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2016年01月04日 イイね!

FREET WEEK!平成27年度自衛隊観艦式艦艇一般公開(10月10日)その3 護衛艦「きりしま」編

さて引き続き艦艇一般公開の模様を。
ここからは護衛艦「きりしま」です。


こちらは「てるづき」から見た護衛艦「きりしま」です。
ミサイル護衛艦DDG-174「きりしま」(満載排水量9500トン)は平成7年3月に竣工したイージスシステム搭載のミサイル護衛艦で、「こんごう」型の2番艦にあたります。
ミサイル護衛艦というのは、護衛艦が艦隊を編成して作戦を行うときに、長射程の防空ミサイルで艦隊全体を守る護衛艦のことです。
それにしても人と比べると非常に巨大ですね。
「きりしま」は全長161メートル、幅21メートルですから、東京の霞ヶ関ビル(156メートル)より長く、世界貿易センタービル(163メートル)に匹敵する長さになります。


では艦首側から見ていきましょう。


127ミリ54口径単装速射砲です。
「こんごう」型の砲熕装備で、これを1基艦首側に装備しています。
口径は「あきづき」型の5インチ砲と同じですが、見た目がずいぶん違いますね。
こちらはイタリヤのOTOメララという火砲メーカが開発した速射砲で、海上自衛隊では「こんごう」型と「たかなみ」型護衛艦に搭載されています。
毎分40発という高い発射速度をもち、「あきづき」型のMk45-mod4が対地・対水上目標に重点が置かれているのに対してこの127ミリ54口径速射砲は対空目標に対しても有効とされているようです。
ただし「あきづき」型の5インチ砲が22トンに比べて約40トンと重くなっています。
ずいぶん大きく見えますね。


127ミリ54口径単装速射砲を別角度から。
イージスシステム艦はミサイルの射撃統制をSPY-1レーダで行っています。
5インチ砲も同じで「あたご」型や「アーレーバーク」級なども射撃統制はSPY-1レーダで行っているのですが、「こんごう」型はSPY-1レーダで行うのではなく、専用に射撃指揮装置が必要となっています。
艦橋天蓋にパラボラアンテナが見えますが、その手前にお皿のようなものが見えます。
これが127ミリ速射砲の射撃統制装置で、81式射撃指揮装置FCS-2と呼ばれています。



艦橋構造物手前に設置されたMk41 VLSです。
艦首側に29セル、艦尾側に61セル設置されています。
数が中途半端(?)に感じるのは前後ともに3セル分を装填用のクレーンとして使っているため。
この垂直発射システム(VLS)にスタンダードSM-2艦隊空ミサイル、SM-3対弾道弾迎撃ミサイル、VLアスロック対潜ミサイルが装填します。



艦橋構造物です。
同じイージスシステムを搭載している米海軍の「アーレイバーク」級ミサイル駆逐艦と比べるとずいぶん背が高く感じると思います。
これは使われ方の違いから来るもので、米海軍は主要な水上戦闘艦艇の大部分をイージスシステム艦としてワークホースとして使っていますが、イージスシステム艦は非常に高性能ですが高価ですのでいくら海上自衛隊といえどもさすがにそんなことはできません。
そこで海上自衛隊は少ないイージスシステム艦を有効に使うべく、司令部施設を設置しているわけです。
そのためアーレイバーク級をモデルとしていながらも1層高い艦橋構造物となっています。
艦橋天蓋上部に見える細長い棒状のものはOPS-28E対水上レーダ、その上にある白い球状のドームはORQ-1Bヘリコプターデータリンクアンテナ、さらに電子戦装置、TACANアンテナと続きます。


艦橋手前に設置された高性能20ミリ機関砲。
高性能な防空能力を持つとはいえ、こちらの迎撃をかいくぐって突入してくる対艦ミサイルがあるかもしれません。
それを迎撃する最後の砦がこの高性能20ミリ機関砲です。
「こんごう」型は艦橋手前と艦構造物後方に設置されています。
白いアンテナが収められたドームの横にカメラが見えますが、必要に応じて接近してくる不審船などに射撃できるよう、カメラで光学照準射撃ができるブロックⅠB型になっています。
その上にある灰色の球状のものはUSC-42衛星通信アンテナ。
米海軍とのデータリンク用ですね。




