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2015年04月19日 イイね!

護衛艦「いずも」特別公開(後編)

護衛艦「いずも」特別公開後編です。



こちらは第1エレベータです。
正確には第1エレベータのプラットホームの下になります。
この巨大なプラットホームが昇降するのですから大迫力ですね。
妨幻のために内側は黒く塗られています。

では飛行甲板に向かいましょう。
飛行甲板にはこの第1プラットホームでいっきに上ります。
第1エレベータの仕様荷重は30トンになるそうですね。




第1エレベータのプラットホームに乗って、見上げてみたところです。
なんだか不思議な感覚になります。
第1エレベータは艦橋よりも艦首側に位置しています。






飛行甲板からプラットホームを覗いている人をみるとこのエレベータの大きさがわかります。
第1エレベータのプラットホームは長さ20メートル×幅13メートル。
「ひゅうが」が20メートル×10メートルなので広くなりました。
飛行甲板の下で丸ものがついた機械がみえますが、これはプラットホームを固定するためのピン。


さぁエレベータのプラットホームにのって飛行甲板へ!

(youtubeに私がupした動画です。・・・・地味な動画ですが 笑)




おい・・・なんかいたぞ・・・?
馬・・・・だと・・・・?



第1プラットホームはこのように飛行甲板にせりあがると一体化します。




第1プラットホームが下がった状態で飛行甲板から見下ろしたところ。
20メートル×13メートルという広大な面積のプラットホームが格納庫まで下がっているわけですが、なんとも不思議な感じがします。
今回の公開では転落防止のために柵が設置されていますが、作戦時などでは夜間の灯火管制なんかもするのでしょうから航空機や作業者の転落防止には気を使うんでしょうね。
航空機に搭載する弾薬や燃料の補給・抜き取りは火災の危険からエレベータで飛行甲板まで上げてから行うようです。




第1プラットホームの近くの艦橋基部に設置されたエレベータ操作盤。
ここと格納庫管制室と情報をやり取りしながら航空機をプラットホームに載せたり昇降させるんでしょうね。


では艦首から艦尾にかけてみていきましょう。

艦首にある艦首旗です。
自衛隊の施設では午前8時から日没まで旗竿に日の丸が掲げられるよう決められていますが、自衛艦もそれと同じく停泊中は艦首に日の丸を掲げるようになっています。



艦首右舷側には高性能20ミリ機関砲が設置されています。
この機関砲はファランクスといわれるもので、射撃統制装置、機関砲、弾装から構成されています。
敵の航空機や対艦ミサイルは僚艦の迎撃ミサイルで迎撃しますが、それをかいくぐって突入する場合も想定されます。
その最終段階に機関砲で弾幕をはって撃破を行うものです。
機関砲はF-15などに搭載される20ミリ機関砲(いわゆるバルカン砲)を艦載仕様にしたもので、白く見えるドーム状の中にはいっている射撃統制装置で目標の捜索・探知・追尾・評価・射撃を全自動で行います。
最近はテレビカメラを搭載して目視で不審船などに射撃が出来るようになったブロック1B型が搭載されつつありますが、「いずも」は他の引退した護衛艦からの転用なのかテレビカメラは搭載されていないブロック1A型のようです。



艦首から艦尾をみわたしたところ。
本当に広大な飛行甲板が広がっています。
そして艦橋は右舷にオフセットして配置してあるので飛行甲板は障害物の無い全通式になっています。
まるで空母みたいに見えるこの全通飛行甲板型が「いずも」の特徴ですね。
全通飛行甲板は「ひゅうが」型と同じですが全長・全幅ともに拡大しましたので飛行甲板の面積は「ひゅうが」のざっくり1.5倍の面積を確保しています。



