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灸太郎くんのブログ一覧

2025年07月24日 イイね!

DUCATI SSの整備【73】SS800との乗り比べ印象記

先日、親しい仲間と近場に走りに行ってきました。

日頃の試行錯誤の積み重ねで、キャブレターの設定は低速域からかなり良好で、
メインジェットやジェットニードルを変更して中速域以上の吹け上がりはかなり改善され、
スロットル開度に比しての速度の乗りというか、加速が向上していることもあり、
懸案事項の燃料消費もこのところは15~18Km/ℓと常識的なところに落ち着いてきています。

リヤタイヤ/ホイールをサイズダウンしたことで、浅いリーンアングルで用が足りてしまうようにはなったものの、
前輪の自然な舵角による初期旋回と共に、もう少し後輪側も小さく回り込むような操縦性を目指しているのですが、
今一つスロットルを早めに開けられないあたり、車両の特性なのか、運転者に起因するものなのかも確認したいので、途中で乗り比べをすることで改善のヒントが見つからないかとの思惑がありました。

内心、このところ調子を上げているキャブレター設定が、インジェクションよりも面白さを引き出しているのでは?などと自負(慢心?)するところがあり、
乗り比べることで「敵情を知る」というか、どの程度違いがあるものかを確認したい気持ちも大いにありました。

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共に出掛けた一台はSS800ie(写真は同型車でWebからの借り物、現車ではない)。
確か2003年モデルだったと思いますが、この年式(多分日本仕様のみ)に限り、
足回りが上級車種SS1000DSと同様の部品にグレードアップされている、いわば通好みのモデル。
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一応大まかに説明しますと、筆者のSSからの最終進化型のひとつで、
エンジンは旧パンタ系(スモールクランクケース)のSS750ieを拡大したモデル。
サフィックスの”ie”が示すように、電子制御フューエルインジェクション仕様です。

スタイリングには違いがあり、乗車姿勢はよりスポーティになっているものの、
車体はキャブレター時代のSSをリファインしたもので、走行特性に影響があるとすれば、
若干のディメンションの違い(キャスター角が-1度、ヘッドパイプ位置が10mm低下、リヤショックストローク+6mm)と、フロントフォークチューブ径がφ41→φ43に変更された程度
構成部品に細かな違いはいろいろあれど、基本的に大きな変更はないはずです。

筆者からすると、乗車姿勢の違いは比較的大きけれど、
操縦性にそれほど大きく変化はあるまい、と高を括っておりました。
かなり以前ですが、乗り比べた際も「まだまだお互い要整備だな」と思ったくらいで(笑)

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ところが今回、SS800に乗り換えてみると、
なぜかギヤペダルがやけに上を向いていた(笑)ことと、
かなり下向きで無効ストロークの多いブレーキレバー以外に違和感がなく、
すぐにペースを上げられることにまず驚き。

基本的には同じ系統のエンジンとは思えないほど、排気音とメカノイズが少ないのにも驚き!
低回転域のトルクこそ100cc分のハンディを感じますが、スロットルを開けていくと意外とシャープな力感は、900と実質互角と思えるほど。

回転の滑らかさは言うに及ばず、スロットルのツキという点でも全く違和感なく、
SSシリーズとして2世代目のECUに進化していることもあるのか、むしろ負荷が高まるほど正確さを増しているように感じられます。

キャブレターのややラフな吹け上がりに比べて、いかにも燃料を無駄にせず、整然と熱エネルギーに換えているような感覚は、むしろデスモドロミックの合理性にマッチしているような印象を受ける。

    ◆    ◆    ◆

操縦性は、自車に比べればややゆっくり目に前輪舵角が入り、
前輪舵角を特に意識せずともシンクロして前後輪共に旋回していく実感があり安心感大。
欲しいだけスロットルを開けていける印象。

タイヤや車体アライメントの違いもあると思いますが、
やや遠目で垂れ角が大きなハンドル、実質幅が狭められたタンク後端~かなり後ろ気味で内幅の狭いフットペグの相乗効果のようで、
マシンの挙動に逆らわないように走れるというか、運転者が無意識にマシンの旋回を妨げることがない設定のように感じました。

