
2024年4月12日から14日まで開催された
「オートモビルカウンシル」です。今年も行ってきました。遅くなりましたがブログで紹介します。
回を追うごとに、車の展示はもちろんトークショーやプロの生演奏、アートの展示など充実しています。今回は、カーグラフィックTVの松任谷正隆さんと田辺憲一さんの対談がありました。そちらは紹介できませんが、テレビでは見かけなくなった田辺さんがまだまだお元気だったことが印象的でした。
オートモビルカウンシル2023
オートモビルカウンシル2022
オートモビルカウンシル2021
オートモビルカウンシル2020
オートモビルカウンシル2019
オートモビルカウンシル2018
オートモビルカウンシル2017
オートモビルカウンシル2016
== メルセデス・ベンツ ==
300SL(1955年)

前回に引き続き「マツシマホールディングス」がブースを構えています。こちら初代300SL。

ブラックに明るいベージュの内装。この車が登場したのは初代トヨペットクラウンと同時期。アメリカ車の小型版とも言えるクラウンに対し、こちらはレーシングカー並みのシャシ&ボディに同じくレーシングカー並みの3リッター直6エンジンを組み合わせた超高性能車。敗戦国ドイツの意地かも知れません。

トランクスペースは広そうに見えますが、開けてみても大きなスペアタイヤに占領されています。なので荷物は専用のトランクに入れ車内に積むわけです。
SLS AMG(2011年)

並んで置かれたこちらは2011年のSLS。実に56年もの隔たりがありますが、初代300SLとの共通点を感じさせるのはうまいですね。

個人的な話ですが、私はこの車を路上で見たことがありません。むしろ実走する初代300SLを何度か見たことがあります。そういや後継のSLRマクラーレンも見たことないな…
280SL(1969年)

とても綺麗に仕上げられています。上品なボディカラー。ボディ前後にマーカーがないのも良き。
500E(1992年)
こちらは常連「ヤナセクラシックカーセンター」です。いまのヤナセは旧車のレストアも手掛けています。

いわずと知れた名車W124、その中でも500E/E500は突出した存在ですね。

この車は当時から並行輸入が多かったと思いますが、これはヤナセ物でしょうかね。リアに例のステッカーが貼ってありました。

…と思ったのですが、前後バンパーがツートンになっているのは本国(欧州)仕様の特徴でしたっけ?日本仕様は同色で塗られていたはず。並行車をベースにヤナセがレストアしたのでしょうか。聞いてみれば良かったかな?

W124のトランクリッドは斜めに大きく開きます。多くのメーカーが模倣しました。大きな開口部と剛性を両立しているのはさすがで、見るからにしっかりした造りです。
280TE(1995年)

後期型。フロントマスクが変更されウインカーレンズがクリアになりました。モダンで洗練されているのはこちらですが、いかにもな雰囲気は前期型が勝ると思います。

濃いエメラルドグリーンの外装にベージュの革内装。とても趣味が良い。

全体的にとても丈夫な印象。開けたリアゲートから垂れ下がるストラップすら丈夫に見えます。
500SL(1993年)

今回のR129は右ハンドル、サーフボード付き。

出たばかりのR129・500SLを即購入した徳大寺有恒さんが、その翌年あたりに追加された右ハンドル仕様に即乗り換えたというエピソードを覚えています。

いまとなってはとても貴重な1台でしょう。

W124をはじめとするこの時代のメルセデス・ベンツ各車は、イタリア出身のブルーノ・サッコがデザインしています。合理性と高級感、独特の個性を兼ね備えた傑作揃いです。このR129の未来的かつエモーショナルなスタイルも素晴らしい。以降のSLは方向性が変わっているように思えます。
560SL(1988年)

560SLは日米豪のみで展開されたそうですね。豪州向けがあるなら右ハンドルがあるわけで、日本にもそれを入れればと思いましたが、当時はその需要がなかったのでしょう。
280SE(1969年)

当時の縦目ベンツ各車はフランス人カーデザイナーのポール・ブラックが手がけました。若く多彩なフランス人は、ドイツを代表する自動車メーカーの名声を高めることに大いに寄与しました。

シートの柄がルイ・ヴィトン?と思ったらヴィトンのバッグが置いてあるだけでした(笑)

