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アスロックのブログ一覧

2015年08月23日 イイね!

夏だ!海だ!舞鶴だ!そして熱中症だ(その4)第23航空隊サマーフェスタ2015

さて7月26日です(これ書いてるときはお盆終わってますが)。
いよいよ本番舞鶴サマーフェスタですね。
朝はホテルで朝食を。
TKGとベーコン、卵焼き、ソーセーヂで決まりです☆

ホテルからみた舞鶴湾。
暑そうだ・・・・
一息ついて会社の同僚をレンタカーで宿に迎えに行き、サマフェに。

ちなみにこの時点で気温は33度近くあったと思います。
動くだけで汗まみれの状態・・・・

やべぇぜ・・・

まずは舞鶴航空基地に向かいました。
舞鶴航空基地は北吸桟橋から車で数分の距離。
駐車場につくと猛烈なむっとする熱気。
昨日も相当ヤバかったですが今日はさらにやばい気がするぜ・・・
熱中症予防にスポーツドリンクも塩飴もOS1も十分用意しているんですが、不安しかないぜ。
そうだ、もってきたスプレーすると気化熱で冷たくなるあれを使おう。
しゅっしゅっ。
・・・・
・・・
・・


なんかちょっとキツい臭い。
あまりヒヤっともしない。
ん~?


これ虫除けスプレーじゃんか!!
(写真はアスロックさんのイメージ画像)
なんでしょうこの虚脱感、がっかり感。
自動販売機で500円玉のおつりだと思って手に取ったら500ウ○ン硬貨だったときぐらいのがっかり感です。


ま、まぁ気を取り直して舞鶴航空基地へ。
ゲートをくぐると

除雪車と除雪ドーザがまっていました。
猛暑なので忘れがちですが、舞鶴は日本海側なので冬は積雪で施設の運用に支障が出る場合があるんですよね。



救難消防車が展示されていました。
手前は消防車MB-1改、奥は新型の救難消防車。
今年4月に配備されたばかりの最新式です。
用途が同じからなのか、形はずいぶん未来的ですが全体のフォルムはMB-1改も新型救難消防車も同じなんですね。



地上展示されたSH-60K哨戒ヘリコプター。
こんなに機体に接近で来ちゃうのも舞鶴サマフェならではですね。
SH-60KはSH-60Jの後継として開発された哨戒ヘリコプターです。
機体を大型化(全備重量がSH-60Jが9.9トンに対してSH-60Kは10.9トン)させると同時にエンジンも高出力型(SH-60Jの1800SHP×2に対してSH-60Kは2055SHP×2)に換装されています。
逆合成開口レーダ、低周波ソナー、戦術情報交換装置を新たに装備しています。




陸上自衛隊からもヘリコプターの地上展示参加がありました。
上は対戦車ヘリコプターAH-1S、下は多用途ヘリコプターUH-1Jです。
AH-1Sは陸上自衛隊がはじめて導入した対戦車ヘリコプターで、被発見や被弾を防ぐため徹底的に胴体を細くした機体で胴体横にスタブウイングという小さな翼を設置し、そこに対戦車ミサイルと空対地ロケット弾を吊り下げることができます。
UH-1Jは多用途ヘリコプターUH-1の陸上自衛隊向け性能向上型です。
人員輸送や物資輸送など多用途にもちいられるヘリコプターでパイロット2名のほか11名の人員を輸送することができます。
この2機は形は全く違いますが、AH-1はUH-1をベースに開発された機体で、しかもこのAH-1SとUH-1Jは同じエンジンを用いています。
飛行する音を聞くとベースが同じ機体なんだなと実感しますからホント不思議です。
並んでいないとあまり実感わきませんが、中型ヘリコプターのUH-1やそこから発展したAH-1と比べるとSH-60ってかなり大きいんです。
AH-1Sの胴体長さは13.6m、UH-1Jの胴体長さは12.9mに対してSH-60の胴体長さは15.6mと一回り以上大型だったりします。



こちらはエプロンで待機していたSH-60K。
メインロータの先端が複雑な形になっているのがわかります。
SH-60KはベースのSH-60Jに対して1トンもの重量UPとなっています。
当然メインロータもそれに耐えられる必要があるわけでSH-60Kでは性能向上型メインロータを採用しています。
断面形状や先端形状を変更するなどして性能向上、高効率化をはかっています。
ただし機体が大型化・重くなったこともあって最高速度は149ノット(276km/h)から139ノット(257km/h)へと10ノット(19km/h)程度低くなっているようです。


さて、ちょうどSH-60Kが体験飛行(?)のために離陸していきました。

まぶしいぐらいの夏の青空に白い(本当は灰色ですが)のSH-60が映えますね。
胴体下面の機首側に巨大な丸型のものは対空・対水上レーダです。
哨戒ヘリコプターは対潜のイメージが強いですが、対空監視、対水上艦監視も重要な任務のひとつです。
護衛艦の対空レーダは高性能ではありますが海上で使ってるのでどうしても死角(地平線の下)ができてしまいます。
哨戒ヘリコプターが高度をとって対空監視することである程度のカバーができますし、特に水上目標に対しては広大な監視ができます。
SH-60Kの対水上レーダはSH-60Jに対してさらに能力が向上した合成開口レーダを搭載しているので信号処理により目標を画像化し捕らえることができるそうです。



体験飛行(?)からSH-60Kが戻ってきました。
護衛艦に搭載されてるとわかりづらいですが、SH-60はかなり大型のヘリコプターです。
メインロータの直径は16.4m、メインロータを含めた全長は19.7mですから、ロータを含めれば何気にF-15よりも大きく、全備重量はT-4の2機分にもなるのですから驚きです。
そのSH-60Kの着陸は結構迫力ありますよ。



一方、飛行場施設をつかって新型救難消防車の走行展示が行われていました。
この車両はローゼンバウワー製で最大吐出量約6kl/minと従来の救難消防車よりも大幅に性能が向上しているようです。
赤い車体に白いクレインブリッジをからめて舞鶴っぽい1枚にしてみました。


さて、格納庫内では模擬店なども行われてました。
ドーナツ店の出張所もありましたよ。
でもやはり一番人気はカキ氷でしょうか。
私も並んだのですが・・・
むっちゃくちゃ手際が悪い。
1回1回氷をガチガチ割ったりして、1人分つくるのに3分ぐらいかかってました。
いまからヘリコプター飛ぶってのにまってられるか!
たまりかねて列を離れましたが、もう少しチャチャっとやってよ~




体験搭乗(?)を終えたSH-60Kが再び飛行準備のためにランウエイに向かいます。
機体右側後方の黄色い魚雷?のようにみえるのはMADという磁気探知装置です。
SH-60JやSH-60Kはこれを曳航式として装備しています。
地球は巨大な磁石といわれるように地磁気があります。
巨大な金属の塊の潜水艦が海中にいるとこの地磁気が変化します。
その地磁気の変化を感知するのがMADです。
また機首右側下に灰色の球状のものがありますがこれはFLIRと呼ばれる赤外線探知装置です。
これで夜間監視能力が向上されました。