内心、純正キャブレターを煮詰め、足回りもあれこれ試行錯誤中の当方車両に及ぶまい、と侮っていたのですが、
速さではほぼ互角、扱いやすさと操縦性は返り討ちにあったような気持ち(笑)
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問題はこの後。
馴染みのあるはずの自身の車両に戻ったところ、なぜか違和感大でペースを上げられない…

感覚的にはバイクが重く感じられ、とにかく曲がらない。
舵角は入っても後輪側が旋回しないような印象。

実はSS800の前に、前後足回りをグレードアップしたMVアグスタF3(675)を試させてもらっていて、
非常に軽い吹け上がりと自在な操縦性で、以前親しんだ750F1のようにほとんど250㏄感覚で走れていて、
そこから乗り換えたSS800でも、同じように軽快で”開けていける”操縦性を楽しめていたのでした。

そして自身の車両に乗り換えてからは全体に下り坂ということもあり、
何となく「重いは、曲がらないは、開けられないは」と三重苦。

こんなはずではなかった、と大いに戸惑うが、素直に現状を認めることこそ明日への第一歩(笑)
仲間との車両交換・比較試乗は、自車の相対的な”戦闘力”を測るには絶好の機会でもあります。

    ◆    ◆    ◆

一旦休憩をはさんだところで、出発前に対抗策として後輪側の車高を上げることにする。
(写真は使いまわし)
足回りは試行錯誤中なので、リヤショックのプリロードを調整できるよう(※)、金づちとアルミの棒をタンクバッグに入れて持ち歩いているのである。
テロ警戒中の検問などに遭うと、あれこれ詮索されそう(笑)
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(※)リヤショックのプリロード調整リングナットはフックレンチでは回しにくく、スチール製ナットをいいことに(変形しないよう)アルミ棒で叩いて回している。

普段走っていない(路面の状況がわからない)遠征先ということもあり、
リングナットを半周程度締めこむに留めたが、その程度でも効果はあったのがせめてもの救い。
車体がリーンしてからの「二次旋回」能力向上は体感でき、前よりも曲がるし開けていける。
但しまだまだSS800には及ばないように感じられた。

あくまでも現状の個体間の話として、あえて言うなら、
余計なことを意識せずとも、自然にコーナリングに集中して楽しめるSS800
対して、
”乗れている”状態を目指し、早目にスロットルを開けられるような戦略的配慮が必要な900SS
といった印象。

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以前、SS900用リヤショックを組むつもりでひとまず見送ったことを記しましたが、
これはやはり試してみる価値は大きいと思える出来事でした。

ということで、次回の記事はリヤショック交換に関することになりそうです。
(上がSS900用、下が今まで使っていた900SS純正+ハイパープロ製スプリング)
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似たような車体でも、筆者の車両とは10年近い年式の違いがあり、
車両オーナー自身による整備(たぶん)も加えて、
見えない部分にも、時間とともに技術の進歩を積み上げているようでした。

ということで、そのうちにまた雪辱戦だな(笑)

Posted at 2025/08/07 18:30:37 | コメント(0) | トラックバック(0) | 日記
2025年07月17日 イイね!

DUCATI SSの整備【72】走りを楽しむための整備(改題しました)

SSは随分調子が上がって、そろそろ整備は一巡に近づいてきた感があります。
残すは水平側バンク周辺からのオイル漏れと、クラッチの点検くらいでしょうか。

そこで総集編というほどでもありませんが、振り返って、
安全に楽しく乗るための必須整備項目をリスト化してみましょう。


①タイヤ空気圧の適正化。減ったタイヤの交換
→基本はメーカー指定の空気圧。磨り減って本来のプロファイル(断面形状)を失っている場合は残りの山があっても交換がお勧め。フロントダブルディスク車両はL字エアバルブに交換がお勧め。

