
家族からタントの暖房が効かないと言われ、調べてみた。
最近、ドアハンドルの運転席側が割れ、その後、助手席側も割れたが、メカが苦手な私でも、それらは簡単なことだった。でも、今回はちょっと手間の掛かる修理となった。運転席の足元にアクセスするには体をくねらせ、肘で体重を支えながら、変な姿勢でパーキングブレーキAssyを外さないといけなかったからだ。
それでも、このタントはその後のダイハツ車に比べると、コストダウンが激しくはなかったせいか、大きく手間のかかる修理は相対的には少ないと私は感ずる。タントのEF-VEエンジンは、ムーヴL900Sの時代の初期のものほどVVTの不具合は無く、次の世代のKF-VEよりトラブルフリーと感ずる。しかし、充電マネージメントには問題があった。新車購入から2年を経ずしてバッテリー液が干上がってしまった。また、数年の内にゴム類がことごとく駄目になり、それらの多くの交換をすでに2廻り行っていたりする。その劣化の速さには驚かされたが、ピストン廻りの設計が燃費重視でない分、燃費は良くないが、エンジンのオイル消費はましである。タントの後で買った、ムーヴL175Sは相変わらず、ゴム類が短命な上、エンジンも不具合が多い。でも燃費は改善されている。
今回の暖房効かずは、温度制御のつまみを回しても、フラップが全く動かないことによるものであることを確認した。サーボAssyを外し、中を調べたら、赤矢印で示すベリリウム銅らしきスライド接点が黒くなっていて、かつ、緑青ができていた。写真は緑青を竹串で落とした後に撮影したので、緑青は写っていないが、真ん中のスライド接点に一番多く付着していた。ベリリウム銅は腐食しにくいが、表面に酸化膜等を形成して、不動態化するが、今回は緑青ができていたということは腐食が起き、黒さは酸化膜によるものかと思う。当初、サーボモーターを駆動している電子制御回路側に問題があるかと思ったが、それ以前の接点の問題であった。尚、接点がシロキサンで駄目になっていないか気になったが、使われているグリスがシリコン系ではなかったので、単なる酸化等の経時劣化によるものであった。尚、私はそのチェックに火を使うが、シリコン系は燃えないからである。
黒くなっている接点の表面に、テスターのリードを当てても、導通が不安定だった。接点の表面をヤスリ等で下手に削ると、できた傷が相手側のカーボン抵抗体を削ってしまうことになるので、私はHの鉛筆と4Bの鉛筆を交互に使ってしつこく擦ってみた。その後、テスターで測定したら、0オームを安定に示すようになった。摺動する相手側との接触点を少しずらすべく、この接点を幅方向に0.3mm程変形させてみた。この後、車に戻したら、フラップは正常に動くようになり、暖房も効くようになった。
このサーボAssyはすでに18年間も使用してきたものであり、値段も諭吉1枚で買えるものなので、交換する方が確実であろう。でも、家族が車を早く使いたいと言うので、応急処置的なことをしたのだが、緑青の除去だけでなく、接触面への対処をしたせいか、温度調節つまみの回転に同期して、フラップもグリッチ無くスムーズに動くようになった。これで様子を見ることにして、駄目になるようなら、サーボAssyを交換することにしよう。
尚、このサーボAssyは下の図の赤枠で示した89と数字が振られたもので、部番は、88660-97203である。
同じ問題でお困りの方もおられるかもと思い、このサーボAssyを取り外すためにはどうするかも説明すると、下の写真のように、パーキングブレーキを固定している左右の12mmのナットを外し、上端の12mmボルトを外すことがまず必要となる。この後、知恵の輪のようなことになるが、スピードメーターケーブルを幾らかアクセルペダル方向にずらしつつ、パーキングブレーキのAssyを引き出して、床にこのように置くと良い。この時、ペダルの動きを検知しているセンススイッチのコネクターも抜いておく必要がある。

Posted at 2022/12/19 15:41:49 | |
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