いまのメルセデスベンツでは見られなくなった、フロントグリルごと開くボンネット。開けてみるとなんだかガイコツっぽい?
190E 2.5-16 エボリューションⅡ(1992年)

こちらは「Auto Roman」のブースです。このショップでは毎回、すごい車が展示されます。さすがはウルフ・カウンタックを初めて日本に持ち込んだショップです。

映画「蘇る金狼」でも、Auto Romanの営業マンという役柄のキャラクターが登場しました。

ドイツ・ツーリングカー選手権のホモロゲーションモデルとして500台ほどのみ精算された車。割と普通だったエボリューションⅠですが、Ⅱになって過激になっています。
190SL(1958年)

「Mars Inc.」展示車。300SLとよく似たスタイリングですが、こちらはセダンベースのロードスター。車としてまったくの別物です。まぁサイズ感というか受ける印象というか、そちらもまったく違います。

とはいえこの豪華な内装は300SL譲りかも知れません。

後ろから見ると、セダンベースであることが分かります。
450SEL 6.9(1972年)

初代Sクラスのスペシャルモデル。「SIlver Star」で展示されていました。

6.9リッターV8を押し込むためオイルパンを廃止しドライサンプ方式を採用。レーシングカーかと。サスペンションはハイドロニューマチック。どんな人がこの車を維持できるのだろうかと思います。

190SLはSIlver Starも出品していました。隣に見えますね。

長い車です。ショート版「450SE 6.9」が欲しいという声はなかったのでしょうか。それともこんなモンスターマシンでもあくまで運転手付きが前提だったのでしょうか。450SEL 6.9をあてがわれた運転手はさぞかし仕事が楽しかったことでしょう。
== BMW ==
3.0 CS(1972年)

「WANNA DRIVE」ブースの1台。これでもかというほどのスラントノーズ。いまではこういう豪華なGTクーペもすっかり減っています。だからこそこの時代の車が魅力的なのかも。

リアも反復するデザイン。トランクリッド後端とリアバンパーが同じ位置にあります。バック時に壁にぶつけたらバンパーだけでなくトランクもやっちゃいそう。
M6 iDing(1989年)

日本のチューナー「アイディング」が手がけた1台。「Auto Roman」ブースにありました。

アイディングといえば、創業者みずからがドイツで修行し技術を磨いたチューナー。そしてこの車、あまり分かってないのですが、超希少ですよね…?
== ALPINA ==
B9 3.5 Coupe(1985年)

アルピナと言えば洗練された控えめな外観が特徴だと思いますが、大きなフロントエアダムやデカールなど、この車からはむしろ派手な印象を受けます。この時代ならではの雰囲気を感じます。

アルピナは2025年をもって自社生産の歴史に幕を閉じ、以降はBMW傘下のブランドとして生き残ることになりました。
== ポルシェ ==
ポルシェジャパンのブースにて3台展示。
911ターボ(1989年)

930型911ターボの最終型で、トランスミッションが4MTから5MTに。希少な1台。

最近は国内にある貴重な車が海外に流出するケースが多いと聞きますが、この1台はずっと日本に残って欲しいと思います。
911 ダカール(2023年)

悪路走破性を高めたモデル。このカラーリングもたまりません。959パリ・ダカール仕様のオマージュ、というかそのまんまですね。

このサインはジャッキー・イクスの直筆だそうです。
タイカン GTS(2023年)

これは東京マラソン2024の先導車とのこと。まさにEVならではの使い方。
「AUTO DIRECT」展示の3台。
911S(1967年)

まずこちらはミツワが取り扱ったナロー。当時のままのシングルナンバー。

商談中だったようで、価格が隠されていました。
RENNSPORT 911 Targa 3.4

前回も展示されていたレンシュポルト。単に旧車をレストアするのではなく、オールドスタイルで、なおかつ最新技術を取り入れ大胆に仕上げる。いわゆるレストモッドですね。

イギリスからやってきています。右ハンドルの内装をご覧あれ。

この車は1988年式のタルガがベース。実に独特の存在感を放っています。
911 Speedster(1989年)

ドイツ本国仕様。真っ赤なターボルックボディに、黒革の内装。この塗装はオリジナルペイントとのことです。驚きます。

走行距離を見て再び驚きました。たったの1.2万キロです。こんなの、911としては新車みたいなものでは?この素晴らしい1台、お値段もすごかった…
924(1988年)

こちらは「DUPRO」にて展示されていた924です。このクロームメッキのドアミラーはオリジナルでしょうか?それとも初期型っぽくしたカスタマイズでしょうか?

