
シエンタのタイヤをスタッドレスから夏タイヤに交換していたら、SOSが入った。この写真のワーパーという機械が機能しなくて困っているという近くの繊維会社からの出動要請だった。この会社の広い駐車場ではヘッドライトの光軸調整を私は行わせてもらっていたりで、タイヤのことは後回しにして、伺った。
糸の選択をするソレノイドの一つが機能しなくなったとのことだった。ソレノイドを単品で調べると、問題なく機能し、巻線抵抗は15.5Ωと正常範囲だった。ソレノイドは24Vで駆動される仕掛けになっているが、電圧を調べると、mVのオーダーしか得られなかった。これではソレノイドはとても働けない。でも、電圧は0Vではなく、僅かながらは来ていた。供給元を調べると、ちゃんと24Vあり、どこかで電圧が大きくドロップすることになっていることが伺われた。
24Vの供給はこの写真の薄紅色と薄黄色の線の先にあるカーボンブラシを介して、真鍮製の電極に送られ、さらにそこにネジ止めされている赤矢印で示す圧着端子を介してソレノイドに送られる。
数年前にここのカーボンブラシが磨り減って、24Vが真鍮製の電極に送られないという問題があり、その時、私は、オルタネーター用のカーボン・グラファイトブラシで、代用し、正規の部品が到着するまでを繋いだことがあった。このワーパーという機械は、群馬県桐生にあるスズキワーパーという会社が作っているもので、故障すると、出張修理に来てもらえるが、片道だけで7-8時間かかるそうである。そして修理は最低でも、2日がかりとなり、修理費以外に、交通費、宿泊費が必要で、最低でも10万円とか。私が以前、無償で修理したときは、社長さんにとても感謝されたのは、そういう事情もあってのことのようだった。
今回はブラシに問題は無かった。赤矢印で示す圧着端子間の抵抗値は15.9Ωとソレノイドより、0.4Ω高く、それは配線の抵抗値分であったが、真鍮製の電極間は約1MΩもあった。これの意味するところは、真鍮製の電極と圧着端子間の電気的接触が極端に悪いとしか考えられない。事実、この両者間の抵抗値は左側が1MΩ近くあり、右側は数十Ωあった。どちらもビスはしっかりと締まっていたのにである。
真鍮と圧着端子間がまともに導通しておらず、ビスを緩め、端子を外して、両方の接触面をダイヤモンドやすりで削ってみたら、完全に導通するようになった。これは真鍮と圧着端子の間で、電蝕が起きていたと考えられる。もしかすると、シロキサンによる弊害かもと思って、ガラス質の絶縁層でも削れる、目の細かいダイヤモンドやすりを使ったが、周辺でシリコンを使っているところはない。
https://galvatech2000.com/en/understanding-galvanic-corrosion/
にあるこの表にあるように、

真鍮 (Brass) と錫メッキされた圧着端子(Tin)間は150mV程の固有電圧の差がある程度ながら、長年の接触の間にはその電圧差が影響するようだ。この両者の表面を磨いて、再度ビス止めしたら、ワーパーは完璧に機能するようになった。
今回実感したのは、150mV程度の電圧差でも、長年の間に電蝕による導通不良が起きるということのようである。車は一般に、250mVの以内の電圧差を限度とする設計がまかり通っているが、20年を超えるような場合は多くを期待できないのかも知れない。例えば、セルシオの場合、エンジンブロックとバッテリーの負端子を繋ぐラインはこの写真のように、ブロックに圧着端子を直接付けず、間に別ピースの金属を介している。これは電位差が小さくなるよう、段階的として、パッシベーションを狙っているからである。
この別ピース部品がエンジンブロックであるアルミ合金と錫メッキされた圧着端子間の固有電圧の差を取り持つように使われ、実際の構成はその下の写真のようになっている。

この場合の個々の電位差250mV以下を狙い、少しでも長期に渡って、安定した低抵抗を保持することを意図しているが、上のワーパーでの事例のように、永久ではない。そう言いながら私も、このシエンタのグランド強化では、エンジンブロックに、圧着端子を直付けしている。それは丁度良い別ピースの金属が無く、接点用グリスを使って、パッシベーションの真似事をし、数年に1回は磨くことを予定している。
https://minkara.carview.co.jp/userid/1275711/car/3028334/7276122/note.aspx
結局、ワーパーは私で修理できてしまい、社長さん曰く、
「有難う。納期にも間に合い、交通費も宿泊費も不要だったから、せめてこのワインでも飲んで。」
と南アフリカ産の高級ワインを下さった。尚、達成感もあって、このワインは、とても美味しく戴いた。尚、スズキワーパーをネットで調べてみたら、桐生商工だより V841 2025 07 というものが、
https://www.kiryucci.or.jp/html/20_tayori/files/2507tayori.pdf
に見つかり、こんな記事があった。国内シェア100%、世界シェア50%という、繊維産業を担う桐生にある有名な企業のようである。

Posted at 2026/02/19 20:02:14 | |
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ガルバニック腐食 | 日記