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灸太郎くんのブログ一覧

2025年01月30日 イイね!

DUCATI SSの整備【11】M8ボルトは要注意?

DUCATI SSの整備【11】M8ボルトは要注意?先の記事でも触れましたが、アンダーブラケットの舵角を規制(調整)するボルトが折れてしまいました。

以前、専門誌のドゥカティ整備記事で折れやすいと書いてあるのを読んだことがありましたが、
調整しようとロックナットを緩めようとした際にあっさり折れてしまいました。
当方が触った経験だけでも3台目です(400SS、M900)。

いわゆるイモネジですが、水分侵入による腐食もあるでしょうし、アルミ製アンダーブラケットとスチール製ボルトの組み合わせによる電蝕なのかもしれません。
アンチシーズ(固着防止)剤=カッパーグリスなどを塗布したクロモリかステンレス製ボルトに置き換えるのが良いと思います。
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↓折れ残ったボルトに3mmくらいの下穴を開け、5mm程度まで拡大します。
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↓抜き出し工具(=エキストラクター)を使って簡単に緩めて抜けました。
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↓出来上がり。
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今回はこのアンダーブラケットは使用しないで、保管します。

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【異常が多いM8ボルト】
●締付トルクは大したことはない(M8=2.5Nm程度)部分なのですが、
なぜか当方が触る90年代ドゥカティの場合、M8ボルトは伸びたり曲がったりしていることが非常に多いです。
緩める際の手応えがおかしい(回転させる抵抗感が位置により変化する)場合、
目視でねじ山の傷みをチェックした上、机の端で転がして曲がりを確認、
結果としてM8ボルト(ピッチ1.25の並目規格品)は半数程度は捨てています。

メーカー組み立て時にねじロック剤を塗布していて、経年で固着していることもあると思いますが、
オーナー自らいじりたくなる車種ゆえか、整備者由来のケース(締め過ぎや非純正ステンレスボルトの固着)も見受けます。

ブレーキローター取り付け、フットペグブラケット(ステップホルダー)固定、アンダーブラケットクランプ、フロントアクスルクランプといったあたりで、結構ねじ山嵌合が長い部分が多く、ボルトを交換してもねじ込みが渋い場合、雌ねじ側もタップを立てて修正していますが、結構切粉が出ることもあります。

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国産車と比べ、ドゥカティなどイタリア車はボルトの材質が硬く、締め具合も心地よいのですが、
頭の六角穴が若干ゆるいのか、緩める際に何度か潰してしまったことがありました。
特にイタリア車は低頭ボルトやフランジ付きで六角穴のサイズが小さい場合もあり、要注意と思います。
見た目は非常にカッコいいんですが、レンチをもち替えたりと手間が掛かることも難点でしょうか。
(オーナー自らいじる機会が多い車種の中古車ゆえ、混在しているのかもしれませんが)
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長年の使用でアレンキー(六角棒レンチ)が若干とはいえ摩耗していたこともありますが、
工具メーカーや工具個体によって、六角対辺の寸法や、角の尖り具合が違うのに気が付きました。

そこで、現在は使用頻度の高いM6、M8、M10あたりに適応するものは、TONE製の六角棒ソケットを主に使用しています。
購入に際しては、ホームセンター売り場へマイクロメータを持参、全て測定して対辺寸法が一番大きい個体を購入しました。

いざ六角穴ボルト頭にあてがってみると嵌め合いがかなりタイトで、錆や汚れがあるとすんなり奥まで入らないこともあるほどで、手で叩いて嵌めあいを確認してからトルクをかけるようにしています。
そうなると作業性はあまり良くないので、主に構造部分の取り外しと本締めに使用しています。

外装脱着などの軽作業には、従来から使っているPB製L字形ボールポイントレンチ(つや消しめっき仕上げで見た目はよいが、角の立ちが甘い。六角棒は素地仕上げの物がお勧め)を使用していますが、ドライバー状のレンチを使った方が効率は良さそうですね。

長年の使用で磨耗したシグネットブランドの六角棒ソケットは、固着を緩める際の打撃用として引き出しにしまってあります。
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【考察(私見)】
M8並目ボルト(ピッチ1.25mm)は、他のサイズに比べて、有効軸径(ねじの谷部分径)やねじ山高さに対し、強度余力が小さいのではないか?と想像しています。
つい強く締め付けたくなる太さが災いしている、といえるのかもしれません。