②操作系可動部の整備・給油脂と位置・角度合わせ
→運転に集中するためにも、レバー、ペダル、スロットルグリップ/ケーブル、ハンドルスイッチ等操作部分はガタなく軽く作動し、操作しやすいことが重要。
分解清掃して、支点の穴と軸を磨いてグリスを塗り、適正トルクで締め付け。
スロットルグリップはホルダー内部のバリや、グリップと擦れ合うハンドルバーの表面の荒れやメーカー刻印による盛り上がりを修正し、磨いておくと動きが滑らかになります。
直接操縦性には関係ないが、使用頻度の高いウインカースイッチの動きが悪いのは非常にストレスになるので、面倒でも分解して必要な手入れをしておきたい。

③灯火系の点検整備、確実な作動確保
→特にブレーキランプは点灯しないと非常に危険。油圧スイッチより機械式スイッチがお勧め。
 ヘッドランプやブレーキ/テールランプはLEDバルブに交換すると、消費電力や発熱量を削減(反射板焼けやレンズ溶け対策)できるのでお勧め。

④前後ブレーキ、クラッチ液圧回路の正しい整備、徹底したエア抜き
→走行以前の問題として、当方車両の場合まるでブレーキが効かず、フルード交換含め長く手入れをされた形跡もなかったことに驚きました。
 キャリパー清掃潤滑、ピストン揉み出しをしても作動やタッチが悪い場合はオーバーホール必須。
ブレンボ異径4ポットの場合は国産メーカーからもキャリパーシールが供給されています。
 マスターシリンダーやリヤキャリパーはオーバーホールより新品交換がお勧め。
 エア抜きは一度で完全な状態は難しいので、折を見て納得行くまで行なう。

⑤ステアリングステムベアリングの整備=セルフステアの回復
→新車時のベアリングにグリスは最小限しか塗られていません。
 整備履歴がなければ、できるだけ早く分解してレースに打痕があれば迷わず交換。
 継続利用可能ならたっぷりグリスを詰め込んで、ガタがないギリギリに動きやすく締めなおすのが最善と思います。

⑥フロントフォークの組み付け適正化・平行出し・内圧復元=作動性適正化
→ステアリングステムを組みなおしたら、フロントフォークも正しく組み付けましょう。
 アッパーブラケットからの突き出し量はノギス等で測って可能な限り左右揃えます。
 アンダーブラケットの締め付けトルクはメーカー規定値で。締め過ぎは禁物。
 アクスルを締め付けた後、クランプを弛めてフォークを数回ストロークさせ、規定トルクでクランプを締めなおします。
 月に一度程度、伸びきり状態でフォークキャップを弛めて内圧を大気圧にあわせます。


⑦スイングアームピボットの整備、給脂=走行性能回復、耐久性確保
→ドゥカティの場合、雨ざらしにされていることは少ないと思いますが、スイングアームピボットを分解清掃し点検、給脂。
 スラスト方向のクリアランスをシックネスゲージで測定し、必要ならシムを入れて調整。

⑧ドライブチェーンの清掃、張り適正化=リヤサスペンション作動の適正化
→錆だらけや固着のあるチェーン、磨り減ったスプロケットは交換。
 900SSの場合、後輪側スプロケットは39~40Tのものに交換がお勧め。
 薄く灯油を染ませたウェスで丁寧に拭き掃除し、チェーンルブは回転内側から給油しふき取る。
 大半のバイクはチェーンを張り過ぎている様子。

⑨リヤショック上下エンドアイの整備=乗り心地改善とリヤタイヤ存在感アップ
→この部分も新車時ほとんどグリスは塗られていないようです。
 一度ショックユニットを取り外し、エンドアイのスフェリカルベアリング(ピローボール)を洗浄し、たっぷりグリスアップして、指定トルクでエンドアイボルトを締め付けます。

⑩燃料系・キャブレターの清掃、点検、整備
→エンジン始動性、低速での扱いやすさ、高速域までスムーズに吹け上がること
 キャブレター分解の際はリペアセットを用意してから行い、へたっているパッキン類やテーパー面に爪で触ってわかる接触痕や段差があるチェックバルブは交換。
 調整では特に適正フロート高およびバタフライバルブ同調は重要。
 アイドルアジャストスクリューはミクニTMR用のケーブル式に交換がお勧め(必須と思う)。

