先日、同僚が海外出張から帰ってきました。で、これはそのお土産。
いわゆるブルーチーズです。アオカビ生えてます。もしこれがみかんやおもちの上だったら「腐敗」になるんでしょうが、チーズだったら「醗酵」もしくは「熟成」になるんですよね。
チーズの味成分を整えたり引き締めたりするのにアオカビの酵素が利用されています。同様なことは日本の鰹節でも行われています。鰹節製造の工程でアオカビを生やして核酸を分解させ、イノシン酸のような旨味成分を作らせているんですね。文化・文明は元より、食材が全く違っても同様な事を行っているのも面白いですよね。
それにしても、人が受ける効果・恩恵によって善玉だったり悪玉だったり。人間ってよくよく身勝手ですよね~~
ところでこのアオカビ、学名では”Penicillium(ペニシリウム)”と言います。顕微鏡で見ると青い部分(胞子)の造形が筆のように見えることからラテン語の”筆”という単語に因んだものです。
といえば「ペニシリン」を思い浮かべますよね。戦前、結核やそういった病魔から世界を救った救世主的な抗生物質です。
1920年代、肺炎などを引き起こす「黄色ブドウ球菌」という細菌を研究していたフレミングは、捨てる直前の「黄色ブドウ球菌」を生やしていたシャーレに面白い現象を見つけました。
たまたまシャーレに混入して生えていたアオカビの周りにだけ黄色ブドウ球菌が生えていなかったのです。彼は「アオカビが黄色ブドウ球菌を殺す何かを作っているのではないか」と考えました。
これが「ペニシリン」発見・開発のきっかけなんですが、そこから「抗生物質」という新しい概念が生まれ、似たような有効成分が他のカビや微生物から次々と発見されました。いまでは抗生物質はいろんな病気の治療になくてはならないものになっています。
「アオカビが混入していたこと」は研究の基本としては大失敗なんですが、「それをどうとらえるか」で成功にもなりえるという良い例かもしれませんね。
当然と思われている事も、たまには別角度から考えてみるのも必要かもしれません。
「花粉症」も「禁酒」の良いきっかけ・・・?
Posted at 2005/04/04 11:29:34 | |
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