
最近、280E Broughamさんのこの投稿が目に留まりました。
https://minkara.carview.co.jp/userid/2789245/car/2387862/12691552/parts.aspx
この記事のコメント欄に書かせてもらったことですが、バッテリー上がりを経験した年金暮らしのご老人に、CTEK シーテック MXS7.0JP を勧めたいところですが、4万円近い高価なものを買いましょうとも私は言えず、不安を和らげてもらうために、何か良い手はないかと、私なりに考えてみました。それは、この写真のPC用ACアダプターを改造することで、財布にも環境にも優しいことができるかもと思い、それが何とか上手く行ったので、本日、投稿させてもらうことにします。必要としたものは、廃棄予定だったACアダプター、68KΩ、39KΩ、スイッチ、線材少々、ミノムシクリップ赤と黒と私の工数だけで済みました。
そのご高齢の方は、車に頻繁には乗っておられず、奥様の買い物に時に付き合うとか、通院に使われる程度なのだそうですが、いざ乗ろうとしたら、エンジンの始動に失敗したというのが3年前のできごとでした。それがトラウマになっているようで、今回、私がバッテリーの実測結果を示しても、CCA 360A、内部抵抗6.8mΩという数字の意味するところを理解しきれないこともあって、不安そうでした。それに、只で貰ったバッテリーが、長く使えるとは思っておられないような様子でした。
そんな折、280E Brougham さんの投稿を拝見したことで、常時充電ができ、いざと言う時は急速充電ができる充電器があればと私は思ったのでした。また1から作るよりも、ジャンク箱に残っているACアダプターを改造することで達成できるなら、廃物利用にもなり、費用も僅かで済みます。
いざ、やり始めたものの、回路の解析とアイデアの検証にトータルで3時間程を費やし、さらにドリルやハンダごてを使っての作業が必要でした。電圧検出をどのようにやっているかを探り当てながら該当する部品を見つけ出し、具体的にどう改造するか工夫するのは手間のかかることですが、私は嫌いではありません。でも、空腹感を強く感じました。私の老眼とボケ始めた脳を使っての作業でしたが、どちらも駆使しないといけなかったからです。昔からそうなのですが、私は考え事をしていると、空腹感を感じ、甘いコーヒーを飲みたくなる癖があるのですが、今回は3杯も飲んでしまいました。でも少しは頭の体操になり、ボケ防止に役立ったのかもと思う次第です。ネットで調べてみると、
「対局中のプロのチェスプレーヤーは脳をフル回転させているため、ずっと座っているにもかかわらず1日に消費するカロリーは6000カロリーに達する」
という記述があったりで、それに私は勝手に納得していたりです。
http://j.people.com.cn/n3/2019/1205/c94475-9638406.html
結果は成功でした。しかも新たな出費は後述するようにゼロで済みました。このACアダプターはソニーのVAIOノートパソコン用のもので、Pentium4 Prescott時代の消費電力がべらぼうに多かった時代のものです。定格は19.5V 6.15Aと最近のものに比べ電流容量が随分とあり、これだけ電流が取り出せるなら、車のバッテリーを充電するのに利用しない手はないと思いました。改造をしたことで、12.95Vと14.50Vのどちらかをスイッチで切り替えて出力できるようになりました。12.95Vは常時接続用で、14.50Vは急速充電用です。急速充電と言っても、6.15A Maxなので、普通車用の空になったバッテリーの完全充電には半日近くを要します。でも、20分の充電で、セルモーターがちゃんと回り、始動できることをシエンタで確認済です。
改造には、
1,電圧検出回路を見つけ出す。→この回路構成の箇所

2,出力電圧の分圧抵抗を見つけ出す。→この写真のリード線を付けたのがR1に相当する
3,Ref電圧を調べ、分圧比から必要とする抵抗値を計算して決める。
これらの3つで済みそうに思ったのですが、3番目のRef電圧がどこで作られているか見つけられず、分圧抵抗のホット側(添付回路図ではR1)を小さくするか、コールド側(添付回路図ではR2)の抵抗を大きくしてみることで対処しようとしました。この方法はエラーアンプにフィードバックされて来る電圧が高いと判断させて、電圧を下げる方向に制御させるというやり方です。表面実装されている抵抗を外して付け替えることは避けたく、R1側であれば、並列に抵抗を付け、抵抗値を下げるだけで良く、実装されている抵抗の両端にリード線を付け、スイッチまで引き出して、スイッチ周りに抵抗を2種類付けて、切り替えることで2つの電圧を得られるようにしました。試しに150KΩを付けてみたら、約16Vが得られたので、手持ちのE24系列の抵抗から選んであれこれやってみました。R1に68KΩを並列に抱かせたら、12.95Vが得られ、14.50Vを得るには、68KΩと直列に39KΩを付けることで可能となりました。この回路図のように、

赤で示す部分が改造のために追加した回路です。

今回、手持ちにあった部品で間に合ったので、出費はゼロでした。もし、新たに買っても、リード線少々、スイッチ、抵抗2本、ミノムシクリップ赤と黒で、コーヒー一杯程度のお金で十分でしょう。
これだけのことで、次の写真のように2種類の電圧が得られました。

何故か14.50Vの方は白黒です。
280E Broughamさんが購入されたMXS7.0JP程の機能は無いものの、バッテリー上がりを心配しないで済み、もし、上がっても、20分程度の充電で、始動可能になるので、費用対効果は良いかと自画自賛しています。厳密には、エラーアンプのボーデプロットを確認するべきですが、位相補償系をいじることはせず、また自宅にそれ用の測定器を持たず、発振余裕度は調べていません。でも、いじったのは、入力段だけなので、位相回転量が大きくは変わらないと思ってやりました。また、完全に上がった大小のバッテリーや満充電に近いバッテリーにも使ってみましたが、発振の兆候は無く、これで良しとしました。尚、ボーデプロットについては、やや専門的ですが、ここに詳しく説明されています。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E7%B7%9A%E5%9B%B3
ノートPC用ACアダプターはバッテリーのサルフェーション除去装置(デサルフェーター)に以前から活用していましたが、FET整流の大電流のものは、デサルフェーターに改造するのが容易ではなく、ジャンク箱に残したままでしたが、昨年秋には、改造せず、そのままここに紹介した500円ノートPCに活用したのが一つありました。
https://akipara2.sakura.ne.jp/new_page_890.htm
今回はジャンク箱にまだ残っていたACアダプターの改造で、断捨離にもなりました。またご老人の不安そうな顔を和らげることもできました。
(追記 2023.12.15)
本日、この充電器を使うことになった。近所の主婦の方が、買い物に行こうとしたら、エンジン始動に失敗し、私に相談があった。私は早速、ご老人のところに行き、充電器を一時的に戻してもらって、その主婦の方のダイハツ・ムーヴに14.5Vモードでつなぎ、5分待って、始動を試みた。セルモーターは何とか回ったが、始動しきれなかった。まだ充電が足りないと判断し、今度は10分待って、やってみたら、簡単に始動できた。ご老人とは別のところでこの充電器がまず役立った。280E Broughamさんに刺激されて、急遽、こしらえた充電器がこういう形で第一回目の救済に役立ち、主婦の方からもとても感謝された。
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2023/12/06 14:56:37