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●ドゥカティの場合、きびきびとしたレースバイク的反応が大きな魅力なので、
不調になってからや故障してから整備をするのでなく、
いちど各部を良い状態に整えてバランスさせて本来の状態を取り戻し、その上で調整で自分の好みやパフォーマンスの最適化に合わせていくのがお勧め。

足回り含めた車体、給排気系含めたエンジン、乗車姿勢や操作系といった要素は互いに影響しあっていて、どこかを変更すればバランスを取り直す必要があり、
良くも悪くもパフォーマンスにおいては相乗効果があるので、好循環のサイクルを回したいところ。
Posted at 2025/07/20 01:14:26 | コメント(1) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年07月15日 イイね!

DUCATI SSの整備【71】キャブレター調整用マイナスドライバー

DUCATI SSの整備【71】キャブレター調整用マイナスドライバーどんな車両も整備の勘所があり、必要な工具もそれぞれと思います。

また、筆者のように数十年も経過した、程度もそれなりの車両をいじっていると、
やすりや砥石、たがね、タップ&ダイスといった加工工具の使用頻度は、スパナやドライバーと同じくらいかそれ以上だったりして「いったい何をしているんだろう」と思えることもしばしば(笑)

以前関わったXZや、今回のSSの場合、結果としてキャブレター調整の頻度が高く、調整や脱着に際してはマイナスドライバーを多用しました。
調整箇所が奥まっていて手が入らなかったり、正面にスペースがなかったりすることも多いので、
安価な多様な工具を買ってみたり、すでにあるものを加工・改造して使ったりしています。

プラスドライバーは浮き上がらないよう、強く押し付けて回すため、磨耗が避けられないので、出来るだけ硬い材質の、正確な形状のものを使う必要がありますが、
マイナスドライバーは大きな力で締め付けることはほとんどないので、筆者は安いものを素材に、使い勝手がいいように加工・改造して使うことが多いです。

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主にマイナスドライバーを並べてみましたが、いずれも加工してあるものです。
加工の内容は
●柄(持ち手)部分の小型化(短縮・テーパー化)
●ブレード(先端)部の幅の切削
●ブレード部のとがった角を丸める
●ブレード部手前の、幅が広がった箇所の切削(寸胴化)
といったところが中心です。
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右から順に
いちばん右は、ただの直径12mmのアルミの棒です。柔らかいため相手に傷がつきにくいので重宝します。
アクスルシャフトの抜き出し・組み付けや、リヤショックのスプリングプリロード調整用リングナットを回す際など、鉄のハンマーで叩いて使います。
両側とも変形して広がってくるので、時々やすりを掛けて整形しています。
打撃による影響が懸念される場合は、ナイロン系と思われる樹脂製の棒を使っています。

◆2番目はアンテナ式マグネット。奥まった場所まで磁石に付けて運んだり、落としたねじ類などを探したり拾ったりする際に重宝しています。

◆右から3番目が”最新作”で、現在整備中のSSのパイロットスクリュー調整用。
辛うじてオイルクーラーを外さず作業できるようになりました。現車合わせ&運転者合わせのチューニングには手間を省いて作業に集中できることも重要。

SS運転中に立ち寄った職人向け工具・道具店で「思いっきり軸が長くて細いマイナスドライバー」がほしい、と相談して入手したもので、たしかVESSEL製。

試運転中ゆえ、その場ですぐ使えるもう少し細く長いものが希望だけれど、500円程度の安価なものなので「まぁ、改造すれば何とかなるだろう♪」ということで、タンクバッグに入れて持ち帰る。
帰路運転中、「サンダーで干渉部分を削りまくり、ベルトサンダーで角を丸める」図が頭に浮かんで(笑)、バイクの調子をチェックしながらも、どこから攻めようかとウキウキ気分♪
筆者は吝嗇家ではないが小心者ゆえ、1000円以上もする高級工具(?)は恐れ多くて新品を改造できないのである(笑)

