飛行物体を探知するにはレーダを使うのが一般的です。
早期警戒機や空中管制機はその警戒監視用レーダを飛行機に乗せたものになります。

これがE-2C早期警戒機。
背中に巨大なお皿を背負っていますがこれが監視用のレーダ(ものすごい高性能)です。
地上にレーダ基地を作れば良いのになぜわざわざ武器も積めない高価な専用機をつくるのかといえば、より遠くまで、より広い範囲を監視できるからです。
高い建物からだと広い範囲を見渡せますよね。
東京タワーやスカイツリーからだともっと遠くまで見渡せると思います。
つまり高い場所からだと低い場所から監視するより遠くまで見渡せるわけです。
なのでレーダー基地は丘や山につくるわけです。
でも地上には山があったり建物があったり、遮蔽物がたくさんあります。
レーダーは電波を使いますが電波は直進しかしないので、あまり相手が超低空で飛行するとレーダ基地の死角に入って探知されにくくなってしまいます。
さらに地球は丸いので地平線よりも先は見えないわけです。
そこでレーダーを飛行機に乗せてより高い場所で監視し、さらに移動できればもっと遠方で探知ができるわけです。
今は飛行機がジェット機ですし、ミサイルはマッハ近くで飛びますから1秒間に300メートルも400メートルも移動できちゃいます。
ほんの数秒でも探知が遅れると対処が出来なくなる恐れがあるわけです。
どんなに高性能な戦闘機や地対空ミサイルをもっていても相手を探知できなければ動くことも部隊に指示を出すことも出来ません。
空飛ぶ警戒監視機はメチャクチャ重要なんです。
現在航空自衛隊は早期警戒機として警戒航空隊隷下にE-2Cを第601飛行隊と第603飛行隊に、空中管制機としてE-767を第602飛行隊に配備しています。
警戒航空隊にE-2Cが配備されたのは昭和58年ですから30年以上にもなります。
日夜絶え間ない警戒監視活動を行って我が国の世界でも有数の強固な防空網を支えているわけです。
この間にE-2Cは米軍の「ホークアイ2000」という近代化に準拠した改修をうけてさらに高性能な監視システムになっています。
が、既に配備から30年たっていますし、さらに中国軍の軍事的挑発行動で毎日沖縄周辺海域で警戒監視活動をおこなっているので機体の余裕もありません。
そこで昨年12月17日に国家安全保障会議で決定した防衛大綱と中期防整備計画の中で新規に早期警戒機の整備計画が織り込まれたわけです。
中期防(平成26年度~30年度)に4機の新型早期警戒機が調達されることになっています。
と、ここまでずいぶん前置きが長かったですが、
新早期警戒機が決定しました。
E-2Dアドバンスホークアイです。
候補はボーイング737旅客機に警戒監視レーダを搭載したB.737AEW&CとE-2Cを大幅に改良発展したE-2Dの事実上の2機種だったのですが、やはりといいますか本命のE-2Dが選ばれましたね。
E-2Dは非常に高性能なレーダを搭載していますが、何しろ機体のベースがE-2Cと同じ(初飛行は1960年!)で設計が古いですし何しろ機体が小さいので乗員の居住性も決してよろしいとはいえないようです。
長時間の監視活動飛行になりますから居住性はとても重要な要因になります。
それでも今までE-2Cを使っていたのですから整備補給も有利ですし、何より電子機器やレーダがむちゃくちゃ高性能なところがポイントだったのではないでしょうか。
いっぽうでB.737AEW&Cは機体が旅客機ベースなので居住性が良く長時間の監視活動もしやすい反面、レーダをうごかすのに時間がかかるとか、米軍が採用してないのでアップデートや整備補給に不安があるのではないかといわれていました。
E-2D決定は妥当じゃないでしょうか。
E-2Dは米海軍ではCECシステムで大きな役割をもっています。
CECとは共同交戦能力のことで、イージス艦やE-2の情報を互いに共有して作戦行動をおこなえる能力です。
航空自衛隊が配備を予定するF-35、海上自衛隊のイージス艦と組み合わせることができればより高度な作戦がおこなえるようになります。
どのような運用をしていくのか興味深いですね。
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安全保障・政治 | 日記
Posted at
2014/11/21 01:00:40