では遊覧船 後編です。
遊覧船は右舷側に座っていたので主に陸上施設のほうをみえてきましたが、ここからは折り返しなので北吸桟橋側をじっくりみえます。

まず目に飛び込んできたのは支援船です。
YB106「廃油船106号」(載貨重量100トン)です。
平成23年に竣工したばかりの比較的新しい支援船ですね。
非自走式で、艦艇の廃油を回収する支援船です。
船は燃料や潤滑油などさまざまな油脂が使われていますが、排出されて船底部に溜まると海水と混じって汚水になります。
さすがにこれを海に流すわけには行かないのでこの汚水を回収するのが廃油船です。

こちらにも2隻いますね。
左側はYW23「水船23号」(載貨重量310トン)、右側はYG204「油船204号」(載貨重量270トン)です。
水船23号は平成12年に竣工した船舶で、清水(真水)を艦艇に補給するものです。
燃料や潤滑油、食料や武器弾薬はもちろんですが、生活に必要な飲料水など真水も重要な物資です。
渇水時などには離島の救援などにも使われるそうです。
油船204号は平成元年に竣工した船舶で、その名のとおり艦艇に油(燃料)を補給するものです。
油船には「YG」と「YO」があって、YGのほうはガソリンなど軽質油を補給するようです。

ズラリとならんだ油船です。
YO33「油船33号」、YO38「油船38号」、YO31「油船31号」(それぞれ載貨重量490トン)で平成4年から19年にかけて竣工しています。
護衛艦などの艦艇に燃料を補給する船ですが、こちらは軽油を補給するようです。

続いてYT02「曳船02号」、YT72「曳船72号」です。
YT02は平成25年に、YT72は平成2年に竣工しています。
両方とも排水量は260トンですが、曳船02号は出力が800馬力アップしています。
曳船とはいわゆるタグボートで、艦艇が桟橋につくときに支援を行う船舶です。
マスト基部には赤い放水銃が装備されていて消防船としての能力ももちます。

見えてきたのはPG-828ミサイル艇「うみたか」(満載排水量240トン)です。
「はやぶさ」型ミサイル艇の5番艇で平成16年に竣工しました。
小型の護衛艦って感じですが、艦首の76ミリ速射砲の宝塔の大きさをみるとずいぶん小型なんだなと感じます。
この速射砲は「むらさめ」型などに搭載されている76ミリ速射砲と同じものですが、砲塔のカバーはステルスシールドが採用されています。
90式艦対艦誘導弾発射筒を最大4本搭載でき、76ミリ速射砲を搭載しているので小型な割りに対艦攻撃力は非常に強力だったりします。
ガスタービンを用いたウォータージェット推進でその速力は最大44ノット以上とされています。
ミサイル艇は高速魚雷艇の流れをくむ沿岸防衛・警備用の艦艇で、高速走行と強力な対艦能力が求められています。
海上自衛隊ではミサイル艇1号型を建造しましたが軽量小型ゆえに重量管理など運用が難しく、さらに後の北朝鮮による不審船事件の教訓も取り入れ後継として建造されたのが「はやぶさ」型です。

続いて見えてきたのはDD-130護衛艦「まつゆき」(満載排水量4200トン)とDD-151護衛艦「あさぎり」(満載排水量4900トン)です。
DD「まつゆき」は「はつゆき」型護衛艦の9番艦として昭和61年に竣工した護衛艦です。
対空・対艦・対潜とバランスの取れた兵装に加え、哨戒ヘリコプター1機を搭載できる護衛艦です。
比較的コンパクトな船体ですが後部には巨大なヘリコプタ格納庫と甲板があります。
就役からずいぶんたつこともあって「はつゆき」型は何隻かが退役や練習艦に種別変更になっているので護衛艦として残っているのも少なくなってきましたが、「まつゆき」はもうしばらく現役の姿をみることができそうです。
DD「あさぎり」は「あさぎり」型の1番艦として昭和63年に竣工しました。
「あさぎり」型は「はつゆき」型の拡大改良版で、大型の煙突が1本から2本になったり、マストも2本のラティスマストになりヘリコプタ格納庫も大きく変わりましたが不思議とこの2隻は非常に似ている印象を受けますね。
この2隻は第3護衛隊群ではなく、第14護衛隊所属となっています。
艦尾に見える箱型のものはシースパロー短距離艦対空ミサイル発射機、艦首には76ミリ速射砲、その後ろにアスロック発射機、煙突の横には艦対艦ミサイル発射筒、写真では見にくいですが左舷と右舷には短魚雷発射管、前部艦構造物両側に高性能20ミリ機関砲が搭載されています。

