ちょっと遅くなりましたが2月18日、19日と航空自衛隊浜松基地に隣接する浜松広報館にて戦闘機の地上展示がありました。
え?なんで今頃アップだって?
実は途中まで作ってたのですが、そのまま忘れてたんですよ(^^;
広報館では定期的にこのようなイベントを開催して広報活動を行っています。
現役の戦闘機をこのような近くまで寄って見ることができるなんて普段はまずありませんからね。
それでは見ていきましょう。

F-15J戦闘機です。
航空自衛隊浜松基地には戦闘機部隊は常駐していませんが、整備士を教育するための機関として第1術科学校がおかれています。
第1術科学校には整備用教材としてF-15、F-2、T-4などが配備されています。

F-15Jを下側から。
巨大なエアインテイク、太い機首、2枚の垂直尾翼とかなり特徴的なシルエットです。
この角度から見ると主翼が小さく見えますが、その翼面積はテニスコート1面分に匹敵するといわれています。
ではぐるっとみていきましょう。

F-15のコクピット前方部です。
風防の内側に2枚の透明ガラスが見えますがこれがヘッドアップディスプレイ(HUD)です。
戦闘機動中などは常に目標を見ていないとなりませんから計器を見るために目をそらすなんてことはできません。
そこで速度、飛行姿勢、かかっているG、高度、弾数、照準などをこの透明ガラスに投影するわけです。
パイロットは前を見ながら情報を確認できます。

コクピットを横から。
非常に巨大なキャノピーですね。
枠こそありますが視界を遮るものが無く全周見渡すことができます。
このF-15Jは単座型ですが、後部に十分なスペースがあるため複座型と大きな差がないのが特徴です。
尚このスペースには電子装置室になってるそうです。

機首中央部を横から。
機体番号「833」の下に黄色いバー状のものは編隊灯です。
遠くから発見されにくいように緑白っぽい色でぼぉっと光るようですね。
また、機首の下にいくつもの突起が出ていますがこれはアンテナです。

こちらは左主翼ですが、ミサイルが搭載されています。
主翼にはAIM-9LとAAM-3、胴体にはAIM-7空対空ミサイルがセットされています。

横から見たところ。
AIM-7はずいぶん大きいですね。
中射程の空対空ミサイルで、発射母機がレーダーで相手を捕らえてミサイルの誘導を行うシステムです。
AIM-9は米国が開発した短射程の空対空ミサイルで目標が発する赤外線をとらえて誘導します。
AAM-3は我が国が開発した国産の短射程空対空ミサイルで赤外線誘導方式をとっています。
フィンの形が複雑な形をしているのがわかりますが、ミサイルに高い機動性をもたせているためです。
AIM-9とAAM-3はだいたい同じ大きさ(AIM-9L:全長3m、直径13センチ、重さ80kg/ AAM-3:全長3.1m、直径13センチ、重さ90kg)に対してAIM-7は全長3.7m、直径20センチ、重さ230kgと2回り以上大きなミサイルとなっています。

さて、主翼付け根が青色に塗られていますがこれはなんでしょう?
実はここは空中給油口のドアになっています。
ここに空中給油機の給油ブローブが差し込まれて給油を行います。
でも何故青色なんでしょう・・・・・給油ドアとわかるためなのかな?

今度は右側にまわってみましょう。
なぜかミサイルの搭載はしていませんでした。
こうしてみてみると主翼って結構厚さがありますね。
実はここが燃料タンクにもなってるんです。
胴体が少し凹んでいるのがわかりますでしょうか。
ここにAIM-7ミサイルを搭載します。
ランチャになってるので凹んでるんですね。
ここの金具でミサイルを押し出すんだそうです。

右主翼付け根です。
凹んでいますがここにM61 20ミリ機関砲(通称ヴァルカン砲)が搭載されています。
ヴァルカン砲は6本の銃身を回転させながら給弾・装填・発射・排莢を行います。
非常に高速で一連の動きができるため、1分間に6000発という恐ろしい発射速度で射撃することができます。
とはいえ、そんなに弾を搭載できませんし銃身が焼けちゃいますので1回の射撃はほんの数秒。
それでも1秒間に100発は飛んでいきます。
F-15の機関砲は若干上を向いて搭載されてるんだそうですよ。
さて空気取り入れ口の付け根をみると色が少し変わって三角形の形になっているのがわかるでしょうか。
この空気取り入れ口、動くんです。
空気の流量が最適になるよう取入れ口の角度が変わるんです。
F-15が飛んでる写真を見ると角度が違うものがあるはずですよ。

右側後方です。
主翼に青色の翼端灯が設置されていますね。
左主翼には赤色の翼端灯になっています。
これで夜間でも右側か左側がわかるようになります。
その前に黒い突起があります。
F-15の電子戦システムを構成するひとつ、J/APR-4レーダー警戒受信機になっています。
相手のレーダを感知する受信機ですね。

