「オートモビルカウンシル」2023、イギリス車です。
今回、今まで欠かさず出展していたマクラーレン・オートモーティブジャパンが不参加。これはとても残念でした。次回に期待…
== オースティン・ヒーレー ==
100(1954年)

ジロン自動車のブースに並んでいたビッグ・ヒーレーです。

「100」というモデル名は「最高時速100マイル」つまり160km/hを意味します。今では普通のファミリーカーでも出せる速度ですが、当時はさぞかし高性能だったことでしょう。

モデルの年式でいえばトヨタが初代クラウンを出す1年前です。かつての英国車は進んでいましたね。

真っ赤な塗装も相まって、後ろから見るとイタリアンな印象も受けました。
== トライアンフ ==
TR4 A(1965年)

「ガレージイガラシ」出展車。

小型の2シータースポーツですが、各所に配されたクロームメッキが効果的です。この時代の英国車ならではという感じ。

フロントフェンダー側面のポジションランプ/ウインカー台座部分なんて、ちょっと大げさなくらいの装飾が施されています。でも、これが似合う。

この時代の英国車は日本メーカーへデザイン面の影響を強く与えていると思っています。この車の内装も、1970年代の日本車への影響を見て取れるのではないかと。
TR6(1970年)

こちらは「WANNA DRIVE」にて展示されていたTR6です。先ほどのTR4からわずか5年後ですが、がらりと変わっていますね。大きなウインカーやマーカーはアメリカ市場のためでしょうか。

そのアメリカで英国製小型スポーツは我らが日本車に完敗します。トライアンフも車としてはブランド消滅。栄枯盛衰…
== ジャガー ==
Eタイプ シリーズ1 3.8(1965年)

「Jaguaria / ワイズ」のブースにて。久々に見た感のあるEタイプ初期モデル。改めてみると実にコンパクトです。幅なんて1650mmしかない。長さは4.5mありますが、そのうちこの長大なボンネットが多くを占めます。
== アストンマーティン ==
DB6 ヴォランテ(1965年)

同じく「Jaguaria / ワイズ」で。

英国高級車お約束のウッドパネルがない。ブランドの性格を表しています。しかし装備はぜいたくですね。インパネ中央、大きな時計の下にはパワーウインドウスイッチがあります。この時代で窓が自動なのはとても珍しいでしょう。

リアシートもそこそこのスペースが確保されています。普通に座れるでしょう。
DB9 "9 Edition"(2004年)

もう20年前の車ですが、古く見えませんね。

ヘッドライトの樹脂カバーが少しヤレて見える程度でしょうか。
== ランドローバー ==
レンジローバー クラシック(1991年)

オートモビルカウンシル常連のレンジローバー専門店「RANGERS」、今回はクラシックキャンパーの輸入販売を手がける「CCJ」とのコラボ展示でした。何度見ても上品なスタイルの初代レンジ。

上下2分割のリアゲートは便利です。場所を取りませんし、開けたときの見映えもなんかイイ。

個人的にこのリアスタイルが大好きです。小さな縦型ランプが素晴らしい。初代レンジ、今も時々路上で見かけます。

CCJからは激レア英国キャンパーも出品されていました。そちらは最後に。この写真の右側にチラッと写っています。
== モーガン ==
4/4 1600(1973年)

DUPROでの展示。この車、ワンオーナーかつ走行1,600km。オーナーは新車で購入したあとほとんど乗らず、ガレージにしまっていたとのこと。

塗装や幌など当時のまま。シートのヒビは、使用ではなく経年によるものでしょう。

車は乗らないとダメなのか、それとも大切にしまい込んだ方がいいのか、どっちなんだろう。
プラス4(2023年)

ACマインズに展示されていた新車のモーガン。最新モデルです。50年前のモデルと区別が付きません。こういうの、いいですねぇ…
3ホイーラー(2014年)

こちらも、年式書き間違えた?って感じです。

WWⅡ時代の戦闘機を思わせる装飾が描かれています。いやぁ、こういうのもいいですねぇ…
== ロータス ==
同じくACマインズからロータスを2台。
47仕様

ロータス47、ヨーロッパに似せたボディを乗せた生産台数55台のレーシングモデル!と、いま調べました。

展示車はレプリカですが、もちろん内装も手を入れられておりスパルタンなバケットシートが装着されています。
2-Eleven(2007年)

エキシージをベースにしたスペシャルモデルですね。ドアがありません。
== BAC ==
Mono

Monoは単座(一人乗り)のスーパースポーツ。BAC、ブリッグス・オートモーティヴ・カンパニーは英国の新興スポーツカーメーカーです。

Monoはこの展示会で以前にも展示されていました。

カーボンによる560kgほどの超軽量ボディ。0-100km/h加速は3秒足らず。ほぼレーシングカーですね。

購入者は契約時に体を採寸し、それ専用にコックピットを仕立てるそうです。オーナーは体型を維持する必要がありますね。ちなみに右側面にファスナー付きの謎のポケットがありますが、それがこの車の収納スペースだそうです…
== ベントレー ==
4 1/2(1930年)

