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2025年02月09日 イイね!

DUCATI SSの整備【14】ヒーターグリップ & ETC装着

DUCATI SSの整備【14】ヒーターグリップ & ETC装着
【ヒーターグリップ装着】
以前、友人のS1000Rを預かっていた時、ありがたみを実感したので、
ヒーターグリップ(アフターマーケット品)を装着してみました。

消費電力が不安だったので、事前にヘッドライトとテール/ブレーキランプをLEDバルブに交換して”節電”した上で装着しました(バルブ交換作業は割愛)。
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↓まずは左側。内径がゆるいので、付属品のアルミテープをハンドルバー表と裏に2列貼って装着。
少しきつくなったので、途中からはパーツクリーナーを吹き込みながら押し込みました。
カウルなどへの干渉(引っ掛かり)に留意して、真下に向けてコードを出しておきます。
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↓右側は、結構硬い電気コードがスロットル操作を妨げないかが心配でしたが、
コードが長めだったので、左と同様に真下に向けて出したコードを上に向けて、マスターシリンダーの辺りで一巻きさせて、スロットル操作や舵角による弛み具合の変化を吸収させることで一件落着。
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見立て違いで難儀だったのが、右側グリップの装着でした。
スロットルグリップの内側の樹脂製スリーブには浅いながらズレ止めのリブが全周にあってそのままでは装着できなかったので、控えめに2列ほど削り落として装着にかかりましたが、
左側とは違ってこちら側は結構タイトで途中で進退窮まってしまい、やむなく対辺22mmのソケットレンチを当てて打ち込んで、何とか装着しました。
スリーブのリブを多めに削り落とした方がよかったようです。

かなり強く打ち込んだせいか、スロットルグリップの動きが渋くなってしまいました。
結局、スロットルグリップホルダーを分解して内部の変形・破損を調べたが、特に異常はなさそうだったので、組みつけがずれただけかもしれません。
バリや擦れそうなところをダイヤモンドやすりで研磨、摺動部はピカールで磨き、何とか正常に作動するようになりました。
スロットルケーブルの組みつけが面倒なので組み付けたまま作業したのですが、慎重に取り外して装着するべきでした。
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組み付け前に通電テストをしておきましたが、電源はバッテリーターミナルに直接接続するようになっていて、配線は簡単でした。
電源を入れてみるとパイロットランプが点灯し、徐々に温まってきます。十分実用的です。

筆者は常時左右のレバーに指を掛けていることもあり、この季節、走行中はやはり指先が冷たくなりますが、ヒーターグリップで手のひらはかなり助けになります。
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温度を5段階に設定できますが、一旦温まってしまえば1~2段目でも効果は持続できるようです。

※直接接続なので、切り忘れるとバッテリーを放電させてしまうので注意が必要です。
駐車中のいたずらに遭う可能性もあるので、リレーを介しメインキーONにしないと作動しないようにしたいと思います。

※その後、ヒーターグリップ使用時にプラグかぶりが発生。
 原因を切り分けるため、問題解決まで使用しないことにしました。

ヒューズの定格電流以上には電力消費することはないので。、エンジン不調には関係ありませんでした。中間レベルでもほんのり暖かくなり、お勧めできます。
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【ETC機器装着】
他の車両に装着されていたもの(セットアップ済み)を流用します。
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以前装着されていた電気式タコメーター用の電源配線に接続しました。
カードを内蔵する本体は防犯上シート下に装着したいのですが、電源コードが届かないのでひとまずタンクバッグに入れて仮装着とします。

受信ランプ(緑)が点灯したので問題なく作動していると思いますが、念のためETC/一般併用レーンを使って試運転をしたいと思います。
(まだ寒いので、もう少し暖かくなってから実施予定)

Posted at 2025/02/10 09:45:14 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年02月04日 イイね!