最も使用頻度の高い、M6並目(ピッチ1.0mm)の場合、元来締め付けトルクが小さいこともありますが、余程長いボルトでなければ曲がることは少なく、
ねじ山が崩れる場合もメス側(たいていはアルミ)が損傷することが多いように思います。

M10以上の場合は、四輪のホイール締結ねじ部の固着(焼き付き)で手こずることもありますが、ボルトの曲がりやねじ山の崩れを見ることは(二輪では)少ないように思います。


Posted at 2025/02/01 09:55:34 | コメント(2) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年01月30日 イイね!

DUCATI SSの整備【10】ステアリングベアリング【追記あり】

DUCATI SSの整備【10】ステアリングベアリング【追記あり】動きの悪いステアリングステムベアリングを分解して確認・整備します。

前述のストローク過大なブレーキ、キャブレター起因のエンジン不調と合わせて、
タイヤの減り方から察するに、直線路での排気量を利した加速だけを楽しむような、およそドゥカティらしからぬ(?)使い方をしていたのだろうと思います。
(特に後輪の中央のみ減っていて、前輪は中央も減っておらず、ショルダー部は前後輪とも全く減っていない)

速度が乗った(30㎞/h以上くらいか)コーナリングでは何となく乗れるが、四つ角の右左折やUターンでバランスがとりにくく怖い、というケースは、
大抵運転者の技量以前にステムベアリングなど整備状態あるいはタイヤに問題があるように思います。

一度ガタが出ない範囲でアジャストナットを緩めてみたところ、
土の地面(青空整備場)では軽く動くものの、アスファルトの上では動きが重くなるので、一度分解してみないと気持ちが収まりません(笑)
良くて追加給脂・適正締付、悪ければベアリング総交換でしょう。
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【分解・確認】
●アッパーブラケット(トップブリッジ)を取り外そうとしても嵌合がきつく、下側から樹脂製の棒で叩くなどしても、どうしても外れません。
恐らく嵌合部に錆があり、はめ合いがきつくなっているのでしょう。

上に抜けないなら、重力を味方に下に抜いてみよう、ということで、
フロントホイール、フロントフォークも取り外して上下のフォークブラケットだけにすると、すんなりステムシャフトからアッパーブラケットが抜けました。
ブラケット単体では上に抜けなくても(質量に対して面積の大きい嵌合が3ヶ所あり、しかも斜め上に抜く必要あり)、重量のあるフォークを下向きに抜く(嵌合は同軸上の2ヶ所)のは簡単でした。
(フロントフォークを抜く前に、アッパーブラケット上面からの突き出し量をメモしておきます)
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フォーククランプ部内側。わずかな汚れ程度の錆でも抜けなくなるほど、高精度の工作がされているということでしょうね。
この部分は雨水だけでなく、ブレーキやクラッチのフルードがこぼれて浸み込み、腐食する可能性もあると思います。

●ボトムブラケットも取り外して、テーパーローラーベアリングを確認すると、
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ご覧の有り様で、ほとんどグリスはありません。メーカー出荷以来30年間、分解給脂されていないのでしょう。
水が直接かかって流れだしたりする箇所ではないので、元来新車時のグリスは必要最小限程度に塗られているだけなのでしょうね。

●フロントフォークやステムシャフトが通る、上下ブラケットの穴は内側を真鍮ブラシで掃除しておきます。

●フロントフォークアウターチューブは旋盤の挽き目があって汚れを落としにくいですが、
挽き目に沿って灯油をつけたスチールウールで磨いてやると、アルマイトを傷めにくくきれいになります。
(そのあと灯油をつけたウエスでしっかり拭き掃除しないと鉄さびが付着するので注意)
※灯油でなく水をつけて磨くと、鉄粉で非常に錆が出やすいので注意。

●ベアリングを受ける、アッパーレース側は?
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当然のようにグリス切れ。幸い上側には荷重が大してかからないせいで、ひどい打痕や偏摩耗は無いようです。

●ヘッドパイプ内側、グリスが付着した銀色のシールは、向こう側に見えるフレーム(タンクレール)内に雨水が侵入しないように封をしているものと思われます。
他の車両がどうなっているのかは存じませんが、わざわざヘッドパイプに穴など開けないで溶接した方が、強度・剛性は高いような気がするので、溶接ひずみ対策や剛性の調整をしているのかもしれません。

