さあ平成27年もあとわずかになってきました。
10月からは自衛隊関係イベントが目白押しになるいわゆる「シーズン」になるわけですが、10月11日日曜日には愛知県名古屋市にある陸上自衛隊守山駐屯地にて第10師団創立53周年記念行事が行われました。
守山駐屯地は第10師団司令部、司令部付隊、第35普通科連隊、第10通信大隊、第10特殊武器防護隊、第10音楽隊などが駐屯する駐屯地です。
なお、今回カメラの扱いを思いっきりミスって妙にピントがずれてる(建物の窓に合ってしまったみたい)とか、観客の頭が写らないように妙に変な構図(やたら上があいてたり)が多々ありますが気にしないように(笑)

さぁ式典(観閲式)がはじまりました。
第10師団長を観閲官とし、隷下の第10師団各部隊が観閲を受けます。
部隊旗、隊員が首に巻いているマフラーがさまざまな色になっています。
この色は職種を示します。
普通科は赤、機甲科はだいだい、武器科は緑、特科は濃黄、施設科はえび茶、通信科は青、輸送科は紫、化学科は金茶、衛生科は濃緑などを示しています。

式辞を述べる観閲官の第10師団長。
第10師団は中部地方の防衛・警備・災害派遣を行う中部方面隊隷下の部隊で、ここ守山駐屯地に本部をおき愛知・岐阜・三重・石川・福井・富山の中部地方6県を担当します。
昭和34年6月に三重県久居駐屯地で前進となる第10混成団が編成され、団本部と普通科部隊他の各部隊が守山(名古屋)に移動して守山駐屯地が創設されました。
そして昭和37年1月に第10師団として再編成されました。
今年平成27年に第10師団編成53周年となったわけです。

「観閲行進準備」の合図とともに観閲を受けている隊員が隊列を保持したまま各自の持ち場に向かいます。
今回の観閲行進では観閲飛行も予定されていましたがあいにくの天候のために中止となってしまいました。
第10音楽隊

「観閲行進」
行進してきたのは第10音楽隊です。
第10音楽隊は第10師団隷下の音楽部隊で、士気高揚や記念行事、民生協力などで音楽演奏を行う部隊です。
昭和34年に第10混成団音楽隊として久居駐屯地にて編成されその後守山駐屯地に移動、昭和37年第10師団音楽隊に改称、昭和50年に第10音楽隊として再編され現在に至ります。

さあ観閲行進が始まりました。
第10音楽隊の
陸軍分列行進曲演奏とともに進入してきたのは第10師団司令部、第10師団司令部付隊の82式指揮通信車3両です。
第10師団司令部付隊は第10師団司令部を補佐する部隊です。
第14普通科連隊

続いて82式指揮通信車を先頭に進入してきたのは第14普通科連隊です。
第14普通科連隊は石川県金沢駐屯地に駐屯する普通科(歩兵)部隊で、北陸3県の防衛・警備・災害派遣を担当します。

第14普通科連隊は連隊本部、本部管理中隊、4個普通科中隊および重迫中隊によって編成されています。
自衛隊の前進となる警察予備隊が発足した昭和25年に金沢駐屯地が設置され、昭和29年9月に第14普通科連隊として編成完結されている陸上自衛隊でも歴史ある部隊です。
その後昭和29年10月に第1管区隷下となり、昭和34年第10混成団、昭和37年第10師団の隷下と編成され今に至ります。
第33普通科連隊

次は第33普通科連隊です。
第33普通科連隊は三重県の久居駐屯地に駐屯する普通科部隊で、三重県の防衛・警備・災害派遣を担当しています。

第33普通科連隊は第14普通科連隊と同じく第14普通科連隊は連隊本部、本部管理中隊、4個普通科中隊および重迫中隊によって編成されています。
明治41年に陸軍の駐屯地として久居駐屯地が開設され、大正14年に歩兵第33聯隊が移駐してきました。
戦後昭和27年に陸上自衛隊久居駐屯地として発足し、歩兵第33聯隊の部隊番号33を継承する第33普通科連隊が置かれ昭和34年第10混成団、昭和37年第10師団隷下の部隊として現在に至ります。
下の写真で隊列後方で隊員が担いでいるのは01式軽対戦車誘導弾です。
第35普通科連隊

「車両部隊行進」
徒歩行進に続いて車両部隊が行進します。
行進曲は陸軍分列行進曲から
祝典ギャロップになります。
先頭は第35普通科連隊です。
第35普通科連隊は昭和37年に守山駐屯地にて第10師団隷下の普通科部隊として編成され、愛知県西部及び岐阜県45市33町村の防衛警備・災害派遣を担当しています。
第14普通科連隊、第33普通科連隊と同じく連隊本部、本部管理中隊、4個普通科中隊および重迫中隊により編成されています。