DUCATI SSの整備【13】前後車高・サスペンション調整【追記あり】

DUCATI SSの整備【13】前後車高・サスペンション調整【追記あり】やっとまともに動かせるようになってきましたが、運転手がブランク明けでまだ調子が出ていない(?)ことはそれとして、気持ちよく操れないので、車体の姿勢を見直しました。

原因は車体姿勢・車高調整だけではなく、スロットル開けはじめのレスポンス、タイヤ空気圧やプロファイル(断面形状)、ハンドル・燃料タンク・シート・フットペグの形状・位置関係(側面図だけでなく立体的に)、サスペンション設定などいろいろな要素が関連してくると思います。

特にステムベアリングやキャブレター及び周辺整備前は、四つ角を曲がる際などリーンの際の安心感がなく、スロットルを開けても閉じてもギクシャクしてしまい、
なるべく寝かさずに半クラッチでごまかしながらよたよたと曲がるような有様。。。
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変化を確認するため、実際は一度にいじらずに一箇所ずつ変更しています。
様子を見ながら、場合によっては元に戻して、次の作業に進むようにしました。

●問題点を洗い出し、調整・変更による弊害も見るため、いろいろな条件を織り込んだ筆者独自のテストコースを設定しています。
最終的には動きやすさと安定感の妥協点を探ることになりますが、知らない出先での不慮の挙動に慌てないように仕上げていきましょう。
(小さな切り返しが必要な連続コーナー。舗装の荒れた路面。先が見通せず途中で曲率が変わったり、状況によって速度を調整する必要のあるカーブ。右左折を伴う坂道発進。信号での発進停止を繰り返す市街地走行などを織り込んであります)

●試運転の際は無理に速度を上げる必要はありません。低速時ほど慣性による”ごまかし”が効かない分、アライメント変化(静的・動的)による動きやすさや安定感の違いがわかりやすくなります
キャブレターセッティング同様、操縦性も低速域から最適化していくのが定石と思います。
日常速度域でまともに走れないバイクをサーキットなどの高速度領域で信頼して走らせられるはずがありません。

●良い状態になると好みの操縦性に加え、交差点で停止する際など「停まってから(着地のため)足を出せばよい」くらいの安定感が伴ってくると思います。
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フロントフォーク突き出し量調整&伸び切り時の内圧適正化
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前輪の舵角のつき方が遅く感じ安心できなかったので、多めに突き出されていた(タイトル写真参照)フロントフォーク突き出し量を、アッパーブラケット上面から25mm→15mmとしてみました。
始めは10mm単位くらいで動かすと挙動の変化が判りやすいと思います。

併せて、フロントフォークのトップキャップを緩め(ねじ部のOリングが見えるところまで)、伸び切り時のフォーク内圧を大気圧に合わせておきました。
XZ400整備時同様、空気を吸い込む音がしたので、冬季ということもあり内部はかなり減圧されていた(=伸び切り時負圧だった)ようです。

●フォーク突き出し量増加=キャスター角が起きて曲がりやすくなる、と短絡的に思い込んでいる向きも多いようですが、逆に舵角の入り方が弱くなり、曲がるきっかけが掴めないまま何となくイン側に寄ってしまって理想的なラインを取れず、スロットルを開けられない、ということも十分起こりえます。
ではなぜ曲がるようになるのか?という根拠はなんでしょうか。
むしろキャスター角が強いほど、キャンバー変化による前輪セルフステアトルクは大きくなるのではないでしょうか。実際に突き出し量を加減して試してみると面白いですよ。

前上がりにしたことで以前より舵角の入り方が強く速くなりましたが、キャスター角変化によるというよりも、重心高の変化による操縦性への影響と思います。


リヤサスペンションの減衰力調整。伸び側、縮み側とも最弱に
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車体取り付け側が縮み側、スイングアーム取り付け側が伸び側の、調整スクリューです。
実用速度域での姿勢変化を速く(大きく)して動きをわかりやすくしました。リーン開始が軽くなるのがわかります。
減衰力=サスペンションのストローク速度を管理するもので、荷重を受けた際のサスペンション作動速度を遅くするので、あるところまでは乗り心地もよくなりますが、
概して強くするほど曲がろうとするアクション開始のタイミングがつかみにくくなり、動きを重く感じると思います。

特に縮み側はばね反力が重要で、状態にもよりますが一般ユーザーの日常的ツーリング速度域では減衰力最弱から始めて、ギャップを踏んだ際の収束が悪いなどの弊害がある場合に必要に応じて伸び側を段階的に強くすればよいと思います。

●リヤサスペンションのスプリングプリロード調整
標準品に対してどう違うのかよくわかりませんが、社外品(ハイパープロ)のばねが組まれています(以前のオーナー曰くフロント側も)。
スプリングプリロードとはショックユニットに組み付ける際のスプリングの初期荷重で、ばねの反発力と重さ(車両+乗員)が釣り合う位置の調整です。結果として後輪側の車高も変わりますが、伸び側と縮み側のストローク長のバランスはメーカー設定値に合わせるのがベストと思います。

