
さて、昨日の雪辱戦とばかり、再度の試乗に臨みます。
念のため、不調の原因と思われた点火コイルの電源端子の差し込みを少しきつくして、
難なく一発始動! これなら大丈夫そう(^^)
(写真は愛車紹介より借用)
「(インジェクションながら)冷えている時は点火プラグがカブることがあるので」
と、しばしアイドリングで暖機。少量生産車らしい特殊性を感じさせる。
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この日は幸いにも薄曇りで、直射日光の炎暑ではなく、絶好のタルガトップ日和。
エアコンを使うほどでもなく、走りを楽しむには好条件だったのがありがたい。

(写真は愛車紹介より借用)
仲間内で走り慣れたコースがあるらしく、まずはトルクステア氏の友人のドライブで走り出す。
それほど回転を上げなくても心地よい排気音に包まれて、一般通行車の間でも非日常感いっぱい。
低く身構えたスタイルは、それほど足回りのストロークがあるようには見えないが、
太すぎないタイヤ/ホイールサイズや、サスペンション作動の良さゆえか、
突き上げなどは感じられず、乗り心地は良好。
オープントップでも車体がしなるような様子・気配は微塵もなく、強靭なシャシー構造の賜物だろう。
厚手で建付けの良いFRP製ボディの軋み音も気になるようなことはない。
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専用チューニングのローバーV8の排気音は、パイプの取り回しや集合方法によると思われるが、
ビート感を残しつつ、低音と高音が入り混じった和音の「ウォーン」と吼えるような連続音で、
一昔前のアメリカンV8改造車のような野卑な排気音や、鈍いレスポンスとは無縁のようだ。
サイレンサー(消音器)がホイールベース間の比較的前方にあるそうで、
長いテールパイプで車両後端まで導いていることが独特の共鳴サウンドを生み出しているのでは?とのこと。
そういえばホンダS500/600/800も同様の消音器レイアウトで、小さな見た目に似合わぬ吼えるような排気音を奏でることを、今書いていて思い出した。
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【余談】
ローバーV8エンジンは'60年代初頭のビュイックに端を発する、アルミブロック構造。
軽量・コンパクト・高性能で英国車に幅広く搭載されたことは読者諸兄にはご承知の通り。
TVR各車に搭載されるものは、それぞれの仕様に合わせた専用チューニングがなされているが、
資料によって記載の揺れがあるらしく、正確な仕様を把握するのは難しいようだが、
キミーラ現車に搭載されているものはスポーツカー用として好ましい特性に躾けられている。
知る人ぞ知る、この系統のエンジンがF1選手権を勝ち取った事実('66、'67年、レプコ社による改造型)は、素性の良さあってのことで、特筆すべき勲章である。
ストリートカーのエンジンで、F1選手権獲得と直接関連があるのはごく稀で、
本ビュイック~ローバー~レプコV8と、マゼラーティ3500GT系6気筒、BMW M10~12型4気筒くらいのものだろう。
(市販車フェラーリV12は、意外にもコロンボユニットはF1タイトルに届かず。BB~テスタロッサ系フラット12はコロンボユニット拡大版の330~365系V12を変形・発展させたもの。F50エンジンの基となったF92Aもタイトルに届かず)
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オーナーの信任厚い友人氏は大排気量、高出力の車両を扱いなれているのか、
当方とあれこれ談笑しながらも、臆することなくスロットルを踏み込んで全く不安を感じさせない。
山がちの地形が自然とアクセル開度を要求するのか、負荷が掛かった排気音は非常に心地よく、
軽々とエンジン回転/速度が伸びていく様子は運転の楽しさを予感させる。
ドライブコースは市街地の間ではあるが、よく整備されて道幅も広く、流れもスムーズで快適。
何より片側二車線の右側を空けるマナーは素晴らしい。
街路樹や背景の山の緑が美しく、遠出せずとも適度にスロットルを踏み込んでスポーツカーを楽しめる環境は羨ましい。
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郊外の広い道路で、いよいよ運転席を交替してもらう。
助手席同様に狭苦しさはなく、程よいタイト感に包まれた印象。
足元はペダルをまとめて踏んでしまうような心配もない。
ステアリングホイールは殆ど垂直に近く、チルト機能もあり、メーターは見やすい。
シート位置をペダルに合わせると自然な姿勢が取れ、ステアリングを切っても手が伸び切ってしまうこともないのは、さすが"実戦派"スポーツカーで、嬉しくなってしまう。
(概念として、ステアリングが垂直に近いほどスポーツカー寄り、寝ているほどGT寄りの運転姿勢)
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謹んで(?)運転席に滑り込む。間口が広く、乗り降りは容易。
クラッチはそれなりに踏み応えがあるが、渋さはなく扱いやすい。手入れの良さが窺える。
繋がる位置は比較的奥で、実ストロークは短めなのが嬉しい(国産スポーツは概して長目)。
(写真は愛車紹介より借用)