こちらは救難作業車。
いわゆる消防車ですね。
化学消火剤をつかった泡消火装置を搭載しているようです。




艦橋基部を前から。
手前に見える巨大なものはNORA-7スーパーバード衛星通信アンテナ。
通信衛星スーパーバードDを使って艦船用の衛星通信を行うものです。




NORA-7スーパーバード衛星通信アンテナの後方の艦橋基部に設置されたシーRAMです。
RIM-116 RAMという小型のミサイルと高性能20ミリ機関砲の射撃統制装置を組み合わせたもので、全自動で自律した目標の捜索・探知・追尾・評価・射撃を行います。
実は護衛艦「いずも」の武装は高性能20ミリ機関砲とシーRAMが各2基づつの計4基のみしかありません。
護衛艦「ひゅうが」ではESSM短SAMやVL-ASROC、短魚雷発射管が装備されていましたが「いずも」ではそれらは装備されず、自衛用のみとなっているんです。





護衛艦「いずも」を最も象徴するもの、それはこの艦橋だと私は思います。
艦の中央ではなく右舷にオフセットされて、飛行甲板の妨げにならないレイアウトは艦橋というよりは空母の「アイランド」といういう感じです。
そしてこの艦橋、他の護衛艦には必ずあるものがないんです。
それは・・・
射撃統制装置が無いんです。
射撃統制装置とは護衛艦の速射砲や対艦ミサイル、艦対空ミサイルの射撃を行う際にレーダ照射を行って目標への射撃コントロールを行うものです。
もちろん護衛艦「ひゅうが」にもあります(艦橋についてる四角いアンテナがそれです)。
ところが・・・・「いずも」にはそれがありません。
「ひゅうが」の射撃統制装置があった部分にはOPS-50という三次元レーダが搭載されています。
見た目は「ひゅうが」に搭載されている射撃指揮装置3型(FCS3)そのままですが、「いずも」はそもそも艦隊空ミサイルを搭載していないのでミサイルの管制機能を省いています。
もちろんミサイル誘導用のXバンドレーダもありません。
このOPS-50は対空捜索と航空管制に特化したものとなっています。

射撃統制装置がない=武器をもっていない(自衛用のCIWSは除く)わけですので、「いずも」は従来の護衛艦とは全く異なるものになっています。
護衛艦「ひゅうが」は形は「いずも」と似ている大型のヘリコプタ搭載護衛艦ですが、対艦ミサイルや速射砲をもっていないだけで基本的には従来の護衛艦と同じく個艦防空の艦対空ミサイルや短魚雷、対潜ミサイルをもった護衛艦です。
つまり他の護衛艦と同じく単独で作戦が行えます。
一方「いずも」は武器を持っていないので1艦だけで行動はせず、必ず他の護衛艦の護衛が前提になっています。
完全に「空母的」な運用ですね。
空母といっても戦闘機をのせて・・・という意味じゃなく、僚艦に護衛を完全に任せ、ヘリコプターの洋上プラットホームになるということで、従来の護衛艦とは全く異なった運用になります。
「いずも」に武装がされていないのはコストを抑えるという意味もありますが、これだけ巨大になると従来の護衛艦と同じような運用が難しいでしょうし、航空機運用に絞った運用を求めた結果なのでしょうね。

今回公開はされませんでしたが「いずも」は「ひゅうが」以上に広大な多目的区画があるそうです。
ここに陸海空の幕僚がつめかけて部隊の指揮がおこなえるようになっています。
その指揮通信能力も相当なものらしく、自衛隊の統合運用を最初から考慮してるってことなんでしょうね。
東日本大震災では「ひゅうが」は米海軍と連日会議を行って災害派遣部隊の指揮をとっていたようです。
武装は自衛に限られていますが、「ひゅうが」以上に拡充された航空機の運用と指揮通信管制能力をもった「ヘリコプタープラットホーム兼洋上指揮艦」といったところでしょうか。




こちらは左舷にあったフィルタ室のドア。
空調か何かの関係なのかな?
「X」の記号は常時閉めておくべきという意味のようですが・・・?



