
.
体育の日が終わってやっと好天が巡ってきたようです。
モータースポーツが「体育」かどうかはさておき(笑)、
三連休、当方の関心事はやはりF1、日本GP!
ちなみにコンストラクターズ チャンピオンは
メルセデスAMGの三連覇となりました。
今年はニコ ロズベルグ、念願のチャンピオンも近づいてきましたね。
速さではハミルトンと同等でもレースでの力強さが欠けていた昨年までとは打って変わって、
今シーズンは対チームメイトでも強気のバトルも辞さない(=ヒットする場面も多い)ラフな走りが論議を呼びましたが、
下手ながらも(失礼!)厳しいバトルの場数を踏むことで、
ニコは対ハミルトンの勝ち方を見つけたように感じます。
コメントでもニコは「レースに勝つこと」に集中しており、
対するハミルトン、昨年までの強気一辺倒の発言に代わって、
一見分別をわきまえたかのような言動も、いささか焦点がぶれているようで対照的に映ります。
********************************************
前半戦はうまくいけば何とか入賞、という展開でしたが、
後半戦は前戦マレーシアGPまでまずまずの速さを見せ、
トップ3チーム(×2台ずつ)に次ぐ7位の常連になっていたアロンソ。
(思えばフェラーリ最後のシーズンは、5位が指定席でしたね・・・)
夏休み明け、パワーユニットのアップデートで実戦能力を向上させ、
あのアップダウンの激しい高速コースのスパでは
パワーユニット換装のペナルティで最後列からスタートのアロンソ、
スタート直後の混乱に乗じてジャンプアップ、
最終的には例の如く?7位でしたが、赤旗中断時は4位まで上がる活躍ぶり!
この調子でいけば抜けないコースの鈴鹿ならば、
スタートで前に出さえすれば、あわよくば表彰台?!
との淡い期待もありましたが、今シーズンのワーストといえる状況で終始してしまいました。
なぜこれほど不振?と意外に思いながら、
原因も今ひとつ掴めず、スッキリしない気分でしたが、
少しずつ記事が揃ってきて、外野でも状況が見えてきたように思いますのでまとめてみました。
********************************************
昨年(2015年)は、パワー不足に加え、
燃費対策でのリフト&コースト(スロットルを戻しての空走)でなすすべもなく抜かれ、
アロンソは「GP2!GP2!」と無線で毒を吐く惨状でしたが、
今年はレースウィークのコメントでは、パワー不足とは述べられていませんでした。
(ギャップは縮めど、特にメルセデスに対しては改めていうまでもない、ともとれますが・・・)
◆重要なポイントとしては燃料の流量規制があるので、
パワーを出せているエンジンほど燃費が良い、ということが言えます。
◇ ◇ ◇ ◇
鈴鹿のレースウイークのコメントを拾ってみると
予 選 後
●
アロンソ:「
高速コーナーと直線のパフォーマンスに苦戦しているから、ダウンフォースとバランスの部分でどの方向に進むべきかなかなか分からないんだ。」
●
バトン:「
僕らのパッケージは低速コーナーとヘビーブレーキングで一番うまく機能する。鈴鹿は中速や高速のコーナー、緩やかなカーブに長いストレートが多い。その全てが僕らにとってよりトリッキーなんだ」
(マクラーレン/ホンダ公式コメント)
決勝レース後
●
アロンソ:「このサーキットのレイアウトが僕らのパッケージに合わなかったのは明らかだ。
僕らは高速コーナーを通してダウンフォースが不足していた。」
●
バトン:「スタートがまずかった。マシンの後部にある(パワーユニットの)コンポーネントがさらさらの新品で、かなり
ホイールスピンしてしまい、スタートラインで遅れてしまったんだ。」
(マクラーレン/ホンダ公式コメント)
●
今宮純氏:「S字連続コーナーで
アクセル・オフのタイムラグが長い」
http://www.as-web.jp/f1/55264?cx_top=pickup
●
ホンダF1長谷川総責任者(米家峰起氏記事による):
「ここはクルマの総合力が問われるサーキットですが、逆に言えばここで悪いということは、パッケージ全体としてクルマが悪いと言っているのと同じことなので、非常に残念です。
たとえば、
S字が圧倒的に悪かった。S字のようなところはどのサーキットにもあるわけですが、コース全体がそうなっているところはそんなにないんですね。鈴鹿はそういう連続したコーナーが多く、クルマの実力がはっきりと出てしまったんだと思います」
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/motorsports/motorsports/2016/10/12/f1_split/index.php(以下二本同じ引用元)
●
フォースインディア松崎エンジニア(米家峰起氏記事による):
「世間で言われているほどホンダとウチの(メルセデスAMG製)パワーユニットの差は大きくありませんよ。
むしろ
マクラーレンが遅いのをホンダのせいにしているだけなのではないかという気がします」
●
マクラーレン/ホンダ チーム関係者(米家峰起氏記事):
「MP4-31はコーナーの立ち上がりで
トラクションが不足し、ドライバーがスロットルを踏もうにもタイヤが空転してしまい、踏めない状態だった。」
●
各セクターでのスピードトラップ(定点到達速度計測)では、
マクラーレンは二台とも、フィニッシュラインでのフェルスタッペンを除けば、
レッドブル(日本GPリザルト2位と6位)よりも到達速度は伸びています。
(上のコメントによれば「踏めない」にも拘らず!)