911とはまったく違う方向性の内装ですね。共通しているのはステアリングホイールくらいでしょうか。

911が競合他社に与えた影響は極めて大きいのですが、このFRモデルも同様でしょう。このスタイリングは多くの車が参考にしています。
== ベック ==
550 Spyder

「BECK JAPAN」のブースにて。ベックは北米インディアナ州のメーカーで、旧いポルシェのレプリカモデルを製造していますね。厳密にはアメリカ車なわけですが、こちらで紹介します。というか、BECK JAPANはこの展示会の常連です。
GTS

レプリカというと、どこかバランスがおかしかったり違和感があったり、「こりゃホンモノじゃないな」とピンとくるところがあるものですが、ベックに関してはなかなか分からないのではと思います。ホンモノのレプリカ?
== アルテガ ==
GT(2011年)

ドイツの新興スポーツカーメーカー、アルテガ。この「GT」は同社が初めて世に出したモデルです。展示車は「Mars Inc.」で販売されています。

アルテガ、2011年に破産しています……

EV専業メーカーとして再出発するとか、どこかで読んだ記憶がありますが音沙汰がありませんね。この車を買う人はぜひ大切にしてやってください。
== フォルクスワーゲン ==

今回、特別企画として5台のゴルフを一堂に展示していました。
初代 Golf E(1980年)

斬新だけれどもベーシックで、こりゃ大したものです。さすがはイタルデザイン・ジウジアーロ。典型的なドイツ車ですけど、そういやデザインはイタリアか。初代ゴルフは一度、運転席に座ったことがあります。とても広々としていました。

とてもシンプルなリア。VWのエンブレムがない代わりにVOLKSWAGENの小さな文字が。アウトバーンの追い越し車線で後ろを見せつける…という車ではないということかな。
2代目 Golf GTI(1990年)

オートモビルカウンシルで毎回登場しているゴルフ2。GTIですね。日本ではこのモデルからGTIの正規輸入が始まりました。
4代目 Golf R32(1990年)

4代目ゴルフは私も乗っていました。質感が高く、贅沢な車でした。

このR32、3.2リッターV6とフルタイム4WDを組み合わせるという少々ムチャな最上級グレードでした。W8を積んだパサート4MOTIONとか、この時代のVWはなんかキレたモデルを出していたように思います。
7代目 Golf TSI トレンドライン(2013年)

7代目は日本投入後すぐに試乗しました。そのときの驚きは今も覚えています。とにかく静かで快適で、クラスを越えていましたね。誰だったか、自動車評論家が「クラウン並みに静か」と書いていて、そんなわけあるかヨイショも大概にしろと思ったのですが実際に乗ってみたら本当に静かでした。クラウン並みかはともかく。
8代目 Golf TDI Rライン

私は現行の8代目も好きですね。普通にカッコイイし、歴代モデルの良さをちゃんと引き継いでいます。
常連「スピニングガレージ」でも例年通りゴルフが。

手前から
カントリー、
CLI、隠れていますが
カブリオ・クラシック。ゴルフ・カントリーは、いまで言うクロスオーバーSUVですね。このクラスの先駆者(先駆車)でしょうか。
ID. BUZZ Cargo

こちらは「VW GAKUYA & BLAZE CUT」が展示していた車です。IDバズ、VWのミニバン型EV。日本へは今年中に正規導入開始という話でしたよね。

実車は、正直言ってちょっと微妙でした。見慣れたら違ってくるのかも知れませんが、狙いすぎでピンと来ないという印象。大きすぎる前後VWエンブレムもイマイチかと。後ろなどテールランプより大きい。いろいろ模索中という感じです。
最後にビートルを。
タイプ1(1952年)

「Vintage Car VISCO」が展示するこの1台。ビートルの初期型、いわゆる「スプリットウインドウ」ってやつです。レアですねぇ。ウインカーもアポロ式が付いていました。

長い時間を掛けて徹底的に仕上げられており、車内のクッションも当時のオリジナルとのこと。

それでいてエンジンはスーパーチャージャー付きに換装!この初期型ビートル、いったいどんな感じで走るんでしょう?
←次回はイギリス車をアップします。