再び体験搭乗(?)のため離陸するSH-60Kです。
なんとも夏の舞鶴!って感じですね。
照り返しが結構きつくてめちゃくちゃ暑かったですよ(^^;
舞鶴航空基地は日本海側唯一の海上自衛隊航空基地として平成13年に運用が開始された新しい航空基地です。
ここには第23航空隊がおかれ、航空隊本部、舞鶴航空機地隊、SH-60J、SH-60Kを装備する第231飛行隊、整備を行う第231整備補給隊が編成されています。
第23航空隊は平成13年に第21航空群隷下に新編された舞鶴航空分遣隊が前進となり、平成20年に第23航空隊へと改編されています。
舞鶴航空基地がなかった頃は舞鶴基地を司令部にする第3護衛隊群には遠く館山基地など別の航空基地から展開する必要があったためかなり不便だったようです。
舞鶴基地から舞鶴航空基地までは車でも数分の距離ですから護衛艦と哨戒ヘリコプターの連携はとりやすくなったんでしょうね。



着陸するSH-60K。
海上自衛隊は発足以来哨戒ヘリコプターとしてS-51、HSS-1を装備、さらにより高性能で大型のHSS-2を昭和39年から導入しその改良型のHSS-2A、HSS-2Bを護衛艦に搭載して、護衛艦とヘリコプターの一体となった対潜哨戒が行えるようになりました。
このHSS-2の後継として米海軍のSH-60Bシーホークを元に導入されたのがSH-60Jです。
といってもそのまんまライセンス生産したわけではなく、機体そのものは米海軍のものをライセンス生産したものですが、中身の電子機器は日本独自の運用思想から国産のものにされました。
米海軍のSH-60は駆逐艦や巡洋艦などに搭載するSH-60Bシーホークと空母に搭載するSH-60Fオーシャンホークがあります。
空母よりも前に出て広範囲の監視や警戒を行うSH-60Bと、空母に肉薄する潜水艦を攻撃するためより狭い範囲を精密な目標発見が求められるSH-60Fでは運用が異なるからです。
空母を持たない海上自衛隊はその両方(広範囲の監視と精密な目標の位置把握)が求められ、SH-60Jはこの2つを同時を満足するために広範囲にばらまいて潜水艦の位置を発見するソノブイや広範囲の監視を行う対水上・対空レーダ、MAD、海中にソナーを沈めてより正確な位置を把握するディッピングソナーをフルセットで搭載する非常に強力な対潜ヘリコプターとなりました。
SH-60Kはこの後継でSH-60Jをベースに機体の大型化、電子装置の高性能化したものになっています。
そういえばSH-60Kの後継はさらに能力向上型のSH-60K(改)となるようですよ。



さて、体験搭乗(?)はこの後も続きますが飛行展示や緊急発進展示までは時間があるので北吸桟橋のほうに移動することになりました。
これが残念な結果に・・・?




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舞鶴地方隊 サマーフェスタ2015/
第23航空隊サマーフェスタ2015/舞鶴基地北吸桟橋見学/舞鶴港遊覧船
Posted at 2015/08/23 23:34:01 | コメント(1) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記
2015年08月01日 イイね!

浜松広報館地対空誘導弾ペトリオット展示(その2)

では続きです。


軽装甲機動車が進入してきました。
高射隊が展開する陣地設営の前に進出して安全の確保と周囲の警戒を行います。
警備部隊が周囲の安全を確保した後、ペトリオットシステムが展開します。




続いて進入してきた車両はアンテナマストグループ(AMG)です。
高射部隊間で通信を行う際に必要なアンテナを展開する装置です。
通信装置も車載にしているのでペトリオットは迅速な展開が可能です。




続いて進入してきたこの巨大なトレーラはレーダ装置(RS)です。
高射部隊が以前使用していたナイキJでは目標の捜索・追尾・射撃誘導を行うには複数のレーダが必要でしたが、ペトリオットではこれらを全て1つのレーダで行うことが出来ます。
レーダは多機能フェイズドアレイレーダを用いています。
その出力は電子レンジ1万台分で、お弁当をわずか0.1秒で加熱してしまうほどの出力なのだとか(?)




続いて進入してきたのは発射機(LS)です。
ペトリオットミサイルはこのチューブの中に装填されています。
車両後方からみて右と左で発射機のチューブが異なっているのがわかります。
右側には対航空機用ミサイルが1発、左側には対弾道弾迎撃ミサイルが4発のミサイルが装填されています。
航空自衛隊のペトリオットは対航空機用のPAC-2弾と対弾道弾用のPAC-3弾を運用しています。
このミサイルは全くの別物で、発射機はPAC-2弾なら1機あたり4発、PAC-3弾なら16発を搭載できます。




続いて進入してきた車両は射撃管制装置(ECS)です。
ペトリオットシステムの頭脳というべきものでここでミサイル発射・誘導等の統制を行います。
ペトリオットシステムは各車両にはもちろん人員はいますが、ミサイル運用時には有線や無線でシステムをつなぐので各機材は無人で行います。
唯一人員が配置されるのがこのECSのみになります。



最後に進入してきた車両は電源車(EPP)です。
ミサイルシステムは電子機器の塊。
捜索・誘導を行うレーダ装置や統制を行う射撃管制装置は多量の電力を必要としています。
この電源車にはガスタービン発電機を2つ搭載していて、万が一発電機が故障した場合はもう一台の発電機に切り替えて継続して電力を供給することができます。




全ての車両が所定位置につきました。
各車両の前には作業要員が整列をしています。



これより展開を行う。
作業開始!


作業要員がそれぞれ持ち場の機材に向かって駆け寄っていきます。




アンテナマストグループではアンテナ展開作業を行っています。
このアンテナマストは起立を油圧で、伸縮を空気圧で行います。
5段階までアンテナを伸ばすことが出来、最大で30メートルの高さまで展開が出来ます。



電源車では各機材に電源を確保するためのケーブルを展開しています。
発電機の出力は150kwといいますからかなりの電力を供給できそうですね。



発射機でも設置作業を行っています。
発射機には発電機を持っていてミサイル発射機を動かす電力は確保できているようです。
発射機は複数配置したりレーダ装置から離して設置するので自前の電力が必要なんでしょうね。