●ボトム側のレースは?
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こちらは大荷重を受けるので、特に後ろ側は打痕だらけになっていて、触感でわかるほど。要交換です。
見ての通りほとんどグリスはありません。はじめにしっかりとグリスアップしておき、車検ごとには点検するのが良いでしょうね。
レース車両のように、新車の慣らしが終わったあたりで全て分解して組み直すと、本来の最高の状態を味わえるでしょうね。

自転車のステムなどは下側だけでフォークを支えているように、大きな力を受けるのは下側のベアリングやブラケットで、上側は支えているだけといっても間違いではないと思います。
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【ボトム側ベアリング交換】
不調の原因が突きとめられれば、あとは対策するだけです。
といっても、手持ちの新品ベアリングはないので、ここは実験として中古のフレームから程度のよさそうなレースを抜き出して再利用してみることにします。
(筆者はドゥカティSSに関しては、この程度の再整備は厭わないので)
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左が現車のもの、右は他のフレームから抜き出したもの。
できるだけ変形させないよう、アルミの棒を使って打ち出しました。

●ボトムブラケットのテーパーローラーベアリングは、洗浄し再利用するつもりでしたが、
舵角を規制するストッパー(イモネジ)が折れていたので、
この際ボトムブラケットごと程度のよさそうなベアリング付き中古品に交換して組みます(出所はボトムレースとは別の車両と思われる)。洗浄給脂して両者を比べてみると作動も良好だったので。

本来は出荷時にペアになっているものを組み合わせるのですが、精密な規格品なので大きな寸法違いはないと見越しての実験で、ダメなら後日新品で組み直します。
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【再組立て・調整】
↓清掃したアッパーベアリングレース。錆びや打痕はなし。
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↓打ち替えたボトムベアリングレース。同じく錆び、打痕はなし。
 打ち替えに際しては座面を清掃、レース外周に薄くグリスを塗り、
 打痕のあったレースを治具としてあてがい作業しました。治具は今後も使えるので保管します。
 こちらもフレームダウンチューブとの接合部に封がされていますね。
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●この先、写真が無いのですが、上下のベアリングには、特にローラーのすき間にも押し込むように大量に(ケチらず)グリスを塗りつけてから、
ボトムブラケットだけ組み付けた状態で(アジャストナットを取り付ける前に忘れずにベアリングカバーをかぶせ)一度ベアリングアジャストナットを強めに(打痕が付かない程度に)締め付け、左右ロックまで何度も動かしてベアリングに当たりをつけ、座りを良くしてやります。
その後一旦緩めて、ガタのないギリギリのところを狙ってアジャストナットを調整します。
フロントフォークなどが付いていない状態で、脇を締め、感覚を研ぎ澄まして作業します。

●アジャストナットにはロックナットはないので、ベアリング締め具合を調整したらアッパーブラケットを被せ、トップボルトを規定トルクで締め付けます。

●その後フロントフォークを差し込んで、左右ともアッパーブラケットからの突き出し量を分解前寸法に合わせてクランプを仮締めして(フォークを位置決め)、
まずボトムブラケット側を規定トルクで締め付けます。

●続いて、アッパーブラケットのフォーククランプ(仮締め)を一度緩めてから、規定トルクで締め付けます。
フォーク上下位置決めの基準をボトムブラケット側とするためです。

その後フロントホイールを復元し、各部の組み付け、締付を確認した上で、押し引きしてステムベアリングの作動やガタツキをチェックした後、試運転を行います。

●再調整する際は、フロントホイールをリフトアップして、アッパーブラケットを持ち上げてアジャストナットを適宜(外周で数ミリ単位)動かします。トップボルトを締めるとベアリングも締まるので、その分を見越して調整します。

●テーパーローラーベアリングは、例えば四輪のホイールベアリングのように、予圧をかけて(ある程度締めこんでスラスト方向に負荷を掛けた状態)使用するのが本来なので、今回のように負荷の少ない状態の場合は傷むのが早いかもしれません。後々確認しつつ運用したいと思います。

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【整備後の試運転】
目論見通り、ドゥカティらしく前輪はリーンに追従して素早く舵角がついていくようになったのに対し、
後輪が遅れるような、追従して旋回していかないような印象です。

