
連日の暑さにエアコンだけでは部屋の隅が十分に冷えず、この扇風機を引張り出してみた。この扇風機には、1/f 揺らぎという人体に優しいと言われる、揺らぎ機能がある松下電器のもので、安い他のものより、2倍近いお金を払って買ったものだったことが記憶の片隅にあった。
しかし、運転入のスイッチを押しても、反応せず、ファンは回らなかった。扇風機の後ろを見ると、このラベルがあった。
94年製ということは30歳である。古い扇風機は、進相コンデンサや巻線のポリウレタンの劣化等で、発煙や発火問題のリスクがある。もう古いし、捨てようと思い、屋外の廃棄物を置いてあるところへ持って行った。今日の屋外は39℃もあった。
その1時間後、家人が別の廃棄物をその場で仕分けし始めたが、余りの暑さに、私が捨てようとした扇風機を使ってみたら、ちゃんと使えてしまい、暑さを少しは凌げたそうだ。
エアコンを効かせた部屋では駄目だったのに、暑い屋外でOKだった。それを聞いた私は、もしかして電解コン?と思ってしまった。思ったら、すぐ、検証したくなる私は、扇風機の底部にある電子基板を引張り出してみた。
基板のマイコンの電源回路は、AC100Vから、トランスなしで、DC5Vを作る大雑把な回路で、シャントレギュレーターを持ち、220uF/10Vの電解コンが使われていた。リップル電圧を調べようと思ったが、30年なら、容量抜けだろうと思い、手持ちの220uF/25Vにこのように付け替えてみた。
そうしたら、涼しい室内でも、何ら問題なく動作してしまった。使われていた、オリジナルの電解コンはこれであったが、容量が1/10以下になり、ESRが20Ω余りあった。
電解コンが劣化していたことで、冷えた室内では起動ができなかったが、酷暑の屋外では電解コンは性能が上がって機能し、マイコンを動作させ、モーターを起動させるだけの能力になっていたことが判明した。電解コンは温度で性能が随分と変わるが、酷暑の屋外と冷房してある室内との温度差がOK/NGの別れ目になることを今日は実体験してしまった。
車でも、寒いと不調なのに、暖気の完了した頃には調子良く機能するようになるエンジンだったり、補機類があるが、それらの多くは電解コンの劣化ということが多い。まさか扇風機で劣化し始めた電解コンの温度依存性を再認識させられることになるとは。
電解コンはアレニウス則に従って、確実に経年劣化が進むので、電子部品の中では寿命が確実に予測できる。当時の松下は設計時に30年を寿命と設定していたのかな? その後、設定をもっと短くしたのか、設計者の単なる怠慢なのか、或いは買い替え需要を狙った高度な設計なのか、この写真の松下の電子レンジは7年で電解コンが駄目になって機能しなくなった。

詳細は以下の記事のとおり。
https://akipara2.sakura.ne.jp/new_page_822.htm
尚、松下のこれと同機種で、やはり同じように壊れて、私の記事を参考に自前で修理できてしまったというお礼のメッセージが私に届いたことがある。
Posted at 2024/08/11 18:54:48 | |
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