以前、友人のS1000Rでも調整をしましたが、乗車時にリヤショックが沈まない=サスペンションが伸びきった(伸び側残りストロークが無い)状態なので荷重が抜けると後輪が浮いてしまい、
さらには前後の荷重移動を妨げてしまうので車体の動きが過敏で不安感が高くなります。
特に下りの荒れたコーナーなど、接地感がなく恐ろしくて乗れたものではありません。

※誤解している向きが多いようですが、ばねの硬さ(ばねレート=荷重に対するストローク量の割合の比率。比例グラフの傾き角度で考えると判りやすい)はプリロードを掛けても変わりません。荷重に対してストロークが過大な場合、ばねレートを上げる必要があります。

実のところ乗り心地やストローク感には不満はなかったのですが、
先に減衰力を弱めた分、ばねの伸びが速くなった(落ち着きが減った)気がしたので対処してみます。
とりあえずリングナットを一回転(ねじピッチは1.5mm程度か)緩めてみて試乗してみたところ、気になっているリーン開始時の後輪側の反応が余計に鈍くなったようなので、半回転締めなおしました。調整前よりも半回転緩めた位置で、若干後ろが下がっているはずです。
違和感はなく、更にばねを締めこんで(後ろも高くして)伸び側減衰力も上げてみるのも面白いかもしれません。
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調整用リングナットは燃料タンクを外さないとフックレンチで回せない位置にあり、タンクを都度脱着するのは非常に面倒(3本ある燃料配管と燃料ポンプ配線を全て脱着し、ヒンジのピンを抜き差しする)なので、アルミの棒を当ててリングナット(鉄製)を叩いて回しました。
(以前親しんだ750F1にはプリロードリモートアジャスターを組み込んでいたのと、タンク脱着も非常に簡単だったので、意識したことのない部分でした)
リングナットが下側ならば、調整のハードルは下がるのですが、ばね下側を少しでも軽くしたいんでしょうね。
※リングナットにはどれだけ回したかわかるよう、マーカーで印をつけておきます。
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【調整後の印象】
リーンと共に前輪が素早く切れていく、筆者が考えるドゥカティらしい挙動が感じられ好ましくなってきたのですが、後輪側が同期して傾こうとしないような感覚があります。
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標準よりワンサイズ太く(180/55VR17)中央ばかりすり減ったリヤタイヤに要因があるように思えるので、ひとまず別の摩耗の少ないタイヤ・ホイールセットに組み替えて試し、
できれば400/750SS標準の4.5インチ幅+160/60R17サイズも試してから、新品タイヤを導入したいと思います。

キャブレターやタイミングベルト張り調整で全閉からの開けはじめがやや使いやすくなったものの、まだ開け始め時、想定より駆動力が強くかかってしまい、速度も上がってしまうことに対処しきれていませんが、
リヤブレーキを使って駆動力に伴うサスペンションの伸びを抑えることで、四つ角も何とかスロットルを開ける方向でしのげるようになってきました。

いろいろ工夫しながら走らせていて、現状も意識して腰で曲がる感覚で乗れば我慢できないほどではなく、アクセルを開けていける中速以上のコーナーでの据わりの良い安心感は750F1とは別次元の印象です。
とはいえ前後のバランスが悪い分、前輪の舵角を抑えるように力が入ってしまいがちで本来のコーナリングを妨げている気がするので、乗り手にも変な癖がつかないよう早めに対処したいと思います。

この辺りのハンドリングの煮詰め、変化を「よく分からない」という声が周囲では多いのですが、
曲がり始めのリーンアングルと舵角の入り方=いわゆるセルフステアや、そこからのスロットルの開けやすさは無意識に反応して操作しているはずの領域で、とくに一般道でのコーナリング”戦闘力”を大きく左右する部分です。

また、筆者自身もまだまだ試行錯誤の連続ですが、風説や他人の意見を参考にはしても、鵜呑みにするのではなく、
「なぜそうするのか?」因果関係を自分なりに考えて実践し、自身の感覚に正直になって結果を判断することが重要と思います。

思い入れのある(はずの)愛車。自身の好みに合わせた調整を見つけ出し、不安が少なく走りが楽しくて仕方がない境地を目指したいところです。

【追記】
調整に励んでいる時は「よくなるに違いない」というバイアス(偏った先入観)が働く可能性もあるので、後日冷静に再試乗し判断することも重要と思います。

筆者などは日々「次はどうしようか?♪」「何かできることはないか?」などと考えてばかりいるので(笑)
違った角度からの対応策を思いついたり、書物などで気付かされたりすることもあり、一度仕上がったと思っても、新しい考え方を取り入れてみることも新鮮さを運び込み、楽しみを広げることと思います。
Posted at 2025/02/08 20:31:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年02月02日 イイね!