以前整備したBMW  S1000Rのような、前後輪とも同時に曲がり始めるような状況を内心期待していたのですが、タイヤの摩耗状況(断面形状の変形)もハンドリングに影響していると推測できそうです。
ひとまずタイヤ内圧を前2.3、後2.9㎏(=プロファイルを改善したいのでリヤタイヤ内圧を上げ、全体を膨らませることで中央部曲率に変化を期待)としていますが、加圧、減圧を試してみたいと思います。

ハンドリングに関しては、ひとまず現状の部品構成を利用して、
車高調整やばねプリロード、減衰力調整等含め、できる範囲での改善を後日まとめたいと思います。

●筆者の場合、ハンドリングを見る際は、できるだけ条件のいい日の、視界のいい日中に試運転をして確認・調整をするようにしています。
運転者由来の不安定要素(評価のブレ)を少なくするためで、明らかに乗れていないと感じるときはむやみに調整状態を変えないようにしています。
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【本音】
筆者は今まで所有した車両は殆どすべて、ステムベアリングを自分で交換・調整しているのですが、元来臆病な性質(笑)で、特にリーン開始時の舵角のつき方に納得できないと怖くて乗れません。

●例えばオフロードバイクの猛者など、この辺りに無頓着なようですが(うらやましいほど)、
筆者は(特に使用ですり減った)ラフロードタイヤはリーンと舵角の関係がまったくつかめず、怖くて乗る気も起きません。

●本来は916系から後のドゥカティ車両群のように、抵抗の少ないボールベアリング(大径ボールをレースに組み込んだもの)で組んでみたかったのですが、
調べてみるとボールベアリング採用車両はヘッドパイプの径もステムシャフトの径もまるで違い(太くなっている)流用不可能で断念。

国産車等で流用できる部品が見つかったら、ボールベアリングへの組み替えを試してみたいと思います。情報お持ちでしたらご一報いただければ幸いです。
Posted at 2025/01/30 17:26:27 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年01月29日 イイね!

DUCATI SSの整備【9】ガスケット作製

DUCATI SSの整備【9】ガスケット作製前回の記事で、インマニガスケットの作製、交換をしましたが、
備忘録の意味もあり、ガスケット作製の手順も記しておきます。

自作するのは、
A)入手できない場合  
B)今回のように形状が単純な場合  
C)すぐに欲しい場合
のいずれかの場合です。時間と手間を考えると、購入可能であればそれに越したことはありません。
以前、練習課題としてXZ400キャブレターのフロートチャンバーガスケットを作製しましたが、素材が厚手で、穴が多く形状が複雑な上、精度が要求され、非常に難儀をしました。

元のガスケット現物の欠片でもあれば、厚みを測り、できるだけ同じ厚みのパッキン紙を選びます。
同じ厚みの材料がない場合、厚めのものを使うのが一般的と思いますが、
シリンダーベースガスケットを薄くして圧縮を少しでも上げたいなど、場合によっては薄めのものが適するかもしれません。

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【1.ガスケットの採寸】
筆者の場合、ガスケット原形があれば実物から、
無ければパーツ合わせ面を直接、スキャニング(画像読込)して原画作製。
使用されていたものは、大抵の場合、寸法が伸びていると思います。
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【2)型紙作製】
現物で寸法(特に穴同士の間隔)を確認しつつ、それを下絵に寸法を出せる作画ソフト(筆者の場合、Adobe社イラストレータ)を使って、輪郭線を描き型紙を作ります。型紙はコピー用紙くらいの厚みのものでOKです。
現物をコピーしたものをそのまま型紙として使っても良いと思いますが、コピー(スキャン)の際に寸法が微妙に変わったり、直角が歪んだりすることもあるので、確認が必要です。
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【4)型紙の貼り付け】
型紙をガスケット紙に糊で貼り付けます。無駄がないようにできるだけ隅の方を使います。
ガスケットとして残らない、余白や穴の部分に、水分量が少ないスティック糊で貼ります。
ガスケット面に糊付けしてしまうと剥がす際に表面が傷んでしまい、厚みが均一でなくなってしまってガスケットの用をなさなくなる可能性があるからです。
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【5)穴あけ】
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輪郭を切り出す前に、先にポンチで穴を開けます。
1mm厚などの厚手の場合、穴を打ち抜く際に周囲が割れたり千切れたりしてしまう場合があるためです。
今回は内側が単純な円形状ですが、直線的形状で角丸の場合などは、内側角の部分をポンチで抜き、後で穴をつなぐようにカッターで切ります。