艦橋構造物右舷側と左舷側です。
白い大きな八角形の板はイージスシステム艦のシンボルともいえるAN/SPY-1レーダです。
「こんごう」型はこれを駆逐艦用に軽量化したAN/SPY-1Dというタイプを用いています。
パッシブフェイズドアレイレーダで、通常のレーダはアンテナがくるくるとまわりますがフェイズドアレイレーダは電子的にビームを動かすことが出来るので固定式となっています。
艦橋構造物に4箇所とりつけられていてこれで360度全周囲をカバーします。
アンテナは3.8メートルという巨大さです。
その横に張り出しに設置されてる白い球状のドームはスーパーバード衛星通信アンテナ。



艦橋構造物前部のAN/SPY-1Dレーダ取り付け部の下に設置されたMk137チャフ・フレア発射機。
Mk36 SRBOCデコイ投射システムの一部で、迎撃ミサイルで撃ちもらしてさらにこちらに突入してくる敵対艦ミサイルのセンサを欺瞞するためにレーダ波を乱反射させるチャフを投射します。



艦橋構造物を後方から。
マストが鉄パイプを組み合わせたトラスト構造のラティスマストになってます。
とはいえ他の護衛艦と比べると重量のある三次元レーダをマストに載せていないので細く感じますね。
艦橋構造物天蓋に見える四角いものはNOLQ-2電子戦装置です。
敵艦からの射撃統制レーダを照射された際にこれを分析して妨害電波を出す装置です。
艦橋構造物後方には大型の煙突が2基設置されています。



左舷の第1煙突と第2煙突の間に掲げられた日豪の国旗。
この日は横須賀基地にオーストラリア海軍のフリゲイト「スチュアート」が寄航していました。



第1煙突基部に設置された救難浮き輪とブイ。
浮き輪の横にあるオレンジ色のものがブイで自己点火灯とありました。
電池式で発光するので必要時に海に投げ入れて目印にするようです。



第1煙突後方に設置された艦対艦ミサイル発射筒。
写真では3本束ねられていますが、片側に最大4本、両側で8本の筒を装備できます。
この筒の中にRGM-84ハープーン艦対艦ミサイルが装填されています。
米海軍が開発した対艦ミサイルで射程は約100kmとされています。
よ~くみると「てるづき」の90式艦対艦ミサイル発射筒と形が違うよ。



左舷第1煙突~第2煙突周辺です。
第2煙突の前に設置されているのはスライディングパッドアイ。
このスライディングパッドアイの2本の長いレールのようなものの上に設置されてる鐘のようにみえるのはライトで夜間時は赤い照明となります。
長距離の航海や長期間の作戦では燃料や弾薬、食料などの補給は不可欠ですが、基地に戻って補給をすることが出来ない場合は補給艦を使って洋上補給を行います。
洋上補給は自艦・補給艦ともに動いている上に波で上下に揺れていたり横に流されている中で行うので、高い練度が必要とされているようです。



第1煙突横に設置されてるボートダビット。
この日搭載艇は降ろされていましたのでじっくり揚降装置を見ることが出来ました。
ここには7.9メートル内火艇が搭載されます。



「こんごう」型も「あきづき」型と同じく通路はステルス性のためかシールドで覆われています。
このシールド内にあった訓練人形の「コンドウくん」です。
名付け親は柴崎コウさんだとか。
艦から誤って海に人が落ちる事故が発生した場合などに対処するため救助などの訓練に使う人形です。
嫌いな魚はサメだそうです。
かまれると痛いですしね・・・



通路に置かれていた毛布。
体験航海用ですね。
そういえば以前体験航海に参加したときお世話になりました。



第2煙突を後方から。
煙突上部には排気筒が見えますね。
よくみると排気筒は太いものと細いものがあります。
太いものが主機用、細いものは発電用のガスタービンエンジンの排気筒です。
「こんごう」型はLM2500というガスタービンエンジンを4基用いたCOGAG方式の推進システムを用いています。
LM2500エンジンは1基あたり25000馬力、4基合計100000馬力となっています。




後部艦構造物横に設置された3本の俵状に積まれたものは3連装単魚雷発射管HOS-302です。
口径324ミリで空気圧により対潜用の単魚雷を投射します。
人力で操作しますが「こんごう」型より艦内からも操作することができるようになったようです。