左舷にはキャットウォークが設置されてました。
飛行甲板を歩くことなく艦尾から艦首まで歩いて移動が出来ます。
手前に見えるのは音に指向性をもたせて一方向に集中させることが出来るLRAD-RXです。
現在行われているソマリア沖での海賊対処行動で護衛艦に搭載されているもので、指向性を持っているので限られた範囲のみに大音量で特定の場所に指示や警告を与えることが出来ます。
この特別公開ではここからアナウンスもおこなっていました。



これな~んだ?
これは「いずも」の飛行甲板の表面です。
すべりどめのために非常にざらざらしています。
これが飛行甲板全体に塗装されているわけです。
丸く見えるのは航空機や車両を係止しておくフックで、蓋がしています。



こちらは飛行甲板のヘリコプター発着スポット。
上から見ると「K」に見えるあれです。
護衛艦「ひゅうが」よりも1箇所多い5箇所あって、同時に5機の航空機の発着が可能なようになっています。
護衛艦「いずも」はSH-60JまたはSH-60K哨戒ヘリコプターやMCH-101掃海・輸送ヘリコプターを最大で14機を搭載することが可能とされています。



こちらもエレベータですがちょっと小さいですね。
これは航空機用ではなく航空機に搭載するミサイルや魚雷などを弾庫から飛行甲板に昇降するための専用エレベータです。
火災や事故を防ぐために弾薬の搭載は格納庫内では行わず、こうやって飛行甲板まで移動させてから行います。





艦橋の側面です。
前部艦橋と後部艦橋の間にはエントツがありますが、その間は隙間があってそれぞれが独立しています。
左舷側はその隙間に鉄板で蓋がしてあるんですね。
第1煙突の後部にある白いドーム状のものはNORA-1Cスーパーバード衛星通信アンテナです。
スーパーバードB通信衛星を使って艦艇間、陸上基地へ通信を行うものです。
第2煙突にある白いドームは前からORQ-1Cヘリコプター用データリンク装置、NORQ-1スーパーバード衛星通信アンテナです。




艦橋を後部から。
マストがなかったらどちらが前か後ろかわからないほど前部と後部の艦橋は非常に似ています。
後部艦橋も前部と同じくOPS-50三次元レーダが設置されています。
後部艦橋は航空管制室となっています。
こうしてみると航空管制室の位置の関係でヘリコプター側から見て位置が掴みやすい、掴みにくいなどがあるでしょうから5箇所あるヘリコプター発着スポットでも着艦しやすいスポット、しにくいスポットがありそうですね。



後部艦橋です。
飛行甲板になっている左舷側に大きく張り出していますね。
手前にある巨大なドームはNORA-7スーパーバード衛星通信アンテナです。
「いずも」は「ひゅうが」と同じく艦橋の前後に設置されています。
常時どちらかのアンテナがスーパーバード通信衛星と向かい合ってるんですね。



こちらは飛行甲板後部に展示してあった作業車両です。
詳細はわかりませんが、「ひゅうが」に搭載されていたクレーン車は25トンの能力をもつもので、ヘリコプタの撤去などの作業を行います。
フォークリフトは貨物運搬用で、これらの装備は輸送艦「おおすみ」型から導入されてるようです。



艦後部右舷に設置されてる第2エレベータのプラットホーム上に載せられていたSH-60J哨戒ヘリコプター。
護衛艦「いずも」の上ポンシステムの中核となるもので、いずもはこれを複数機(SH-60Kで7機)搭載します。
哨戒ヘリコプターは「HS(ヘリコプターシステム)」と呼ばれています。
これは単に哨戒ヘリコプターが潜水艦を発見するためだけでなく、護衛艦のウエポンシステムの重要な一部だということを意味しています。
哨戒ヘリコプターに搭載されているソナーやセンサを使って潜水艦を発見して必要に応じて攻撃を加える対潜哨戒はもちろんですが、広い範囲を監視して対水上目標の情報を護衛艦に送って対艦ミサイル射撃支援を行うなど非常に重要な任務を負っています。
写真のSH-60Jは機体そのものは米海軍のSH-60Bシーホークのライセンス生産ですが、中の電子システムは国産のものを用いています。
米海軍は駆逐艦や巡洋艦に搭載するSH-60Bにソノブイ投射機と広範囲を監視するレーダを搭載して、空母からはるかに先に進出して潜水艦の監視・発見を行います。
そして空母にはSH-60Fオーシャンホークを載せて空母の直衛として間近に迫った敵潜水艦を精密に発見できるようディッピングソナというアクティブソナーをぶらさげます。
SH-60BとSH-60Fという明確に異なった哨戒ヘリコプターを運用しているわけですが、海上自衛隊はこれら両方の機能をもつSH-60Jを独自開発したわけです。
現在SH-60Jは退役がはじまっていますが、その後継として拡大発展型のSH-60Kが配備されています。