レーダ装置、発射機から牽引車が切り離されました。
準備が整うとレーダ装置や発射機は完全に無人で稼動することになります。



射撃管制装置ではアンエナの起立やケーブルの接続などの準備を行っています。
非常に手際が良い感じがしますね。
ペトリオットは米陸軍が開発した地対空ミサイルシステムですが、米軍以外では航空自衛隊、ドイツ、スペイン、オランダ、イスラエルなどが採用しています。
非常に高性能なミサイルシステムなのでシステム規模も大きいのですが当然展開するにも時間がかかります。
各国は米国に機材を持っていって実射撃訓練を行いますが、もちろん航空自衛隊も米国で実射撃をおこないます。
航空自衛隊の高射部隊のペトリオットの展開時間は十数分といわれています。
これはペトリオット保有各国の中でもトップクラスの早さなんだそうです。




発射機・レーダ装置から牽引車が切り離され、レーダ装置はレーダの展開が完了、発射機もいつでも射撃が出来る角度に展開がおわりました。
ペトリオットミサイルはPAC-2弾の誘導はTVMという誘導方式を用いています。
ミサイルが目標に向けて発射されると、レーダ装置で電波を目標に照射します。
その反射波をミサイルがとらえ、地上にあるレーダ装置に情報を送り、さらに射撃管制装置でその情報を分析・処理し、さらにレーダ装置で処理された情報をミサイルに送信します。
ミサイルはこの受信した情報を元に飛翔して目標に向かっていきます。
ムチャクチャ複雑な誘導方式なのは、高速で動き回る敵航空機に正確に命中させるには小型のミサイルの誘導装置の処理は限界があったり、敵の航空機から発進される妨害電波への対処などの意味があるからです。
そこで高性能で大型の処理システムを使ってより高度な誘導を行ってカバーしているわけです。
一方対弾道弾用のPAC-3弾はTVM方式ではなくあらかじめプログラムされているとおりに飛翔した後に指令誘導で目標の近くまで接近するとミサイル本体のレーダを使って目標を探知・突入していきます。
「ペトリオット」と一言で言ってもPAC-2とPAC-3ではシステムも大きく異なるわけです。



機動展開完了!
隊員が整列します。


アンテナマストグループ、電源車、発射機、レーダ装置、射撃管制装置の展開が終わり、いつでも射撃が行える準備が整いました。
各車両では射撃管制装置をのぞいて無人で動いています。



以上、浜松広報館ペトリオット展示でした。



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浜松広報館ペトリオット展示その1/その2






Posted at 2015/08/01 16:48:25 | コメント(2) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記
2015年08月01日 イイね!

浜松広報館地対空誘導弾ペトリオット展示(その1)

去る7月11日と12日に静岡県の航空自衛隊浜松基地に隣接する浜松広報館にて地対空誘導弾ペトリオットの展示が行われました。

ペトリオットは米陸軍が開発した極めて高度な地対空ミサイルシステムで、我が国では航空自衛隊が導入して全国の高射隊に配備しています。


ズラリとならんだ車両群。
ペトリオットはシステムを車載化することで迅速に展開することができます。




こちらがミサイルの発射機です。
大型のトレーラに発射機が搭載されていますが、右と左で装填されているコンテナが異なるのが判るでしょうか?
ミサイル本体の長さは5mありますので、トヨタのクラウンよりも長いことになります。
それが積まれているわけですからこの車両の巨大さがわかりますね。
今回は通常の対航空機迎撃弾を装填したコンテナ1基と対弾道弾迎撃弾を装填したコンテナを4基搭載しています。



こちらはレーダ装置です。
やはり巨大な車両ですね。
天井のようにみえる巨大な板がフェイズドアレイレーダになります。
展開時にはこれを立てて目標の捜索・射撃指令をおこないます。



発射機を牽引する牽引車。
あの巨大なトレーラをこの特大型トラックにより牽引します。
レーダ装置もほぼ同じ車両で牽引します。
「浜基」とかかれた下のウインカ横に見えるのは灯火管制時に使うライト。




牽引車の運転席です。
運転席そのものは基本的に民間の特大型トラックと大きな違いはないそうで、3席が並列に並んでいます。
後部には鉄帽や小銃などをおくスペースが設置されています。



こちらは電源車。
ミサイルは電子機器の塊ですが、レーダを動かすのも発射機を動かすのも電力が必要です。
電力を安定的に供給させるのが電源車です。



アンテナマストグループ(左)と射撃管制装置(右)
これらの装置によりペトリオットは構成されています。
装置を車載化しているのと同時にこれだけ高度な地対空ミサイルシステムなのにわずかこれだけの車両で完結できてしまうのがペトリオットの特徴です。
実際にはミサイル発射機を複数用意したり予備ミサイルを輸送する車両や人員輸送車両、データ中継車両などが展開するとされています。



こちらは軽装甲機動車です。
ペトリオットシステムのひとつ・・・というわけではないですが、有事の際に展開したとき、周辺の警戒や陣地の警備を行う装甲車両になります。
陸上自衛隊で使用されている者と基本的に同じですが航空自衛隊では基地防衛用として平成16年度から配備されました。


3 1/2トン水タンク車とトレーラ1トン炊事車。
基地の中だけでなく、移動して陣地を作り展開を行う場合もあります。
射撃訓練以外にも有事の際に展開する場合は十分あります。
実際北朝鮮による弾道弾発射事件では航空自衛隊のペトリオット部隊が基地から移動して陣地を構築、迎撃にそなえました。
省力化されたとはいえ、ミサイルシステムを動かすには多くの人員が必要です。
そして人員がいればもちろん「食事」も重要な要素です。
隊員が野営を行うには食事と飲料水は必要不可欠。
調理が野営陣地で行えるように調理器具を装備した炊事車も随伴します。




こちらは待機車1号です。
野外展開時に要員の待機場所や仮眠・休憩をとる車両で移動時は32名の人員を輸送することが出来ますが、車内の折りたたみ式3段ベッドを展開すると合計24名分のベッドになります。



待機車の中に貼られていたプレート。
力強いメッセージが頼もしいですね。
今回展示を行った部隊は高射教導群です。
浜松基地に常駐している部隊で、全国の航空自衛隊の高射部隊の教導を行う部隊です。



ペトリオットの車両には航空戦術教導団のマークが貼られていました。
航空戦術教導団は平成26年に発足したばかりの部隊で、戦術の調査研究や戦闘機、電子作戦、高射、基地防衛などさまざまな機能を組み合わせて全国の自衛隊部隊に訓練を行い、全体のレベルアップをはかる部隊です。
戦闘機は飛行教導群(アグレッサー飛行隊)、高射は今回展示を行った高射教導群といった部隊を隷下にしています。
どんなに高性能な戦闘機やミサイルを装備していても、性能が高くなればなるほどそれを使井こなす能力も求められます。
実戦に即した戦術の元でどのように使うかの研究や教導、重要そうですね。