後部艦構造物です。
煙突の後方にみえるパラボラアンテナはSPG-62射撃指揮装置(イルミネータ)です。
イージスシステム艦が搭載するスタンダードSM-2艦対空ミサイルの誘導装置で、艦橋構造物上部に1基、後部艦構造物上部に2基設置しています。
SM-2ミサイルはこのイルミネータから誘導電波を出してミサイル側のシーカで受信して目標に突入します。
イルミネータは3基なので同時に誘導できるのは3発ですが、イルミネータが必要なのは目標に接近して命中するまでの間しかなく、また目標に命中後速やかに優先順位を変更して次の目標へ切り替えるので同時多目標への対処が可能です。
その下側には複合艇(ゴムボート)とそれを下ろすためのクレーンが見えます。


艦尾です。
ここはヘリコプター甲板になっていますがヘリコプター格納庫はありません。
奥のほうで一段上がっているのは後部VLSです。
ヘリコプター格納庫がないとはいえ、SH-60哨戒ヘリコプターの着艦は頻繁にあるそうで、格納庫を持つ「あたご」型や他の汎用護衛艦に比べて非常にクリアなので着艦しやすいそうです。



ヘリコプタ甲板にはざらざらとした滑り止め処理が施されています。
またヘリコプターを係止しておくフック環がいくつもせっちしてありました。



後部VLSです。
艦首側にあるものと同じMk41 VLSですが、後部は61セルと前部に比べて数が多くなっています。
VLSの蓋にまでヘリコプター着艦用の目印の白いラインが引かれているのが面白いですね。
このVLSにはSM-2艦隊空ミサイル、SM-3対弾道弾迎撃ミサイル、VLアスロックが装填されます。





後部艦構造物を後ろから。
赤色の大砲に見えるのは航空機事故等に対処するための消火装置。
01甲板には窓が見えますが、ここは見張所で、VLSの監視やヘリコプターの離着艦管制を行うようです。



後部艦構造物天蓋に設置してあるのはおなじみ高性能20ミリ機関砲です。
やはり対水上目標を射撃できるようにカメラが設置してあるブロックⅠBというタイプです。
その前に設置してあるのは?
これは水平灯で、ヘリコプターに対して絶対水平線を指示するためのものです。
内部に動揺安定機が装備されているようです。



艦尾の自衛艦旗。
港湾で停泊中は午前8時から日没まで、航行中は常時掲揚しています。


以上、護衛艦「きりしま」でした。
次は護衛艦「むらさめ」だよ。




平成27年度自衛隊観艦式一般公開
その1/その2/その3/その4/その5/その6


Posted at 2016/01/04 23:30:26 | コメント(1) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記
2016年01月04日 イイね!

FREET WEEK!平成27年度自衛隊観艦式艦艇一般公開(10月10日)その2 護衛艦「てるづき」編

では艦艇をみてまわりましょう。

今回艦艇一般公開の対象になってるのは護衛艦「てるづき」「きりしま」「むらさめ」「あたご」の4隻です。


「てるづき」の艦首を横から。
艦首側に5インチ砲があり、一段高くなったところにVLS、その後方に高性能20ミリ機関砲、その後方に艦橋構造物、マストとなっています。


艦首側から見ていきましょう。
護衛艦DD-116「てるづき」(満載排水量6800トン)は「あきづき」型護衛艦の2番艦として平成25年に竣工した新しい護衛艦です。
「はつゆき」型護衛艦の代替として計画された「あきづき」型ですが、従来の汎用護衛艦ではなく、ミサイル防衛にリソースを割いているミサイル護衛艦を防衛する「僚艦防衛」の能力をもたせています。
艦首には5インチ砲が装備されています。



艦首に装備された5インチ砲。
「あきづき」型は5インチ62口径単装砲Mk45-mod5が装備されています。
他の護衛艦に搭載されている単装砲は「速射砲」と言われますが、この5インチ砲は速射砲とは呼ばれません。
「こんごう」型や「たかなみ」型が搭載している同口径の127ミリ速射砲は毎分40発の発射速度、「しらね」型が搭載する73式5インチ速射砲でも毎分35発ですが、「あきづき」型が搭載するこのMk45は毎分20発と比較的低速度になっています。



5インチ62口径単装砲を後方から。
「たかなみ」型の127ミリ速射砲と比べるとかなりコンパクトで、重量は25トン程度といわれています。
他の護衛艦と比べると直線的な砲塔となっていますが、これはステルス性をねらったためのようです。
操作は完全無人で、射撃指揮装置3型により射撃統制を行います。



