1月28日、29日と航空自衛隊浜松基地に隣接する広報施設、浜松広報館で地対空誘導弾等の機材展示がおこなわました。
浜松広報館では定期的にこういったイベントを開催して広報活動を行っています。
普段まず見ることのできないミサイルですがこういったイベントで身近に感じることは大切ですよね。
私たちの税金で作ったミサイルが私たちの生命財産を守っています。
そう思うとミサイルがとても頼もしく感じますね。
安全保障に何の関心もないタレントが「軍事費とか税金のムダ使いを減らすとか~」なんてバカ丸出しな発言を報道番組で言ってるのをたまに見ますが、医療や福祉や年金も日本という国があってのこと。
その日本を守ってるのは戦闘機でありミサイルであり戦車であり、護衛艦であり、何より命がけで任務についているたくさんの自衛官です。
「防衛は最大の福祉」。
年金や福祉で日本の独立は守れませんよ?
ということでみていきましょう。
浜松基地は飛行部隊ではパイロット教育を行う第1航空団、防空監視を行う警戒航空隊、救難活動を行う浜松救難隊がありますが、そのほかに航空機の整備教育を行う第1術科学校、管制システムの教育や対空火器の整備教育を行う第2術科学校、ペトリオットの教育を行う高射教導隊などの部隊が置かれています。
【91式携帯地対空誘導弾】

こちらは91式携帯地対空誘導弾(SAM-2)です。
バズーカ砲のような形をしていますが、本物ならばこの中に小型の地対空ミサイルが装填されています。
(展示されているのは練習用機材)
「携帯」の名のとおり、侵入してくる敵航空機に対して隊員が担いで狙いを定めて射撃を行います。

91式携帯地対空誘導弾は、携帯地対空誘導弾スティンガの後継として開発されたもので誘導性能が向上されています。
相手航空機の出す赤外線をたどって誘導しますが、弾体先端にテレビカメラが装備されていて可視光画像も誘導に加わっているので敵の妨害をうけにくく、誘導性能に優れています。
写真左側の大型のフィンは敵味方識別装置のアンテナだそうです。
【81式短距離地対空誘導弾】

こちらは81式短距離隊滞空誘導弾(SAM-1)です。
通称「短SAM」と呼ばれるもので、わが国が開発した初の地対空誘導弾です。
このトラックに搭載したランチャには赤外線誘導の短距離地対空誘導弾が4発装填されます。

発射機(ランチャ)です。
81式短SAMは昭和56年度に制式化され、野戦防空用として陸上自衛隊の高射特科部隊に配備され、昭和58年度より航空自衛隊でも基地防空用として配備が開始されました。

こちらは目視照準具です。
射撃はもちろん電子装置により統制されたもので行いますが、このような目視照準具をセットすることで目視による照準射撃が可能になります。

こちらは射撃統制装置です。
大型トラックに射撃統制装置を載せたもので、この車両で目標を捕捉・射撃の統制を行い、先ほどの車両でミサイルの発射を行います。
上部の大型の板は射撃統制用のフェーズドアレイ式多機能レーダです。

射撃統制装置のフェーズドアレイ式レーダのアンテナです。
ミサイルは発射後に空中で目標をロックオンします。
ミサイルの誘導は赤外線誘導方式を採用してるので、目標命中まで射撃統制装置がミサイルの誘導指令を行う必要がありません。

射撃統制装置のコンソールです。
大型のレーダースクリーンがありますが意外とシンプルですね。

発射機と射撃統制装置です。
統制装置1基と発射機2基(ミサイル8発)でシステムを構成します。
【対空機関砲VADS1改】

こちらは対空機関砲VADS1改です。
機関砲と射撃統制装置を組み合わせたもので、VADSとは「Valcan Air Defense System」を意味します。

VADS1改の機関砲です。
この機関砲は6砲身の20ミリ機関砲(ヴァルカン砲)で発射速度は高速では毎分3000発、低速では毎分1000発と非常に高い発射速度で砲弾を射撃します。

VADS1改のリードコンピューティングサイトです。
これで見越し角の自動算定を行い、目標への命中率を向上させます。
VADS1改は航空自衛隊の飛行基地に配備され、戦闘機部隊や高射部隊の防空網を突破して我の基地を攻撃しようとしてくる敵航空機からの基地防空最終段階を担当します。

VADS1改を後ろから。
意外と簡素ですね。
ここに操作員が座り、射撃を行います。
手前のドーム状のものがリードコンピューティングサイト、右側の円盤のように見えるのが測距レーダーになります。

こちらもVADS1改の後ろ。
この対空機関砲は重量が1.8トンと比較的コンパクトな上に2人の操作員で操作が行え、射撃システムが1両で完成されているため、トラックで牽引することで容易に展開ができます。
【地対空誘導弾ペトリオット】

最後はペトリオットです。
米陸軍が運用して湾岸戦争で有名になったペトリオットですが航空自衛隊も高射部隊で運用しています。
地対空誘導弾ナイキの後継として昭和60年度より整備に着手し、高射群に配備されています。
長射程の地対空ミサイルで進入してくる敵航空機を撃破するのが任務です。

ペトリオット発射機の後方ですが、左右で形が違うのが判ります。
左側が従来のペトリオットミサイル(PAC-2)、右側が対弾道弾迎撃用の向上型(PAC-3)です。
このコンテナの中にミサイルが収納されていますが、PAC-3は小型軽量化されたため発射コンテナ1つに4発装填することができます。
ペトリオット発射機はこのコンテナを最大4個セットすることができるため、PAC-2なら4発、PAC-3なら16発を装填することができます。

こちらも後方から。
「INERT MRT」とありますが、これはイナート弾を意味します。
訓練用の不活性弾のことですね。

ペトリオットの牽引車です。
特大型トレーラにより牽引されます。

ペトリオットは高性能な防空システムですが規模も大きく、この発射機のほかにレーダ装置、射撃管制装置、アンテナマストグループ、電源車が必要になってきます。