富士モータースポーツミュージアムにて展示。

ベントレーがル・マンでむっちゃ強かった時代の車。1927年から1930年には4連覇を果たします。
S3(1964年)

堂々たる車。ロールスのシルヴァークラウドと共通のボディは気品と迫力があります。ただ、改めてみるとフロントグリルを見ないとベントレーだと分かりませんね。外観上すぐに分かる違いが与えられるのは2世代あとのSZ系から、それもターボR以降になります。

やはり超保守的です。ボンネットの開き方からしてこうですから。

前席だけでなく、後席もシートバックが立っています。背筋を伸ばしてお行儀よく良く座れということでしょう。

トランクルーム。二段構造になっていて下段はかなりの高さをスペアタイヤ類が占めています。なだらかに下がる英国車ならではのリア形状と合わせ、トランク容量は外から想像よりずっと少ない。当時、そんなことは問題にはならない顧客層を想定していたのでしょう。

よく見るとナンバー上にバックカメラが追加されています。これは自然な処理です。
Turbo RL(1996年)

SZ系ベントレーサルーンの名車ターボR、そのロングホイールベース版です。

特徴的な丸目4灯は1985年のターボR登場からです。それ以前はSZ系でもロールスと同じ角目でした。このモデルでターボを採用しフロントマスクも変え、ベントレーの独自性が出されるようになりました。

1980年に登場したSZ系は先代と打って変わって角張っています。1975年に出たカマルグの発展系でしょうか。そして世界的にも1980年代の高級車はこぞって直線基調に移行しており、RR社は超保守的に見えて実は流行を先導する立場にいたのかも知れません。

そういえばプロ野球の故・野村克也さんもベントレー・ターボRを愛用していました。

このモデルはSZ系としては後期にあたりますね。フロアに配置されたシフトノブに加え、フロントドアの三角窓が廃されバンパーがフルカラード化され、ドアミラーも空力に配慮した形状に変更されています。ロールスロイス&ベントレーが英国ブランドとして独立を保っていたのはこのモデルまでとなります。
== アルヴィス ==
FWD 1.5リッター ストレートエイト 'Grand Prix Car' (1927年)

アルヴィスです。前回に引き続き、日本総代理店「明治産業」の出展。

葉巻型UFOのような?なんだか不思議な形です。その名の通り、前輪駆動でL8エンジンのスーパーカー!イギリス車が世界のトップだったのはこの時代でしょうか。

そういやアルヴィスは前輪駆動を早くから取り入れていたメーカーでしたか。

1.5リッターで8気筒…それをスーパーチャージャーで125馬力を出す。100年近く前、昭和2年の車ですからねぇ。
TB14 ロードスター(1950年)

「ロードスター」って割には実に重厚です。

フロントマスクの縦線グリルがすごい。

リアはとてもふくよかです。

ドア内側にカクテルキャビネット!飲酒運転はダメですよ(笑)
3リッター TE21 パークウォード DHC(1964年)

縦目四灯、さらにその下にポジション&ウインカーランプ。あえて腰高感を強調しています。このマスクがバックミラーに映ったらびっくりするでしょうね。

ただ、車幅は1.7m弱です。実際よりずっと大きく見えます。この車には日本独自の特別装備として、クーラーが付いているそうです。

TE21というモデルは1963年から65年のわずかな期間に352台製造されたのみ。そのうちこの車と同じドロップヘッドクーペは95台のみとのこと。

希少性も贅沢な内装もすごい。
3リッター グラバー・スーパークーペ(2022年)

スイスのコーチビルダー「ヘルマン・グラバー」が架装したクーペ。上のTE21とは好対照です。前回も出ていました。

当時の図面をもとに再生産した「新車」です。

なので、カップホルダーもあります(?)

ここのブースはパネル展示もたのしい。

去年の記事とかぶりますがご容赦。
== ベッドフォード ==
CA ロマニー・ドーモビル(1969年)
最後に激レア車を。

先ほども書きました。「RANGERS / CCJ」ブースの車です。

ベッドフォードって聞いたことありますか?かつて存在したイギリスの商用車ブランドです。そういう私も名前を知っている程度…映画などで時々見かけるくらい。

そのベッドフォードの商用バンをキャンピングカーに仕立てたのがこの車。「CA」が車名で、「ドーモビル」は架装モデルであることを示すそうです。

前席はスライドドア。クロネコヤマトの配送車としておなじみのトヨタ・クイックデリバリーをベースにする感じでしょうか。

足元のラッパみたいな工具、これはなんでしょうか?分かる方おしえてください。

なんとも独特な愛嬌のあるスタイルは唯一無二ですね。これでオートキャンプ場に行ったら大人気まちがいないでしょう!
←次回はイタリア・フランス車などです。