ではこれより機動展開の展示を行います。
その準備のために一度各車両が展示場所から離れていきます。



機動展開展示の前に・・・・
高射部隊について。
航空自衛隊は敵の航空機や艦艇に対して戦闘機部隊で対処しますが、それだけでなく高射部隊も航空機やミサイルに対して対処をして補完しています。
高射部隊とは高射砲を用いて対空射撃を行う部隊ですが、現在の高射砲といえばもちろん地対空ミサイルを用いています。
航空自衛隊では大都市などの重要地域を守るために高射部隊がペトリオット地対空ミサイルを、敵の攻撃からレーダサイトや基地を守るために基地防衛隊が短距離地対空ミサイルや対空機関砲、携帯地対空ミサイルを装備しています。
高射部隊といえば陸上自衛隊にも高射部隊はあります。
陸上自衛隊では高射特科部隊が師団や旅団を守る近距離地対空ミサイルや短距離地対空ミサイル、それよりも広い範囲を改良ホークや中距離地対空ミサイルが担当しています。

航空自衛隊が使っているペトリオットは米陸軍で開発された防空ミサイルですが、実は米軍ではペトリオットミサイルは空軍ではなく陸軍が運用しています。
空軍は戦闘機などを、陸軍が高射砲をという区分けなんでしょうね。
ナイキ地対空ミサイルを導入する際、やはり長射程の地対空ミサイルはどちらが担当するべきかということになりましたが、結局大都市などを守る長射程地対空ミサイルは航空自衛隊が、陸上部隊や戦域の防空は陸上自衛隊が担当することになりました。

航空自衛隊の高射部隊は全国に6個の高射群があり、1つの高射群には4個の高射隊が置かれています。
航空自衛隊は昭和60年度よりペトリオットの整備に着手し、平成6年度に配備が完了しました。
ではペトリオットの前はどんな防空ミサイルだったかというと・・・・



地対空誘導弾ナイキを運用していました。
航空自衛隊は核兵器を搭載したソ連の戦略爆撃機から守るために高高度まで届く地対空ミサイルが必要でした。
まず昭和37年に米陸軍からナイキアジャックスという地対空ミサイルが移管されて運用をしていましたが、その後継として開発されたナイキハーキュリーズを国産化したナイキJを昭和45年から配備をはじめ、平成6年まで使用していました。
見るからに「ミサイル」という感じですね。
あの「長沼ナイキ事件」(ソ連からの戦略爆撃機を使っての核攻撃が差し迫っていた問題だったときに一部の左翼活動家がナイキ基地建設を妨害しようと裁判を起こした事件)で有名になったミサイルです。
このナイキJですがミサイルの長さは実に12.5メートルという非常に大型で、二段式になっています。
4本のロケットブースターが束ねられた第1段ブースターの上にミサイル本体がセットされていて、上昇高度は45000メートル、射程は130kmという長大な射程をもっていました。
後継のペトリオットの全長は5メートル強ですからずいぶん小型化されたんですね。
写真は浜松広報館の野外展示場に展示されているナイキJです。
誘導は無線指令誘導で、地上からレーダで目標を探知して、無線でミサイルに指令を送り撃墜するシステムです。


こちらはレーダ統制トレーラです。
複数のレーダと接続してレーダの統制を行う装置です。


こちらは捕捉レーダ(ACQ)です。
目標の捜索と捕捉を行い、目標の現在位置を確定するレーダ装置です。
さらに目標を追尾する目標追尾レーダと目標距離レーダに情報を送り、目標の位置情報を把握します。


こちらはミサイル追随レーダ(MTR)です。
ナイキの誘導は無線指令誘導なので、現在のミサイルの飛行位置を確実に抑えることが必要です。
それと同時にミサイルに舵を切る指令や炸薬を作動させるなどの指令を送るレーダです。
このようにレーダといってもミサイル運用のためには目標の捕捉、追尾、距離測定、追随と複数のレーダが必要になってきます。
ペトリオットはこれら複数のレーダはひとつのレーダ装置にまとめることができました。
ミサイル発射機等地上設置型ではありますが車載にもできたようです。
とはいえミサイルシステムが非常に大規模なので移動して展開するには時間がかかりそうですね。


では次はペトリオットの機動展開の様子を。


続く!



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浜松広報館ペトリオット展示その1/その2


Posted at 2015/08/01 16:32:57 | コメント(2) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記
2015年07月12日 イイね!

YYのりものフェスタ艦艇一般公開(護衛艦「いずも」)

先日6月13日に横須賀にいってきました。
ちょっとした用事で金曜は関東のほうにいたのでオフの13日は横須賀に展開したわけです。
(ああっ・・・どうせなら宿を横須賀にとって夜景写せばよかった・・・)

ということで。
横須賀ではYYのりものフェスティバルというイベントが6月の中ごろに行われます。
鉄道からパトカー、艦船・・・といろんなのりものがあつまるイベントで、海上自衛隊横須賀総監部では護衛艦の一般公開がおこなわれます。
ちなみに2012年の様子はこっち
ということで横須賀にGO。

横須賀駅を降りると結構な人。
自衛隊イベント人気ですね☆
横須賀総監部で今年公開してるのは・・・

護衛艦「いずも」。
きたぁ!
既に早くも横須賀の顔になった感すらありますね。
「いずも」の公開は特別公開や軍事セミナーの一環で一部公開はされていますが、一般公開は今回が初めてになるのかな?
ヘリコプター搭載護衛艦DDH-183「いずも」はDDH「しらね」の代替として今年3月25日にJMU横浜で竣工した最新の護衛艦です。
基準排水量は19500トン、満載排水量(推定)26000トンですから海上自衛隊最大の艦艇になります。
前回は補給艦「ましゅう」型のほうがわずかに満載排水量が大きいと書きましたが、「いずも」のほうが大きいみたいですね)
基準排水量で19500トンというのはものすごい大きさで、あの巨大だと話題になったヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」型の満載排水量が「いずも」の基準排水量にあたるわけです。
「いずも」は「ひゅうが」に対して実に50メートルも長くなっているわけで非常に巨大な護衛艦になりました。
ところで「いずも」は「DDH(ヘリコプター搭載護衛艦)」なのですが、護衛艦を意味するDDは英語でDestroyer(駆逐艦)となります。
つまり無理やり英語を和訳しようとすれば満載排水量で26000トンという史上最大の駆逐艦・・・・になるわけです。




「いずも」が停泊しているのは横須賀地方総監部からすぐの逸見岸壁。
今回もその岸壁で一般公開が行われました。
艦首側のヘリコプター着陸スペースにはSH-60J哨戒ヘリコプターが着陸していて一緒に公開されていました。
SH-60は比較的大型のヘリコプターなはずですが、「いずも」の巨大さは驚かされます。
SH-60Jの全長(ロータ含む)は19.8メートル程度ですが、「いずも」の全幅はその約2倍の38メートルあります。



