先日の再分解・調整後の試運転でも、以前と同じような症状が発生したが、アイドリングできないほどのプラグかぶりとも思えない。
いろいろと考えてみると、
●試運転を行うのは交通量の少ない夜間がメイン
●設定したテストコースで毎回試運転をしていて、大体同じような場所(距離)で不調発生
(レスポンス悪化、信号停止時アイドリング不調)
●Oバンクの点火プラグがくすぶり気味になるが、Vバンク側プラグと入れ替えると復調
●遅いクルマにつかえてしまうことも多いが、寒いのであまりペースを上げず、スロットルは閉じ気味で走行が殆ど。
そこで状況を思い起こすと、
●不調発生は殆どが非常に寒い夜間(摂氏5度以下)、湿度は低いと思われる。
●タンクのリフトアップや脱着をすることが多いので、燃料補給は毎回10ℓ以下、ほぼ200Km毎の少量ずつ。
●燃料消費はほぼ20㎞/ℓで、それほどミクスチャーが濃いとは思いにくい。
●加速ポンプはないので、スロットル開閉で燃料消費(吐出)量が大きく変わることはない。
●走行中スロットル開度は1/8~1/4程度の極小で、緩やかな加速か一定速度、戻し気味が殆ど
●パイロットスクリュー戻し回転数は2と1/2程度で始動性もよい。2回転戻し程度では始動後アイドリングできない(アイドルポート吐出量不足)。
●住宅地区間を抜けた後、3速で5~6000rpmあたりまで引っ張った後、信号停止や前車追従等で低開度となったあたりで不調になることが多いような気がする。
●およそ1/4以上のスロットル開度になると、不調時でも吹けあがり加速する。
●レスポンス不調発生から程なくアイドリング不調、ストールが発生することが殆ど。
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キャブレター起因とは限らないので、点火系も手を入れてみた。
●点火コイル接続端子が、Oバンク側が少しゆるかったので修正
●長さが余っているハイテンションコードを5cm程度短縮
●スパークプラグはギャップを0.8mm程度に調整
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はたと気付いたのが、キャブレターのアイシング(氷結)の可能性。
●点火プラグを取り外し、スパークを点検するが、火花は太く、問題があるとは思えない。
●不調発生まで走行に問題はなく、片側バンクのみプラグかぶりが起きるほどのミクスチャー不揃いや点火不良があれば走行も不調になると思われる。
●通常直立シリンダーの場合、キャブレターはエンジンの背後で輻射熱を受けているが、
現車(ドゥカティVツイン)の場合、エンジン輻射熱を受けることがない。
●キャブレター前方にエアボックスが配置されるので直接走行風は受けないが、
フロートチャンバー底面は走行風を受ける。
●特にOバンク側はマニホールドも走行風を強く受ける。
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★よくよく考えたら当時のSSやモンスターには、オプション装備でオイルクーラーへ送るラインから枝分かれしてフロートチャンバーを温める「キャブレターヒーター」が用意されていました。
実際に完備されたものは見たことがなく、詳しい構造もわかりませんが、
ヒーター回路ON/OFF切替用手動コックがついたオイルラインの枝分かれ箇所は見たことがありました(M900の98年頃のモデル)。
ひとまず手持ちの資材で簡単にできる対策を施してみた
●フロートチャンバー下面を防風板でカバー
ひとまず効果を確認するため、ダンボールを切り出して作製し、ボルトで固定。外さないとパイロットスクリューの調整もできなくなるので、走行前にある程度暖気し、
アイドリング安定と全閉からのツキのよさ、音の軽やかさを根拠に調整してから走行。
(両バンクとも、ほぼ2回転と1/2戻し)
※ミクスチャーが濃くなるほど音が太く重くなり、ブリッピングでのツキも重苦しい感じになる。始動性は良い。
逆に薄くし過ぎると音が軽くなり、アイドリング回転が不安定になりストールしやすく、始動性悪化。
仮の設定値から1/4回転程度ずつ開け/閉め両方向に振ってみて、調子がずれる両極端の中間点を振り幅を小さくしながら詰めていく。
●Oバンクマニホールドに、整備時に汚れ防止で使用するグリップカバーを巻きつけてみた。
(上の写真のマニホールドは装着前)
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【試運転】
以上のような思い付きの対策をした上で、いつものように夜間にテストコースを走行。
いつもより交通量が少なめなので、少しスロットル開度は大きめ。
当然加速度やエンジン負荷は大きく、速度も乗る。
時折3速5000rpmあたりまで回転を上げて走行。
いつも不調になり始める地点に差し掛かっても不調の気配はない。
テストコース後半はいつもスロットルを絞って低速走行になることが多いが、
今回は案外ペースよく走れて、一度3速7000rpmあたりまで引っ張ってみた。
気付くと残量警告ランプが点いていたので、燃料補給に向かおうかと思った矢先、
急にレスポンス悪化。
ちょうど帰庫目前の地点で、スロットル全閉でストールしたので、そのまま惰力で帰還。
すぐに点火プラグをチェックしてみると、両バンクとも白く焼けている。
アフターファイアなどガス欠症状が出る前で、プラグが焼けているのにストールした経験は初めてでビックリ。これがアイシングだろうか?現象は知識として頭の片隅にはあったが、まさか実際に可能性に直面するとは思っていなかった。
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アイシングだとすれば、しばらく放置して氷結が溶ければ正常にエンジン作動するはずである。
翌日の日中、そのままエンジン始動し、試運転を行って様子を観察したい。
ガソリンが凍るわけではないだろうから、念のため水抜き剤を燃料補給の際に投入してみてもいいかもしれない。