艦後部の右舷には右舷艦首側と同じくUSC-42衛星通信アンテナがあります。
米海軍の偵察衛星フリーサットを使って衛星通信を行います。



艦尾の自衛艦旗。
軍艦旗と同じ意味合いを持つ旗で、この艦艇が日本国の自衛艦であることを示す非常に重要な旗です。
日の丸の中心は旗竿から6分の1オフセットした位置にあり、日の丸からの光線は11度4分の1に開いています。
このデザインは大日本帝国海軍の軍艦旗から踏襲しています。



飛行甲板から左舷側をみるとYT-67「曳船67号」が「いずも」に接近してました。
曳船の体験搭乗は「いずも」の格納庫内で受付をしていましたのでここから乗り込んだのでしょうね。
私も乗りたかった!!




見学を終えて「いずも」から降りたあとに地方協力本部のブースにいくと南極の石が展示してありました。
南極観測は海上自衛隊が支援しています。
南極観測船として知られる「しらね」は海上自衛隊の砕氷艦で、横須賀基地の横須賀地方隊の所属なんですよ。



以上、護衛艦「いずも」特別公開の模様でした。




いずも特別公開 前編/後編
Posted at 2015/04/19 22:04:09 | コメント(3) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記
2015年04月19日 イイね!

護衛艦「いずも」特別公開 (前編)

先週の話になるのですが、去る4月11日に神奈川県横須賀市にある海上自衛隊横須賀基地にいってきました。
目的は・・・・


横須賀基地で開催される護衛艦「いずも」特別公開です。

9000名限定の特別公開ということで、募集があったのですが往復ハガキを書いて出してみたんです。
そうしたら・・・

あたったんですよ~☆
まさか当たるとは思っていなかったのでものすごくうれしかったですね。
何でも4万人の応募があったとかで倍率が4倍以上。
ち・・・注目度高かったんですね。


まずはJR横須賀駅からすぐのところにあるヴェルニー公園に向かいました。
ここは海上自衛隊横須賀基地と米海軍横須賀海軍施設を目前にすることができるわけです。
横須賀駅を出るとすぐに護衛艦「いずも」の姿が見えてきました。


で・・・でかい・・・・
とにかく「巨大」の一言です。
護衛艦「ひゅうが」を初めてみたときかなりの巨大さに圧倒されましたが、それ以上のとてつもなさを感じました。


別アングルから。
私は13:30~の第4回公開だったので、先のグループ(第2回、3回公開)の人たちを遠目にみることができました。
大盛況のようですね、第4回公開までには少し時間があるのでこの間に食事や休憩をしていましたが、今すぐにでも見に行きたいですね。



YT-68「曳船68号」(排水量260トン)が航行していました。
YT68号は260トン型と呼ばれる曳船でいわゆる「タグボート」です。
海上自衛隊の艦艇が港湾にはいってきたとき、接岸・離岸の支援をするのがこの曳船です。
ライフジャケットを着たたくさんの人がいますが・・・・?
実はこのいずも特別公開では曳船や交通船の体験搭乗も行われてたんです(もちろん抽選でですが)。



護衛艦「いずも」の鼻先を交通船YF-2146「交通船2146号」(排水量6トン)が進みます。
長さ11メートル、6トンの小型船ではありますが、「いずも」の巨大さを感じます。
この交通船は30名程度の人員を乗せることができます。
曳船と同じく交通船も体験搭乗が行われていたのでその関係でしょうか?