パイロットスクリューの正確な真正面からはアクセスできないが、少しずれたところからフィットさせて回せるように、軸の広がった部分を細く寸胴形状に、先端ブレード部を狭くしつつ、現物合わせで角を丸めていきます。
パイロットスクリュー調整程度ならば大して負荷も掛からない。幅や角度がピッタリではなくても、マイナス溝やスクリューが収まる穴を傷めないで先端を溝に合わせられればOK。

柄(持ち手)はお尻の部分を10ミリほど短くし、軸につながる部分をテーパー形状に少しでも細くして、他の部品に干渉しないようにします。
筆者は器用では無いので、小一時間ほど要する作業だったと思いますが、店員さんとのやり取り含めて楽しいひと時でした。

◆4、5番目は、昔セットで買ったシグネットの製品。これも先端部近くの左右に張り出した部分を削り取っています。
本当は好ましくありませんが、てこにしたり、隙間に突っ込んでこじって使うこともあります(力を掛け過ぎないよう注意)

◆6、7番目は、恐らく十代の頃から使っている、柄が木製の取っ手を貫通しているもの。
 おぼろげですが、RDやTX愛用の頃、パイロットスクリュー調整に使っていた気がします。
 今ならもっとマシな調整が出来るだろうに・・・思い返すと切ない。。。
 これも先端部分をストレートに削ってあり、特に7番目は先端を1ランクくらい細く削ってあります。
 貫通式なので、お尻側をハンマーで叩いたりします。てこにしてこじることが多かったので、少し曲がっては修正を繰り返しています。よく見るとグニャグニャ(笑)

◆8番目(青)は、20代の頃から重宝している軸の長く細い使いやすいもの。確かVESSEL製。
やはりストレート形状に削って、先端は角を丸くしてあります。柄が細く狭いところにも入るので、若干幅がせまいけれどエアボックスのホースバンドを緩めたり締めたりに使っています。
 
◆9番目(黄)は、ミシンか何かの付属工具と思います。いかにも安物(笑)。
1週間ほど前に加工したもので、キャブレター装着状態でのパイロットジェット交換に使っています。
【追記】8番目と一緒にリヤショックのエンドアイブッシュ抜き取りという、こじり作業に使った結果、先端が折れて破損。やはり材質や熱処理がそれなりの品と思われます。【追記ここまで】

◆10番目は、確か750F1の頃に使っていたもので、先端がコレットになっていて差し替えできるもの。
中間部がスプリングになっていて、曲げて(しならせて)使うことができる。FCRのパイロットエアスクリュー調整に使っていたような気がします。

◆11番目はXZ400のキャブレター調整に使っていたような気がします。
4・5番目と同じ形状の短い柄を持っていましたが、サンダーで散々切ったり削ったりして、これ以上小さくすると力を入れて回せないほど小さくなってしまいました(笑)
回転角度を管理しやすいよう、サイコロよろしく、1~6の点を書いてあります。

◆12番目はやはり750F1の頃に車載工具にしていた差し替え式の小型ラチェットレンチ。
今はSSのキャブレターを装着したままの状態でスターティングジェット(メインジェットを固定している)の着脱に使用。

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◆上の写真、右の赤い差し替えドライバーは、750F1に装着したFCRの底面にあるパイロットスクリュー調整に使っていたもの。
柄(赤い部分)は短縮し、マイナスビットは差し込み部(+側)を残し、荒業で全体に一回り小さく削ってある。どれも長いドライバーが入らない部分に使うもの。

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上の写真は「最新作」のドライバーの柄。両端を削り込んで流線形状になりました。

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ブレード部を幅狭く削り込んで、角を丸めてあります。
少し傾いたところから穴の中のパイロットスクリューを回すため、角が穴の壁面に引っ掛かりにくいようにしてあります。

マイナスドライバーはプラスとは違い、いざとなれば先端を切り落とし、形状を何度でも作り直せるのがありがたいですね。
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【例のごとく余談】
筆者が使い勝手や好みにあわせて手を加えているのを「カスタマイズですね」といわれることがあるのですが、言葉が独り歩きしているような違和感を覚えた。
店が顧客の依頼に基づいて行なっているわけではないので「パーソナライズ」ということになるのだろうか。