では横須賀基地内に。
YYのりものフェスタで開放されたエリアはこの逸見岸壁です。
逸見岸壁の長さは375メートルといいますからかなりの長さなのですが、「いずも」の全長は248メートル。
1隻で長さの66%を占めることになります。
これはもう「いずも」専用岸壁ですね。
「いずも」はDDH「ひゅうが」よりも約50メートル長くなっています。
それにしてもこの迫力・存在感はすごいですね。
「船」ではなく「巨大な壁」といったほうがいいでしょうか。



見上げると艦構造物(アイランド)がみえます。
アイランドはこれだけの巨大な艦体に比べると小柄な印象です。
感覚が麻痺してますね(^^;
前から前部艦橋、第1煙突、第2煙突、後部艦橋というレイアウトですが、第1煙突と第2煙突の間には隙間が見えます。
そう、アイランドは前と後ろで完全に分かれてるわけです。
このスペースには臨時燃料移送装置があって他の艦艇に燃料を補給する能力があります。
ただし航空機燃料を補給することはできないようで、この移送装置の蛇管は1本のみのようですね。





艦内にはこの右舷舷梯子をつかって入ります。
今回は大勢の来場者がいるのでここではなく車両用ランプからの乗艦になります。
この舷梯子格納部やその後ろの小さな窓(繋留区画)にはステルス性を考慮して開閉可能なカバーがつけられる・・・・はずですが予算の関係上まだ装備されていないそうな。
財務省!!!




こちらが艦内です。
がら~んとした巨大な空間がひろがっています。
ここは航空機格納庫・エレベータ・航空機整備室・支援車両車庫になっています。
全長の約2/3にもなる広大な長さをもっていてここにヘリコプターを格納することになります。
航空機格納庫は第3甲板~第5甲板にあたり、この来場者が今立っている床が第5甲板になります。
1枚目の写真の奥に黄色い車が並んでいますがここが前部車庫になります。
2枚目の写真は天井にレールが見えますが防火扉用ですね。


では飛行甲板に向かいましょう。


今回は格納庫から飛行甲板まで大勢の来場者をいっきにあげるため艦前方のエレベータを使いました。
エレベータといってもエレベーターガールの「はい、もうすぐ最上階にまいります~」なエレベータではもちろんなく、航空機を格納庫から飛行甲板までもちあげる巨大なエレベータです。
警告音とともに天井が降りてくる様はなんとも言いようがない驚きを感じます。
下の写真は格納庫管
制室。
ここで第1エレベータのプラットホーム昇降を管制します。



第1エレベータのプラットホームの上に立って見上げたところです。
巨大な開口部から「いずも」のアイランドが見えますが不思議な気持ちですね。
エレベータの内側は外光の防眩のため黒く塗装されています。
飛行甲板下にみえるいくつもの丸いものはプラットホームを固定するためのロックピンです。



「第1プラットホームが上昇する」
格納庫管制室からの声とともにビーッビーッツという警告音がなり、プラットホームが飛行甲板にむけて上昇していきます。
これは結構衝撃的に感じます。
写真はプラットホームが上がりきる前に移した1枚。
つまり飛行甲板の下から写しているわけです。
隊員がエレベータ操作盤を使っていますね。
赤く見えるのは消火装置。



今度は飛行甲板からエレベータを見下ろしてみました。
プラットホームには大勢の人がいますね。
「いずも」は「ひゅうが」と同じく航空機昇降用のエレベータが2基ありますが、艦首側にある第1エレベータは大型化されています。
その大きさは13メートル×20メートルで、これは「ひゅうが」の第2エレベータと同じ広さになります。
(「いずも」の第2エレベータは舷外を昇降する形になります)
エレベータの昇降能力は30トン。
SH-60K哨戒ヘリコプターの全備重量が10.9トン、MCH-101掃海・輸送ヘリコプターの全備重量が14.6トンですから余裕で昇降できます。
もっとも火災や事故を防ぐために燃料や武装の搭載・抜き取りは格納庫内では行わず飛行甲板で行うので全備重量のままエレベータを使うことはまずありませんが。



こちらは艦首に装備された高性能20ミリ機関砲です。
捜索・探知・追尾・射撃・評価を自動的に行う防空システムで、白い筒状のなかに射撃統制レーダがおさめられています。
このレーダと20ミリ機関砲(戦闘機に搭載するヴァルカン砲の艦載仕様)を組み合わせた簡易なものですが、これで目標を探知して射撃まで全自動で行うことができます。
通常敵の航空機や対艦ミサイルが飛来してきたときはまず長射程の艦対空ミサイルをもつイージス艦などのミサイル護衛艦が対処します。
それでも撃ちもらしたような場合は僚艦や自分の短射程艦対空ミサイルや速射砲で撃破します。
(ただし「いずも」は短射程の艦対空ミサイルや速射砲は装備されていません)
それでも撃ちもらして突入してくる場合は退避機動を行ったり電波妨害を行いますが、最後の砦となるのがこのシステムです。
この最後の砦になる防御システムを近接防衛システム(CIWS)といいます。
高速で機関砲弾を撃ちだして弾幕を張り、突入してくる対艦ミサイルを破壊します。
発射速度は毎分3000発~4500発とされていますから1秒間に50発以上の20ミリ砲弾が発射されます。
高性能20ミリ機関砲は米国が開発したMk15ファランクスというもので、新型のものはカメラを搭載して不審船など水上目標などにも射撃ができるのですが、予算の関係上「いずも」に搭載してるのは旧タイプのものになります。
財務省!!



第1エレベータよりも艦首側からアイランドを。
手前に巨大な通信アンテナのドーム、アイランド基部にはシーRAM発射機、そして前部艦橋とつづきます。
しかしこの手前のアンテナは本当に巨大ですね。
NORA-7スーパーバードD衛星通信アンテナです。
J-SAT送受信用で地上や洋上からの電波を中継して送受信するXバンドのアンテナです。



こちらはシーRAM発射機です。
先ほどの高性能20ミリ機関砲は射撃統制装置と機関砲を組み合わせたものでしたが、シーRAMは機関砲ではなく小型のミサイルを組み合わせたCIWSです。
敵の対艦ミサイルが発射されたとき、20ミリ機関砲は高い発射速度とはいえ1発1発のエネルギが小さいのでミサイルを完全に破壊できないまたは破壊できても惰性でそのまま突入してくることが考えられます。
そのため小型の対空ミサイルで完全に破壊するのがこのシステムです。
Mk116RAMという小型のミサイルを11連装していて、ミサイルを発射するとミサイルが回転しながら目標に向かっていくそうです。
20ミリ機関砲とRAMを組み合わせてより確実な撃破をねらってるんですね。



