
新型M2クーペ、G87の試乗機会を得ました。
スタイリング
ぱっと見の第一印象、写真で見るよりいいと思いました。
光沢があるアルピンホワイトの現車を見ると、以前に書いたような、赤い車体の写真で感じたフロントバンパーの雑な感じは控えめに。

ボンネットの長さ&幅はかなり大きく見えて、F22(私が乗っている旧型M240i)と同じ車格とは思えませんでした。
フロントにメッキなどの金属(または金属風)パーツによる縁取りが一切無い外車というのも珍しいような。写真で見ると安っぽく見える原因だけど潔くパフォーマンス追及、ということなんでしょうか。34GT-Rもそういうテイストでした。
あとで、というか今さら気づきましたが、キドニーグリルの内側は横桟なんですね。このサイズのキドニーグリルで横桟は初めてでは?
縦のほうがビーエム感ありますね。

やっぱりエンブレム下流のレインガーターはちょっと・・・(^.^;

真横から見ると安定のビーエムフォルム。フロントオーバハングも極少で好感持てます。
ファストバックスタイルによりリヤ周りが間延びして見えてしまうM4より、凝縮感あるノッチバックスタイルのM2のほうが断然好み。

蹴り足の力強さを感じさせるCピラーからリヤフェンダーにかけての造形。この辺もノッチバッククーペならではの魅力。
自分のF22もそうですが、2シリーズクーペは、斜め後方から眺めるのがいちばんカッコよく見えます。

細部を見ていくとフロントフェンダー後部やリヤフェンダー前部には、前から後ろへの流れを阻むような垂直の折れ線が。ちょっと気になります(悪い意味で)。

前後のエアインテーク・アウトレット風の張り出し感も悪目立ち。
好きずきだとは思いますが、個人的にはもう少しシンプルでいいのに、と思います。
それと、気になったのはブレーキ。

フロントは穴あきローターに6ポッド?
かなりデカく立派なブレーキ
それに比べてリヤは・・・

ローターは穴あきですが、わざわざ赤く目立てせている小さい片押しキャリパーは非常に残念。
ベンツなんかもそうですが、最新のジャーマンハイパフォーマンスモデルたち、リヤブレーキが見た目に貧弱になってますね。ばね下重量軽減策?
性能は問題ないという判断なんでしょうけど。
↓↓↓こちらは旧型M240iのブレーキ

キャリパーはこっちのほうが上等に見えます。
穴こそ開いてないけど、心なしかローター径もこっちのほうが大きいような?(ホイールが1インチ違うので、ローター径同じでも隙間は変わりますが)
Mパフォならともかく、純Mモデルなら見ため的にもブレーキは「スゲェー」って思えるようなものを着けてほしいですね。
自分がもしM2オーナーになったとしたら、大人しく走るとしても真っ先に変えたいポイント。
せっかくなので、駐車場に停めていた自分のクルマと並べてみました。

見劣りするかと思いきや、むしろF22のほうが凝っていて男前なような・・・
G87の直線的で四角い穴がたくさん開いてる感じは、やっぱり34GT-Rを想起させられます。
「フロントに開口部が多すぎる」と34GT-Rを当時酷評していた自動車評論家さん達は新型M2のデザインをどう評価するのでしょうか。
ドアを開けると、シート肩やドア内張に大胆に入れられたMカラーが目に飛び込んできます。

こういう原色使いで見せつける感じの内装、若々しいと言えるのかもしれませんが、個人的には好みではないし飽きてしまう気がします。
シートに腰を降ろすと、着座位置が低い!
ハイトアジャスターはいつでも最低にセットしてますが、それでもいつも目線が高いと感じるF22よりもだいぶん低い印象。このぐらいの低さいがいいです。
フロア高はそんなに変わらないのだと想像しますが、シートの構造とかレールで下げてるんでしょうね。