また、打ち抜く際に素材が引っ張られるので寸法が変わる場合があり、
その場合、切り抜き時に調整することになります。
幾つか穴を開けて切れ味が落ちるとフチが割れやすいので、必要に応じて砥石やダイヤモンドやすりなどでポンチの刃を研いで作業します。
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【6)切り抜き】
素材に厚みがあるので、一度で切り抜くのは無理です。
余白部分をしっかり押さえてカッターナイフで何度かなぞって切りますが、余計なところに刃を走らせないよう注意してください。
内側を先に切り抜いてしまうと、糊で貼った型紙が外れてしまい外側が切れなくなるので、
先に外側の輪郭線にケガキ線のように切り込みを入れておきます。
そのあと内側を切り抜き、最後に外側の輪郭線を金切りばさみで切り取るのが楽です。
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今回のポートの合口のような場合、ピッタリ合わせるため調整できるよう、内側は型紙の若干内側、外側は型紙の若干外側で切るようにします。
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【7)仕上げ】
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見本は外側の輪郭線を先に切り抜いてしまっていますが、原則として内側を先に切り取るのが良いと思います。

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【8)組み付け】
切り抜いたガスケットを合わせてみて、必要に応じて修正します。
沢山開けるほど穴あけ時に誤差が出やすいので、ボルト径より0.5mm大きい穴を開けると合わせやすいと思いますが、
ポート穴にピッタリ合わせたい場合などは、組み付け時にずれないようにボルト径ぴったりの穴を開け、必要に応じ修正するのが良いと思います。

分解頻度が比較的高い場合など再利用したい場合、ガスケットが貼りついて破れないように、当方は両面にシリコングリスを塗って組むようにしています。
絶対に液漏れさせたくない場合などは液体ガスケットを両面に塗布して組み付けます。

今時は輪郭線のベクトルデータがあれば、看板屋さんが持っているようなカッティングプロッタと呼ばれる機械で切り抜くこともできるのかもしれません。試された方がおられましたら情報いただけるとありがたいです。

Posted at 2025/01/29 11:48:00 | コメント(1) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年01月27日 イイね!

DUCATI SSの整備【8】キャブレター(4)インマニガスケット欠損

DUCATI SSの整備【8】キャブレター(4)インマニガスケット欠損
【第三次対策&再試走】
●気になる回転落ちの遅さ、もしかすると目視で合わせたバタフライバルブ同調が不良かも?と思い立つ。
バキュームゲージで各気筒の吸入負圧を確認すると、僅かだがずれているので合わせ直す。
パイロットジェットは#42.5、パイロットスクリューは3と1/2回転に復元。

多分だめだろうと思いつつ試走してみる。
一定速度でのエンジン回転(3000rpm台)は若干滑らかになっているが、やはり時折アイドル回転数が上昇。全閉時の回転落ちも緩慢。

【第四次対策&再試走】
●症状の再現性のなさ(=偶発的発症)は、何らかの不具合に違いなく、
やはりキャブレター~シリンダーヘッド間のどこかでエアを吸っているとしか思えない。
非常に造りがよいラバー製インシュレータはひび割れなどはなく、
念のためとインマニ基部フランジにもパーツクリーナーを噴き付けてみると、Vバンク側で極僅かだが音の変化が認められる…ということは、組みつけ不良か?クラックか?巣穴か?

早速エアボックスを外し、キャブレターAssyを浮かせ、両インマニを取り外してみると…
あろうことか、Vバンク側インマニの紙製ガスケットが一部欠損した状態(黒くなっている部分がガスケット欠損部)で組み付けられていた。
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切れかかったガスケットを液体ガスケットで貼り付けて組んであるのは時折見掛けるものだが、欠損したガスケットを無造作にそのまま組み付けてあるのは初めて見た。
これではFCRだろうが標準品だろうがインジェクションだろうが、調子が出るはずがない。
組みつけてあるガスケットが割れて吸い込まれたという記事を読んだことはあるが・・・締め付け軸力で押さえ込まれたガスケットが吸入負圧くらいで吸い込まれるものだろうか?