同様にストロークが短いシフトレバーも操作に手応えはあるが、節度があり、遊び(ガタ)は無く、
いかにも高精度の機械を操作しているレースカー感覚。シンクロも強力そうだ。
ばねやゴムで過剰に中立位置に戻そうとするような、お節介な反発力が少ないのも好印象。
(これには工夫があるそうです)
チェンジレバーとクラッチペダルの操作感・操作力、スロットルレスポンスのマッチングが良く、
変速操作は自然なリズムで心地よい。
ペダル高さの段差も少なく、慣れればダブルクラッチを使ったヒール&トウを決めまくって走り回れそうだ(笑)
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独特のエンジン音/排気音には高揚感があり、運転者をヤル気にさせる。
3000rpm以下くらいでも、それなりに回しているようにも聞こえるのが不思議。
踏みこんでいくと高音優勢に音色を変えながら、軽々と吹け上がり、速度を乗せていく。
借り物かつ市街地周辺の一般道なので、本領発揮には程遠い走り方だったが、
トルクで速度を乗せていくというよりは、トルクを利して回転に比例して出力が増していくような、
いかにも実戦的なスポーツエンジンという力強さは、筆者には理想的に思える。
但し、重篤な不調というほどではないが、信号発進や交差点右左折など、
アイドリング近辺から負荷を掛けて踏み込んでいくような場面では、
一瞬ボボボッとエンジンが不平を漏らすようなことがあった。
前日のエンジンストールの影響か、点火プラグ8本の中に1~2本燻っているものがあるようにも思われた。対策することでさらに調子が上がるに違いない。恐るべし(笑)
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当方のユーノスよりは少し横幅があるのを感じるが、不安感はない。
普段軽バンを足にしている筆者にも大きなクルマを運転しているような印象は微塵も感じさせず、
着座位置は低いが、長いノーズにも不思議と見切りの不安などは感じない。
サイドミラーの視界も意外なほど良好で、膨らんだリヤフェンダーがさりげなく映り込んでいるのもいかにも高性能車らしく、気分を盛り上げてくれる。
ステアリングはパワーアシスト付きながら、やや小径化されていることもあり適度な手応えがある。これまたスポーツカーらしい実感を伴うもので、重すぎて切り遅れるようなこともない。
ステアリングギヤ比はかなり機敏な設定のようで、ステアリング舵角は少なめでも挙動はごく自然。
想像以上に曲がり過ぎて切戻したりするような過敏さは、当日試した範囲では全く感じられず、
確かLSD装備の筈だが、小回りを拒むような曲がりにくさも筆者には感じられなかった。
運転の各動作にはある程度の力を必要とすることは確かだが、特別な筋力を要するほどではなく、
却ってその手応え・足応えや響く排気音が、運転のリズムを取りやすくしているように感じられた。
試すには至らなかったが、挙動や接地感に不安はないので、
まだまだスロットルを踏み込んで、コーナー出口に向けトラクションを掛けていけそうだが、
市街地近辺としては速度が上がり過ぎてしまいそうなのが悩ましいところだろうか。
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試乗コースのロケーションや交通事情の良さ(渋滞には遭わなかった)という要素もあるが、
乗り心地の良さ、内装の造りの面白さや居心地の良さ、視界の良さ(前方、ミラー視界)、
レスポンスが良く高揚感のあるエンジン特性、低回転~高回転まで楽しめる排気音色、
操作感の一貫性、クルマを小さく感じさせる優れたハンドリング、と理想的な要素が満載で、
少なくとも筆者にはやせ我慢の必要はなく、正直なところ、いつまでも運転していたいと思った。
これ一台で移動・輸送のすべてを賄うことはできないだろうし、
故障や不具合で乗れない時間や、部品調達の手間、維持費の出費はある程度覚悟が必要で、
基本的に自分で手入れをするとしても、頼れる修理工場・メカニックの存在なしでは少々心細いが、
前の記事で書いた理想追求的設計や、造りの良さと合わせて、所有出来たらどんなに素晴らしいだろう。
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知らない土地の慣れない道路、初めて乗るクルマにもかかわらず、
ある程度気構えは必要でも運転操作に違和感が無く、
タイヤがどこを通っているかが手に取るようにわかるような安心感というか、
狙った通りのラインを描けるような信頼感をもって運転できたことは、
トルクステア氏はじめ歴代オーナー・整備者の改善の効果とともに、
当時のTVRの設計や工作、チューニングの優れた素質を物語っていると思う。
手前みそながら、飛ばし勝手の良さは、Vツイン ドゥカティに相通ずるものを感じた。

(写真は愛車紹介より借用)
鍵は、造り手の熱意と、"意気に感じた"ユーザーの熱意の融合だろうか。
高性能車というのは世の中に星の数ほど存在するが、
「愛好家による、愛好家のためのクルマ」と称えたくなる車両はどれほどあるだろうか。
長く保有していると、愛憎半ばすることもやむを得ないとは思うが、
首都圏ながら車両保有環境も良さそうで、山間路にも程近く、この手の車両を楽しむには最高のロケーションのように思える。
今後の改善プランなど、いろいろと手を入れる楽しみも残っているそうで、末永く楽しまれることを祈りたい。