武川5速ミッションにCD90クラッチを装着するまで
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※この流用について、Gクラフト製のカブ用バックステップを導入している場合は干渉するため装着できません。
ベンリィ用を装着している場合は流用可能。
CD90(HA03)に採用されている2次側クラッチを社外5速ミッション車に流用しようというものです。
ヤフオクにて以下の物を入手しました。
・武川製プライマリドライブギヤ変換キット
・クラッチカバー、レリーズアーム、プッシュロッドのセット
・加工済みクラッチアウター、カラーのセット
・クラッチインナーパーツ一式
なお、追加で以下のものが必要でした。
・ボルト類(40×5、65×2、80×1)
・ケーブルレシーバー(50356-198-000)
・スプラインワッシャ(90462-115-010)
・適当なスペーサーカラー(穴径17mm、1mm厚程度)
・スナップリング(16mm)
・武川製ベアリングシート、スラストベアリング、スラストワッシャ
・APE用クラッチケーブル(909-1122911)
モンキー等の4速ノーマルミッションに使用する場合、いずれかが必要です。
・モンキー系クランクケース…キタコ キャブモンキー用メインシャフト(307-1083812)
・CD、カブ系クランクケース…キタコ FIモンキー用メインシャフト(305-1137812)
CD90ミッションで使用するコッターとセットリングに関しては装着できないため使用しません。
なお、スラスト軸受については武川製のものに限らず、クラッチアウターの加工次第で他社製のものも流用可能です。
仮にこれを使用しない場合、圧着力をケースに圧入されたベアリングが受ける事になりますので、極力使用する方向で検討すると良いと思います。
モンキーのクランクケースだと悲惨な事に…
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組み合わせるメインシャフトですが、CD90純正は勿論のこと、画像のように先端に2本の溝のあるメインシャフトが理想です。
社外ミッションには様々な仕様が混在しているので注意が必要です。
【追記】
自分が使用しているメインシャフトは00-02-0341になりますので、これが装着されている場合はクラッチインナーの加工も必要になります。
二本溝のものは00-02-0176となり、こちらを装着していればクラッチアウターとカラーの加工のみで済みます。
また、キタコ製のメインシャフトを使用する場合、他社のものより1mm程度長くなりますので、その分アウターの厚みを残す事ができます。
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今回、組み付けているメインシャフトがたまたま短いものだったため、先程の画像で上から2番目の溝にスナップリングを嵌めなければいけませんが…
無加工のままではまず間違いなくこの画像のようになってしまい、上手く嵌まりません。
前の所有者がある程度加工をしてあったようですが、更なる追加工を余儀なくされました。
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クラッチアウターに関しては、ヤフオクで購入した時点で既にここまで削り落とされていましたが、これを更に削り込みます。
結果として以下のようにしました。ドリブンギヤ裏側はギリギリのクリアランスとなります。
ドライブギヤとの勘合具合も問題になりますが、ツライチだったものが1mm程度奥に噛ます事ができました。
クラッチアウター=13.97-0.03
クラッチアウターカラー=14.00±0.03
これらの数値は実際に組み上げた際に接触する箇所を基準にして測定します。
クラッチアウターの加工に際しての注意点としては、カラーの寸法を若干大きく取る必要がある事です。
カラーはクラッチを切った際に圧着力が直接掛かる箇所であり、クラッチアウターとは独立して(クラッチインナーと連動して)回転する必要があります。
このクリアランスを追い込みすぎてしまうとクラッチの切れが悪くなるばかりか最悪はクラッチが切れなくなりますので要注意です。
加えて、パーツの組み合わせによってはクラッチインナー中央の加工も必要となります。
クラッチインナー=14.00-0.03
武川の一本溝メインシャフトの場合は、スラスト軸受からスナップリングまでの距離が31.7mm程度になりますので、この範囲にマイナス公差で収まるようしっかり追い込みます。
後からシムで微調整ができますので、削り残すより削り過ぎの方がまだ救いがあります。
なお、クラッチインナーの段取りには特に気を付けましょう。
底面の形状にフィットする治具があれば、もしくはそれを製作できればベストですが、設備を借りて行う場合は出来合いのもので済ませる事を考えた方が良いでしょう。
底面中央の突起のみでは切削抵抗に耐えられません。(一度吹き飛ばしました)
ブロックを上手く使って接触面積を増やすと吉。
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なんやかんやありましたが、無事組みあがりました。
カブの場合はサイドカバーにも加工が必要になります。
ボロボロになってきたので買い換えたい…
キックペダルの形状によってはカバーに当たったりする場合がありますので、交換も視野に入れましょう。
モンキーR用のものを使用するとペダルとカバー両方を上手く避ける事ができるかも。
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おまけ、今回の加工に要した費用。
工作機械を借りられるようなツテがなくて困っていましたが、とある機関に助けられました。
全国各地に「工業技術センター」と呼ばれる施設(呼称は異なる場合あり)がありますが、そこでは企業が使うような大掛かりな機械設備を保有しており、自分のような一般個人でも有償ながら設備を借りる事ができます。
基本的な工具、治具は粗方揃っており、特殊な機材を必要としない限りは手ぶらでも大丈夫です。
更に、設備を利用する時は職員がついており、段取りや加工方法を相談しながら作業を進める事ができますので、自分のようにブランクのある人間でも安心して利用できます。
少額の出費で思うままに加工ができる、これはコミュ障にこそもっと知られるべき。
なお、保有設備については施設によって違いますので、当該施設のサイトにて確認される事をお勧めします。
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【追記】
補修部品としてキタコのULTRAクラッチ用インナーを入手しました。
中央は既に切削されており、取付部の厚さは15mm。
それ以外の寸法はCD90のものと全く同じです。
アウターとの間に入れるスペーサーの枚数を調整すれば無加工で流用できますね。
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