直接筆者には関係ないが、毒吐き(笑)
●雑誌などで顧客向けに改造を行なうショップを「カスタマー」と表現しているのを時折見かけるが、「customer」は顧客そのものを意味する言葉であり、噴飯ものである。
改造ご法度時代には「カスタマイザー」と書かれていたもので、リスペクトを持って物を言って(書いて)ほしいものだ。

●同様に、ボルトオンのキットパーツてんこ盛りの車両を「フルカスタム」と称しているのを時折見かける。
下取り時にはさっさと元に戻せるような、ゼニ勘定計算ずくの車両をカスタムマシン呼ばわりされるのに非常に抵抗があるのは筆者だけだろうか?
挙句はメーカー純正オプションで固めたものまで「フルカスタム」と称する場合もあるようで、まさに大メーカーの掌で踊らされているのを誇っているようで滑稽に思える。

当方含め、人の子は間違いもあるのが当たり前なので、粗探し的な言動は慎むべきではあるが、
上っ面だけをすくい取るような言葉の使い方は避けたいと思うこの頃。



Posted at 2025/07/16 22:06:40 | コメント(1) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年07月13日 イイね!

DUCATI SSの整備【70】純正キャブレターでの出力向上策

DUCATI SSの整備【70】純正キャブレターでの出力向上策
当初、現車の整備状態は悪く、非常に扱いにくかったことに加え、
筆者自身の運転者としての”リハビリ”の意味から、
電気系や車体・操作系整備と並行して、スロットル低中開度域のツキの良さ、反応の自然さを主眼にキャブレターのチューニング(調整)を繰り返してきました。

そろそろ全体にレベルが揃ってきたと感じられるので、いちばんのお楽しみ領域である出力向上を目指してみることにしました。

時系列でいうと、実際は静電気減少チューンに着手するより前から作業を行ない、途中からシンクロしています。

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【ジェットニードルの変更】
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いちばん上の、DUCATI標準部品から、二番目のYAMAHA用社外補修部品に変更しました。
ストレート径は同じ、テーパーがきつく、目的は判りませんが先端に細い溝が5列切られています。
クリップ位置はひとまず標準と同じ、上から4段目。

→組み替えてみると、やはり3000rpmあたりからの吹け方、トルクの盛り上がり方にかなり変化があり、軽快になった印象。速度の乗りも良好です。
但し、3速以上で5000rpmを超えるあたり、スロットルグリップ開度では1/2程度から上では、吹け上がりの速度が鈍ります。メインジェットの領域のようですね。

なお、スライドバルブのリターンスプリングはすでに記したように、
写真にあるDynojetキットのレートの低いものに変更済み(全長差分はプリロード補正済み)。
吹け上がりの速さと、スロットル開閉の瞬間の挙動を穏やかにするのに効いています。
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【エアボックスふたの加工】
エアボックスふたは、穴を追加したものに交換済みで、内側にアルミテープを貼りこんだ際、ゴム製ファンネルもゴム砥石で仕上げ直しています。

(加工前)手前に見えているのはエアボックス内側に放出する部分。粗い仕上げです。
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(下=加工後)凹凸をならし、成形時の金型合わせ目も段差が小さくなるよう修正。
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吸気音の聞こえ方が変わり、スロットルのツキが若干良くなったように感じました。
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【メインジェットの変更(静電気減少加工後)
先日、いつぞやの激走ツーリングのお誘いに再度参加。
高速道で現行1000㏄クラス2気筒車と共に”いいペース”で巡航すると、ついていくことは問題なくできるが、前に出るのは難しい(笑)

いよいよメイン領域の本領を発揮させるべく、Dynojetキットに含まれる最小番手(?)、
手持ちの#165に変更。従来は#144.5だったので、一気に20番手ほど上げる形です。
いろいろと試すうちに、キャブレター本体を取り外さずにメインやパイロットのジェット類交換もできるようになりました。
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↑直立バンク側フロートチャンバーを組み付ける際、内側はスロットルケーブルを装着したままのホルダー金具と共締めになるのでやりづらいのと、
ボディに差し込まれるだけ(フロートチャンバーで押さえる)のフロートが落下しやすく、さらにはフロートチャンバー組み付けの際、干渉させてフロート高を狂わせる恐れがあります。

