA081
ロッカーシャフト 13252KA071
カムシャフト 13015KA571→13015KA590(この品番自体は時代を下ったR1/R2などでも使われている)
ピストン 12006KA770
ロッカー比 1.67
IN開 BTDC10°
IN閉 ABDC46°
EX開 BBDC46°
EX閉 ATDC10°
バルブオーバーラップ 24°
バルブリフト 8.0mm
→04/05版より。NAだがSCよりハイリフトではある。
☆プレオA 2006/9/2以降 バルブリセス関係変更
最高出力 34kW(46ps)/6000rpm
最大トルク 58N・m(5.9kg・m)/5200rpm
圧縮比10.5
IN側ロッカーアーム 13249KA090
EX側ロッカーアーム 13250KA090
ロッカーシャフト 13252KA100
・ロッカーアームは変更されたが、カムシャフトはKA590のまま変更されていない。
・プレオニコットRA/SC(2WD)(EN07U/2001年C年改)
カムプロフィール情報が確認できる数少ない車種
http://www.geocities.jp/pleonicot4wd_kan/nico/nico.html
最高出力kw(P.S)/rpm 44(60)/6400
最大トルクN・m(Kg-m)/rpm 75(7.6)/4000
圧縮比8.9
カムシャフト 13015KA520→13015KA521
IN開 BTDC4°
IN閉 ABDC56°
EX開 BBDC46°
EX閉 ATDC14°
→KA521はヴィヴィオEN07ZのKA310と同じバルタイの模様。プレオのEN07Z車もこの部番が使われている。
04/05版EGデータブックでは次のようになっています。
プレオ EN07U
最高出力 44kW/6400rpm
最大トルク 75N・m/4000rpm
カムシャフト 13015KA620
ロッカー比 1.67
IN開 BTDC4°
IN閉 ABDC56°
EX開 BBDC56°
EX閉 ATDC14°
バルブオーバーラップ 18°
バルブリフト 8.0mm
→極僅かだがカムプロフィールが変更され、オーバーラップも減らされている。
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・サンバーTV/SC(EN07Y)
2000年以前 ここまではスリッパーアーム。
IN側ロッカーアーム 13249KA041
EX側ロッカーアーム 13250KA041
ロッカーシャフト 13252KA030→13252KA090
カムシャフト 13015KA550(NAのEN07VはKA530)
ピストン 12006KA770
☆2000年-01年のAT/SC車(年改B-C)及び、2002-03年の年改D-F以降の全車。ローラーロッカーはここから
IN側ロッカーアーム 13249KA061
EX側ロッカーアーム 13250KA081
ロッカーシャフト 13252KA071
カムシャフト 13015KA560(B-C年改のAT/SC車のみ)
13015KA580(D-F年改全車。NA車と同じ)
13015KA600(G年改以降全車。NA車と同じ)
☆2006/9/2以降-現行 バルブリセス関係変更
最高出力 58ps(43kW)/6000rpm
最大トルク 7.5kg・m(74N・m)/4000rpm
IN側ロッカーアーム 13249KA090
EX側ロッカーアーム 13250KA090
ロッカーシャフト 13252KA100
カムシャフト 13015KA600(NA車と同じ)
謎…TVサンバーのカムシャフトはパーツリスト上は01年以降はNA、SC共に同じものを使用している事になっているのですが、山海堂EGデータブックの04/05版ではNA、SCで違うバルブタイミングを採用している事になっています。
EN07F
ロッカー比 1.67
IN開 BTDC10°
IN閉 ABDC42°
EX開 BBDC55°
EX閉 ATDC10°
バルブオーバーラップ 20°
吸気バルブリフト 7.4mm
排気バルブリフト 8.0mm
→吸気と排気で異なるバルブリフトを採用しているらしい。
EN07Y…原則としてKV時代と同じ。
110831追記…スバルに問い合わせを行いました。
その結果、どうも山海堂Egデータブックの記載の方が間違いらしいという回答が得られました。02以降はSC/NA共に共用カムというのは本当のようです。
バルブタイミングについては上記のカムの内、
13015KA550(01年までのSC用スリッパーカム)
13015KA560(00-01年までのSC/AT/4WD限定のローラーカム)
の二つまでがKV時代の13015KA320と同じ。
13015KA580(02-03年までの共用ローラーカム)
13015KA600(03年以降の共用ローラーカム)
の二つは、下記のようなプロフィールのようです。
IN開 BTDC14°
IN閉 ABDC46°
EX開 BBDC40°
EX閉 ATDC18°
バルブオーバーラップ 32°
Egデータブックにも無い全く別のプロフィールでした。
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KVサンバーとTVサンバーはあまり出力特性に違いがないので、ローラー化の際に無理してカムシャフトまで交換する必要は無さそうです。
自分が入手したプレオ用カムシャフトはNAのプレオA(LE-RV1,H16らしい)のものだったので、出力特性がかなり高回転寄りになってしまいそうな感じ。その為、ロッカーアームのレシオがほぼ同じ事が確認できたのと、給排気レイアウトの違いで使用できないことが分かったのでお蔵入りとなった次第です。
ロッカーシャフトについては目視した限りではKVとプレオ用に殆ど違いが無かったのですが、厳密には部品番号が違います。オイル流量などの違いがある可能性も考慮して、念のため流用元のものにアームと一緒に交換するのが無難かと思います。
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101127追記
その後、図書館で山海堂の「国産エンジンデータブック」を調べる機会があったので、EN07のロッカーアームレシオを調べてみたところ…。
95年のKVサンバーとKKヴィヴィオ(共にスリッパー)、05年のRAプレオとTVサンバー、R2の(全てローラー)のEN07全てで、ロッカーアームレシオ1.67を採用してることが分かりました。
目視での結果にちょっと自信が無かったので、データ上も流用して問題ないことが分かり一安心です。
110708…更に追記。
ttp://www.lunatipower.com/Tech/Cams/FlatTappetOrRoller.aspx
海外のデータを調べていると、ロッカー比が同じであってもカムと同時交換しないというのは、手法として良くないとされてるみたいです・・・。ローラーの形状に沿ってカム山が最適化されてるらしいので、スリッパーカムとはカム山が原則として違う形状になるみたいで・・・。そんなこんなで、プレオのKA590カムのプロフィールを改めて調べてそのまま入れるか、サンバーのKA600カムを購入しようか思案中です。
110831追記…プレオのKA590カムはヘッドの吸排気方向の違いにより、組む事は出来ても使う事は出来ませんでした。スバルに問い合わせたところ、サンバーのローラーカムは00-01の特殊条件下のみKV時代と同じプロフィールのKA560というものが使われ、02以降はNAと共用のプロフィールのものを使用しているとの事で、どうもエンジン制御を弄くる事で従来型と同じ出力特性にしているみたいでした。
部品の在庫状況はKA560とKA600が比較的在庫があり、KA580はKA600への部番統合の為か、欠品でした。
これにより、KVのEN07Yをローラー化する時に使うローラーカムは、KA560がベターっぽい事が確定しました。02以降の共用カムはKVの制御系でどのような出力特性になるのかが読めないので、原則としてプロフィールの同じKA560を使用するのが無難でしょうね。
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