交通船2146号と曳船66号とのツーショット。
YT-66「曳船66号」は上の曳船68号と同型船で昭和60年9月に竣工しています。



こちらはYT-67「曳船67号」。
もちろん260トン型と呼ばれる曳船で上の66号、68号と同型船です。
船橋上部にみえる赤いものは放水銃で消防船としても使えるそうです。
この260トン型のうち横須賀基地の曳船68号、74号、79号は東日本大震災では福島第一原発事故の際に冷却水を輸送した給水支援作戦「オペレーションアクア」に参加しています。
原発の冷却水を確保するために米軍横須賀海軍施設の油脂用艀(バージ)に水を搭載して原発まで曳航するオペレーションなのですが、曳船はある程度の航行能力があるとはいえ、港湾内での運用が前提なので速力11ノットと低速な上に凌波性も良いとはいえません。
放射能汚染区域でしかも津波で原発施設周辺に瓦礫などの障害物があることも予想されるなかでの作業は想像を絶するものがあると思います。
放射線防護用の鉄板やタングステン板を窓などに取り付けて作戦を行ったそうです。
未曾有の大災害ではこの260トンしかないタグボートに日本国の運命を託して命がけの災害派遣活動を行っていたわけです。



一方「いずも」の飛行甲板。
こうしてみてみると艦首旗ちいさっ!
もちろん艦が巨大だからそうみえるわけですが、「いずも」の全幅は38メートル。
護衛艦「しらね」型(幅17.5メートル)の2倍以上!
学校の25メートルプールを横においてさらに余裕が13メートルあるわけですから本当に巨大に感じます。




さぁ時間が来ました。
基地にはいりましょう。

胸どきどき、呼吸はぁはぁ(※動悸息切れではありません)いざ横須賀基地へ。
公開対象者9000人を4つのグループにわけてるので大混雑というよりは意外と空いていました。
このゲートをくぐったところでチケット(当選ハガキ)をチェックしてもらって中に入ります。



横須賀地方総監部の正門です。
この奥で荷物検査をうけます。
今回液体(ペットボトルや水筒)をもってきてる人は荷物検査の場所で一口飲んで問題ないかの”毒見”確認を行いました。
毒物や液体の爆発物だったらえらいことですからこういった検査は大切ですね。



で・・・・でかい・・・
護衛艦「いずも」の全高は49メートルといいますから、航空自衛隊のE-767早期警戒管制機やKC-767空中給油機の全長(48.5メートル)、ビルなら14~15階建てに匹敵します。
航空祭では巨大なE-767やKC-767を垂直に立てたと思うと巨大さがわかります。
「いずも」の艦首部では地方協力本部の広報がおこなわれていました。
海上自衛隊横須賀音楽隊の音楽演奏が行われていました。




さぁいよいよ岸壁に入ります。
フェンス外から1枚。
とにかく「巨大」というのが印象ですね。
現役の護衛艦は小型のもの(「あぶくま」型でも109メートルと結構大きいので、大型の「あたご」型(165メートル)をみても意外と受ける印象としての巨大さは変わらない(並ぶとしっかりわかりますよ)のですが、「いずも」は別次元と思えるほどの巨大さを感じます。
「いずも」の全長は248メートル。
これは「はつゆき」型と「あぶくま」型を一列に並べたのに匹敵します。




・・・圧倒されますね。
ここで護衛艦「いずも」について簡単に紹介を。
ヘリコプター搭載護衛艦DDH-183「いずも」(基準排水量19500トン)はヘリコプター搭載護衛艦「しらね」の後継として配備された海上自衛隊最新・最大の護衛艦です。
平成22年度に整備がおこなわれ、平成24年1月27日にジャパンマリンユナイテッド横浜事業所 磯子工場で起工されました。
翌年平成25年8月6日に進水し、「いずも」と命名されました。
そして竣工は平成27年3月25日。
この特別公開のわずか2週間ちょっと前に完成して引き渡されたばかりのできたてホヤホヤの超最新の護衛艦です。
配属先はここ横須賀の第1護衛隊群第1護衛隊です。



見た感じ「ひゅうが」型護衛艦に似ていますね。
(清水港で行われた護衛艦「ひゅうが」の一般公開の模様はこっち
護衛艦「いずも」は「ひゅうが」型の拡大版なので全体の印象は「ひゅうが」と似ていますが、排水量にして5500トン、長さにして51メートルというかなりのボリュームを増したわけです。
護衛艦「あきづき」型の基準排水量が5050トンですから1隻分以上の拡大になります。
海上自衛隊ではぶっちぎりで巨大な艦艇ですが、満載排水量が24000トンといわれていますので、満載では補給艦「ましゅう」型(満載排水量25000トン)よりちょっとだけ軽いことになります。