続いて見えてきたのはいわゆるイージス艦です。
イージス艦とはSPY-1レーダを中心にイージスシステムを搭載したシステム艦のことで、海上自衛隊では「こんごう」型と「あたご」型の2種類のイージス艦を装備しています。
手前がDDG-175ミサイル護衛艦「みょうこう」(満載排水量9500トン)、奥がDDG-177ミサイル護衛艦「あたご」(満載排水量10000トン)です。
非常に大型に感じますね。
排水量は先ほどの「まつゆき」「あさぎり」の2倍にもなります。
またアスロック発射機や対空ミサイル発射機のようなものがみあたりません。
これらは垂直発射機(VLS)に装てんされています。
最初から装てんされてるので矢継ぎ早に射撃ができますし、発射後に向きをかえればいいので発射体制にはいるまでの時間を大幅に短縮できます。
DDG「みょうこう」は「こんごう」型護衛艦の3番艦として平成8年に、「あたご」は「あたご」型の1番艦として平成19年に竣工しています。
2隻並ぶと違いが判って面白いですね。
「あたご」型は「こんごう」型がベースですが、ヘリコプター格納庫を装備しています。
また砲熕装備として「みょうこう」はOTOメララ127ミリ速射砲を装備していますが、「あたご」は米海軍のMk45-mod4 127ミリ単装砲を搭載しています。
マストも「みょうこう」が従来のラティスマストに対して「あたご」はステルスマストを採用しています。

続いて見えてきたのは・・・
なんとかう白く干からびているように見えますし、艦尾には自衛艦旗がありません。
艦首には艦番号もありませんしよく見ると速射砲の砲身もありません。
退役した元ヘリコプター搭載護衛艦「しらね」(現役時の満載排水量7200トン)です。
「しらね」は昭和55年に竣工して以来海上自衛隊の顔として観艦式での観閲艦を務めるなど旗艦的な護衛艦でした。
巨大なヘリコプタ甲板、格納庫には対潜ヘリコプタを3隻搭載することが出来、護衛隊群の中心として活躍してきましたが、護衛艦「いずも」竣工とともに退役となりました。
写真では砲熕装備として5インチ砲が1基のみ認められますが現役時には1段上がったところにもう1基設置されていました。
背負い式で2門の速射砲を装備し、大型の艦構造物をもつ本当に美しく戦艦の流れを汲むかのような威厳がありました。
「しらね」は今年平成27年に除籍となり、標的艦へと改装される予定です。
長く日本を守ったこの偉大な護衛艦は、退役してからもなお標的として射撃用のデータという形で日本を護り続けます。
そういえば「しらね」退役後に第3護衛隊群のDDHになった「ひゅうが」ですが、この日の数日前に航海にでかけたようです。

あっけにとられそうなほど巨大ですね。
こちらはAOE-425補給艦「ましゅう」(満載排水量25000トン)です。
海上自衛隊最大の補給艦で、護衛艦の大型化や米海軍との共同作戦、災害派遣などを考慮し平成16年に竣工しました。
後部はヘリコプター甲板と格納庫がありますが固有のヘリコプターはもっていません。
2枚目は前から写したアングルですが、この構図は遊覧船ならではですね。
「ましゅう」は全長221メートル、幅27メートルと意外にも細長いのが判ります。

続いてはAMS-4301多用途支援艦「ひうち」(満載排水量1400トン)です。
訓練支援や救難、ちょっとした輸送などさまざまな用途に使われる艦艇で、「ひうち」型多用途支援艦の1番艦として平成14年に竣工しました。
艦後部の甲板が結構広いのですが、ここには自走式水上標的や貨物、車両などを搭載することが出来ます。
船舶の曳航能力もあり、標的艦となった元護衛艦を曳航することもあります。
東日本大震災では福島第一原発事故で冷却用の真水を積載した運荷船(バージ)を原発近くまで曳航もしています。

さあいよいよクルージングも終わりです。
最後に見えてきたのはYT64「曳船64号」とYT01「曳船01号」(ともに260トン)です。
上で紹介した曳船02号、72号と同型ですね。
港湾施設には欠かせない船舶で、海上自衛隊を支える重要な支援船です。
北吸桟橋は海上自衛隊舞鶴基地の桟橋になりますが、一直線の岸壁に艦艇が停泊します。
それはさながら縦列駐車のようですが、長さ100メートル以上の艦艇がずらりと並ぶ姿は壮観ですね。
こうして約30分のクルージングはおわりました。
とてもエキサイティングでしたがめちゃくちゃ暑かった・・・・
この後昼食を市役所近くのラーメン屋でとりました。
ここのラーメン、めっちゃ美味なんです。
味が濃くて好きなんですよ。
舞鶴に行くと必ずここを利用しています。
さて赤レンガパークに移動しました。
赤レンガパークは市役所や体育館をはさんで結構近くにあります。

こちらは駐車場におかれていたモニュメント。
なんと元ヘリコプター搭載護衛艦「しらね」の主錨です。
すでに退役して北吸桟橋に繋留されている「しらね」ですが、こうやって主錨が置かれているのをみると本当にもう退役してしまったんだなという寂しさを感じます。

舞鶴といえば赤レンガの街というのもやはり納得します。
赤レンガの建造物が数多く残り、赤レンガパークにはそれが集中しています。
ここは映画などでもよく使われています。
「日本の一番長い日」でも使われました。
複数の赤レンガの建造物が集中するこの一帯では市制記念館、智恵蔵、貸館スペース、イベントホールなどに使われています。
元は舞鶴海軍兵器廠倉庫だったので頑丈なんでしょうね。
この日もイベントホールでは結婚式が行われていました。
しっかり地元に愛される施設として根付いてるんですね。
この後は土日の北吸桟橋公開を見学しました。
続く
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舞鶴地方隊 サマーフェスタ2015/
第23航空隊サマーフェスタ2015/舞鶴基地北吸桟橋見学/舞鶴港遊覧船