装備は軽装甲機動車。
軽装甲を装備し戦略機動・戦場機動などに用いる小型の装輪装甲車です。
固有の装備はありませんが小銃や対戦車誘導弾の車上射撃が可能です。
1枚目と2枚目の写真の車両では無線アンテナや発煙弾発射筒の有無など細かな仕様の違いがあります。

続いての装備は高機動車。
戦場機動はもちろん、高い路上機動性をもつ中型のトラックで実に10名の隊員を乗せることができます。
普通科部隊等に大量導入され普通科部隊の足として使用されています。
第10偵察隊

次の部隊は第10偵察隊です。
第10偵察隊は第10師団の目となり耳となる偵察部隊で、第10偵察隊本部及、本部付隊、3個偵察小隊と電子偵察小隊により編成され偵察行動により情報収集を行います。
第10偵察隊は昭和33年6月に第10混成団偵察中隊として今津駐屯地にて発足し、昭和37年1月に第10師団隷下となると第10偵察隊として改編され現在の春日井駐屯地に移駐しています。

装備は偵察オートバイ。
オートバイの軽快な機動を活かして車両が通行することが難しい倒木や細い通路でも行動することができるため偵察や連絡用に用いています。

装備は軽装甲機動車。
軽装甲機動車は普通科部隊に配備されていますが、偵察隊にも配備されています。
固有の武装はありませんが写真のように小銃や機関銃を車載することができます。

装備は87式偵察警戒車。
87式偵察警戒車は昭和62年度に制式化された装輪装甲車で25ミリ機関砲と機関銃、TVカメラ、微光暗視装置を装備しています。
空地火力脅威の中で路上機動により偵察警戒・側方警戒行動を行います。
第10偵察隊には平成4年に配備され斥候班Cが編成されています。
第10特科連隊


続いて第10特科連隊です。
第10特科連隊は愛知県豊川市にある豊川駐屯地に駐屯し、愛知県東三河地方の防衛警備・災害派遣を担当しています。
第10師団で対地火力を担う野戦特科(砲兵)部隊で、連隊本部、本部中隊、情報中隊、3個大隊により編成されています。
昭和32年2月に第3管区総監直轄部隊として編成され、大久保駐屯地へ移駐した後昭和35年3月に豊川駐屯地に移駐しています。
昭和37年に6個大隊をもつ連隊として編成完結しています。

装備は82式指揮通信車。
昭和57年度に制式化された陸上自衛隊初の国産装輪装甲車で、師団司令部や特科部隊に配備され指揮通信を行います。

装備は155ミリりゅう弾砲FH70。
FH70は陸上自衛隊の主力となる牽引中砲で、最大射程は通常弾で24km、噴進弾で30kmという長大な射程をほこる優れた火砲です。
欧州で開発され陸上自衛隊では昭和60年度から部隊配備が始まり、第10特科連隊では昭和63年に第5大隊がFH70による改編がはじめられ平成8年には全大隊がFH70を装備することになりました。
第10特科連隊は平成16年には5個大隊(12個中隊)計60門のFH70をもつ中部方面隊最大の特科部隊でしたが平成26年の再編で第4、第5大隊が廃止されたため現在は30門の装備となっています。
第10高射特科大隊

次は第10高射特科大隊です。
第10高射特科大隊は第10師団の防空を行う部隊で豊川駐屯地に駐屯しています。
元々は第10特科連隊で高射特科(高射砲兵)を担当する大隊として昭和32年2月に姫路駐屯地で第3大隊として編成され大久保駐屯地時代を経て昭和35年3月に豊川駐屯地に移駐してきました。
昭和37年1月に第10特科連隊第6大隊として改編され、平成3年3月に第10高射特科大隊として独立し今に至ります。

装備は93式近距離地対空誘導弾。
91式携帯地対空誘導弾を高機動車に車載型にした簡易な防空システムで、低空域目標の撃墜を主としています。
平成5年度に制式化され第10高射特科大隊ではL90 35ミリ高射機関砲の後継として平成16年に配備されています。

装備は81式短距離地対空誘導弾(C)。
我が国初の国産地対空ミサイルとして昭和56年度に制式化された81式短距離地対空誘導弾の改善型で平成7年度に制式化されました。
光波弾と電波弾という誘導方式の異なる2種類の地対空ミサイルを採用し、対妨害性能が向上したとされています。
第10高射特科大隊では昭和63年に81式短距離地対空誘導弾(B)が配備され、平成22年にこの(C)が配備されています。
観閲行進その2へ続きます。
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第10師団創立53周年記念行事 その1/その2/その3/その4