フロートチャンバーにフロートを入れた状態で、パイロットスクリュー部の突起を避けるよう意識しながらボディ合わせ面に合わせるように組むのも一案です(フロートはボディ側の正しい位置に納める必要があります)。

当然ですがジェット、留めねじ類含めて、落下・紛失させないよう注意が必要です。
特にキャブレター本体を取り外して行う場合は、必ずインマニに詰め物をします。
フィンのすき間にねじを落とした(と思われる)際は、伸縮するアンテナ状のマグネットで捜索すると見つけやすいです。
車体を揺すった際に、覚えもないようなねじが落ちてくることも稀にありますが(笑)

   ◆   ◆   ◆

メインジェット交換で吸排気音が力強くなりましたが、
走らせてみると明らかにエア不足で5000rpm以上が吹けない。
そこでエアボックスふたもステージ2仕様、大きく切り欠いたものに再度変更。
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合わせて、ようやく部品入手できたブローバイボックスからのリターン配管を接続。
クランクケース内圧はわずかでも下がるはず。
エアボックスを脱着しやすいようホースの途中を切断(バッテリー真横あたり)、ジョイントを挿入し接続。
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ファンネルほどではないが、顔の下から吸気音が響いてくる。親しみある旧式ドゥカティのよう(笑)
細かな作業の積み重ねも功を奏してか、5000rpm以上(今のところ7000rpmあたりまで使用)も自然に吹けるようになりました。
低回転域からトルク感も厚くなって、追い越し加速は随分速くなりましたが、あくまでそれなりに吹ける感じで、吹け上がりの伸びやかさはそれほどでもない印象。

速度が乗り過ぎてしまうので、路上での現車合わせの緻密なメインジェットの詰めはほぼ不可能ですが、
伸び感の薄さは、標準のバルブ&点火タイミングゆえか?グリップ開度が広いためか?
さらに上のジェット番手を試してみるべきか?

とはいえ、スロットルの開けやすさ、どれだけ能力を使いこなせるか、に主眼を置いて、
伝統的な「ドゥカティのスーパースポーツらしさ」はかなり引き出せたようにも思います。

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入手当初はスロットルのツキが悪く、いわゆるドンツキや唐突なエンジンブレーキの扱いにくさと、
新車当時に吊るしの車両を試乗した際の記憶からも、
「やっぱり900は速度が乗るだけで面白くないな・・・」と、大きな期待を持たずに、ひたすら目先の問題点に対処し続けてきましたが、
整備や調整の工夫で、手を入れれば入れるほど変化がある、伸びしろの大きさに驚かされました(当初のコンディションの悪さの裏返しかもしれませんが)。

運転者(筆者自身)技量や理解度に合わせて、速くなり過ぎないよう(技量を超えないよう)留意して、あえて純正部品を使う前提で、抑えつつ一歩ずつ性能向上を図ってきましたが、
スロットル開け始めの反応と、車体の自然な挙動を妨げない乗車姿勢にこだわって、車体の煮詰めも進んできたこともあり、
ベベルギヤ時代からの良き伝統といえる、扱いやすいトルク特性を利した、トラクション感覚を土台にした車体コントロールがおぼろげに見えてきたように思います。

運転者として「こうあってほしい」と、現状に問題意識を持ち、
MHRやF1の頃からの見果てぬ走りの理想像を描いての整備を自ら行うことで、
遠回りかもしれませんが、車両や部品本来の特性を知り、それを生かすように意識して、運転者としてもある程度の理解や上達が見えてきたように感じるこの頃です。

運転者を鼓舞するような特有の走り、音、構造、造形など、
MHRやF1の頃にも感じた、「やはりドゥカティでなければ!」というような、他では代えられないような意識を持てることこそ、ボローニャ製Vツインを抱くスポーツバイクの最大の美点ですね。

Posted at 2025/07/14 19:56:45 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記
2025年07月11日 イイね!