5インチ62口径単装砲の砲弾。
もちろん訓練弾ですが上が発射薬、下が砲弾となり、1発が32kgあります。
対地・対水上・対空射撃が可能ですが、説明の方に伺ったところ、対艦ミサイルの迎撃にも使われているそうです。
さすがに発射速度が遅いので連射はできませんし当てるのも難しいようですが艦隊空ミサイルと高性能20ミリ機関砲の間を埋める感じなのでしょうか。



5インチ砲の後方、艦橋との間に設置してあるのがMK41 VLSです。
VLSとは垂直発射システムのことで、その名の通りミサイルを垂直に発射するシステムです。
ミサイルの弾庫と発射機を兼ねたものでミサイルは縦に装填され、真上に発射され、発射されてからミサイルは目標に向かって飛んでいきます。
従来の発射機では発射時に発射機そのものの方向を変えたり、弾庫からミサイルを装填する必要がありますが、VLSは弾庫から直接射撃ができるので矢継ぎ早に発射することができます。
「あきづき」型はESSM(発展型シースパロー短距離艦対空ミサイル)とVLアスロック対潜ミサイルをこのVLSに装填しています。
「あきづき」には32セルのVLSがこの1箇所にまとめられていて、そのうち16セルをESSM、16セルをVLアスロック用としていて、ESSMは1セルに4発装填されているようです。




艦橋構造物。
「むらさめ」型などと比べるとずいぶん雰囲気が違いますね。
従来の護衛艦は射撃指揮装置を艦橋天蓋に、三次元レーダをマストに設置していますが、「あきづき」型では艦橋構造物に一体化して設置しています。
艦橋構造物がかなりボリュームアップした感じがします。
どちらかといえば従来の汎用護衛艦よりは「あたご」型のようなイージスシステム搭載艦のような感じがしますね。



艦橋の手前に設置された高性能20ミリ機関砲(CIWS)です。
護衛艦は通常艦隊行動をとりますが、ミサイル護衛艦が艦隊防空を、個々の護衛艦に搭載された短距離艦対空ミサイルがそれを撃ちもらした目標(主にこちらに向かってくる対艦ミサイル)を迎撃します。
ミサイル護衛艦の長射程艦隊空ミサイル、個々の護衛艦の短距離艦対空ミサイル、速射砲、さらにそれをかいくぐってくる的対艦ミサイルを迎撃する最後の砦がこの高性能20ミリ機関砲です。
白い円筒状のドームにはレーダや射撃統制装置があり、その下には20ミリバルカン砲が設置されています。
目標の発見・追尾・優先順位設定・射撃・評価までを全自動で行うシステムで、多くの護衛艦に搭載されています。
「あきづき」型には艦橋手前と後部のヘリコプタ格納庫天蓋に設置されています。
予算の関係からなのか、対水上射撃ができないブロックⅠ型のようですね。




艦橋天蓋に設置された大小の白い板は射撃指揮装置3型(FCS-3A)です。
名前の通り武器の射撃管制を行う装置で、大きいほうが対空・対水上捜索用のCバンド帯レーダー、小さいほうがXバンンド帯を使ったミサイルや5インチ砲の射撃統制レーダです。
アクティブフェイズドアレイレーダのこの装置は「あきづき」型の武器システムの中核をなすものです。
イージスシステムを搭載したミサイル護衛艦は敵国から弾道ミサイルが発射される恐れが発生する場合には弾道ミサイル防衛(MD)のためにその対空目標処理にリソースの多くを使ってしまいます。
いくら高い防空能力をもつイージスシステム搭載のミサイル護衛艦といえ、ミサイル防衛対処時には自身がリソース不足のため脆弱になってしまうために、「イージスシステム艦を守るための防衛」が必要になります。
それが「あきづき」型が行う僚艦防衛です。
「あきづき」型も高い防空能力をもっていて、隣接する艦艇(僚艦)を守るためエアカバーを広げます。
ただし単にミサイルの迎撃エリアが広いわけではなく、僚艦に向かって飛来してくる対艦ミサイルを字自分だけでなく僚艦にとっての優先順位を判断して迎撃を行います。
そのためリアルタイムで脅威対象、優先順位が変化して対処することが必要になります。