第1エレベータの前に設置されている弾薬用エレベータ。
このエレベータは艦後部にも設置されています。




アイランドを前と横から。
アイランドが右舷に偏って配置されてるのがわかります。
艦構造物を寄せているため、飛行甲板を広く使えるわけです。
アイランドのマストには無数のアンテナがあります。
「いずも」が電子装置の塊というのがよくわかりますね。
さてこのアイランドを見ると通常の護衛艦にあるものがありません。
それは・・・射撃指揮装置です。
護衛艦はミサイルや速射砲の射撃統制を行うためのレーダがついていますが、「いずも」にはないのです。
実は「いずも」は護衛艦という名前で呼ばれてはいますが、速射砲も対潜魚雷も、対艦ミサイルも個艦防空用の短距離艦対空ミサイルももってないんです。
「いずも」の全長は248メートル、推定満載排水量は26000トンにもなる超巨大な艦艇です。
一回り小型の「ひゅうが」は速射砲や対艦ミサイルはありませんが艦対空ミサイルや短魚雷発射機、対潜ミサイルを装備していて、通常の護衛艦と同様の運用ができます。
自衛用の装備をもっていますので艦体が巨大化して空母型の飛行甲板をもったとはいえ、あくまでも従来のヘリコプター搭載護衛艦の延長だったわけです。
ところが「いずも」ほどの大きさになるともはや通常の運用はできません。
自衛の装備も最小限ですので他の護衛艦による護衛が前提の運用とされます。
敵への対処は完全に護衛するほかの護衛艦に任せ、「いずも」はヘリコプターの洋上プラットホームと指揮通信管制に重点を置いているわけです。
これは従来の護衛艦とはまったく違う「空母的な」使われ方をする護衛艦というわけです。
「いずも」は「ひゅうが」の拡大版ではありますが、その運用思想はまったく異なるわけです。



アイランドの天蓋につけられた8角形の板はOPS-50対空レーダです。
「ひゅうが」に搭載されているFCS-3をベースに、ミサイル管制機能を省いたもので対空捜索・航空機管制に使われます。
これが前部艦橋の前方と左面、後部艦橋の後方と右面にとりつけられていて4面で360度をカバーします。
その上に見えるドーム状のものはNORA-1Cスーぱーバード衛星通信アンテナ。
鑑定用衛星通信装置J-SATにより静止衛星を使って通信を行うものです。
XバンドとKuバンド共用のようですよ。



前部艦橋の上部に設置されているNOLQ-3D-1電波探知妨害装置です。
艦艇が相手艦艇を攻撃する際は射撃統制装置をつかいます。
射撃統制装置はレーダーなので、電波を目標に当てて射撃統制を行うわけですが、逆に言えば敵が我を攻撃してくるときは射撃統制用レーダを使ってきます。
これはその敵から発信されたレーダ波を探知し、評価分析を行って敵レーダを無力化するため妨害電波を出します。
その上に見えるのはORQ-1Cヘリコプター用データリンクアンテナです。
現代の水上戦闘ではヘリコプターはかかせません。
艦隊の目や耳となって広範囲を監視したり潜水艦の警戒・攻撃、さらにはデータリンクの中継など上ポンシステムの中枢となります。
そのため艦載ヘリコプターはウエポンシステムのひとつととらえて「HS(ヘリコプターシステム)」とよばれます。
ヘリコプターのデータリンク情報を授受するのがこのアンテナになります。



アイランドを後ろから。
マストがなかったら前からなのか後ろからなのかわからないほどそっくりですね。
でも左舷にあったOPS-50のフェイズドアレイレーダが見当たらない(右舷についています)ほか、天蓋部のアンテナなど細かな違いがいくつもあります。
後部艦橋にあたるのは航空管制室で、ここで航空機の離艦・発艦、移動や配置などの管制を行います。
航空管制室が外側(飛行甲板側)に大きく張り出して可能な限り視界を確保しているようです。
艦橋・航空管制室は03甲板にあります。
飛行甲板を第1甲板としてそれよりも上部を01甲板、02甲板・・・、第1甲板よりも下側を第2甲板、第3甲板・・・・とよんでいます。
米海軍の超大型空母の場合、飛行甲板ではなく航空機格納庫の床を第1甲板と呼んでいます。
その国々で甲板の捉え方が異なって面白いですね。



飛行甲板後方から。
とにかく「広い」という印象です。
「ひゅうが」よりもヘリコプタースポットが1箇所増えていて同時離発着できる航空機数を増やしています。
「いずも」の飛行甲板は長さ245メートル、最大幅38メートルですから米海軍の強襲揚陸艦「タラワ」級に迫る大きさです。
アイランドがある艦中央部でも飛行甲板の幅は29メートル確保しているようで航空機運用の余裕も大きくなりました。
当然飛行甲板には滑り止めの塗装が施されているほか、係止のためタイダウン眼環が取り付けられています。
足元に見える無数の白い円状のものがタイダウン用の眼環で、ここにチェーンをかけて航空機を係止します。
アイランド後方基部には前方と同じくNORA-7スーパーバードD衛星通信アンテナが設置されています。
「いずも」には前後1箇所づつ合計2箇所のNORA-7スーパーバードD衛星通信アンテナが設置されていて全自動で衛星を追尾し、常時どちらかのアンテナが衛星と向き合っているようです。



艦後方の、ちょうど搭載艇格納場所の上部あたりの位置に設置されているのがこのアンテナです。
USC-42衛星通信アンテナです。
米軍の偵察衛星を利用して米海軍との衛星通信を行います。
航空機運用能力が注目される「いずも」ですが、もうひとつ重要な能力があります。
それは旗艦機能です。
高い指揮通信能力を持っているのと同時に艦内には広い区画が用意されています。
広い多目的区画には陸海空自衛隊の統合任務部隊の司令部にできるほか、司令部作戦室(FIC)が用意されていて艦隊の指揮をとることができます。
異なる組織をひとつにして動かすには的確な指揮統制が必要です。
東日本大震災では米海軍とチームワークを組んで大規模な災害派遣活動を行いましたが、「いずも」と同じく広い多目的区画やFICをもつ「ひゅうが」艦内では連日米海軍と会議を行っていたそうですが、このようなリアルタイムで情報のやり取りを行え、衛星システムを使って米軍とも作戦を行えるのは非常に重要ですね。



「いずも」といえばこのキャットウォークも特徴のひとつです。
キャットウォークというのは平たく言えば通路ですが、「ひゅうが」よりも充実しています。
「ひゅうが」では飛行甲板左舷側に設置されていましたが、「いずも」は右舷舷側にも設置されています。
(写真は思いっきり左舷ですが)
飛行甲板は航空機が稼動していますから危険な場所なので直接飛行甲板を予後切らなくても移動できる通路は不可欠ですね。



右舷アイランド後部には第2エレベータが設置されています。
今回はエレベータにSH-60J哨戒ヘリコプターが展示してありました。
「いずも」の第2エレベータは米海軍の超大型空母と同じくデッキサイド式で、より大型の航空機を乗せられるほか、飛行甲板のクリアな範囲を確保できます。
「ひゅうが」は飛行甲板後部の真ん中に第2エレベータが設置されていたのでヘリコプタースポットとしては使えませんでしたが、「いずも」はより合理的に使えるようになりました。
第2エレベータは15メートル×14メートルと第1エレベータより小型ですが、右舷の外側に飛び出しているのでより大型の航空機を乗せられます。
耐荷重は第1エレベータと同じ30トンとされています。