http://blog.livedoor.jp/markzu/f1-news/f1-52029731.html
昨年のシンガポールGPのメルセデスAMGの大不振のようにこれといった原因が特定できないようですが、
シーズン前半、ホンダユニットがアップデート前でもパワーユニット各要素の関連づけの調整により戦闘力が上がったことを思うに、その辺りの調整がうまくいかなかったのではないでしょうか。
(専門外の素人考えですが)
************************************************
マクラーレン/ホンダのトータルとしての戦力は、ドライバーが大きく補っている
(特にスタートでのアロンソのジャンプアップ)のが実情のようで、
パワーユニットは言うまでもなくメルセデスやフェラーリには今一歩及ばないようですが、
ルノーや昨年型のフェラーリ(トロロッソ)よりは勝ってきているように見受けられます。
状況としては非力なパワーユニットとともに、
車体設計(サスペンション等)起因のトラクション不足、加えてダウンフォース絶対量の不足があり、
レッドブルのように「直線を捨てても踏めるマシン作り」というところまでは踏み込めないようです。
一説ではマクラーレン、ドラッグ(空気抵抗)の割にダウンフォースが出せていないとか。
◇ ◇ ◇ ◇
余談ですが、ルノーはV10時代から最大出力よりもドライバビリティ(扱いやすさ)に優れているのが美点といわれていましたが、昨年・今年の状況はそうでもないようです。
F1 Topic:「型落ちのフェラーリの方がずっとマシ」マックスに酷評されるルノーPU
https://www.as-web.jp/f1/54440?all
2014シーズン、王者ベッテルの不振を尻目に若武者リカルドが一気に勝ち名乗りを上げたのも、
そういった特性を「委細構わず」(あるいは比較対象が下位チーム車で「こういうものだ」と)攻められるか否か、といった度胸勝負の側面があったのかもしれません。
◇ ◇ ◇ ◇
モーターレーシング最高峰の内情が全て明かされることはあり得ませんが、
昨年来の成績不振の理由をホンダに押し付けてきたかのようなマクラーレン。
パワーユニット開発が自由になる、来る2017シーズンは
シャーシ・サスペンション・空力の全てが問われるシーズンになるように思います。
素人考えですが、2009年あたりから毎年のように開幕時には狙ったパフォーマンスを発揮できず、
持ち前の開発能力でシーズン半ばあたりから盛り返してくる、というパターンが続くマクラーレン。
ここ数年、やたらとアップデートのパーツを持ち込むも、実効を確認しきれない場面も多い模様。
(ニューパーツよりセッティング重視のフォースインディアとは対照的に)
特にこの5~6年はマシンに特筆すべきポイントがなく、
開発力を除けばウイリアムズあたりと大差ないのではないか?という不安がぬぐいきれません。
またスポンサー難からか、ドライバー選考でもここ数年は優柔不断な姿勢が続き、
ペレス、マグヌッセンのように若手が割を食わされる悲劇的な状況も目立ちます。
経営はF1界随一の「先端技術企業」として確固たる地位を築きあげ盤石のようですが、
幹部の不協和音(ロン デニス対オージェら投資家)も噂としてささやかれ続けています。
一方では扱いづらいルノー(タグホイヤー)エンジン、
最高速度を犠牲にしてでも高いダウンフォースレベルを獲得し、
無理やりでも「踏める」車体を作り上げ、レースのロングランでも速さを見せるレッドブルを前に、
エンジン頼みでないパフォーマンスを望むのはアロンソばかりではありません。
◇ ◇ ◇ ◇
2018年シーズンからは2チームへの供給を視野に入れている、といわれるホンダ。
マクラーレンにとって2017シーズンの成否が今後の命運(ワークス待遇維持)を分ける、
といっても過言ではないと思います。
いつものようにネガティブな視点満載の記事になってしまいましたが(笑)、
ぜひともアロンソに「2018年も王座に挑戦したい」といわせるようなマシン・チーム体制を作り上げてほしいと願います。