艦橋構造物を横から。
FCS-3Aはレーダー波が死角にならないように配置されているのがわかります。
艦橋後方に配置されたマストは従来のラティスマストではなくステルスマストを用いています。
艦橋天蓋からマストにかけては数多くのアンテナ類が設置されています。
艦橋天蓋の大型の球状のものはスーパーバード衛星通信アンテナ、その後部の四角い形のものはNOLQ-3電子戦装置、マストの下側張り出しに設置してある大型のドームはヘリコプター用データリンクアンテナ、マスト先端に設置してあるのはTACANアンテナです。



マスト後方から。
従来のマストは重い対空レーダを設置していため、パイプを組み合わせた堅牢なトラスマストが必要でしたが、「あきづき」型は対空レーダを兼ねたFCS-3Aを艦橋天蓋に設置しているためマストに重量物を設置する必要がなくなり、このような塔型のステルスマストにすることができたようです。
マスト基部の張り出しに設置してあるNOLQ-3電子戦装置が目を引きます。
この装置は電子妨害装置で敵艦から射撃レーダ波が発信されたり飛来してくる対艦ミサイルに対して妨害電波を発信します。
その後方は煙突になります。
マスト後方の物干し竿のように見えるのは搭載艇を展開するための軸。



艦橋構造物後方の下、左右舷中段にあるパイプ状のものはMk137チャフ・フレア発射機です。
これで電波を乱反射するアルミ箔のようなものを装填したカプセルや高い熱源を持つフレアを打ち上げます。
飛来してくる敵対艦ミサイルは自艦の艦隊空ミサイルや5インチ砲、高性能20ミリ機関砲で破壊しますが、それだけでなく妨害電波を使って対艦ミサイルを妨害しますが、それでもかいくぐってくるものについてはこのチャフ・フレア発射機が自艦の周囲に高い熱源のフレアやレーダー波を乱反射するチャフの壁を作ります。
対艦ミサイルは赤外線やレーダ誘導なのでこれらの妨害装置で対処するわけです。



マストを左舷後方から。
手前に見える筒状のものは艦対艦ミサイル発射筒です。
「あきづき」型はSSM-1B 90式艦対艦誘導弾を右左舷に最大4発づつ、合計8発の艦対艦ミサイルを装備できます(写真では片側3発づつ)。
SSM-1Bは陸上自衛隊の88式地対艦誘導弾をベースに開発されたミサイルで対水上目標攻撃用の主力装備。
百数十キロの射程があるとされています。



艦中央付近。
右側に見えるのは第1煙突です。
「あきづき」型の主機は4基のSM1Cというガスタービンエンジン(ジェットエンジン)の運転数を使い分けるCOGAGという方式を用いています。
ガスタービンエンジンはコンパクトで大馬力ですが効率がよいのは高出力の状態なので燃費の面からは不利になってしまいます。
そこで艦が低速だったり巡航してるときは運転するエンジンを減らし、急加速や高速航行する場合は4基運転するわけです。
第1煙突の後方にある金魚蜂のようなドーム状のものはスーパーバード衛星通信アンテナ。
手前の白い小型のドームはNORQ-1衛星通信アンテナ。
その後方にはスライディングパッドアイが設置されています。



スライディングパッドアイです。
洋上補給のための装置で、これに滑車をつけてロープを張り、補給艦などから物資や弾薬、人員を移送します。



第2煙突側前方の第1甲板中央部に設置されているのが投射型静止式ジャマー(FMJ)です。
名前の通り投射式の妨害装置で、ここから発射され約1km先に着水してエンジン音やスクリュ音に近い音を発生して敵の潜水艦などから発射された誘導魚雷を妨害する装置です。



第2煙突付近。
艦対艦ミサイル発射筒とデッキクレーンが確認できます。
煙突基部にある小型の爆雷(?)のようなものは膨張筏です。
事故など緊急時はこれを投下するとカバーが割れて中からガスで膨らみ筏となります。



舷側はステルス性のためなのか従来の護衛艦が通路になっている部分がシールドで覆われています。
ここは「こんごう」型や「あたご」型と近いですね。
通路にはなっているのでこうやってドアを開けて通路を通ります。