「いずも」は自衛用のCIWSのみで他には固有の武器はありませんが、最大のウエポンシステムはヘリコプターです。
SH-60JまたはSH-60K哨戒ヘリコプター7機に加えMCH-101掃海・輸送ヘリコプター2機を搭載しますが、最大14機の搭載が可能とされています。
1個護衛隊群は8隻の護衛艦+8機の哨戒ヘリコプターで「88艦隊」といわれていました。
ヘリコプター搭載護衛艦に3機、汎用護衛艦5隻に各1機で合計8機です。
「いずも」1隻に7機搭載できちゃうわけですからヘリコプター搭載数が一気に拡充されたことになります。
哨戒ヘリコプターは主に潜水艦を発見して攻撃する任務につきますが、護衛艦のヘリコプターは単に対潜哨戒のみではなく、広範囲の水上艦艇の監視、データリンクの中継など護衛艦のウエポンシステムの中核を担当します。
狭い艦内ではよりコンパクトさが求められますので機体の後部とメインロータを折りたたんでいますね。




SH-60Jは米海軍のSH-60Bシーホークを日本で生産したもの。
・・・・と思ったら大間違い。
実は同じなのは機体・エンジンのみで、哨戒機で一番重要な電子装置などの中身は我が国が開発した全くの別のものです。
米海軍のSH-60は駆逐艦や巡洋艦にはSH-60Bシーホークを搭載しています。
ソノブイという海中にソナーを使ったブイを広範囲にばらまいて潜水艦警戒や機体下部に設置されたレーダを使って広範囲の監視を行います。
一方空母に搭載するSH-60はFH-60Fオーシャンホークを搭載しています。
空母から進出して周辺の潜水艦の警戒・攻撃を行うのでより精密な位置の把握が求められているのでディッピングソナーというホバリングしながら吊り下げたソナーを海中に沈めて潜水艦を発見するシステムを用いています。
海上自衛隊のSH-60Jは機体こそSH-60Bをライセンス生産したものの、対潜システムはSH-60BとSH-60F両方の能力を持たせています。
現在はSH-60Jも機体の老朽化のため徐々に退役が進んでいます。
後継に機体を拡大して電子装置をより高性能化し、エンジンを高出力にしたSH-60Kの配備が進んでいます。
写真のSH-60Jは係止のため第2プラットホームのタイダウン用眼環にチェーンをひっかけています。


以上、YYのりものフェスタでの護衛艦「いずも」艦艇公開でした。
え?いつもある艦尾旗竿の自衛艦旗や艦尾外観の写真がなくて今回えらい簡単じゃん・・・ですて?
実はですね・・・
この日は風もあまりなく蒸し暑くてですね・・・
飛行甲板でちょっと気分悪くなっちゃったんですよ。
なので早々と切り上げて降りたんです。
ちょっとフラっとしたのでそのあと医務室で1時間半ほどいたわけです。
ううう・・・・(>_<)
Posted at 2015/07/12 17:44:54 | コメント(4) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記
2015年06月06日 イイね!

静浜基地航空祭2015 その3

さて静浜基地航空祭その3です。
午後は地元部隊の飛行展示とF-15戦闘機の飛行展示が行われます。
そういえば毎年思うのですがF-2の展示が終わるぐらいに観光バスがぞろぞろと到着して客を降ろしていましたけど、あれってどういうつもりなんでしょうね?
F-2やT-4、T-7など飛行展示を見たくても到着しないんですから。
楽しみにしていた人は気の毒だと思いますよ。
ブルーインパルスの飛行展示が始まる前に集合をかけるバスツアーもたまにありましたけど、こういう旅行会社って航空祭見たこと無いんでしょうか?



午後一番の飛行展示は静岡県警航空隊です。
今回飛行展示を行ったのはAS365N3型で、警察ヘリコプター「ふじ2号」を命名されています。




警察らしく刑事ドラマのテーマをBGMに飛行展示が始まりました。
見た目からはどっしりした印象を受けますがAS365は最大離陸重量は4.3トンと陸上自衛隊で使われている多用途ヘリコプターUH-1Hと同程度で長さは少し短いのでコンパクトなんです。





脚を格納して高速で航過する「ふじ2号」。
滑走路の端までくると急激に方向転換をして再び会場方向へ進入します。
ロールを打って旋回。
軽快な機動を披露します。
メインロータが黒・黄色のトラ模様になっていますね。
「ふじ2号」の展示飛行ではヘリコプター独特の「バタバタバタ」という低い音がそれほど聞こえず、モーターのような「ヴぅうううううううん」という比較的高い音が聞こえます。
それはテールローターに理由があります。
UH-1やAH-64など、多くのヘリコプターはテールに小型のローターが回っていますよね。
これはヘリコプターが機体を回転しないようにたもつためのものです。
ヘリコプターはメインローターをまわして浮かびますが、この強力な回転で機体が逆方向に力がかかって回転させられちゃうわけです。
これを打ち消すのがテールローターで、小さなローターをまわして横向きの力を発生させて機体を回転させようとする力を打ち消しているわけです。
「ふじ2号」のテールにはテールローターがなく、フェネストロンというものになっています。
ローターではなく、中にファンが高速で回っています。
テールローターはローターがむき出しなので障害物や石などが当たると事故につながりやすいですし、メインローターとちがって低い位置にあるので人が接触する恐れもあります。
フェネストロンはファンを覆っているのでそういったリスクを減らすことが出来ますし、風切り音をなくすことができます。
比較的高い音に聞こえるのはこのファンの音なんですね。




脚を再び展開して急上昇・急降下を披露。
とてもスピーディに感じます。
「ふじ2号」の最大速度は320km/h、巡航速度は250km/hと実はUH-60やAH-64よりも高速だったりします。
静岡県警航空隊には「ふじ2号」「ふじ3号」の2機のヘリコプターが配備されています。
「ふじ2号」は平成14年に、「ふじ3号」はアグスタA109Eを平成19年に導入されて上空からのパトロールや警備活動、災害救助などに用いられています。



飛行展示を終えて着陸態勢に入る「ふじ2号」。
以上、静岡県警航空隊による飛行展示でした。




次はT-7初等練習機による大編隊です。
T-7練習機は少数が岐阜基地と浜松基地に配備されているほかは防府北基地と静浜基地にほとんどが配備されています。
T-7は49機が調達されていますがその約半数の20数機が静浜基地に配備されていることになります。
整備中や地上展示などで動けない機体を除くと静浜基地で飛べる機体の大部分がこの大編隊に参加することになります。
1機、また1機と合計11機のT-7が離陸していきます。