ちなみにインマニとシリンダーヘッド双方の合い口部分は、メーカー製造時にさらりと機械加工で丸く削ってある。
スタッドボルト穴を基準に合い口の位置をあわせているようで、さすがマニア相手のブランド、つぼを押さえた仕上げである。

●フランジ面を測定、ガスケット作製し、ポートにあてがってみたところ。
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ジャストフィットにしてあるので、ポート径よりもガスケットが引っ込んで段差ができることもない。
覗いてみると吸気ポートはリューターで粗削りをしたような痕跡がある。バルブガイドは打ち替えていないようだが、シリンダーヘッドは一度ばらした履歴ありということだろう。

●せっかく取り外したので、インマニ内側も、リューターの歯と電気ドリルフラップホイールが届く範囲で段差修正、内径鋳肌を軽く均しておいた。

●エア流入量が多いはずのK&Nエアクリーナーエレメントを考慮し、パイロットジェットを5番上げて#47.5としてみた。パイロットスクリューの戻し回転数は変更なし。

→再試走。さすがに「今度こそ」は全閉時の回転落ちは自然で、アイドル回転も安定している。
万全を期して油温が上がったところで吸入負圧を再度合わせ直した。
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念のため、メーターの接続を相互に入れ替えて確認するが、特に指針の狂いはなし。
4連メーターを繋いで調整していると、いかにもプロの作業に見えるらしく、ご近所さんも感心したように見ている(笑)
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【調整後、確認のため再試走】
先ほどまで3000rpm以下はギクシャクして使えなかったが、今度は2500rpm辺りでもなんとか定速走行できるようになった。
日中はいつものテストコースは交通量が多く、遅い車に阻まれ、ほぼ30km/h前後での縦列走行となり、まさに「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」といったところ。
殆どローギヤ、時折セカンドに入れるくらいの状況だが、プラグの焼けはそれほど悪くない。

冷間時はスロットルグリップから手を離せないが、温まってしまえばアイドル回転(調整スクリューが奥まっていて運転中気軽に調整できないので、やや高めの1200rpmあたりに設定した)は安定し、全閉時の回転落ちもスムーズで違和感はない。2速発進も楽々。
無い知恵絞っての思考(苦悩?)と、寒い中でのトライ&エラー(否、実験の積み重ね)がようやく報われた、と思わず笑みがこぼれるところだ。

地の底から湧き上がるような、且つ弾けるようなサウンドを伴う、扱いやすくもレーシングフィーリング満点、ある種2ストローク的な吹け上がりはドゥカティVツイン特有の個性で、筆者に言わせれば人生の喜びそのものだ。
以前所有の750F1以来、約20年ぶりに身体中に染み入るドゥカティVツインの轟音には寒さも忘れてしまう。

冷静に観察すると、減速時のダウンシフト時や、四つ角を直角に曲がる際など、スロットルを閉じた後、再度開け始めるあたりのツキがやや唐突な印象がある。
3速、5000rpmあたりでやや息つきがあり、燃料を増やしてもよさそうな印象。
後日ニードルジェット含めた低中速域と、メインジェット領域をもう少し詰めてみたい。
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【総括】
よもやインマニガスケットが欠損した状態で組まれていたとは思いもよらず、想定した数倍の時間と労力を要した。
いずれにせよ、吸気系全体の組み直しが必要だったが、先入観によらず、現象に対して根幹部分から見直すことが早期問題解決に繋がったはずの、今回のキャブレター整備であった。

基本の調律はできたので、他とのバランスを見ながら、もう少し標準キャブレターの現車合わせチューニングを進めてみたい。
Posted at 2025/01/28 12:45:30 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年01月24日 イイね!