DUCATI SSの整備【12】タイミングベルト点検調整

DUCATI SSの整備【12】タイミングベルト点検調整ようやく普通に動かせるようになったので、余計な心配をせずドゥカティらしい走りを楽しめるように、タイミングベルトの点検をします。
現車は「専門店」での車検取得とのことだったので、当初は大丈夫だろうと後回しにしていましたが、他の箇所の状態からして確認しないと落ち着かないので、良い機会と思います。

タイミングベルトはそう易々と切れるものではありませんが、異音など事前の兆候があるとは限らず、ベルト切れやコマ飛びなど破損が起きると即エンジン停止(状況により後輪ロック)の重大トラブルなので、コーナリング中など場面によっては命にかかわる事態となります。

仮に事故にならなかったとしてもエンジンを降ろし、少なくとも破損した側のシリンダーより上を取り外し、内燃機加工を含めた広範囲の部品交換(=大出費)が必要な大修理になってしまうので、整備履歴不明の車両や長期不動車は一番初めに点検を行うのが良いと思います。
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【テンショナーベアリングの点検】
ベルトカバーを外して、まず確認すべきはテンショナーベアリングが正常かどうか。
ベアリングの回りに引っ掛かりがあったり、動きが渋い場合は、迷わず交換しなくてはいけません。
上の写真で見えている、4か所のベアリングです。

●当方が見たタイミングベルト切れの事例では、テンショナーベアリングが完全固着していました。
ベルト周りに多量の鉄粉が付着していて、固着したベアリングにより摩耗してベルト切れに至ったようでした。
既にエンジンは分解されていましたが、バルブは曲がり、燃焼室もピストンも傷が入っていて、もしかするとロッカーアームやシリンダー内壁など他の部品にも異常が及んでいたのかもしれません。

【タイミングベルトの点検】
現車はDUCATI純正のタイミングベルトが使われていました。テンショナーの調整代が少なくなっているので、それなりの長期間、調整されながら使われているようです。
ベルト背面のメーカーロゴプリントは消えたりかすれたりしておらず、周囲にベルトの削り粉なども付着していないので、摩耗は少ないと判断して、今回は調整にとどめることにします。

【タイミングベルトの張り点検・調整】
まず初めにスパークプラグを取り外し、エンジン右側クランクケースカバーのふたを外し、専用工具のクランクシャフトハンドルを取り付けてクランクシャフトを回しますが、無ければ5速か6速にギヤを入れ、リヤタイヤを回しても良いかも。
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●各部のタイミングマークを合わせ、Oバンク側のベルトテンションを確認します。
合わせマークの位置は年代・機種によって違うようですので、メーカー資料で確認してください。
現車の場合は(緑で着色しました)、
①Oバンク側の背面側ベルトカバーの突起とタイミングプーリーのケガキ線
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②Vバンク側の背面側ベルトカバーの突起と、タイミングプーリーのケガキ線。
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③クランクケース側のタイミングプーリーと、右側クランクケースカバーの合いマーク。
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以上のマークを合わせた状態が、Oバンク側の圧縮上死点=両バルブが完全に閉じている状態です。この状態でOバンクのベルト張力を確認します。

●当時のメーカー資料ではばねばかりのような専用工具で規定のテンションを掛けた状態で調整用ボルトを締め付けるよう指示されていますが、
現代のベルトテンション調整の基準は、ベルトを指で弾いて、その振動をマイクロフォンで拾い測定し、基準値の周波数であればOK、ということになっていて、スマートフォンにアプリケーションをダウンロードして測定できるそうです(弦楽器の調弦(チューニング)と同じ原理です)。

目安としては、調整機能のない側のテンショナーベアリングとベルトの間のクリアランスで調整します。
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機種や年代によってベルトの歯形や種類が異なり、社外の出版物では目安数値はいろいろありますが、現車の場合は対辺5mmのアレンキーが通り、対辺6mmでは通らない程度に、調整機能のある側のテンショナーベアリングで調整してみました。
後日振動周波数を測定して追記します。