チルトを最低にセットしてもF22同様に高めになってしまうステアリングは、着座位置が低いぶん相対的にさらに高い位置にある印象。
そして目の前にカーブドディスプレイが壁のようにそびえ立ち、圧迫感を感じます。
取って付けたようなディスプレイのデザインは「敢えて」なんでしょうけど馴染めません。
また、フル液晶インストルメントパネルにも憧れを感じません。やっぱりアナログ、針がいい。
世の中のクルマがみんな液晶メーターになってしまえば、きっとそういう声が増えるでしょう。
エンジンを掛けて軽く空ぶかししてみると、吹け上がると同時に車体が捩じられるようにロールするのはM240iも同じだけど、吹け上がりの鋭さにびっくりしました。さすがSエンジン。
試乗車は8ATでしたが、これはMTのほうが遥かに面白いクルマかも。
足やボディの印象
走り出すと、オブラートに包みつつも路面のザラザラ感を多少伝えてきます。
脚は柔らかくはないので凹凸も伝わってきますが、高剛性なボディに守られ洗練されたゴツゴツ感、そんな印象で不快感は少ないです。
旧型となったF87M2Cと比べていいなぁと思うのは、可変制御ダンパーが備わり、足をモード変更できること。
しかもエンジン、トランスミッション、足回りをそれぞれバラバラに自分好みに設定できるindividualはわがF22M240iにはできない芸当で羨ましい。
単体で乗ってる分にはF22M240iもボディ剛性に不満ありませんけど、路面が悪くてもよりブルブル感が少ないM2のボディは骨太感があり、快適性にも寄与している印象。そこは明確な違いを感じます。
コンフォートモードでスタートしましたが、外観から想像するほどスパルタンではなく、思いのほかジェントル。
エンジンの印象
サウンドはもちろんB58より迫力ありますが、S55エンジンのF87M2C(旧型)のほうがドスが効いていたような気もします。
スポーツモードにしてもストリートで4000回転ぐらいまでで走るぶんには、力感はM240iと大して変わらないような?
サーキットで思う存分高回転まで回さないことには、真正Mモデルの本領を発揮できないのでは、と感じました。
MTならまた印象が異なるでしょうけど。
足もエンジンも、外装から想像するほど辛口・過激な印象は無く、ストリートでも不満ないよう洗練されていました。でもMならではの性能を公道で発揮するのは難しいと思います(Mパフォモデルでも)。
試乗を終えて総括
F87のM2Cはカッコいいと思えていましたが、新型G87のブラック内装に散りばめられる原色使いの差し色や、突出感を強調して凄みを出そうとしているエクステリアデザインなど、誇張された内外装の演出は、個人的には少しこれ見よがしな印象を受けて馴染めません(仮に自分で乗るなら、の話です)。
(たぶん)高回転まで回さないと大きな違いが感じられないエンジンも、自分には持て余すというか、勿体ないというか。
サーキットを走らず、目立ちたくもない自分の場合は、F22M240iから買い替えたいという動機を見い出せませんでした。
このパフォーマンスのまま、ストリートでさり気なく乗れるモデルがあればいいのに・・・なんてほざく自分のようなわがまま人に向けて、ちゃんと「Mパフォーマンスモデル(M240i)」を用意してくれているBMWには感謝。
M2に過剰さを感じるということは、自分の場合はM240iが正しい選択だったんだな、と再確認することとなりました。
我が家は当てはまりませんが、例えばハイパフォーマンスな車が欲しいけど、奥様と共用するために、普段乗りの実用性や乗り心地、適度なサイズ感や普通っぽさも重要、そんな人にはM240iはかなりおすすめできます。
パフォーマンスを追求したい、リセールバリューが良いほうがいい、或いは優越感を感じたい・・・そんなクルマ選びならば、迷わずM2、というところでしょうか。
でも、もし自分がそういうポイントでクルマ選びするならば、2ドアセダン的パッケージのM2だけではなく、もうひと頑張りしてスーパーカー的内外装のクルマにも視野を広げて比較検討したくなります。
例えば********