ではじっくりねっとりみていきましょう。
※護衛艦「いずも」に関する書籍がまだ少ないので「ひゅうが」型や進水直後に発行された「世界の艦船2013年11月号」を参考にしました。
間違っていたり情報が古かったらごめんね。



右舷艦首スポンソンに設置してある球体のものはUSC-42衛星通信アンテナです。
米海軍との衛星通信用ですね。



艦構造物です。
煙突をはさんで前後に艦橋が設置されていますね。



艦橋前に設置されたシーRAM(左)とNORA-7スーパーバード衛星通信アンテナ(白い巨大なドーム)。


シーRAMは米海軍が開発した近接防衛システム(CIWS)で、高性能20ミリ機関砲の射撃統制装置に小型の艦隊空ミサイル発射機を組み合わせたものになります。
海上自衛隊では「いずも」が初の装備になります。



前部艦橋部です。
艦橋の横に張り出して設置されているのはNOLQ-3電子妨害装置です。
敵からレーダの照射を受けた場合、これを分析して妨害電波を出して相手の射撃レーダや対艦ミサイルに対して電子的な妨害を図るものです。
艦橋の窓の上にある四角いものはOPS-50三次元レーダ。
その上の白い金魚蜂を逆にしたようなものはNORA-1スーパーバード衛星通信アンテナ、その上にある白いドームはヘリコプター用のデータリンクアンテナ。
さらにその上にある棒状のものはOPS-20対水上レーダ、その上の円盤状のものはOPX-11敵味方識別装置アンテナ、マストの頂上についてるのはTACANアンテナです。
現在の艦艇は電子装置の塊ですね。



右舷には短魚雷発射管・・・?
ではなくてMOD(自走式デコイ)です。
魚雷からミを守るための装備で、敵潜水艦がこちらに向けて魚雷を発射したとき、ここからデコイを投射します。
最近の魚雷は誘導魚雷で、ソナー(音を感知する)を装備していますのでこのデコイからは音響を発生させて敵魚雷を欺瞞・誘引して引き離すための装備です。
「あきづき」型護衛艦から装備された新装備ですね。




艦構造物を後方から。
後部艦橋はマストが無い以外は前部艦橋と似ていますね。
面白いのはこの前部艦橋と後部艦橋は繋がっていないんです。
前後の艦橋の間には煙突が2基ありますが、その間は隙間があって分かれてるんです。
この隙間には補給ステーションがあります。
3300キロリットルのの燃料補給用の燃料を搭載できるそうで、他の護衛艦に対してある程度の燃料や真水の洋上補給ができるそうです。



右舷舷梯部。
艦首側にあります。
「いずも」は非常に大型の艦艇なので岸壁には艦橋がある右舷に接岸することになります。



こちらは車両用ランプ。
護衛艦「いずも」はヘリコプターだけでなく車両の輸送が可能です。
陸上自衛隊の3 1/2トン大型トラックなら約50両を搭載することが出来るそうです。
今回艦内の見学はこのランプをつかって中にはいりました。



右舷後方から。
飛行甲板にはヘリコプターがいますが、その下はなにやら大きく張り出していますね。
これは何でしょう?


実はこの右舷の張り出しは超大型のエレベータになっているんです。
米海軍の航空母艦もこのように飛行甲板の端の一部がエレベータになっています。
「いずも」は2つの大型エレベータがあって、第1プラットフォーム(エレベータ)が艦橋よりも前側の艦中央部付近に、そして第2プラットホームがこの右舷後方にあります。
エレベータの使用重量は30トンのようで、フル搭載の全備重量状態でなければ大型ヘリコプターのCH-53Eやチルトロータ機V-22も楽々昇降ができるようです。
大きさは長さ15メートル×14メートル。
このエレベータが昇降してヘリコプターを格納庫から飛行甲板へ移動させます。
米海軍の原子力空母のエレベータ部はこのように広大なドアを開放させて、万が一の事態(火災や敵の攻撃を受けた場合)は格納庫内で発生した爆風を逃がしますが「いずも」も同じねらいなのでしょうか(聞き忘れた・・・・)