●Oバンクを調整し終えたら、クランクシャフトを正方向(タイヤの回転と同じ方向)に270度回転させVバンクの圧縮上死点に合わせ、同様にしてVバンク側タイミングベルトのテンションを点検・調整します。現車では両バンクとも調整し直しました。

●ベルトにもプーリーとの合わせマークと回転方向を書いておきます。
クランクケース側タイミングプーリーシャフトは、クランクシャフトに駆動されるギヤで1/2の回転速度に減速されているので、クランクシャフトとは逆回転で、プーリーはシリンダーヘッド側と同径、同じ回転速度になっています。

●作業後、テンショナーの締付をしっかり確認の上、ベルト周辺に異物(外したねじやワッシャー、使った工具など)がないかよく確認します。
履歴不明の中古車の場合、見覚えのないねじなどが存在しているかもしれません(笑)
他の車両では、ベルトカバー内に、コガネムシかゲンゴロウのような虫が入り込んでいた(すでに絶命)こともありました。
ベルトカバーを取り外した状態での使用は、メカニズムが露出して格好いいですが、粗忽者の筆者はやめておきます。
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【調整後の試運転】
恐る恐るスターターボタンを押すと、何事もなかったかのようにエンジンが始動。
一定速度での走行中の振動が減っていて、僅かとはいえベルトの伸び=各気筒のタイミングのずれが補正された結果と思います。

750F1所有時代はタイミング周りを自ら整備したことがなかったので、漠然と苦手意識を持っていましたが、実際に触ってみると構造も複雑ではなく、こまめに点検すべきと思った次第。

【考察・私見・余談】
●外寸小型化のため四輪用に比べてタイミングプーリー径が小さく、且つSOHCゆえヘッド側のベルト曲率がきつく、曲がり角度も急なのでベルトへの負荷も大きいようにも思えるが、
バルブスプリングの負荷が非常に少ないデスモドロミックの場合、エンジン回転に伴うベルトテンションの変動は少ないので、特に空冷Vツインの場合、構造を簡素化でき、軽量なタイミングベルトとの相性は良いと思われる。

国産車ではホンダのGL1000系くらいしか採用例はないと思われ、メインテナンスフリー(フールプルーフ)よりも、定期的整備を要しても独自の優位性を信じ選択していた、よき時代のイタリア高性能車らしい割り切りを筆者は好ましいと思う。

●チェーンやギヤ、プッシュロッドを用いてカムシャフト駆動するエンジンの場合、内部のタイミング系メカニズムの空間が(ピストン下降に伴う空気の移動による)クランクケース内圧やオイルリターンの通路として機能しているが、
タイミングベルトやベベルギヤでカムシャフトを駆動するドゥカティの場合、クランクケース内圧はヘッド側に逃がせないので、排出部分のリードバルブやスパイラルで油気分離し、積極的に内圧をエンジン外部に逃がすような構造になっている。

●アルミ製エンジンの熱膨張を考慮したベルトテンション調整値
純正タイミングプーリーは鉄製で重量があるが、社外品の軽量アルミプーリーは温間時の熱膨張が大きいので、それを考慮したテンション(温間時の純正プーリーのテンションに合わせる等)に調整する必要があると思われる。

●カムシャフト駆動タイミング系はクランクシャフトと逆回転していて、若干ではあってもクランクシャフト回転反力による加減速時の荷重移動(ピッチングモーション)を軽減し、良好な操縦性に寄与していると思われる。

●余談ながら、以前所有していた750F1は初期100番台で、軽量な樹脂製プーリーが使われていたが、割れる可能性があるとのことで、エンジンオーバーホール時に鉄製に交換した。

●350~750㏄のパンタ系クランクケースの車両は、ベルトの歯が角形だが、900~1000の強化型クランクケースの車両はベルトの歯が丸形になっていて、より抵抗が少なく、強く張れる(=タイミングが遅れず正確になる)ようになっているそうだ。

タイミングベルトやテンショナー等部品供給には問題はないことを記し、一人でも多くの方にドゥカティVツインの楽しさにふれていただければ、設計者タリオーニ技師に大きなリスペクトを抱く愛好者としては幸甚至極である。
Posted at 2025/02/02 15:46:31 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記

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