運転免許。ビザ滞在者には頭の痛い問題です。
世界同時多発テロで、テロリストたちが偽造書類を使って運転免許証を取得していたことが問題になり、リアルID法が制定されて運転免許取得時の本人確認が厳しくなりました。
そのあおりでビザ滞在者は滞在期限が切れると運転免許証も切れるようになりました。
一見合理的な感じもしますが、実際に当事者になってみると大変です。私のビザは1回の入国で2年間滞在できるのですが、2年間ピッタリ滞在というわけにはいかないので短めになりますし、パスポートの有効期限が短い等の理由で短い方に合わせられてしまうため、実質的には1年半くらいのサイクルで更新が必要になります。
特に今回コロナの問題で日本への一時帰国を断念し、滞在期限の延長を手続している最中ですので、滞在期限を証明するI94が更新されておらず、ルールを厳密に考えると免許を更新できません。
しかし2014年から不法移民用の運転免許であるドライバーズオーソライゼーションカード(DAC、運転許可証)が新設されました。不法移民用なので、滞在期限の証明は不要です。今回はこちらへの切り替えをしました。
なんで不法移民用の免許があるのか。それは、無免許の不法移民が事故を起こすと逃げてしまい、通報や救急車が遅れて事故の被害者が死ぬケースが多かったためです。これを警官に見せても不法入国で摘発されないことが法律で約束されています。
私たち夫婦は結果的にDACを取ることになりましたが、最初は普通の運転免許の更新を目指していました。DACは身分証明証としては無効ですので、クレジットカードを使うときなどに困る可能性があります。また合法で滞在しているのに、不法移民用の免許を持つというのも屈辱的です。
そういうわけで、ここから下は運転免許の更新で玉砕し、DACを取るに至った事の顛末です。
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とにかくまずは予約。自動車局DMVは3月から7月までずっと閉まっており、7月15日から営業を再開しました。
実はこのとき4ヶ月間更新できなかった人々で予約が殺到しており、営業再開後数日で8月中旬までの予約が埋まってしまっていました。
そんなことも知らず呑気に構えていた私は、18日くらいに予約画面を見てびっくりし、慌てて8月21日の予約を押さえました。
免許の期限は8月3日まで。7月15日までに切れた人は9月まで有効になる特別法が制定されましたが、この状況では7月15日までと言わずもっと先まで有効にしてくれないと困ります。
ちなみにこの記事を書いている現在は11月の予約も既にいっぱいです。
今回の更新手続きは困難が予想されるため、ネットで徹底的に調査して情報をかき集め、書類をそろえ、移民弁護士からもアドバイスをもらいました。
I94の延長を申請した場合、延長の許可が出るまでに数ヶ月から半年かかります。それまでに期限が切れたらどうするのか。
実は延長を申請するだけで240日の滞在許可を自動的にもらえます。この滞在許可が切れるまでは、免許も延長できるのではないか、という目論見です。
移民局のサイトの説明によると、このような状況にある外国人の場合、DMVは移民局のSAVEというデータベースで滞在許可の最新情報をチェックして免許の更新を認めることが推奨されています。
この説明を印刷し、関連事項にマーカーで線を引いて、窓口での一戦に備えました。
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予約日当日。摂氏で45度の暑さの中をキャンセル待ちの人々が並んでいます。
私たちは予約がありましたが、それでも入り口の前で30分ほど待たされました。
館内は椅子がほぼ撤去されており、ソーシャルディスタンスを保っています。
自分たちの番になり、事情を説明して書類を見せ、職員がマネージャーと相談してくれましたが、結果はNG。これまでの事前準備は全て無駄になりました。
しかしDACへの切り替えならできるというので、DACを取ることにしました。
今後I94が更新された暁には、DACから普通の運転免許証へ戻すこともできるそうです。これはありがたい。
実はDACへの切り替えを第1に考えていなかったもう1つの理由がありました。それはDMVのウェブサイトに、運転免許証からDACに切り替える際の手順が一切示されておらず、できないように思われたからです。
なおDACの有効期限は4年後の誕生日まで。身分証明証としてどこまで通用するのかはまだ未知数ですが、外国人は無理せずDACを取ったほうがいいかもしれません。
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2020/09/14 03:35:25