右舷の第2プラットフォーム後方にあるこの空間には作業艇が収納されます。
大型の艦艇なので接岸ではなく沖合いに停泊する場合も多いと思いますが、作業艇は陸上や他の艦艇との交通などにも使用されます。



艦尾です。
左右にはCIWSが設置されていますね。
右舷には20ミリ機関砲を用いた高性能20ミリ機関砲、左舷にはシーRAMになっています。
艦が大きいので死角になる部分も当然あるでしょうからこうやってお互いの近接防空エリアをカバーしてるんでしょうか。


さぁ外観をじっくりみたところでいよいよ艦内です。
見学者の人数が多いことや安全上のためなんでしょう、右舷舷梯ではなく先ほどの車両搬入用ランプから艦内に入りました。


艦内にはいると広大な空間がありました。
ここは航空機格納庫です。
写真は第2エレベータ区画の前から艦首方向を写したもので、奥の明るくなっているのが第1エレベータ区画です。
エレベータ部はレイアウトの関係上格納庫としては使えない(床が下がってきちゃいますからね)のですが、それでも長さ125メートル×幅21メートル×高さ7.2メートルという広大な格納庫を確保しています。
写真では格納庫の真ん中あたりにシャッタ枠のようなものがみえます。
ここから艦首側を第1格納庫、後方を第2格納庫と呼んでいるようです。




格納庫の後部は整備庫となっていて、その後方は支援車両の車庫になっています。
救難作業車や高所作業車などがみえます。



高所作業車ですね。
伸縮式のアームの先端にゴンドラがついていて高所作業を行うわけですが、これだけ格納庫・整備庫の高さがあると作業も難しいでしょうからこういった作業車両があると艦内での作業でも重宝するんでしょうね。
同じ作業車両は「ひゅうが」にもありました。




第1格納庫と第2格納庫を区切る防火シャッタ。
広大な格納庫ですから火災時には被害が広がらないよう防火シャッタを降ろします。
防火シャッタの奥は第2エレベータを管制する格納庫管制室。



艦内にはいくつもの紹介パネルがありましたが、これもそのひとつ。
「いずも」のエンジンについて紹介されていました。
護衛艦「いずも」型はCOGAG方式。
・・・なんのこっちゃ?
ですが、平たく言えば護衛艦「いずも」型はガスタービン(ジェットエンジン)を使ってスクリュをまわしているわけです。
「いずも」が搭載するガスタービンエンジンはボーイング767などのエンジンを艦艇用にしたるLM2500というものです。
この改良型のLM2500IECというものを搭載しています。
ガスタービンは小型な割りに大出力で、「いずも」はこれを4基搭載しています。
「いずも」の速力は30ノットとされていますがずっと小型の「あたご」型(それでも満載で1万トンですが)も同じLM2500を4基搭載しています。
これだけ規模の違う船で同じようなエンジンを同じ数搭載して速力も同じぐらいって何かすごいですね。
(もっとも「あたご」のLM2500の4基合計出力が10万馬力に対して「いずも」のLM2500IECは11.2万馬力と1割以上のパワーアップをしていますが)

ところで・・・この女の子は・・・誰?
LM2500IECの解説をしてるので「LM娘」とでも名づけますか(笑)



第2格納庫には横断幕が貼られてました。
格納庫に隣接する第3甲板左舷には整備員待機室、第5甲板左舷には航空機整備室、航空電子整備室があるようです。



ということで後編に続く。



いずも特別公開 前編/後編
Posted at 2015/04/19 22:03:03 | コメント(4) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記

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「佐久間挺長ほか潜水艇の慰霊塔がある鯛の宮神社は呉のタクシー運転手さんも知らない場合もあってちょっと行きづらいのですが、あのあたりは安芸地震で結構被害受けたみたいで爪痕がまだ残ってたりします。」
何シテル?   06/23 21:17
ミリタリー関係その他のブログはこちらへどうぞ http://minkara.carview.co.jp/userid/1224622/mylist/all...
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