最近な~んか調子が悪いです。
早くも五月病でしょうか?
でも五月病って言葉、便利ですよね。
4月だと「え?もう5月病?」
7月だと「え?まだ5月病?」
と年がら年中使えます。
あ、これって某アニラジのネタのパクリですよ(笑)

であごすてーに。
29号は二式複座戦闘機「屠龍」(キ45改)です。

箱から出してみるとその大きさにびびります。
これは大きい!
一瞬「お?爆撃機か?」と思ってしまうほどでもないわけでもないかもしれません(笑)
ディテールのほうは値段相応ということになってしまいますが、全体の形状は悪くなさそうですね。
あいかわらず主翼と胴体の隙間が大きいのは愛嬌愛嬌。
武器は機首に装備された12.7ミリ機関砲と胴体下に装備された20ミリ機関砲です。
写真ではどの角度からもみにくいのですが、モデルには20ミリ機関砲の弾道溝が再現されています。

さて上で一瞬爆撃機か?と思ってしまうと書きましたが、ホントに戦闘機らしくない感じがしますね。
零戦やキ61などと比べてみるとエンジンが二つありますし、操縦席が異様に大きいですね。
タイトルが「複座戦闘機」ということからもわかるように、戦闘機は1人乗りが当たり前なのにこの機体は2人乗りなわけです。
大日本帝国陸軍の戦闘機は敵地上空で持ち前の運動性能を活かして格闘戦で敵機を撃ち落して制空戦闘を行う「軽戦闘機」と、エンジンの大馬力を活かして強力な高速・上昇力を使って敵機を打ち落とす「重戦闘機」がありました。
海軍は敵機から拠点を守るため迎撃戦闘を行う「局地戦闘機」として重戦闘機を運用していました。
ではこの二式複座戦闘機(キ45改)は?
2人乗りで双発ということからもわかるように、長距離を飛ぶことを求められます。
要するに爆撃機の護衛戦闘機というわけです。
もちろん運動性は劣るわけですが、エンジン2基の大パワーでこれを補おうと言うものです。

さて複座戦闘機ですが、実は開発当事はちょっとふわっとしていたところがありました。
長距離を飛ぶ爆撃機に随伴して敵機から爆撃機を護衛する護衛戦闘機には陸軍も関心があって昭和12年度の兵器研究方針にもとづいて三菱、川崎、中島の3社に競争試作を命じています。
ところがこのときには単発エンジンなのか双発エンジンなのか、多発エンジンなのかも指定していません。
ほどなくしてこの競争試作は謎のキャンセルとなりましたが、その後昭和12年12月に川崎にキ45の名前で双発複座戦闘機の試作が命じられています。
このときの要求仕様は最大速度540km/h以上、全力+巡航速度で4時間40分の航続性能とありました。
それほどハイレベルなものではなさそう・・・・?

昭和14年1月にハ20乙というエンジンを双発としたキ45の1号機が完成しました。
ところがテストしてみると速度は480km/hでずいぶん劣るのと、エンジンナセルと主翼のマッチングの悪さから来る気流の乱れで失速にいたるナセルストールという非常に深刻な問題が発覚しました。
そこでエンジンをハ25に換装してエンジンナセルの形状を変更するなどして対策をしましたが速度性能こそ520km/hをクリアしましたがナセルストールの問題はクリアできず、ほかにも問題を抱えていることもあってキ45の採用を見送りました。

採用を見送られたとはいえなんとしてもものにしたい軍と川崎はキ45第2次性能向上機という名前で改めて昭和15年10月に川崎に試作発注しました。
でもできることは既にやったわけですし、どうすれば・・・・
そこでウルトラC的な方針転換をします。
機体をまるまるっと開発しなおせばよい(!?)。
・・・いや、既にそれって「キ45」でもなんでもないだろう・・・
というつっこみはさておき、九九式双発軽爆撃機(キ48)の基本設計を流用したわけです。
つまり今までキ45と呼んでいた機体とまるっきり共通点はありません。
なぜキ45改とわざわざ「改」がついてるのかはこういう理由です。

キ48の機体設計を流用したキ45改はわずか1年後の昭和16年9月に1号機が完成となりました。
ベースが既に量産機だということもあって速度性能、航続距離性能ともにクリアできて昭和17年2月に二式複座戦闘機の名前で採用となりました。

キ45改が搭載したエンジンはハ102というもので1050馬力のものです。
これを双発としてるので最大速度540km/hで足りない運動性を補う・・・
はずでしたが、やはり無理があったようで、実際に空中戦に入ると非常に厳しいものがあったようです。
速度540km/hってキ43の495km/hに比べれば確かに速いですが、それで優位に立てるほどではないですものね。
そこで搭載量が大きいことを利用して船団護衛や哨戒、対地、対水上目標攻撃任務に転用されていたそうです。

キ45改はいくつかのタイプがあります。
基本型のキ45改甲、武装強化型の乙、丙、丁があります。
キ45改甲の武装は機首に12.7mm機関砲×2、胴体下に20mm機関砲×1なのですが、
武装強化型の乙は12.7mm機関砲×2に加え後部座席に7.92mm旋回機銃×1と、胴体下になんと37mm戦車砲(!)×1を搭載しました。
・・・当たれば威力は絶大だろうけど戦車砲なんて当たるんかいな?
さすがにまずいと思ったのか同じく武装強化型のキ45改丙では機首に37mm機関砲×1、胴体に20mm機関砲×1、後部座席に7.92mm旋回機銃×1を装備していました。
同じく武装強化型の丁型は機首に37mm機関砲×1、前席と後部座席の間に20mm機関砲×2を搭載していました。

丁型ですが、非常に特徴的でもあります。
この頃海軍の夜間戦闘機「月光」が20mm機銃を傾斜をつけて取り付けた「斜め銃」で爆撃機迎撃に有効だということがわかってきました。
そこで陸軍もこれにならって20mm機関砲を斜めに固定装備しました。
敵の大型爆撃機の下から上斜め向きにセットされた機関砲を撃つのですから、いわば高射砲を有効射程距離まで持ち上げて撃つのと同じ。
非常に効果的だったそうです。
こうして性能的にはさほどでもなかったキ45改は優秀な夜間戦闘機として名を残したわけです。
ところでこの斜めにセットされた機関砲ですが、海軍との固執もあるのか斜め銃ではなく「上向き砲」と呼んでいたそうですが。