DUCATI SSの整備【69】燃料フィラーキャップ交換


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外出ついでに、掘り出し物はないかと中古部品チェーン店へ。

処分品コーナーで、クイックフィラーキャップ発見。対象車種不明。
ノーブランドのようで、余計なロゴが入っていないのが高ポイント。掘り込んであると消せない(笑)
ドゥカティはヤマハと共通の部品を使っていて、見たところ寸法合いそう♪

国産4メーカーを分母とすると、確率1/4以上?と運だめしに買ってみた。税別200円(笑)
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早速見分。純正キャップを取り外して、ボルト穴を合わせてみるとピッタリ♪ 大当たり大吉(笑)
裏面はこうなっています。
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以前通販サイトで買ったものはボルト留めの高さを合わせるカラーが付属しておらず、寸法を出さないと組めなかったのでお蔵入りしていますが、
この品はカラーも一体構造で削り出されていて、仮組してみたら使えそうです(^^)

組み付ける前に分解し、パッキンやOリングを傷めないよう取り外して採寸してメモしておきます。
どんな品質か判らないので、耐ガソリンのもので予備を手配しておきます。
パッキン類や摺動部、錆びていたばねにはシリコングリスを塗り込んでおきます。
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【重量測定】
それ以前のニュートン製に替えて、91年モデル以降のドゥカティ(及びMVアグスタ)のフィラーキャップは、当方知る限り大抵の車種はヤマハと同じものが使われています。

ドゥカティに使われている部品の中では一番の安物(笑)
亜鉛ダイキャストの重い代物で、経年により塗装の下から錆が浮いてきます。
そのせいか、アマゾンなどでは”消耗品”扱いで、数百円のコピー品が売られています。
↓測定してみると、取り付けねじ含めて約330g。
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↓対する削り出しクイックフィラーキャップは、同じくねじ含めて約190g。
純正比140gの軽量化ですが、燃料タンク最上部なので、それなりに効き目がありそうです。
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現状で特に不具合はなく、みすぼらしくもないが、軽量化と気分転換で交換。
取り付け難易度は低いですが、前方1ヶ所、後方2ヶ所でのボルト留めなので、
均等を意識して締めないと(恐らくはパッキンの反発力で)前方が浮き上がってしまうので注意。
台座からの出具合が全体に同じになるように締め方を加減します。
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キャップの台座部分は純正品を使いますが、特に違和感はありません。
純正品はボルト5本で留めるようになっているが、その内2本は単なる飾り。実質は3本留め。
欲を言えば、キャップを締めこんだ際の抜け止めピン引っ掛かり代がもう少し深いと良いと思う。
ピンは長さも不足気味。。。

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【漏れ確認】
組み付けたら車体をタテ・ヨコに大きく揺らし、キャップ周辺やオーバーフローホースから漏れてこないか確認して、とりあえずは交換作業終了。
実走テストで確認しますが、とりあえず漏れはなさそう。

キャップを開けてみると、グリスアップした成果か動きは滑らかで心地よい操作感。
つまみ部分が細いので破損しないか気がかりですが、そのときはキャップごと外してしまえばOK。

純正キャップは、開けるとフィラーキャップ部分が”二重天井”になっているのが丸見えですが、
交換したことで、そのあたりが見えなくなって、高級感があります。

クリアアルマイト仕上げらしく銀色に輝いているのが運転中は目ざわりか?とも思いましたが、
筆者はいつも思いつく限りの工具を入れたタンクバッグを載せているので、残念ながら全然見えない(笑)

ということは、重量物がタンクの上にどっさり載っかっているので、高位置の重量低減の意味がなくなってしまっているということか・・・お笑い種である(笑)

Posted at 2025/07/11 23:06:54 | コメント(0) | トラックバック(0) | 整備日誌 | 日記

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灸太郎くん(キュウタロクン)です。 職業・思想・信条・立場など違えど 共通の話題で交流できるのは良いですね。 記述は残ることを意識しています。 ...
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