2枚の垂直尾翼はF-15の特徴のひとつですね。
部隊マークとして浜松基地の第1術科学校のマークが描かれています。
この垂直尾翼ですが、米空軍向けと航空自衛隊向けを見分ける一番の違いになるんです。
米空軍のものは左垂直尾翼の先端が太いんですが、その中に電子戦アンテナがはいっていますが航空自衛隊用にはこれがありません。
後縁の2つの突起はひとつがライト、もうひとつがJ/APR-4のアンテナです。

F-15のエンジン排気口です。
F-15にはF100とよばれる大推力のターボファンエンジンが2基搭載されています。
航空自衛隊のF-15にはこのF100をライセンス生産したものが搭載されています。
1基あたりの推力は8.6トン、アフターバーナを使えば10.6トンというとんでもない推力を出すことができます。
排気ノズルを見てみると面白いことにむき出しになっています。
後で出てくるF-2はエンジンをカバーで覆っているのにF-15はそれがないんです。
航空自衛隊に導入当初はついていたのですが、今ではついてる機体を見ることはできません。
これは米空軍も同じすが、でなんでも振動でカバーが外れることがあったんだとか。
同じF100エンジンを使ってるF-16はカバーがついていますが共振したんでしょうかね。
では次にF-2を見ていきましょう。

F-15が双発に対してF-2は単発です。
F-16がベースということもあって小柄ですね。
F-15とF-2の最も異なる部分は操縦系統かもしれません。
F-15は油圧で舵を動かしますが、その操縦操作は人間が行っています。
姿勢の制御は人間がおこなっています。
ところがF-2はこれをコンピュータが行っています。
パイロットが操縦桿などに入力したものをコンピュータが反映させ、姿勢が最適になるように制御しています。
例えば一輪車に乗ろうとするとバランスをとるのが非常に難しいですが、そのバランスをコンピュータが自動的に行い、右折・左折・停止・加速・減速など乗る人が思ったように自動的に制御するようなものと思えば早いかもしれません。

F-2Aのコクピットを風防前から。
風防の中で緑色に光っていますがこれはヘッドアップディスプレイです。
F-15にもついていますが、ホログラム式で形も大きさも違いますね。
操縦するには速度、自分の姿勢、かかっているG、高度・・・と大量の情報を読み取ることが必要ですが、空中戦をやってるときに計器を見ている余裕はありません。
できるだけ目標から目を離さないようにすることが必要ですがヘッドアップディスプレイはそれらの情報をガラス板に投影することで前を見ながら操縦できるわけです。

ちょっと横から見てみましょう。
風防の前にいくつか板が立っています。
これは敵味方識別装置のアンテナになっています。
レーダーに飛行機が映ってもこれが敵なのか味方なのかわかりません。
ミサイルで攻撃しようにも、相手が目視で見えない距離では同士討ちしてしまうかもしれません。
そこでこの機器から信号をおくり、相手の航空機が敵なのか味方なのかを判断します。
その下に黒いドーム状の突起がありますがこれはレーダ警戒用IEWSアンテナです。

反対方向から。
機首が少し垂れ下がっていたり結構特徴的ですね。
キャノピー(窓ガラス)が展開していますが、この形もベースになったF-16とは全く別です。
F-16は風防とキャノピーが一体になっていますが、地上攻撃や水上攻撃を重視しているため、バードストライク(鳥との衝突)対策として強化したセパレートタイプを使用しています。
レドームに描かれている線は落雷時の導電用金属ストリップです。

今度は真横から。
日の丸の後ろに白い帯がありますが、これは編隊灯になります。
空気取り入れ口の赤いライトは航法灯ですが、その前部は中高周波電波妨害用のIEWSアンテナです。

日の丸の下にあるのは20ミリ機関砲の発射口。
この中に装備されています。
機関砲弾はF-15Jは940発、F-2が510発程度装填することができます。

F-2の後部。
主翼翼端にはAAM-3短射程空対空ミサイルが搭載されています。
さて垂直尾翼の付け根がずいぶん長いと思いませんか?
この中にはドラッグシュートという急制動傘が格納されています。
アメリカのモンスターカーレースのドラッグカーがスピードを落とすためにパラシュートを使いますけどアレと同じですね。
F-2はもちろん着陸滑走距離はそれほど長くありませんが、対地攻撃をするという性格上、被弾したりして機体にダメージを負うことも考えられます。
そのため滑走距離を長くなってしまう事態になっても対応できるようにドラッグシュートが装備されています。
F-2の運用は過酷な状況を想定してるんです。

F-2の後部です。
エンジンはF-15のものよりもさらにパワーがあるF110というものを使用しています。
その推力は実に13.4トン。
恐ろしいものがあります。