ごきげんよう。
今宵は、部品の組付精度についてお話しさせていただこう。
クルマのホイールと、ハブ…。
ご存知、数本のボルト、ナットで締結されている。
小型車では主に4本及び5本。RV車では6本。古いルノー等は、3本というのもある。穴は360°を等配に、4穴では90°、5穴では72°、そして6穴では60°間隔といったところ…。
回転バランスと、同じトルクでネジを締め込んだ時に、ハブに対し平行に、きっちり付く様に考慮されている。
そこまでは良いのだが…
機械関係、加工、設計等を職とされる、若しくはされていた方々であればお分かりだろうが、どんな部品にも、寸法公差というものがある。精密機械で±0,02mmといったところか…。
シャーペンの芯の10分の1、それよりも小さい・・・。
どうでもいいような、そんな細かい事をいちいち…
その通りである。
親には昔から、『お前は小さい事をいちいち気にして、つまらんやっちゃのお!そんなんやから、デカイ人間になれやんのや…。』
恥ずかしながら今もって、周りの人に言われる事がある。
まあこれは、拙者の人間性、人格の至らぬところであって…(恥笑)
ところがこれが機械…特にクルマの高速回転に関連する部分だと、どうだろう…。
まずはエンジン。
おびただしい点数の、精密な部品の集合体である。
これくらい、いいだろう…
かも知れない。それだけならば…。
仮に、ひとつの部品が0,02mmの公差で、それが10個組合わさった物があったとしよう。公差の+寄り、-寄りの傾向にもよるが、同じ傾向であれば、0,2mmとなる。
様々な諸説がある、エンジンをはじめとする、クルマの所謂アタリ、ハズレ。
そのひとつとして、上記のようなファクターもあると、拙者は思う。
公差のイタズラ…。女神が微笑むか、地獄の業火か…。
銃器の世界でもまた然り。
ライン生産される、無作為に組み合わされた公差のイタズラ?で、1000挺に数挺、とてつもなく集弾性の良い個体が生まれてくるという・・・。
そして、パワートレーン。
先程の、ホイールとハブである。
構造にもよるが、ハブユニット、ディスクロータ間で、ひとつの当たり面。ディスクロータとホイール間で、もうひとつの当たり面…。
これが、ワイトレスベーサー等、構成数が増えれば増えるほど、交差の介入余地は多くなる。言い換えれば、各々の部品に対し、精度の高さが問われる。
因みに、とあるクルマのメンテ前に、組付け状態でディスクロータの面振れを測定したら、酷い所で、0,04mmであった。ハブユニットとロータの当たり面は、相当錆があった。これを、オイルストーンにて、修正仕上げ、更にワイトレスベーサーを平行度の出ている新品に交換後、再測定したら、面振れは0,01mmとなった。
もはや病気の世界なのかも知れない…。
そんな事して何になる…。
公道で走れるスピードは決まっている…。
レーシングカーじゃないんだ…。
周りからは揶揄されるが、機械が機械らしく、そして機械として、正しく動くように…。大事だと思う。
前述のように、時速40~50キロで走る分には、全く無視して良いだろう…。
短期的…であれば…。
その場限りの間柄であれば…。
エンジン回転数が1800rpm、5速で走行時の状態で考えてみよう。よくある条件だと思う。
この時点でのトランスミッション減速比0,761 ファイナル比4,083としたら、1800÷0,761÷4,083で、ドラシャの理論上の回転数は算出できる。約580rpm…。
装着タイヤが、205-45R17とすれば、205×45%×2で202,5mm、17インチ→431,8mm。合算して634,3mm。周長は3,14を掛けて約1,99m。
1,99mが580rpmで、分速1154m。時速に換算すると、約69km/h。
話が少し逸れたが、ドラシャが1分間に580回転するから、0,04mmの振れ…つまりハブ、ロータ、タイヤホイールを合わせた振れが、1分間に580回、ハブベアリングに対し、ストレスとなる。
これが高速になればなるほど、回数もストレスも増大する。
そして最悪、取り返しの付かない事になる…。
可能な限り、不安要素を取り除く…。
これは、企業の安全衛生活動にも共通して言える事ではないだろうか。
1対29対300の法則というのがある。
またの名は、『ハインリッヒの法則』
1つの重大災害の背後には、29の軽微な災害が存在し、その背後には300のヒヤリハット事例が存在するというもの。
事故(トラブル)をゼロにする事は難しいが、限り無くゼロへ近付ける事は可能だと思う。
クルマにしても然り。
乗る人ひとりひとり、かけがえの無い人ばかりだ。当然大切な相手も居る。家族、兄弟姉妹、友人、恋人、愛人?(^^)
そして、我々が愛するクルマ…1台1台、かけがえの無いマシーン…。
そんなかけがえの無い物へ、出来る限りの安心を…。
そして、バランスが取れたマシーンほど、操縦していて気持ちの良いものはない。
今日より素敵な笑顔の為に…
今日より確かな安心の為に…。
そんな気持ちで、クルマ弄りを続けることが出来ればと思う…。
長文お付き合い頂き、ありがとうございました。
Posted at 2014/02/27 20:55:35 | |
トラックバック(0) | 日記