大編隊最初の科目は「富士山」です。
静岡といえばやはり富士山。
11機の大編隊で雄大な富士山の姿を見事に表現しました。
そういえばこのT-7を製造したのは富士重工ですね。



続いては「S」です。
鳥だ!飛行機だ!のあの超男の「S」のようですが、静岡、スーパー、スカイ、スペシャル・・・
いろんな言葉に「S」が使われていますね。
大編隊は単に形がそれっぽくみえるように機体を位置させているわけではありません。
地上から見上げたときにしっかりと形にみえるよう計算された配置になっています。
見事な「S」の文字が大空に描かれました。



ラストは巨大なハートです。
戦闘機などではお互いが警戒する範囲をカバーしあうなど戦闘の基本で編隊飛行は行われますが、このような複数の機でおこなう編隊や十数機にもなる大編隊は通常の訓練ではまず行われません。
航空祭などのためだけに編成されるスペシャルな飛行です。





編隊の展示を終えたT-7が着陸のために3隊にわかれて進入してきました。
1機づつ編隊を解散して着陸態勢に入ります。







1機、また1機と次々に着陸を行います。
T-7は岐阜基地にも少数が配備されていて単機での飛行展示を行いますし、浜松基地航空祭では静浜基地からT-7が3~4機展示飛行を行いますが、T-7の大編隊をみることができるのは第11飛行教育団が常駐している静浜基地と第12飛行教育団が常駐している防府北基地のみです。
T-7の機動飛行とこの大編隊を見に来るだけでも静浜にいく価値は十分すぎるほどあります!

さてここであまり役に立たない豆知識。
T-7だけではないですが機首に3桁の数字、垂直尾翼にもハイフン付きで数字が記入されています。
これは機体番号です。
垂直尾翼には○○-○○○○と数字がはいっていますがこれには全て意味があります。
最初の1ケタ目は領収年号、2桁目は登録順位(機種タイプ)、ハイフンの次の3桁目は機種区分、4~6桁目は製造番号を示しています。
領収年号というのは自衛隊が受け取った年です。
機種タイプは「1」ならT-400、「2」ならF-15とU-125AとYS-11を、「3」ならF-2、「4」はE-767とE-2C、「5」はC-130HとU-4、「6」はT-7とT-4、「7」はF-4とRF-4とCH-47とKC-767を、「8」はUH-60とC-1、「9」はU-125を、「0」は政府専用機B747を示します。
機種区分は「1」は輸送機、「3」はその他固定翼機、「4」はヘリコプタ、「5」は練習機」、「6」は偵察機、「8」は戦闘機を意味します。
製造番号は例えばF-15Jなら801~、F-15DJなら051~、F-4は301~、F-2Aは501~、F-2Bは101~、T-7なら901~をそれぞれ1号機の番号にあてています。
写真の機体では例えば66-5937なら「2006年度に納入されたT-7というタイプの練習機の37号機」を示しています。


ここまでみていて「あれ?」と思った方もいるんじゃないでしょうか?
だいたい昼前頃行われる救難展示が今年はなかったんです。
機体が揺れると救難員や要救助者をたたきつけたり、おおきく振り回すことに繋がってしまうため、
安定したホバリングで救難員を降ろして要救助者を収容するには非常に技術の必要な展示なのですが、今回は最初からプログラムにはいっていませんでした。
楽しみにしてたのに~!


さて静浜基地航空祭2015、最後の飛行展示となりました。
ラストはF-15戦闘機の飛行展示です。


F-15J戦闘機が進入してきました。
今回展示を行うのは茨城県百里基地に常駐する第7航空団第305飛行隊のF-15J 2機です。
F-15は脚を出したダーティ状態で進入、会場を通過するとアフターバーナを作動させて会場を離脱します。




再度会場に進入するF-15戦闘機。
アフターバーナを使った大パワーの轟音が会場を支配します。
F-15が搭載しているエンジンはF100-IHI-100またはそれを電子制御化したF100-IHI-220Eというターボファンエンジンです。
非常にパワフルなエンジンで推力は8.6トンですからこのエンジン1つで陸上自衛隊で使っているUH-1H多用途ヘリコプターを2機まとめて持ち上げるだけの力があります。
アフターバーナを使えばそのパワーは実に10.6トン!F-15はこの強大なパワーのエンジンを2基搭載しています。




アフターバーナを使って非常にパワフルな旋回をみせるF-15戦闘機。
F-15は巨大で重たそうな増槽(投棄できる予備燃料タンク)を3本搭載していますが、これだけ巨大なら抵抗もありますしハードポイントにかかる荷重も相当なものがあると思いますがそれを全く感じさせない機動性を披露しました。
この増槽ですが1本で2300リットルぐらいの容量ですから3本で6800リットル!
これでレヴォーグを走らそうとするなら燃費が仮に14km/lとするならこの増槽3本で95200km、地球2周以上走れます(たぶん重くて走れませんが 笑)




やはりF-15はパワーの塊という感じがしますね。
アフターバーナの炎が薄暗い空に赤く光っていました。
F-15戦闘機はF-104戦闘機の後継として昭和55年度から調達が開始され、複座型とあわせて213機が導入されました。
これは米空軍以外で最大のF-15保有数になります。
現在アラートを担当する7つの戦闘機部隊と1つの教育部隊に配備されて防空の中核を担っています。





飛行展示を終えて機体を左右に振って観客にご挨拶。
この後百里基地にむかって会場をあとにしました。
以上、F-15戦闘機による飛行展示でした。



ブルーインパルスの飛行展示や救難隊の救難展示が行われなかったなど寂しい部分がありましたが、各種航空機の飛行展示を堪能できて大満足でした。
心配していた天候も幸運にも降雨はなく、プログラムどおりの展示が行えました。
ちなみに航空祭終了後は駅までのバスが長蛇の列になるのですが・・・
ここで今年はいろいろ考えましてタクシー会社にタクシーを拾えそうな場所を聞いておきました。
これが大当たり!
タクシーを普通に呼ぶことが出来ました。
F-15の展示が終わったのが14時半頃だと思いましたが、早くも14:50には駅ちかくの喫茶店でコーヒーを飲んで一服できました(^^)
但し・・・その代償で地上展示を全部は写せませんでしたし買い物もできませんでしたけどね(^^;
以上、静浜基地航空祭2015の模様でした。




静浜基地航空祭 その1/その2/その3
Posted at 2015/06/06 21:14:35 | コメント(4) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記

プロフィール

「佐久間挺長ほか潜水艇の慰霊塔がある鯛の宮神社は呉のタクシー運転手さんも知らない場合もあってちょっと行きづらいのですが、あのあたりは安芸地震で結構被害受けたみたいで爪痕がまだ残ってたりします。」
何シテル?   06/23 21:17
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