火災は船の大敵。
もちろん消火設備はあちこちにあります。
消防用ホースがリール状にまかれています。



護衛艦の装備としておなじみですね。
3連装単魚雷発射管です。
「あきづき」型は左右両舷に設置されています。
HOS-303とよばれるもので、接近した敵潜水艦に向けて空気圧により単魚雷を発射します。
従来の護衛艦と異なりこのようにシールド内にあるので使用時はシールドを開いて発射します。




こちらも短魚雷?
ではなく「あきづき」型から装備されるようになった新装備です。
自走式デコイ(MOD)と呼ばれるもので、FMJよりもさらに接近してきた敵潜水艦の魚雷に対して使われます。
FMJと同じく音響を使ったものでこれを魚雷のように海中を走らせて敵魚雷をこのデコイ(囮)にひきつけるものです。



艦尾です。
こちらは広いヘリコプタ甲板と格納庫が設置されています。
後部艦構造物の上部には艦橋構造物と同じくFCS-3Aが設置され、艦橋構造物の2面と後部艦構造物の2面の合計4面で360度全周をカバーしています。
その前方には高性能20ミリ機関砲が設置されています。
艦尾がならだかに下がっていて「ミニオランダ坂」と呼ばれてるようです。
繋留装置など船として必要な装備でもヘリコプターの運用時は邪魔なので、一段下げた場所にそれらを設置しているわけです。
こうしてみると艦構造物は大きく変わりましたが、船体は「むらさめ」型から引き継いでいますね。



ヘリコプタ甲板に設置されている着艦拘束装置RAST Mk6。
片側から抱え込んでがっちりと拘束するようで、この装置にはヘリコプタのセンタリングやストレートニング機能をもっているので拘束から移送までを1人で操作することができるそうです。



甲板に半埋め込み状態になっているのはヘリコプタの管制室で、LSOと呼ばれる飛行責任者がここに座り離艦・着艦の指示を行います。
ホバリングが出来るヘリコプタなら船に着陸することなんか軽い。
・・・なんてのは大間違いで、船は当然前に進んでいますし、波で上下に揺れています。
さらに横波で船がまっすぐ走っているように見えても横に流れている場合もあります。
この状態で速度をあわせて狭い飛行甲板に着艦するのは高い練度はもちろん、艦からの誘導は不可欠になります。



ヘリコプタ格納庫です。
通常は1機のSH-60JまたはSH-60K哨戒ヘリコプターを搭載しますが、必要に応じて2機の搭載が可能で格納庫もそれに対応する広さをもっています。
真ん中の柱は必要に応じて折りたたむことが出来るようです。
格納庫の上部には矢印がついているのが着艦誘導灯で、これでヘリコプター着艦の指示を出すようになっています。
格納庫はシャッタで閉じることが出来ます。




ヘリコプタ格納庫の中。
それなりの高さと広さがありますが、大規模なヘリコプタの整備を行うにはやはり狭いと聞きます。
中は整備機材が置かれていますね。



えっと・・・なんだろ?
聞き忘れてしまいました。
(世界の艦船やその増刊号、J-shipsの世界の名艦にものってないんだもん・・・)



艦尾です。
ヘリコプタ甲板から一段下がっているところに自衛艦旗、ホイップアンテナが設置されています。
自衛艦旗の旗竿は可倒式となっているようです。



艦尾を真後ろから。
「てるづき」と書かれた左右になにかありますね。
左舷側にはドアのようなものが、右舷側にはラッパのようなものがみえます。
ドアのようなものは中に水中曳航式ソナーシステム(TASS)が装備されています。
その名の通りソナーを長く伸ばして水中を引っ張って敵の潜水艦を発見します。
ラッパ状のものはデコイランチャです。
潜水艦などから魚雷攻撃を受けた場合、自艦に近い音を発生する囮を発射して魚雷を欺瞞します。


以上、護衛艦「てるづき」一般公開でした。
まだまだ続くよ。






平成27年度自衛隊観艦式一般公開
その1/その2/その3/その4/その5/その6


Posted at 2016/01/04 01:13:05 | コメント(0) | トラックバック(0) | ミリタリーイベント | 日記

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「佐久間挺長ほか潜水艇の慰霊塔がある鯛の宮神社は呉のタクシー運転手さんも知らない場合もあってちょっと行きづらいのですが、あのあたりは安芸地震で結構被害受けたみたいで爪痕がまだ残ってたりします。」
何シテル?   06/23 21:17
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