11によくある慢性持病、ハンドルのブレが解消しました。
目的 |
修理・故障・メンテナンス |
作業 |
ショップ作業 |
難易度 |
  中級 |
作業時間 |
3時間以内 |
1
25万㎞余りを共にしてきたジムですが、2年程前から70㎞/h前後でハンドルのブレがたまに出る持病を抱えています。いわゆるシミ-なのかと思いますが、原因の特定に至らずに長引いていました。
オーソドックスにキングピンのガタの確認やホイルバランスの取り直しから始め、懇意にしている工場長の指導の下での「プロペラシャフトの交換」まで行いました。しかし、「ブレ」は出にくくなったものの、決定打になりません。
15万㎞過ぎにステアリング・ギアボックスを交換するに至った症状では、もっと低速(40~50㎞/h)でガタが出ました。また、ギアボックスの遊び調整等で一時的な状況改善もありましが、今回はその効果がありません。ギアボックスの交換も検討してみましたが、なんとなく効果が出ない気がして作業する気になりません。
ネットでジムの「シミー対策」を調べるとフロントアクスルからアームを出しキングピンに圧をかけ「プレロード」というものを増す製品がありました。これなら簡単な作業で自分で出来そうですが、足回りに出っ張りが増えるというのは、どうも性に合いません。
2
もう一つの手として見つけた方法は、ナックルシールを交換するというものです。
この部分の交換をした経験はなく、ステアリング系の作業なので単独で行うのには不安が残ります。そこで足回りで困ったときの「キタガワ」頼み。交換の難易度を聞きがてら数年ぶりに4X4キタガワさんに電話で相談したのですが、話をしていて久しぶりにお会いしたくなりました。
何より電話するより現物を見せるのが一番です。翌日にはジムに乗ってお店に向かっていました。都内の渋滞で予定より遅い時間になりましたが、富士宮SAのスマートICを抜け清水のお店に着きました。
現車を見た瞬間に、ナックルシール交換が決定。キタガワさん作業をお願いすると経験に基づく小技も入れてもらえるので、全てをお任せし傍らで見守ります。
先ずはステアリングのタイロッドのナットを外してから、矢印の部分をハンマーで叩いて抜いていきました。
3
助手席側から作業開始です。ブレーキをディスクから外してからアクスルシャフトを引き抜きます。
バラしてみるとナックルシールは完全に硬化して別物になっていました。製造時に装着されたフエルトのようなシールを剥がし、キタガワオリジナルの製品と交換していきます。
北川さん曰く「このシールは10年毎に交換してくれないと・・・」とのことでしたが、倍の20年を越えた23年が経過していますから・・・硬化や劣化をしますよね。
4
キングピンベアリングを外しますが見たところ異常なし。グリースも充当されておりこれと言った不具合はありません。
せっかくここまで分解しましたから、キングピンベアリングは新品に交換してしまうことにしました。
慣れればなんてこと無い作業のようにも思えますが、慣れないと結構面倒な作業になりそうです。いわゆる「ジムニー屋」ではシミー対策にポピュラーな作業のようですが、一般の整備工場では手間がかかるので、「ほぼ」やらない作業だそうです。
確かに、整備工場で工場長と対応策を検討している時に、このシールの交換の話は出ませんでした。
5
助手席側はナックルシールの経年劣化を除けば助手席側は錆もなく至って綺麗。「こんなんで効果有るのかな」と思いながら作業を見守ります。
アクスルシャフトが戻され、組み上がるのを待ちます。助手席側の作業が終わったところで、ブレーキデスク(フロント・ホイールを固定するプレート部分)を持って動かしてみました。
タイロッドを外しているので左右別々に動かせるのですが、修理前の運転席側は指一本で「ス~」と動きます。作業を終えた助手席側は片手でしっかり持って動かさないと行けないぐらいの抵抗を感じます。
この抵抗を「プレロード」と言うそうです。左右を比べてみると、経年劣化で「スカスカ」になっていたのかが良く判ります。「そうだよな~1トン弱の車重を支えてブレを押さえているのですから、これぐらい抵抗がないとブレが出ても仕方がないな」と一人で納得していました。
6
助手席側を終え、運転席側に移ります。デフオイルが垂れないように、助手席側に傾けながら作業していただけました。
分解が終わり、ばらしたて内部の状況を見て「ガビーン」。キングピンベアリングが赤くさび付いていました。
そう言えば1年程前にキングピンの状況を確認するために開けたことがあります。左右別日に行いましたが、どちらかの作業中に「みぞれ」が降り出し、慌てて作業を終えたことがありました。そんな不完全な作業で、水が入ってしまったんでしょうね。
7
当然のことですがカラーも錆びていました。もちろんこれらの部品は交換になります。
「これだけ錆びていて、逆に症状がこれだけでよく済んだもんだな~。」と変な感心をしてしまいました。ひどい症状が出る前に、交換作業が出来て良かったです。
数時間で北側さんのノウハウ込みでの作業は終わりました。(慣れているので手際良く終わりましたが、自分でやったら一日作業かな)
今回の作業費用は部品代込みで3万円ぐらいでした。(現車の状況にもよるそうですが、11なら予算4万で見ておけば良いそうです)ステアリングギアボックスが部品代だけで4万弱ですから、この金額で済んで良かった。
8
夕日に浮かぶ富士山を見ながら帰路につきましたが、走り出すとブレは全く出ません。ただゴリゴリ感が少しあります。作業中に「しばらく走行して落ち着いたら緩くなるのでこれぐらいプレロードがかかっていないと、意味がない。」と話されていたことを思い出しました。
高速に入ると好調好調!安定性が全く違います。300km程走った頃にはゴリゴリ感も消え良い感じです。感覚的に言えば、PS無し車にステアリングダンパーを装着したぐらいの安定性(そのくせスーパー重ステにはならない)向上に思えます。
ハンドルのブレにお悩みの11乗りの方。特に「キングピンを交換したのに治らない」とお嘆きの貴方!10年以上ナックルシールを交換したことが無いようなら、交換されてみては如何でしょうか。
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