DUCATI SSの整備【7】キャブレター(3)設定と不具合

DUCATI SSの整備【7】キャブレター(3)設定と不具合【現車のミクニBDST初期設定】
さて、組み直したキャブレターのデータを記録しておきます。
前提となるエンジンの仕様は詳細不明。
吹け上がりがかなり速いので、フライホイールや点火時期あたりをいじってあるような気がするが、
ジェット類は入手時付属のものを使ってみます。
※メーカー標準設定はソースにより若干バラつきがあるので、あくまで参考値。

●メインジェット   = #144(標準#140?)
●メインエアジェット= #77.5(標準#60?)
●ジェットニードル = 5c19※不明(テーパーのきついもの。Dynojet?)(標準 5c19-3) 
●同 クリップ位置 = 上から4段目(もしかすると上記”-3”はクリップ位置?)
●ニードルジェット = (標準 Y-6)
●パイロットジェット= 42.5(恐らく標準通り)
●パイロットエアジェット= 1.4(標準 60/1.4?)
●パイロットスクリュー戻し= 3回転と1/2(複数資料による。出荷値は不詳。出荷先によっては封印)
●エアクリーナーエレメント= 純正同型、K&N製エレメントが装着されていた。オイルが過剰に塗布されエアボックス内に垂れてたまっていたので、新聞紙にくるんで余分なオイルを吸着させた。
●点火プラグ    = DCPR7E
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【試運転 一回目】
配管・配線を接続、確認し、チョークを引いてスターターボタンを押すと、
我ながら驚いたことに一発始動!
だが、冷間期ということもあってか、チョークをもどすとアイドリングが持続せず。
ひとまずアイドルスクリューを締めこんで回転を上げて、試運転出発。

とりあえず発進、定速走行はでき、3000rpm以上では巡航は可能だが、
アイドリングが不安定で時々回転が上がる。
無負荷の吹け上がりは非常に早いが、回転落ちが悪い。

パイロットスクリュー5回転と1/2戻し、アイドル回転を1000rpmくらいにセットするとアイドリングするようになったが、
時折アイドル回転数が2000rpm辺りまで上がることがあり、そこからローギヤにシフトするのはショックが大きく、いたたまれない。
低速不安定な状態と乾式クラッチは非常に相性が悪く乗っていられないので、
いつものテストコースは半ばで早々に切り上げ、対策を考える。
******************************************

【第一次対策&再試走】
アイドル不安定かつ全閉時の回転落ちが悪く、二次空気吸いを想起したが、徐々に改善していたので、ひょっとして排気量を上げている可能性も?と思い、パイロットジェット(POSHのヤマハSR用)を、10番上げてみる(あえて多めに振る)。パイロットスクリューは3と1/2戻しに復帰。

→再試走。アイドル回転数を可能な限り下げる(約1000rpm)と、全閉時の回転落ちは少し遅いが、一回目試走よりも改善の気配。
だが途中から片肺気味となり、Oバンクの点火プラグがご臨終。ほうほうの体で帰庫。

【第二次対策&再試走】
●Vバンク側、取り出せなかったパイロットスクリュー奥のOリングが怪しいと判断。
メインボアのアイドルポート側からエアガンで吹き付けて取り出しに成功(タイトル写真)。
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↑写真上側が正規のパイロットスクリュー組み付け状態。
 下側がVバンク側のパイロットスクリュー取り外し状態。
(左から)なぜか一番奥に不要なワッシャーが入り、その手前に潰れて破損したOリングが入っていた。当然正規の状態で組み直し。
念のためスロットルワイヤーの動作を確認するも、グリップ側はきちんと全閉位置まで確実に戻っている。
プラグがかぶらなかったVバンク側は、余計なエアを吸っていたであろうと推測、
Oバンク側が正常と判断し、パイロットジェットは元の#42.5に戻す。

→今度こそ!と意気込み再試走。若干の改善は見られるが、傾向は変わらず。
道中パイロットスクリュー戻し回転数を増やし燃料リッチにすると、
やはりアイドル回転や全閉時の回転落ちは改善するが、
納得できるまで増量すると再度プラグかぶり。
******************************************

毎回発覚する異常事態に「これでどうだ!」と対処するも、根本的な解決には至らず。
筆者のところへ来る車両は、なぜか毎回”不良箇所のデパート”である(笑)

アタマを冷やし気分を変えるため、この日はここまでで中断。
いろいろと資料を漁りながら、次の手立てを考えることにする。

Posted at 2025/01/27 00:24:24 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記

プロフィール

「@パパンダ どこへ渡りたいのかが気になりますね(笑)」
何シテル?   08/16 12:08
灸太郎くん(キュウタロクン)です。 職業・思想・信条・立場など違えど 共通の話題で交流できるのは良いですね。 記述は残ることを意識しています。 ...
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